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第一六六回

衆第四三号

   入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律及び刑法の一部を改正する法律案

 (入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律の一部改正)

第一条 入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(平成十四年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

  題名を次のように改める。

    入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律

  第一条中「排除する」を「排除し、その他入札談合等を防止する」に改め、「調査」の下に「、退職した職員による入札談合等への関与があった場合の措置」を加え、「及び」を「その他入札談合等を」に改める。

  第二条第五項中「又は特定法人」を「若しくは特定法人」に、「、次の各号のいずれか」を「第一号から第四号までのいずれかに該当するもの又は契約の締結に関し権限若しくは職務上の地位に基づく影響力を有する職員の不作為であって第五号」に改め、同項に次の一号を加える。

  五 入札談合等が行われる明白なおそれがあることを知りながら当該入札談合等を防止するための措置を講じないこと。

  第三条の見出し中「改善措置」を「入札談合等関与行為排除措置」に改め、同条第一項中「単に「改善措置」」を「「入札等改善措置」」に改め、同条第二項中「改善措置」を「入札等改善措置」に改め、同条第四項中「改善措置」を「入札等改善措置(以下「入札談合等関与行為排除措置」という。)」に改め、同条第六項中「改善措置」を「入札談合等関与行為排除措置」に改める。

  第四条第五項中「重大な」を削り、同条第六項中「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」を「入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律」に改める。

  第十条を第十五条とし、第九条を第十四条とし、第八条を第十三条とし、第七条中「入札談合等関与行為」を「入札談合等」に改め、同条を第十二条とする。

  第六条の見出しを「(調査委員会による調査)」に改め、同条第一項を次のように改める。

   各省各庁の長等又は任命権者は、事件ごとに、その指定する職員及びその任命する入札及び契約の過程について学識経験を有する者等の第三者(次項において単に「第三者」という。)からなる調査委員会を設けて、第三条第四項、第四条第一項若しくは第二項、第六条第一項本文若しくは第二項、第七条第二項又は前条第二項の規定による調査(以下この条及び次条第一項において「調査」という。)を実施させなければならない。

  第六条第三項中「指定職員」を「調査委員会」に改め、「特定法人の職員」の下に「(当該調査に協力を求められた元職員を含む。)」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「指定職員」を「調査委員会」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 各省各庁の長等又は任命権者は、調査を適正に実施するに足りる能力、経験等を有する職員及び第三者を指定し、及び任命する等調査委員会による調査の実効を確保するために必要な措置を講じなければならない。

  第六条を第九条とし、同条の次に次の二条を加える。

  (国会等への報告)

 第十条 各省各庁の長は、調査の結果及び第三条第四項の規定により講じた入札談合等関与行為排除措置の内容、第七条第二項の規定により講じた入札談合等防止措置の内容又は第八条第二項の規定により講じた措置の内容(以下この条において「調査結果等」という。)について、国会に報告しなければならない。

 2 地方公共団体の長は、調査結果等について、当該地方公共団体の議会に報告しなければならない。

 3 特定法人のうち国からの出資を受けているもの(第二条第二項第二号に規定する株式会社のうち、国による株式の保有が義務付けられているものを含む。)の代表者は、政令で定めるところにより、調査結果等に関する報告書を作成し、当該特定法人を所管する大臣に提出しなければならない。この場合において、当該報告書の提出を受けた大臣は、これを国会に報告しなければならない。

 4 特定法人のうち地方公共団体からの出資を受けているもの(第二条第二項第二号に規定する株式会社のうち、地方公共団体による株式の保有が義務付けられているものを含む。)の代表者は、政令で定めるところにより、調査結果等に関する報告書を作成し、当該地方公共団体の長に提出しなければならない。この場合において、当該報告書の提出を受けた地方公共団体の長は、これを当該地方公共団体の議会に報告しなければならない。

  (公正取引委員会と会計検査院との連携)

 第十一条 公正取引委員会は、入札談合等があり、又はあったと認めるときは、その旨を会計検査院に通知しなければならない。ただし、当該入札談合等に係る契約に関する会計経理について会計検査院が検査をすることができない場合は、この限りでない。

 2 会計検査院は、検査の結果、国等の契約(当該契約に関する会計経理について会計検査院が検査をすることができないものを除く。)に関し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第三条又は第八条第一項第一号の規定に違反する行為があると疑うに足りる事実があると認めるときは、その事実を公正取引委員会に通知しなければならない。

