衆議院

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第一六六回

衆第三四号

   最低賃金法の一部を改正する法律案

 最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。

 第一条中「、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ」を削る。

 第三条を次のように改める。

 (最低賃金の決定の基準)

第三条 第九条第一項に規定する全国最低賃金及び第十条の四第一項に規定する地域最低賃金は、労働者及びその家族の生計費を基本として定められなければならない。

2 第十一条及び第十六条第一項の規定による最低賃金は、労働者及びその家族の生計費、類似の労働者の賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。

 第七条に次の一項を加える。

2 前項の場合においても、第九条第一項に規定する全国最低賃金及び第十条の四第一項に規定する地域最低賃金において定める最低賃金額については、第五条第一項及び第四十四条の規定の適用があるものとする。

 第八条の見出し中「適用除外」を「減額の特例」に改め、同条各号列記以外の部分を次のように改める。

  使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第五条の規定を適用する。

 第八条中第四号を第六号とし、第一号から第三号までを二号ずつ繰り下げ、同条に第一号及び第二号として次の二号を加える。

 一 十八歳未満の者

 二 七十歳以上の者

 第九条及び第十条を次のように改める。

 (全国最低賃金)

第九条 厚生労働大臣は、中央最低賃金審議会の調査審議を求め、その意見を聴いて、全国を通じすべての労働者に対し適用される最低賃金(以下「全国最低賃金」という。)を決定するものとする。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による中央最低賃金審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、中央最低賃金審議会に再審議を求めなければならない。

 (全国最低賃金に関する中央最低賃金審議会の意見に関する異議の申出)

第十条 厚生労働大臣は、前条第一項の規定による中央最低賃金審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。

2 労働者又は使用者は、前項の公示のあつた日から十五日以内に、厚生労働大臣に、異議を申し出ることができる。

3 厚生労働大臣は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、中央最低賃金審議会に意見を求めなければならない。

4 厚生労働大臣は、第一項の規定による公示の日から十五日を経過するまでは、前条第一項の決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の規定による中央最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。

 第十条の次に次の七条を加える。

 (全国最低賃金の改正)

第十条の二 厚生労働大臣は、全国最低賃金について必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正の決定をすることができる。

 (全国最低賃金の改正に関する労働者又は使用者の申出)

第十条の三 労働者又は使用者の全部又は一部を代表する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、全国最低賃金の改正の決定をするよう申し出ることができる。

2 厚生労働大臣は、前項の規定による申出があつた場合において必要があると認めるときは、その申出について中央最低賃金審議会に意見を求めるものとする。

 (地域最低賃金)

第十条の四 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域について、全国最低賃金を適用することが不適当であると認めるときは、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(以下「最低賃金審議会」という。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、全国最低賃金の額を超える額で、当該地域について適用される最低賃金(以下「地域最低賃金」という。)を決定することができる。

2 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、最低賃金審議会に再審議を求めなければならない。

 (地域最低賃金に関する最低賃金審議会の意見に関する異議の申出)

第十条の五 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。

2 前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見に係る地域の労働者又はこれを使用する使用者は、前項の規定による公示があつた日から十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。

3 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、最低賃金審議会に意見を求めなければならない。

4 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第一項の規定による公示の日から十五日を経過するまでは、前条第一項の決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の規定による最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。

 (地域最低賃金の改正等)

第十条の六 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域最低賃金について必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をすることができる。

 (地域最低賃金の決定等に関する関係労働者又は関係使用者の申出)

第十条の七 労働者又は使用者の全部又は一部を代表する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、当該労働者若しくは使用者に適用される地域最低賃金の決定又は当該労働者若しくは使用者に現に適用されている地域最低賃金の改正若しくは廃止の決定をするよう申し出ることができる。

2 厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつた場合において必要があると認めるときは、その申出について最低賃金審議会に意見を求めるものとする。

 (派遣中の労働者の最低賃金)

