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第一六六回

参第一一号

   財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務の国への移管制度の創設に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、財政が破綻状態にある市(特別区を含む。以下同じ。)町村において小学校及び中学校に係る適切な教育環境を確保することが困難であることにかんがみ、義務教育関係事務の緊急移管制度を創設するために必要な基本的事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「義務教育関係事務」とは、市町村の教育に関する事務のうち小学校及び中学校に係るものをいう。

2 この法律において「義務教育関係事務の緊急移管制度」とは、財政が破綻状態にある市町村の義務教育関係事務を緊急の措置として一定期間国に移管する制度をいう。

 (基本理念)

第三条 義務教育関係事務の緊急移管制度の創設は、義務教育に係る教育を受ける権利はいかなる状況においても国民に保障されるべき重要な権利であることを踏まえ、財政が破綻状態にありその十分な保障が困難な市町村における義務教育に関し、国の責任において適切な教育環境を確保することを基本理念として行われるものとする。

 (義務教育関係事務の緊急移管制度の創設及び実施)

第四条 国は、前条の基本理念及び次条から第八条までに定める方針に従って義務教育関係事務の緊急移管制度を創設し、平成二十年度からこれを実施するものとする。

 (義務教育関係事務の緊急移管制度の適用の対象等)

第五条 義務教育関係事務の緊急移管制度は、地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)第二十二条第四項に規定する準用財政再建団体(以下単に「準用財政再建団体」という。)である市町村について、総務大臣及び文部科学大臣が指定する期間、適用されるものとする。

 (義務教育関係事務の緊急移管制度の内容)

第六条 義務教育関係事務の緊急移管制度の内容は、次に掲げる事項を基本として定められるものとする。

 一 義務教育関係事務の緊急移管制度の適用を受ける市町村(以下「適用市町村」という。)の義務教育関係事務は、その適用を受ける期間(以下「適用期間」という。)中、文部科学大臣が処理すること。

 二 義務教育関係事務の緊急移管制度の適用を受けることとなる際に適用市町村が設置している小学校及び中学校は、適用期間中、国が設置する学校となること。

 三 前号の場合において、国が設置する学校となった小学校及び中学校の教職員は、適用期間中、国家公務員の身分を有すること。

 (国に移管された義務教育関係事務の処理の基本原則)

第七条 国に移管された義務教育関係事務の処理は、適用市町村が準用財政再建団体となる前の小学校及び中学校に係る教育環境を確保することを基本としつつ、適用市町村の住民の意向に配慮し、かつ、適用市町村をめぐる社会情勢の変化に的確に対応することを旨として行われるものとする。

 (適用市町村の協力)

第八条 適用市町村は、国に移管された義務教育関係事務が本来適用市町村において処理されるべきものであること及び将来適用市町村に再び移管されるものであることを踏まえ、その処理について必要な協力を行わなければならないものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 財政が破綻状態にある市町村において小学校及び中学校における適切な教育環境を確保することが困難であることにかんがみ、その義務教育関係事務を緊急の措置として一定期間国に移管する制度を創設し、平成二十年度から実施することとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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