衆議院

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第一五九回

衆第二六号

   特定船舶の入港の禁止に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶の入港を禁止する措置について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「外国」とは、本邦以外の地域をいう。

2 この法律において「特定船舶」とは、次に掲げる船舶をいう。

 一 次条第一項の閣議決定で定める特定の外国(以下「特定の外国」という。)の国籍を有する船舶

 二 次条第一項又は第三項の閣議決定で定める入港が禁止される期間(以下「入港禁止の期間」という。)のうち当該閣議決定で定める日以後の期間に前号の特定の外国の港に寄港した船舶(前号に掲げるものを除く。)

 (入港禁止の決定)

第三条 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、閣議において、期間を定めて、前条第二項第一号の特定船舶又は同号及び同項第二号の特定船舶のいずれかを入港禁止の対象となる特定船舶として、これについて本邦の港への入港を禁止することを決定することができる。

2 前項の閣議決定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 一 特定の外国

 二 入港禁止の対象となる特定船舶

 三 入港禁止の期間

 四 前条第二項第一号及び第二号の特定船舶を入港禁止の対象となる特定船舶とする場合にあっては、同号に規定する日

 五 第六条第一項の規定により入港禁止の対象となる特定船舶を出港させなければならない期日

 六 その他入港禁止の実施に関し必要な事項

3 前条第二項第一号の特定船舶を対象とする入港禁止が実施されている場合において、我が国の平和及び安全の維持のため、なお同項第二号の特定船舶を入港禁止の対象となる特定船舶に追加する必要があると認めるときは、閣議において、同号の特定船舶を入港禁止の対象となる特定船舶に追加する旨の決定をすることができる。この場合においては、同号の特定船舶について、前項第三号、第四号及び第六号に掲げる事項を定めなければならない。

4 入港禁止の期間を経過する日後においても入港禁止を継続する必要があると認めるときは、閣議において、期間を定めて、当該入港禁止の期間の延長を決定することができる。

5 前項の規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により入港禁止の期間の延長を決定した後、その定めた入港禁止の期間を経過しようとする場合について準用する。

 (告示)

第四条 内閣総理大臣は、前条第一項の閣議決定があったときは、直ちに、その内容を告示しなければならない。同条第三項の規定による入港禁止の対象となる特定船舶の追加の閣議決定又は同条第四項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による入港禁止の期間の延長の閣議決定があったときも、同様とする。

 (国会の承認)

第五条 政府は、前条前段の規定による告示があったときは、当該告示の日から二十日以内に国会に付議して、第三条第一項の閣議決定に基づく入港禁止の実施につき国会の承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならない。

2 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該議決に係る入港禁止の実施を終了させなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

 (入港禁止の実施)

第六条 第三条第一項又は第三項の閣議決定があったときは、入港禁止の対象となる特定船舶の船長(船長がその職務を行うことができない場合においては、船長に代わってその職務を行う者。以下同じ。)は、当該特定船舶に係る入港禁止の期間において、当該特定船舶を本邦の港に入港させてはならず、また、入港禁止の対象となる特定船舶が当該特定船舶に係る入港禁止の期間が開始された際現に本邦の港に入港している場合においては、当該特定船舶の船長は、当該閣議決定で定める期日までに、当該特定船舶を本邦の港から出港させなければならない。ただし、遭難又は人道上の配慮をする必要があることその他のやむを得ない特別の事情がある場合は、この限りでない。

2 前項の特別の事情は、閣議において、決定する。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その内容を告示しなければならない。

 (入港禁止の終了)

第七条 第三条第一項又は第三項の閣議決定後、当該閣議決定に基づく入港禁止を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、閣議において、当該入港禁止の実施を終了することを決定しなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

 (国際約束の誠実な履行)

第八条 この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない。

 (罰則)

第九条 第六条第一項の規定に違反した船長は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。

2 国は、この法律の施行の状況、我が国を取り巻く国際情勢等にかんがみ、必要があると認めるときはこの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶の入港を禁止する措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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