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第一七一回

閣第五二号

   企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案

 (確定拠出年金法の一部改正)

第一条 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第二十一条」を「第二十一条の三」に、「第四十九条」を「第四十八条の二」に改める。

  第三条第三項第七号の次に次の一号を加える。

  七の二 企業型年金加入者が掛金を拠出する場合にあっては、当該掛金(以下「企業型年金加入者掛金」という。)の額の決定又は変更の方法その他その拠出に関する事項

  第四条第一項第三号の次に次の一号を加える。

  三の二 前条第三項第七号の二に掲げる事項を定めた場合にあっては、各企業型年金加入者に係る企業型年金加入者掛金の額が当該企業型年金加入者に係る事業主掛金の額を超えないように企業型年金加入者掛金の額の決定又は変更の方法が定められていること。

  第十九条の見出しを「(事業主掛金及び企業型年金加入者掛金)」に改め、同条に次の二項を加える。

 3 企業型年金加入者は、企業型年金加入者期間の計算の基礎となる各月につき、企業型年金規約で定めるところにより、自ら掛金を拠出することができる。

 4 企業型年金加入者掛金の額は、企業型年金規約で定めるところにより、企業型年金加入者が決定し、又は変更する。

  第二十条中「係る事業主掛金の額」の下に「(企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出する場合にあっては、事業主掛金の額と企業型年金加入者掛金の額との合計額。以下この条において同じ。)」を加える。

  第二章第三節中第二十一条の次に次の二条を加える。

  (企業型年金加入者掛金の納付)

 第二十一条の二 企業型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は、毎月の企業型年金加入者掛金を翌月末日までに事業主を介して資産管理機関に納付するものとする。

 2 前条第二項の規定は、事業主が企業型年金加入者掛金の納付を行う場合について準用する。

  (企業型年金加入者掛金の源泉控除)

 第二十一条の三 前条第一項の規定により企業型年金加入者掛金の納付を行う事業主は、当該企業型年金加入者に対して通貨をもって給与を支払う場合においては、前月分の企業型年金加入者掛金(当該企業型年金加入者がその実施事業所に使用されなくなった場合においては、前月分及びその月分の企業型年金加入者掛金)を給与から控除することができる。

 2 事業主は、前項の規定によって企業型年金加入者掛金を控除したときは、企業型年金加入者掛金の控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該企業型年金加入者に通知しなければならない。

  第二十八条中「この款」の下に「及び第四十八条の二」を加える。

  第二章第八節中第四十九条の前に次の四条を加える。

  (情報収集等業務の委託)

 第四十八条の二 事業主は、給付の支給を行うために必要となる企業型年金加入者等に関する情報の収集、整理又は分析の業務(運営管理業務を除く。以下「情報収集等業務」という。)の全部又は一部を、企業年金連合会(厚生年金保険法第百四十九条第一項に規定する企業年金連合会をいう。以下同じ。)に委託することができる。

  (企業年金連合会の業務の特例)

 第四十八条の三 企業年金連合会は、厚生年金保険法の規定による業務のほか、前条の規定による委託を受けて、情報収集等業務を行うことができる。

  (区分経理)

 第四十八条の四 企業年金連合会は、情報収集等業務に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。

  (厚生年金保険法の適用)

 第四十八条の五 第四十八条の三の規定により企業年金連合会の情報収集等業務が行われる場合には、厚生年金保険法第百八十五条第五号中「この章」とあるのは、「この章又は確定拠出年金法第四十八条の三」とするほか、同法の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

  第五十三条第三項中「(平成十三年法律第八十八号)」を削る。

  第五十四条の二第一項中「(厚生年金保険法第百四十九条第一項に規定する企業年金連合会をいう。以下同じ。)」を削る。

  第百八条第三項中「(平成十三年法律第八十八号)」を削る。

 (厚生年金保険法の一部改正)

第二条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  第百三十条第五項中「その業務」の下に「(加入員又は加入員であつた者に年金たる給付又は一時金たる給付の支給を行うために必要となるその者に関する情報の収集、整理又は分析を含む。)」を加える。

  第百七十三条の二中「老齢年金給付」を「その支給する年金たる給付又は一時金たる給付」に改める。

 (国民年金法の一部改正)

第三条 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。

  第百二十八条第五項中「その業務」の下に「(加入員又は加入員であつた者に年金又は一時金の支給を行うために必要となるその者に関する情報の収集、整理又は分析を含む。)」を加える。

  第百三十七条の十五第二項第二号中「基金」を「第百二十八条第五項の規定による委託を受けて基金の業務の一部を行うことその他基金」に改める。

  第百三十八条の次に次の一条を加える。

  (情報の提供)

 第百三十八条の二 厚生労働大臣は、基金又は連合会に対し、その支給する年金又は一時金に関して必要な情報を提供することができるものとする。

  附則第五条に次の三項を加える。

 12 第一項の規定による被保険者は、第百十六条第一項及び第二項並びに第百二十七条第一項の規定の適用については、第一号被保険者とみなす。

 13 前項の場合において、第一項第三号に掲げる者である被保険者は、厚生労働大臣が定める地に住所を有するものとみなす。この場合において、第百二十七条第三項第二号(地域型基金の加入員に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

