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第一六九回

参第一七号

   後期高齢者医療制度の廃止等及び医療に係る高齢者の負担の軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、平成二十年四月一日に実施された後期高齢者医療制度(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)に定める後期高齢者医療制度をいう。以下同じ。)その他の高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度(後期高齢者医療制度並びに同法に定める医療費適正化の推進、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整及び病床転換助成事業をいう。以下同じ。)等の制度が国民の高齢期における適切な医療を確保するものとなっていないこと等にかんがみ、政府が緊急に講ずべき措置として、高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度を廃止するとともに老人保健制度(健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号。以下「改正法」という。)第七条の規定による改正前の老人保健法に定めていた老人保健制度をいう。次条において同じ。)を再び導入する等のための措置及び医療に係る高齢者の負担を軽減する等のための措置について定めるものとする。

 (高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度の廃止等)

第二条 政府は、高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度を平成二十一年四月一日に廃止するとともに、老人保健制度を同日に再び導入するため、必要な法制上及び財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項の措置により高齢者の医療の確保に関する法律に定める前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整が廃止される時に、改正法第十三条の規定による改正がなかったとしたならば国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定による退職被保険者又はその被扶養者であるべき者を当該退職被保険者又はその被扶養者とするため、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (後期高齢者医療制度について緊急に講ずべき措置)

第三条 政府は、前条第一項の措置により後期高齢者医療制度が廃止されるまでの間の措置として、後期高齢者医療制度に関し次に掲げる事項について必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 一 保険料の徴収について、できる限り速やかに、遅くとも平成二十年十月一日までに、特別徴収の方法によらないものとすること。

 二 次号に規定する被保険者以外の被保険者に係る保険料について、できる限り速やかに、遅くとも平成二十年十月一日までに、その負担を軽減するものとすること。

 三 高齢者の医療の確保に関する法律第五十二条各号のいずれかに該当するに至った日の前日において健康保険法(大正十一年法律第七十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定による被扶養者であった被保険者に係る保険料について、引き続きこれを徴収しないものとすること。

 (医療保険各法等について緊急に講ずべき措置)

第四条 政府は、次に掲げる事項について必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 一 医療保険各法(健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法(他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法をいう。次号において同じ。)に基づく入院時食事療養費又は入院時生活療養費(被扶養者が食事療養又は生活療養を受けた場合における家族療養費を含む。)の支給の対象となる者について、できる限り速やかに、遅くとも平成二十年十月一日までに、改正法第三条、第十三条、第十九条、附則第五十七条、附則第六十六条又は附則第七十八条の規定による改正がなかったとしたならばその支給の対象となるべき者とするものとすること。

 二 医療保険各法に基づく療養の給付を受け又は療養を受ける際に七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合における一部負担金又は家族療養費について、引き続き、改正法第三条、第十三条、第十九条、附則第五十七条又は附則第六十六条の規定による改正がなかったとしたならばその算定の際に乗ずべき割合を乗じて得た額を基本とするものとすること。

 三 国民健康保険法又は地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に基づく市町村又は特別区による国民健康保険の保険料又は国民健康保険税の徴収について、できる限り速やかに、遅くとも平成二十年十月一日までに、改正法第十三条又は第十六条の規定による改正がなかったとしたならばよるべき方法によるものとすること。

 (地方公共団体に対する配慮等)

第五条 政府は、前三条の措置を講ずるに当たっては、これらの措置の実施に伴う地方公共団体及び医療保険者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第七項に規定する医療保険者をいう。)の負担をできる限り軽減するよう特別の配慮をするものとする。

2 政府は、前三条の措置を講ずるに当たっては、これらの措置の実施に伴い国民の間に混乱を生じさせないようにするため、これらの措置の内容の周知徹底を図る等万全の措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 平成二十年四月一日に実施された後期高齢者医療制度その他の高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度等の制度が国民の高齢期における適切な医療を確保するものとなっていないこと等にかんがみ、政府が緊急に講ずべき措置として、高齢者の医療の確保に関する法律に定める諸制度を廃止するとともに老人保健制度を再び導入する等のための措置及び医療に係る高齢者の負担を軽減する等のための措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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