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第一六九回

参第六号

   小中学校及び高等学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒の教科用拡大図書等の使用の支援に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、小中学校及び高等学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒の教科用拡大図書等の使用について定めるとともに、小中学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒が使用する教科用拡大図書等の無償措置並びに高等学校に在学する視覚障害を有する生徒が使用する教科用拡大図書等の購入に対する援助措置を講ずることにより、これらの児童及び生徒による教科用拡大図書等の使用を支援し、もって視覚障害を有する児童及び生徒が小中学校及び高等学校において共に学ぶ学校教育の推進に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「小中学校」とは、小学校及び中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)をいい、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第八十一条第二項及び第三項に規定する特別支援学級(次項において単に「特別支援学級」という。)を除くものとする。

2 この法律において「高等学校」には、中等教育学校の後期課程を含み、特別支援学級を除くものとする。

3 この法律において「検定教科用図書等」とは、学校教育法第三十四条第一項(同法第四十九条、第六十二条及び第七十条第一項において準用する場合を含む。)に規定する教科用図書をいう。

4 この法律において「教科用拡大図書等」とは、政令で定める程度の視覚障害(以下単に「視覚障害」という。)を有する児童及び生徒の学習の用に供するため、文字、図形等を拡大して又は点字により検定教科用図書等を複製した図書をいう。

 (小中学校及び高等学校における教科用拡大図書等の使用)

第三条 小中学校及び高等学校においては、当該学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒が、その障害の程度に応じ、採択された検定教科用図書等に代えて、当該検定教科用図書等に係る教科用拡大図書等を使用することができるよう、必要な配慮をしなければならない。

 (小中学校の設置者に対する教科用拡大図書等の無償給付)

第四条 国は、毎年度、小中学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒が検定教科用図書等に代えて使用する教科用拡大図書等を購入し、小中学校の設置者に無償で給付するものとする。

 (契約の締結)

第五条 文部科学大臣は、教科用拡大図書等を発行する者と、前条の規定により購入すべき教科用拡大図書等を購入する旨の契約を締結するものとする。

 (教科用拡大図書等の給与)

第六条 小中学校の設置者は、第四条の規定により国から無償で給付された教科用拡大図書等を、それぞれ当該学校の校長を通じて、当該学校に在学する視覚障害を有する児童又は生徒に給与するものとする。

2 学年の中途において転学した視覚障害を有する児童又は生徒については、その転学後において使用する教科用拡大図書等は、前項の規定にかかわらず、文部科学省令で定める場合を除き、給与しないものとする。

 (都道府県の教育委員会の責務)

第七条 都道府県の教育委員会は、政令で定めるところにより、教科用拡大図書等の無償給付及び給与の実施に関し必要な事務を行うものとする。

 (給付の完了の確認の時期の特例)

第八条 第五条の規定による契約に係る政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十六号)第四条第一号に掲げる時期については、同法第五条第一項中「十日以内の日」とあるのは、「二十日以内の日」と読み替えて同項の規定を適用する。

 (政令への委任)

第九条 第四条から前条までに規定するもののほか、教科用拡大図書等の無償給付及び給与に関し必要な事項は、政令で定める。

 (高等学校に在学する視覚障害を有する生徒が使用する教科用拡大図書等の購入に対する援助)

第十条 都道府県は、当該都道府県の区域内の高等学校(学校教育法第二条第二項に規定する国立学校(第三項において単に「国立学校」という。)である高等学校を除く。)に在学する視覚障害を有する生徒の保護者等(未成年の生徒については同法第十六条に規定する保護者、成年に達した生徒についてはその者の就学に要する経費を負担する者をいう。次条第二項において同じ。)の経済的負担を軽減するため、当該視覚障害を有する生徒が検定教科用図書等に代えて使用する教科用拡大図書等の購入に要する経費について、政令で定めるところにより、当該教科用拡大図書等の価額と当該検定教科用図書等の価額との差額に相当する額を支弁しなければならない。

2 都道府県は、前項の規定により支弁した経費のうち他の都道府県の区域内に住所を有する視覚障害を有する生徒に係るものについては、当該他の都道府県に対して、その二分の一を求償することができる。

3 国は、国立学校である高等学校に在学する視覚障害を有する生徒が検定教科用図書等に代えて使用する教科用拡大図書等の購入に要する経費について、第一項の規定に準じて支弁しなければならない。

 (経費の支給)

第十一条 前条第一項の規定により都道府県が支弁する経費又は同条第三項の規定により国が支弁する経費は、当該視覚障害を有する生徒の在学する高等学校の校長に対して交付するものとする。

2 前項の規定により経費の交付を受けた校長は、これを、政令で定めるところにより、金銭をもって当該視覚障害を有する生徒又はその保護者等に対して支給しなければならない。

 (国の負担)

第十二条 国は、第十条第一項の規定により都道府県が支弁する経費の二分の一を負担する。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行し、平成二十一年度において使用される検定教科用図書等及び教科用拡大図書等から適用する。

2 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第十条第二十五号の次に次の一号を加える。

  二十五の二 高等学校に在学する視覚障害を有する生徒が使用する教科用拡大図書等の購入に対する援助に要する経費


     理 由

 視覚障害を有する児童及び生徒が小中学校及び高等学校において共に学ぶ学校教育の推進に資するため、小中学校及び高等学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒の教科用拡大図書等の使用について定めるとともに、小中学校に在学する視覚障害を有する児童及び生徒が使用する教科用拡大図書等の無償措置並びに高等学校に在学する視覚障害を有する生徒が使用する教科用拡大図書等の購入に対する援助措置を講ずることにより、これらの児童及び生徒による教科用拡大図書等の使用を支援する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、初年度約千万円の見込みである。

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