  第五条を第六条とし、同条の次に次の二条を加える。

  (各省各庁の長等に対する入札談合等防止措置の要求等)

 第七条 公正取引委員会は、第三条第一項又は第二項の規定によるもののほか、入札談合等の事件についての調査の結果、入札談合等を防止するために必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、入札談合等を防止するために必要な入札等改善措置を講ずべきことを求めることができる。

 2 各省各庁の長等は、前項の規定による求めを受けたときは、必要な調査を行い、当該調査の結果に基づいて、入札談合等を防止するために必要と認める入札等改善措置(以下「入札談合等防止措置」という。)を講じなければならない。

 3 各省各庁の長等は、前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

 4 第三条第六項及び第七項の規定は、第二項の調査及び同項の規定により講じた入札談合等防止措置について準用する。

  (元職員の関与に関する通知等)

 第八条 公正取引委員会は、入札談合等の事件についての調査の結果、当該事件に係る入札談合等(入札談合等関与行為を含む。以下この条、第十一条及び第十二条において同じ。)につき当該入札等を実施した国等の職員であった者(以下「元職員」という。)の関与(当該関与の当時職員であった者の関与を除く。次項において同じ。)があり、又はあったと認める場合において、入札談合等を防止するために必要があると認めるときは、各省各庁の長等に対し、その旨を通知するものとする。

 2 各省各庁の長等は、前項の通知を受けたときは、必要な調査を行い、当該調査の結果に基づいて、次に掲げる事項に係る改善措置その他の入札談合等に対する元職員の関与の再発の防止のために必要と認める措置を講じなければならない。

  一 元職員との接触に関し職員が遵守すべき事項

  二 退職する職員の管理その他の職員の人事管理に関する事項

 3 各省各庁の長等は、前項の調査を行うため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

 4 第三条第六項の規定は、第二項の調査及び同項の規定により講じた措置について準用する。

  第四条の次に次の一条を加える。

  (損害額についての公正取引委員会の意見)

 第五条 入札談合等関与行為を行った職員に対する損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、遅滞なく、公正取引委員会に対し、当該職員の入札談合等関与行為によって生じた損害の額について、意見を求めなければならない。

 (刑法の一部改正)

第二条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  第九十六条の三第二項中「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で」を「公の競売又は入札で契約を締結するためのものに関し」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条の規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第二条 第一条の規定による改正後の入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律(以下「新入札談合等防止法」という。)第四条第五項の規定は、新入札談合等防止法第二条第五項に規定する職員がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に同項に規定する入札談合等関与行為を行った場合について適用し、第一条の規定による改正前の入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律(以下「旧入札談合等防止法」という。)第二条第五項に規定する職員が施行日前に同項に規定する入札談合等関与行為を行った場合については、なお従前の例による。

第三条 新入札談合等防止法第九条の規定は、施行日以後に公正取引委員会が行った新入札談合等防止法第三条第一項若しくは第二項若しくは第七条第一項の規定による求め又は新入札談合等防止法第八条第一項の規定による通知に係る新入札談合等防止法第九条第一項に規定する調査について適用し、施行日前に公正取引委員会が行った旧入札談合等防止法第三条第一項又は第二項の規定による求めに係る旧入札談合等防止法第六条第一項に規定する調査については、なお従前の例による。

第四条 新入札談合等防止法第十条の規定は、施行日以後に公正取引委員会が行った新入札談合等防止法第三条第一項若しくは第二項若しくは第七条第一項の規定による求め又は新入札談合等防止法第八条第一項の規定による通知に係る新入札談合等防止法第十条第一項に規定する調査結果等について適用する。

 (政令への委任)

第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第六条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、新入札談合等防止法の施行の状況、社会経済状況の変化等を勘案し、新入札談合等防止法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第七条 株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成十九年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条(見出しを含む。)中「入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律」を「入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止等に関する法律」に改める。


     理 由

 最近における官製談合等の事件の発生に関する状況にかんがみ、入札談合等関与行為の排除その他入札談合等の防止の徹底を図るため、入札談合等関与行為の範囲の拡大、入札談合等関与行為を行った職員の賠償責任の厳格化及び損害額についての裁判所の公正取引委員会への求意見の義務付けを行うとともに、公正取引委員会による入札談合等防止措置の要求、退職した職員による入札談合等への関与があった場合の措置、調査結果等の国会等への報告等の措置を講ずるほか、刑法の談合罪を目的犯でないものとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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