第十条の八 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十四条第一項に規定する派遣中の労働者(第十五条の二及び第十六条の五において「派遣中の労働者」という。)については、その派遣先の事業(同項に規定する派遣先の事業をいう。第十五条の二及び第十六条の五において同じ。)の事業場の所在地を含む地域について地域最低賃金が適用されている場合にあつては当該地域最低賃金、当該地域について地域最低賃金が適用されていない場合にあつては全国最低賃金において定める最低賃金額により、第五条の規定を適用する。

 第十一条中「基づき」の下に「、全国最低賃金の額を超える額で」を加える。

 第十二条第三項及び第四項を次のように改める。

3 第十条の五第三項の規定は、前項の規定による申出があつた場合について準用する。

4 第十条の五第四項の規定は、前条の決定について準用する。この場合において、同項中「十五日」とあるのは、「三十日」と読み替えるものとする。

 第十二条第五項中「第三項」を「第三項において準用する第十条の五第三項」に改める。

 第十五条第二項を次のように改める。

2 第十条の四第二項の規定は、第十二条第五項又は前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合について準用する。

 第十五条の次に次の一条を加える。

 (派遣中の労働者の労働協約に基づく地域的最低賃金)

第十五条の二 派遣中の労働者については、その派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者及びこれを使用する使用者について第十一条の規定による最低賃金が適用されている場合にあつては、当該最低賃金において定める最低賃金額により第五条の規定を適用する。

 第十六条の見出しを「(一定の事業又は職業に適用する最低賃金)」に改め、同条第一項中「、職業又は地域」を「又は職業」に改め、「聴いて」の下に「、全国最低賃金の額を超える額で」を加え、同条第二項中「前条第二項」を「第十条の四第二項」に改める。

 第十六条の二の見出しを「(一定の事業又は職業に適用する最低賃金に関する最低賃金審議会の意見に関する異議の申出)」に改め、同条第一項を次のように改める。

  第十条の五第一項及び第二項の規定は、前条第一項の規定による意見の提出があつた場合について準用する。この場合において、第十条の五第二項中「地域」とあるのは、「事業又は職業」と読み替えるものとする。

 第十六条の二第二項を削り、同条第三項中「第十二条第三項の規定は、前項」を「第十条の五第三項の規定は、前項において準用する同条第二項」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項中「第十二条第四項及び第五項」を「第十条の五第四項及び第十二条第五項」に改め、同項後段を削り、同項を同条第三項とし、同条第五項中「第十五条第二項」を「第十条の四第二項」に改め、同項を同条第四項とする。

 第十六条の三の見出しを「(一定の事業又は職業に適用する最低賃金の改正等)」に改める。

 第十六条の四の見出し中「最低賃金」を「一定の事業又は職業に適用する最低賃金」に改め、同条第二項を次のように改める。

2 第十条の七第二項の規定は、前項の規定による申出があつた場合について準用する。

 第十六条の四の次に次の一条を加える。

 (派遣中の労働者の一定の事業又は職業に適用する最低賃金)

第十六条の五 派遣中の労働者については、その派遣先の事業と同種の事業又はその派遣先の事業の事業場で使用される同種の労働者の職業について第十六条第一項の規定による最低賃金が適用されている場合にあつては、当該最低賃金において定める最低賃金額により第五条の規定を適用する。

 第十七条第二項中「第十一条」を「第九条第一項、第十条の四第一項、第十一条」に改め、「並びに」の下に「第十条の二、第十条の六、」を加える。

 第三十一条第二項中「最低賃金審議会は、」の下に「全国最低賃金、地域最低賃金及び」を加え、「その」を「それらの」に改め、同条第五項中「第十六条第一項の規定による最低賃金の決定又はその改正若しくは」を「全国最低賃金、地域最低賃金及び第十六条第一項の規定による最低賃金の決定若しくはそれらの改正の決定又は地域最低賃金及び同項の規定による最低賃金の」に改める。

 第三十六条第一項中「第十一条」を「第十条の四第一項、第十条の六、第十一条」に改め、同条第二項中「決定した」の下に「地域最低賃金又は」を加え、「その」を「それらの」に改める。

 第四十条中「事項は」の下に「、第九条から第十条の七まで及び第十七条第一項(全国最低賃金及び地域最低賃金に係る部分に限る。)に規定するものを除き」を加え、同条に次の三項を加える。

