衆議院

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第一六五回

衆第八号

   カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、カネミ油症被害が日常的な食品の摂取により多数の人に生じた健康に係る重大な被害であること及びこれにより食品の安全性に対する国民の信頼が著しく損なわれ社会に不安を与えることとなったこと等並びにカネミ油症被害に係る食用油の製造工程において副生された油であって飼料の原料となったものに係る行政機関が保有した情報が当該食用油の安全性を疑わせるような重大なものであったにもかかわらず当該情報を生かすための連絡調整が国において行われなかったこと等によりカネミ油症被害の発生を防止するための適切な対応が行われず被害が拡大したこと及びその後も国によりカネミ油症被害者に対して救済のための措置が十分に講ぜられていないこと等にかんがみ、カネミ油症被害者に対して特別給付金を支給するため、その支給に関し必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「カネミ油症被害」とは、昭和四十三年に九州地方を中心に発生したダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第二条第一項に規定するダイオキシン類をいう。)が混入した食用油を摂取したことによる健康被害が生じた事件における当該健康被害をいう。

2 この法律において「カネミ油症被害者」とは、カネミ油症被害を受けた者として政令で定める者をいう。

 (特別給付金の支給)

第三条 カネミ油症被害者(カネミ油症被害者がこの法律の施行前に死亡している場合にあっては、その遺族)には、特別給付金を支給する。

2 特別給付金の支給を受ける権利の認定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、農林水産大臣が行う。

3 前項の請求は、農林水産省令で定めるところにより、この法律の施行の日から起算して二年以内に行わなければならない。

4 前項の期間内に特別給付金の支給の請求をしなかった者には、特別給付金は、支給しない。

 (遺族の範囲及び順位等)

第四条 特別給付金の支給を受けるべき遺族の範囲は、この法律の施行前に死亡したカネミ油症被害者の死亡の当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹とする。

2 特別給付金の支給を受けるべき遺族の順位は、前項に規定する順序による。

3 特別給付金の支給を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、その一人のした特別給付金の支給の請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした特別給付金の支給を受ける権利の認定は、全員に対してしたものとみなす。

 (特別給付金の額)

第五条 特別給付金の額は、三百万円(カネミ油症被害者の遺族に支給する特別給付金にあっては、カネミ油症被害者一人につき三百万円)とする。

 (特別給付金の支給を受ける権利の承継)

第六条 特別給付金の支給を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その者がその死亡前に特別給付金の支給の請求をしていなかったときは、その者の相続人は、自己の名で、当該特別給付金の支給を請求することができる。

2 第四条第三項の規定は、前項の規定により特別給付金の支給を受けることができる同順位の相続人が二人以上ある場合について準用する。

 (譲渡等の禁止)

第七条 特別給付金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

 (公課の禁止)

第八条 租税その他の公課は、特別給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

 (不正利得の徴収)

第九条 偽りその他不正の手段により特別給付金の支給を受けた者があるときは、農林水産大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該特別給付金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (権限の委任)

第十条 この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方農政局長に委任することができる。

 (農林水産省令への委任)

第十一条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、農林水産省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (農林水産省設置法の一部改正)

第二条 農林水産省設置法(平成十一年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

  附則第二項中「関する事務」の下に「及びカネミ油症被害者(カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に関する法律(平成十八年法律第▼▼▼号)第二条第二項に規定するカネミ油症被害者をいう。)に対する特別給付金の支給に関する事務」を加える。

  附則第四項を附則第五項とし、附則第三項の次に次の一項を加える。

 4 地方農政局は、第十八条第一項各号に掲げる事務のほか、農林水産省の所掌事務のうち、附則第二項に規定する事務(カネミ油症被害者に対する特別給付金の支給に係るものに限る。)を分掌する。


     理 由

 この法律は、カネミ油症被害が日常的な食品の摂取により多数の人に生じた健康に係る重大な被害であること及びこれにより食品の安全性に対する国民の信頼が著しく損なわれ社会に不安を与えることとなったこと等並びにカネミ油症被害に係る食用油の製造工程において副生された油であって飼料の原料となったものに係る行政機関が保有した情報が当該食用油の安全性を疑わせるような重大なものであったにもかかわらず当該情報を生かすための連絡調整が国において行われなかったこと等によりカネミ油症被害の発生を防止するための適切な対応が行われず被害が拡大したこと及びその後も国によりカネミ油症被害者に対して救済のための措置が十分に講ぜられていないこと等にかんがみ、カネミ油症被害者に対して特別給付金を支給する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、約四百億円の見込みである。

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