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第一七一回

衆第二三号

   資本市場危機への対応のための臨時特例措置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 資本市場危機への対応のための特例措置(第二条−第五条)

 第三章 資本市場危機対応機構

  第一節 総則(第六条−第十一条)

  第二節 設立(第十二条−第十五条)

  第三節 管理(第十六条−第二十七条)

  第四節 業務(第二十八条−第三十一条)

  第五節 財務及び会計(第三十二条−第三十八条)

  第六節 監督(第三十九条・第四十条)

  第七節 解散(第四十一条)

  第八節 雑則(第四十二条・第四十三条)

 第四章 雑則(第四十四条・第四十五条)

 第五章 罰則(第四十六条−第五十一条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、世界的規模で生じている経済金融情勢の急激な変化にかんがみ、我が国の資本市場の価格形成に関する機能の発揮に極めて重大な支障が継続する非常の事態(第六条において「資本市場危機」という。)に備え、株式等の買付けに係る特例措置を臨時に整備することにより、我が国の資本市場の機能の保全を図り、もって国民経済に深刻な影響が及ぶことを防止することを目的とする。

   第二章 資本市場危機への対応のための特例措置

 (株式等の買付けの実施に係る認定)

第二条 内閣総理大臣は、平成二十四年三月三十一日までの間、次に掲げる要件のすべてに該当する場合であって、資本市場の価格形成に関する機能の発揮に極めて重大な支障が継続する事態が生じ、資本市場危機対応機構(以下「機構」という。)による株式等の買付けが行われなければ国民経済に深刻な影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議(次条第一項において「会議」という。)の議を経て、当該株式等の買付けを行うことができる旨及び当該株式等の買付けを行うことができる期間(以下「買付期間」という。)の認定(以下「認定」という。)を行うことができる。

 一 資本市場における全般的な株価が上場会社(金融商品取引所(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所をいう。第三項第一号ロにおいて同じ。)に上場されている株式の発行会社をいう。同号イにおいて同じ。)の全般的な財務の状況に照らして著しく下方に(かい) 二 専ら資金繰りのための資金を確保することを目的とした株式の大量の売付けが行われること等により、資本市場における株式の需給が著しく均衡を失している状況にあること。

 三 前二号の状況が相当程度継続する場合その他の内閣府令で定める場合に該当すること。

2 内閣総理大臣は、前項第一号及び第三号の内閣府令の制定又は改廃に関しては、財務大臣の意見を聴くものとする。

3 第一項の「株式等の買付け」とは、次に掲げる行為をいう。

 一 取引所金融商品市場(金融商品取引法第二条第十七項に規定する取引所金融商品市場をいう。次号において同じ。)における特定上場投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第四項に規定する証券投資信託であって、次に掲げる要件のすべてを満たすものをいう。以下同じ。)の受益権の買付け

  イ その投資信託財産(投資信託及び投資法人に関する法律第三条第二号に規定する投資信託財産をいう。)の一口当たりの純資産額の変動率を特定株価指数(上場会社の全般的な株価の水準を表す指標であって内閣府令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)の変動率に一致させることを目的とするものであること。

  ロ その受益権が金融商品取引所に上場されているものであること。

 二 特定株価指数に採用されている銘柄の株式の一括買付け(特定株価指数に採用されている銘柄のうちすべてのもの又は当該特定株価指数の算出方法その他の事項を勘案して相当数のものの株式を同時期に買い付けるものとして内閣府令で定めるところにより行う買付けであって、取引所金融商品市場における取引又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める取引により行うものをいう。)

 三 特定株価指数又は特定上場投資信託の受益権に係る市場デリバティブ取引(金融商品取引法第二条第二十一項に規定する市場デリバティブ取引をいう。以下同じ。)

4 内閣総理大臣は、認定を行ったときは、その旨及び買付期間を機構に通知しなければならない。

 (認定の取消し)

第三条 内閣総理大臣は、認定を行った後、買付期間の末日までの間に、機構による株式等の買付け(前条第三項に規定する株式等の買付けをいい、同項各号に掲げる行為により買い付け又は取得した特定上場投資信託の受益権又は株式の管理及び処分のために行う行為、既に行った同項第三号に掲げる市場デリバティブ取引の決済のために行う行為その他内閣府令で定める行為を除くものとする。以下同じ。)を行う必要がなくなったと認めるときは、会議の議を経て、当該認定を取り消すことができる。

2 内閣総理大臣は、前項の規定により認定の取消しを行ったときは、その旨を機構に通知しなければならない。

 (株式等の買付けの実施)