2 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第八十九条第一項に規定する乗組み派遣船員(以下この条において単に「乗組み派遣船員」という。)については、その船員派遣の役務の提供を受ける者の事業の事業場の所在地を含む地域について地域最低賃金が適用されている場合にあつては当該地域最低賃金、当該地域について地域最低賃金が適用されていない場合にあつては全国最低賃金において定める最低賃金額により、第五条の規定を適用する。

3 乗組み派遣船員については、その船員派遣の役務の提供を受ける者の事業の事業場で使用される同種の船員及びこれを使用する使用者について第十一条の規定による最低賃金が適用されている場合にあつては、当該最低賃金において定める最低賃金額により第五条の規定を適用する。

4 乗組み派遣船員については、その船員派遣の役務の提供を受ける者の事業又はその船員派遣の役務の提供を受ける者に使用される同種の船員の職業について第十六条第一項の規定による最低賃金が適用されている場合にあつては、当該最低賃金において定める最低賃金額により第五条の規定を適用する。

 第四十一条中「事項は」の下に「、全国最低賃金及び地域最低賃金に関する事項を除き」を加える。

 第四十四条中「者」の下に「(全国最低賃金及び地域最低賃金に係るものに限る。)」を加え、「一万円」を「五十万円」に改める。

 第四十五条中「一に」を「いずれかに」に、「五千円」を「三十万円」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (最低賃金の適用除外に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の最低賃金法(以下「旧法」という。)第八条又は旧法第四十条の規定により読み替えられた旧法第八条の規定により使用者が都道府県労働局長又は地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の許可を受けている労働者については、この法律の施行の日から一年間は、この法律による改正後の最低賃金法(以下「新法」という。)第五条の規定は、適用しない。ただし、当該労働者について、当該期間内に新法第八条又は新法第四十条第一項の規定により読み替えられた新法第八条の規定による都道府県労働局長又は地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の許可があったときは、この限りでない。

 (旧法の規定により決定された最低賃金に関する経過措置)

第三条 新法第九条第一項の決定が効力を生ずる日の前日までの間は、新法第十一条中「基づき、全国最低賃金の額を超える額で」とあるのは、「基づき」とする。

第四条 旧法第十六条第一項の規定により地域について決定されている最低賃金で、この法律の施行の際現に効力を有するものについては、新法第九条第一項の決定が効力を生ずる日の前日までの間は、旧法の規定は、なおその効力を有する。

2 新法第九条第一項の決定が効力を生ずる日の前日までの間は、新法第十六条第一項中「聴いて、全国最低賃金の額を超える額で」とあるのは、「聴いて」とする。

 (最低賃金の決定の基準に関する経過措置)

第五条 全国最低賃金及び地域最低賃金に関する制度を円滑に実施するため、この法律の施行後三年間は、新法第三条第一項の規定にかかわらず、全国最低賃金については労働者及びその家族の生計費並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して、地域最低賃金については労働者及びその家族の生計費、類似の労働者の賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して、定めることができる。

 (罰則に関する経過措置)

第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。附則第四条第一項の規定により旧法の規定が効力を有する間に旧法の規定に違反した行為に対するこれらの規定の失効後における罰則の適用についても、同様とする。

 (その他の経過措置の政令への委任)

第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (中小企業への支援)

第八条 国は、新法に基づく最低賃金の制度の中小企業における円滑な実施を図るための財政上及び金融上の措置その他の必要な措置を講じなければならない。

 (家内労働法の一部改正)

第九条 家内労働法(昭和四十五年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一項中「以下同じ。)(当該同一の地域内において同一又は類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金が決定されていない場合には、当該労働者の賃金(労働基準法第十一条に規定する賃金をいう。)」を削る。


     理 由

 社会経済情勢の急激な変化に伴い、国民の間に経済的格差の拡大等による不安及び不公平感が生じていることにかんがみ、すべての労働者が安心して働くことができるようにするため、全国最低賃金制度を創設するとともに、最低賃金の決定の基準の見直しを行うほか、罰則の整備等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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