 14 第一項の規定による被保険者が中途脱退者であつて再びもとの基金の加入員となつた場合における第百三十条第二項(第百三十七条の十七第五項において準用する場合を除く。)及び国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。以下この項及び附則第七条の三第五項において「昭和六十年改正法」という。)附則第三十四条第四項第一号の規定の適用については、第百三十条第二項中「当該基金の加入員であつた期間」とあるのは「当該基金の加入員であつた期間であつて、連合会(第百三十七条の二の五に規定する連合会をいう。)がその支給に関する義務を負つている年金又は一時金の額の計算の基礎となる期間を除いたもの」とし、昭和六十年改正法附則第三十四条第四項第一号中「同法第百三十条第二項に規定する加入員期間をいう。以下この号において同じ。」とあるのは「同法附則第五条第十四項の規定により読み替えて適用する同法第百三十条第二項に規定する加入員期間をいう。」と、「加入員期間の月数」とあるのは「加入員であつた期間の月数」とする。この場合においては、第百三十七条の十八の規定は、適用しない。

  附則第七条の三第五項中「国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)」を「昭和六十年改正法」に改める。

  附則第十条から第十五条までを削る。

 (確定給付企業年金法の一部改正)

第四条 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)の一部を次のように改正する。

  第九十三条中「その他の業務」の下に「(給付の支給を行うために必要となる加入者等に関する情報の収集、整理又は分析を含む。)」を加える。

  第九十八条の次に次の一条を加える。

  (情報の提供)

 第九十八条の二 厚生労働大臣は、事業主等又は連合会に対して、その支給する給付に関して必要な情報を提供することができるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十二年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

 一 第一条中確定拠出年金法第五十三条第三項及び第百八条第三項の改正規定、第三条の規定(第三号及び第四号に掲げる改正規定を除く。)並びに次条及び附則第三条の規定 公布の日

 二 附則第四条の規定 平成二十三年一月一日

 三 第一条中確定拠出年金法目次の改正規定(「第四十九条」を「第四十八条の二」に改める部分に限る。)、同法第二十八条の改正規定、同法第二章第八節中第四十九条の前に四条を加える改正規定及び同法第五十四条の二第一項の改正規定、第二条の規定、第三条中国民年金法第百二十八条第五項の改正規定及び同法第百三十八条の次に一条を加える改正規定、第四条の規定並びに附則第六条の規定 平成二十三年四月一日

 四 第三条中国民年金法附則第五条に三項を加える改正規定及び同法附則第七条の三第五項の改正規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 (企業型年金加入者掛金に係る承認の申請の手続に関する経過措置)

第二条 厚生年金適用事業所(確定拠出年金法第二条第四項に規定する厚生年金適用事業所をいう。)の事業主は、この法律の施行の日前においても、第一条の規定による改正後の確定拠出年金法第三条第三項第七号の二に掲げる事項をその内容に含む規約についての同法第三条第一項の承認の申請又は当該事項を定めるための規約の変更についての同法第五条第一項の変更の承認の申請その他の必要な準備行為をすることができる。

 (その他の経過措置の政令への委任)

第三条 前条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (地方税法の一部改正)

第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第三十四条第一項第四号ロ中「確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)」の下に「第三条第三項第七号の二に規定する企業型年金加入者掛金又は同法」を加える。

  第三百十四条の二第一項第四号ロ中「確定拠出年金法」の下に「第三条第三項第七号の二に規定する企業型年金加入者掛金又は同法」を加える。

 (所得税法の一部改正)

第五条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  第七十五条第二項第二号中「確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)」の下に「第三条第三項第七号の二(規約の承認)に規定する企業型年金加入者掛金又は同法」を加える。

 (住民基本台帳法の一部改正)

第六条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  別表第一中七十七の二の項を七十七の七の項とし、七十七の項の次に次のように加える。

七十七の二 企業年金連合会

厚生年金保険法による同法第百五十九条第一項若しくは第二項の規定による年金である給付若しくは一時金の支給又は同条第六項の規定による同法第百三十条第五項の情報の収集、整理若しくは分析に関する事務であつて総務省令で定めるもの

七十七の三 企業年金連合会

確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)による同法第九十三条の二第一項各号若しくは第二項第一号若しくは第二号に掲げる業務として行う年金である給付若しくは一時金の支給又は同項第三号に掲げる業務として行う同法第九十三条の情報の収集、整理若しくは分析に関する事務であつて総務省令で定めるもの

七十七の四 企業年金連合会

確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)による同法第四十八条の三の規定による同法第四十八条の二の情報の収集、整理又は分析に関する事務であつて総務省令で定めるもの

七十七の五 国民年金基金連合会

国民年金法による同法第百三十七条の十五第一項の規定による年金である給付若しくは一時金の支給又は同条第二項第二号に掲げる業務として行う同法第百二十八条第五項の情報の収集、整理若しくは分析に関する事務であつて総務省令で定めるもの

七十七の六 国民年金基金連合会

確定拠出年金法による同法第六十六条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の届出又は同法第七十三条において準用する同法第二章第五節の規定による年金である給付若しくは一時金の支給に関する事務であつて総務省令で定めるもの


     理 由

 国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援するため、確定拠出年金の企業型年金加入者が自ら掛金を拠出できる仕組みを導入するとともに、国民年金の任意加入被保険者が国民年金基金に加入できることとするほか、企業年金制度等における給付の支給を行うために必要となる加入者等の情報の収集、整理又は分析を的確に行うことにより当該給付が確実になされるよう、所要の規定を整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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