第四条 機構は、株式等の買付け及びこれに附帯する業務については、買付期間(当該買付期間中に認定が取り消された場合にあっては、当該買付期間の初日から当該認定が取り消されるまでの期間)に限り、かつ、内閣総理大臣の指示を受けて行うものとする。

2 内閣総理大臣は、機構に対して前項の指示を行おうとするときは、あらかじめ、財務大臣の意見を聴かなければならない。

 (内閣府令への委任)

第五条 この章に定めるもののほか、この章の規定の実施に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

   第三章 資本市場危機対応機構

    第一節 総則

 (機構の目的)

第六条 機構は、資本市場危機が生じた場合に、これに対応して株式等の買付けを行うことにより、我が国の資本市場の機能の保全を図り、もって国民経済に深刻な影響が及ぶことを防止することを目的とする。

 (法人格)

第七条 機構は、法人とする。

 (事務所)

第八条 機構は、主たる事務所を東京都に置く。

 (資本金)

第九条 機構の資本金は、設立に際し、政府が出資する金額とする。

2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。

3 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。

 (登記)

第十条 機構は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

 (名称の使用制限)

第十一条 機構でない者は、資本市場危機対応機構という名称を用いてはならない。

    第二節 設立

 (役員となるべき者)

第十二条 内閣総理大臣及び財務大臣は、機構の理事長となるべき者、理事となるべき者及び監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された理事長となるべき者、理事となるべき者及び監事となるべき者は、機構の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長、理事及び監事に任命されたものとする。

 (設立委員)

第十三条 内閣総理大臣及び財務大臣は、設立委員を命じて、機構の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、定款、業務規程並びに最初の事業年度の予算及び資金計画を作成し、これらを内閣総理大臣及び財務大臣に提出して設立の認可を申請しなければならない。

3 設立委員は、前項の認可があったときは、遅滞なく、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。

 (設立の登記)

第十四条 第十二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

第十五条 機構は、設立の登記をすることによって成立する。

2 機構は、前項の設立の登記をしたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に届け出なければならない。

    第三節 管理

 (定款)

第十六条 機構の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資本金及び出資に関する事項

 五 役員に関する事項

 六 業務及びその執行に関する事項

 七 財務及び会計に関する事項

 八 公告の方法

2 定款の変更は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (役員)

第十七条 機構に、役員として、理事長、理事及び監事それぞれ一人を置く。

 (役員の職務及び権限)

第十八条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。

2 理事は、定款の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の事務を掌理し、理事長が欠けたとき又は理事長に事故があるときは、その職務を代行する。

3 監事は、機構の業務を監査する。

4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は内閣総理大臣及び財務大臣に意見を提出することができる。

 (役員の任命)

第十九条 役員は、内閣総理大臣及び財務大臣が任命する。

 (役員の任期)

第二十条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の解任)

第二十一条 内閣総理大臣及び財務大臣は、役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

2 前項に規定するもののほか、内閣総理大臣及び財務大臣は、役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でない場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適切でないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 (役員の兼職の禁止)

第二十二条 機構の役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 (代表権の制限)

第二十三条 機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が機構を代表する。

 (職員の任命)

第二十四条 機構の職員は、理事長が任命する。

 (役員及び職員等の秘密保持義務)

第二十五条 機構の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

2 機構の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、その職務に関して知り得た情報を、機構の業務の用に供する目的以外に利用してはならない。

 (役員及び職員の地位)

第二十六条 機構の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定の準用)

第二十七条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は、機構について準用する。

    第四節 業務

 (業務)

第二十八条 機構は、第六条に規定する目的を達成するため、金融商品取引法第二十九条の規定にかかわらず、次に掲げる業務を行う。

 一 第二条第三項第一号に掲げる特定上場投資信託の受益権の買付け並びに当該買い付けた受益権の管理及び処分のために行う行為

 二 第二条第三項第二号に掲げる株式の一括買付け並びに当該買い付けた株式の管理及び処分のために行う行為

 三 第二条第三項第三号に掲げる市場デリバティブ取引並びに当該市場デリバティブ取引により取得した特定上場投資信託の受益権及び株式の管理及び処分のために行う行為

 四 前三号に掲げる業務に附帯する業務その他内閣府令・財務省令で定める業務

 (業務の委託)

第二十九条 機構は、あらかじめ内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、信託会社(信託業務を営む金融機関を含む。第三十一条第二号において同じ。)その他内閣府令・財務省令で定める者に対し、その業務の一部を委託することができる。

