衆議院

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第一六六回

衆第三五号

   カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、昭和四十三年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、当該債権の債務者について収入及び資産に係る基準を定めて早期に当該債権の免除を行うことができるようにすることの緊要性にかんがみ、当該債権について、国の債権の管理等に関する法律(昭和三十一年法律第百十四号)の特例を定めるものとする。

 (国の債権の管理等に関する法律の特例)

第二条 歳入徴収官等(国の債権の管理等に関する法律第二条第四項に規定する歳入徴収官等をいう。)は、同法第三十二条第一項の規定にかかわらず、福岡高等裁判所昭和五三年()第一八○号、第二一一号損害賠償請求控訴事件及び福岡地方裁判所小倉支部昭和五六年()第一、二七八号、昭和五七年()第一一○号、昭和五七年()第一、三五○号、昭和五八年()第四四六号各損害賠償請求併合事件に係る各判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権について、当該債権の債務者が次項及び第三項に定める収入及び資産に係る基準に該当する場合には、当該債権並びにこれに係る延滞金及び利息を免除することができる。

2 収入に係る基準は、農林水産省令で定めるところにより、前項に規定する債権の債務者が属する世帯の構成員(当該債権の債務者及びその者と生計を一にする親族をいう。以下「世帯構成員」という。)の収入の総額から租税その他の公課の額を控除した額として算定した額が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額未満であることとする。

 一 世帯構成員の数が四人である場合 千万円

 二 世帯構成員の数が四人を超える場合 千万円に世帯構成員の数が四人を超える一人ごとに百万円を加算した額

 三 世帯構成員の数が四人に満たない場合 千万円から世帯構成員の数が四人に満たない一人ごとに百万円を控除した額

3 資産に係る基準は、世帯構成員が有する資産について、次の各号のいずれにも該当することとする。

 一 世帯構成員の居住の用に供する土地及び建物の価額を基礎として前条に規定する趣旨を十分に踏まえて農林水産省令で定めるところにより算定した金額が、当該土地及び建物が世帯構成員の生活の基礎となるものであること、前項に定める収入に係る基準等を考慮して農林水産省令で定める額未満であること。

 二 前号に規定する土地及び建物以外の固定資産及び流動資産の価額を基礎として前条に規定する趣旨を十分に踏まえて農林水産省令で定めるところにより算定した金額が、前項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額未満であること。

4 第一項の規定による免除は、同項に規定する債権の債務者からの書面による申請に基づいて行うものとする。

5 第一項の規定による免除に係る国の債権の管理等に関する法律第四十条の二の規定の適用については、同条中「この法律又はこの法律」とあるのは、「カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律(平成十九年法律第▼▼▼号)又は同法」とする。

6 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による免除の手続については、農林水産省令で定める。

7 農林水産大臣は、第二項、第三項又は前項の農林水産省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

 (債務者の置かれている状況への配慮)

第三条 前条第一項の規定の適用に当たっては、同項に規定する債権の債務者の置かれている状況に配慮するものとする。

 (非課税)

第四条 租税その他の公課は、第二条第一項の規定による免除を受けた場合における経済的利益を標準として、課することができない。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 昭和四十三年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ、当該債権の債務者について収入及び資産に係る基準を定めて早期に当該債権の免除を行うことができるようにすることの緊要性にかんがみ、当該債権について、国の債権の管理等に関する法律の特例を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行による減収見込額は、約三億円である。

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