衆議院

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第一五六回

衆第四九号

   行政機関等による監視カメラの設置等の適正化に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、行政機関等による監視カメラの設置等の適正化を図るために必要な事項を定めることにより、みだりに容貌の撮影をされない自由、みだりに私生活に関する情報の収集又は管理をされない自由、政治活動の自由その他の国民の自由と権利を保護することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの

 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

 六 会計検査院

2 この法律において「監視カメラ」とは、人の行動を監視するために設置されるカメラ、ビデオカメラその他対象を撮像して表示し又は記録する装置をいう。

 (行政機関による監視カメラの設置等の適正化)

第三条 監視カメラを一定の場所に継続的に設置する行政機関の長(前条第四号及び第五号の政令で定める機関にあっては、その機関ごとに政令で定める者をいう。以下同じ。)は、次に掲げる基本原則にのっとり、監視カメラの設置、当該監視カメラによって記録された画像(以下単に「画像」という。)の取扱い等に関し、適切な措置を講じなければならない。

 一 監視カメラの設置に当たっては、あらかじめその設置目的が明確にされていなければならず、かつ、その設置目的が適正なものでなければならないものとすること。

 二 監視カメラの設置に当たっては、設置目的に照らし正当な理由がある場合を除き、当該監視カメラによって撮像される個人に対し、その設置場所及び設置目的が明示されなければならないものとすること。

 三 画像は、当該監視カメラの設置目的の達成に必要な範囲内で取り扱われなければならず、かつ、当該画像によって識別される特定の個人(以下「本人」という。)の同意がある場合又は法令に規定がある場合を除き、設置目的以外の目的に利用され、又は提供されてはならないものとすること。

 四 画像は、設置目的の達成に必要な範囲内で正確な内容に保たれなければならないものとすること。

 五 画像の取扱いに当たっては、設置目的に照らし正当な理由がある場合を除き、本人が適切に関与し得るよう必要な措置が講じられなければならないものとすること。

 六 画像の取扱いに当たっては、漏えい、滅失又はき損の防止その他の安全管理のために必要な措置が講じられなければならないものとすること。

2 前項の行政機関の長は、政令で定めるところにより、監視カメラの設置、画像の取扱い等に関する定めを設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。

3 前項の政令においては、次の事項について定めるものとする。

 一 監視カメラの設置目的に関する事項

 二 監視カメラの設置場所、撮像範囲その他運用に関する事項

 三 画像の取扱いの制限に関する事項

 四 法令の規定に基づき画像を他の機関等に提供した場合の本人への通知に関する事項

 五 本人に対する画像の開示に関する事項

 六 画像の安全管理に関する事項

 七 画像の保存期間に関する事項

 八 画像の廃棄方法に関する事項

 九 監視カメラの設置、画像の取扱い等に関する苦情の処理に関する事項

 十 前各号に掲げるもののほか、監視カメラの設置、画像の取扱い等を適切に行うために必要な事項

4 第二項の政令を定めるに当たっては、国民のみだりに容貌の撮影をされない自由、みだりに私生活に関する情報の収集又は管理をされない自由、政治活動の自由等を尊重するとともに、監視カメラの設置等が不服申立てをする権利、行政文書の開示を請求する権利その他の行政機関に対する国民の権利の行使等の妨げとなることがないよう配慮しなければならない。

 (国会等における監視カメラの設置等の適正化)

第四条 衆議院、参議院及び裁判所は、その施設において監視カメラを設置する場合には、前条の規定に準じて、監視カメラの設置、画像の取扱い等に関し、適切な措置を講じなければならない。

 (地方公共団体による監視カメラの設置等の適正化)

第五条 地方公共団体は、監視カメラを設置する場合には、この法律の規定に基づく国の施策に準じて、監視カメラの設置、画像の取扱い等に関し、適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

     理 由

 みだりに容貌の撮影をされない自由、みだりに私生活に関する情報の収集又は管理をされない自由、政治活動の自由その他の国民の自由と権利を保護するため、行政機関等による監視カメラの設置等の適正化を図るために必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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