 (業務規程)

第三十条 機構の業務規程には、株式等の買付け、買い付け又は取得した特定上場投資信託の受益権又は株式(次条第二号において「買付株式等」という。)の管理及び処分並びに第二条第三項第三号に掲げる市場デリバティブ取引の決済に関する事項その他内閣府令・財務省令で定める事項を記載しなければならない。

2 機構は、業務規程を変更しようとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。

3 内閣総理大臣及び財務大臣は、業務規程が機構の業務の適正かつ確実な運営をする上で不適当なものとなったと認めるときは、その変更を命ずることができる。

 (内閣総理大臣及び財務大臣への報告)

第三十一条 機構は、次の各号に掲げるときは、速やかに、内閣府令・財務省令で定めるところにより、当該各号に定める事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

 一 株式等の買付けを行ったとき。 当該株式等の買付けに係る事項

 二 買付株式等の処分を行ったとき(第二十九条の規定により信託会社に買付株式等の管理を委託した場合にあっては、当該信託会社が当該買付株式等の処分を行ったとき)、第二条第三項第三号に掲げる市場デリバティブ取引の決済を行ったときその他内閣府令・財務省令で定める行為を行ったとき。 当該処分、決済又は行為に係る事項

    第五節 財務及び会計

 (事業年度)

第三十二条 機構の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。ただし、機構の成立の日を含む事業年度は、その成立の日からその後最初の三月三十一日までとする。

 (予算等)

第三十三条 機構は、毎事業年度、内閣府令・財務省令で定めるところにより、予算及び資金計画を定めてこれを当該事業年度の開始前に内閣総理大臣及び財務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (財務諸表等)

第三十四条 機構は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に、内閣総理大臣及び財務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 機構は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣及び財務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。

3 機構は、第一項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表又はその要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見を記載した書面を、事務所に備えて置き、内閣府令・財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

4 第二項に規定する事業報告書及び前項に規定する附属明細書に記載すべき事項は、内閣府令・財務省令で定める。

 (借入金及び資本市場危機対応機構債)

第三十五条 機構は、その業務を行うため必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第一項に規定する金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は資本市場危機対応機構債(以下「機構債」という。)の発行(機構債の借換えのための発行を含む。)をすることができる。

2 前項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する機構債の元本に係る債務の現在額の合計額は、政令で定める金額を超えることとなってはならない。

3 日本銀行は、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十三条第一項の規定にかかわらず、機構に対し、第一項の資金の貸付けをすることができる。

4 第一項の規定による機構債の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、機構債の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条及び第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、機構債に関し必要な事項は、政令で定める。

 (政府保証及び補助金)

第三十六条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項の借入れ又は機構債に係る債務の保証をすることができる。

2 政府は、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、その業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を補助することができる。

 (余裕金の運用)

第三十七条 機構は、次に掲げる方法以外の方法によって業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債その他内閣総理大臣及び財務大臣の指定する有価証券の保有

 二 内閣総理大臣及び財務大臣の指定する金融機関への預金

 三 財政融資資金への預託

 四 その他内閣府令・財務省令で定める方法

 (内閣府令・財務省令への委任)

第三十八条 この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

    第六節 監督

 (監督)

第三十九条 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣が監督する。

2 内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第四十条 内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対しその業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件の検査をさせることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

    第七節 解散

第四十一条 機構は、平成二十四年四月一日以後、その業務を行うことがなくなったときに解散する。

2 前項の規定による解散は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、当該残余財産の額を国庫に納付しなければならない。

4 政府は、機構が解散する場合において、その財産をもって債務を完済することができないときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、当該債務を完済するために要する費用に相当する金額を補助するものとする。

5 前二項に定めるもののほか、機構の解散に関する所要の措置は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定めることができる。

    第八節 雑則

 (金融商品取引法の特例)

第四十二条 この法律により行われる機構の業務(機構以外の者が、この法律の規定に基づき、又は第二十九条の規定により委託を受けて行う行為を含む。)に関しては、金融商品取引法第百五十九条第二項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)及び第三項、第百六十六条並びに第百六十七条の規定は、適用しない。

2 機構が行う株券等(金融商品取引法第二十七条の二第一項に規定する株券等をいう。以下この条において同じ。)の買付け等(同項に規定する買付け等をいう。以下この条において同じ。)及び第二十九条の規定により委託を受けた者が当該委託に基づき行う株券等の買付け等(次項において「委託買付け等」という。)については、同法第二十七条の二及び第二十七条の五(同法第二十七条の八第十項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

3 機構以外の者が行う株券等の買付け等(委託買付け等を除く。)については、機構による株券等の所有(金融商品取引法第二十七条の二第一項第一号に規定する所有をいい、これに準ずるものとして内閣府令で定めるものを含む。)は存しないものとして、同法第二章の二第一節の規定を適用する。

 (内閣府令・財務省令への委任)

第四十三条 この章に定めるもののほか、この章の規定の実施に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

   第四章 雑則

 (権限の委任)

第四十四条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。

 (経過措置)

第四十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第五章 罰則

第四十六条 第二十五条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第四十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第四十条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

 二 第四十条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

第四十八条 機構の役員が、第三十四条第三項の規定による公告をすることを怠り、又は不正の公告をしたときは、百万円以下の過料に処する。

第四十九条 機構の役員が、第三十条第三項又は第三十九条第二項の規定による命令に違反したときは、五十万円以下の過料に処する。

第五十条 機構の役員は、次の各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により内閣総理大臣及び財務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

 二 第四条第一項の規定に違反して株式等の買付けを行ったとき。

 三 第十条第一項の規定による政令に違反して登記をすることを怠ったとき。

 四 第二十八条に規定する業務以外の業務を行ったとき。

 五 第三十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 六 第三十三条又は第三十四条第一項若しくは第二項に規定する書類を提出せず、又は虚偽の書類を提出したとき。

 七 第三十四条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。

 八 第三十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

第五十一条 第十一条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に資本市場危機対応機構という名称を使用している者については、第十一条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

第三条 内閣総理大臣及び財務大臣は、当分の間、第十二条第一項及び第十三条第一項の規定にかかわらず、資本市場の状況にかんがみて、機構の理事長となるべき者、理事となるべき者及び監事となるべき者を指名しないこと並びに設立委員を命じないことができる。

 (地方税法の一部改正)

第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第一項第一号中「並びに独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構並びに資本市場危機対応機構」に改める。

  第七十二条の四第一項第三号中「土地開発公社」の下に「、資本市場危機対応機構」を加える。

  第二百九十六条第一項第一号中「並びに独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」を「、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構並びに資本市場危機対応機構」に改める。

 (所得税法の一部改正)

第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一司法書士会の項の次に次のように加える。

資本市場危機対応機構

資本市場危機への対応のための臨時特例措置法(平成二十一年法律第▼▼▼号)

 (法人税法の一部改正)

第六条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第一国立大学法人の項の次に次のように加える。

資本市場危機対応機構

資本市場危機への対応のための臨時特例措置法(平成二十一年法律第▼▼▼号)

 (印紙税法の一部改正)

第七条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第二自動車安全運転センターの項の次に次のように加える。

資本市場危機対応機構

資本市場危機への対応のための臨時特例措置法(平成二十一年法律第▼▼▼号)

 (消費税法の一部改正)

第八条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  別表第三第一号の表司法書士会の項の次に次のように加える。

資本市場危機対応機構

資本市場危機への対応のための臨時特例措置法(平成二十一年法律第▼▼▼号)

 (金融庁設置法の一部改正)

第九条 金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。

  附則第八条に次の一項を加える。

 3 金融庁は、第三条の任務を達成するため、第四条各号に掲げる事務及び前二項に規定する事務のほか、政令で定める日までの間、資本市場危機対応機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関する事務をつかさどる。

 (財務省設置法の一部改正)

第十条 財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。

  附則に次の一項を加える。

 6 財務省は、第三条の任務を達成するため、第四条各号に掲げる事務及び附則第四項に規定する事務のほか、政令で定める日までの間、資本市場危機対応機構の業務及び組織の適正な運営の確保に関する事務をつかさどる。


     理 由

 世界的規模で生じている経済金融情勢の急激な変化にかんがみ、我が国の資本市場の価格形成に関する機能の発揮に極めて重大な支障が継続する非常の事態に備え、株式等の買付けに係る特例措置を臨時に整備することにより、我が国の資本市場の機能の保全を図り、もって国民経済に深刻な影響が及ぶことを防止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に伴い、平成二十一年度において、政府が出資することができる金額の限度は五千万円、資本市場危機対応機構の業務に要する費用につき補助することができる金額の限度は四千万円となる見込みであり、政府が保証することができる金額の限度は、発行限度額及び借入限度額の合計額五十兆円並びにその利息に相当する金額となる見込みである。

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