衆議院

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第一七四回

衆第二二号

   口蹄疫対策緊急措置法案

目次

 第一章 総則(第一条−第五条)

 第二章 口蹄疫のまん延を防止するための措置(第六条−第十八条)

 第三章 家畜等の所有者に対する特別手当金の交付等(第十九条−第二十二条)

 第四章 生産者等の経営及び生活の再建等のための措置(第二十三条・第二十四条)

 第五章 雑則(第二十五条−第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するため、口蹄疫緊急対策本部の設置、口蹄疫のまん延を防止するための措置、家畜等の所有者に対する特別手当金の交付等、生産者等の経営及び生活の再建等のための措置等の緊急措置について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「患畜」とは、口蹄疫にかかっている家畜をいう。

2 この法律において「疑似患畜」とは、患畜である疑いがある家畜及び口蹄疫の病原体(空気中に飛散した病原体を含む。)に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう。

 (国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、口蹄疫の発生が確認された場合又はその疑いがあると認められた場合には、速やかに、口蹄疫のまん延を防止する等のために必要な措置を講ずる責務を有する。

 (口蹄疫緊急対策本部の設置及び所掌事務)

第四条 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫の発生に起因して生じた事態に緊急に対処するための施策等を迅速かつ一体的に実施するため、内閣に、口蹄疫緊急対策本部(以下「本部」という。)を置く。

2 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 口蹄疫対策として緊急に講ずべき施策に関して審議し、及びその実施を推進すること。

 二 口蹄疫対策として講ずべき抜本的な対策に関する重要事項を調査審議すること。

 (組織)

第五条 本部の長は、口蹄疫緊急対策本部長(以下この条において「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を統括し、所部の職員を指揮監督する。

3 本部に、口蹄疫緊急対策副本部長(以下この条において「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。

4 副本部長は、本部長の職務を助ける。

5 本部に口蹄疫緊急対策本部員(以下この条において「本部員」という。)を置く。

6 本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。

7 本部は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、国の行政機関の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

8 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、大学又は研究機関の職員等であって学識経験を有する者その他の関係者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

9 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。

10 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

11 前各項に定めるもののほか、本部の組織に関し必要な事項は、政令で定める。

   第二章 口蹄疫のまん延を防止するための措置

 (車両等の消毒の義務)

第六条 農林水産大臣が口蹄疫のまん延を防止するために車両等の消毒の義務を課す必要がある地域として指定する地域内において、都道府県知事が農林水産省令で定める消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、農林水産省令で定める基準に基づいて、当該設備を利用して、当該者の使用する車両その他の農林水産省令で定める物品を消毒しなければならない。

2 都道府県知事は、口蹄疫のまん延を防止するため特に必要があるときは、前項に規定する設備を設置している場所を通行しようとする者の使用する同項に規定する物品について、当該者による消毒に代えて、当該都道府県の職員にこれを消毒させることができる。

3 第一項の地域内において、都道府県知事が農林水産省令で定める消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、農林水産省令で定める基準に基づいて、当該設備を利用して、自らその身体を消毒しなければならない。

4 都道府県知事は、第一項又は前項に規定する設備を設置している場所ごとに、公衆の見やすい場所に、農林水産省令で定める表示をしなければならない。

5 第一項の指定は、都道府県知事の申請に基づき、行うものとする。

6 前項の規定にかかわらず、農林水産大臣は、口蹄疫のまん延が二以上の都道府県の区域にわたる場合その他必要があると認める場合には、関係都道府県知事の意見を聴いて、第一項の指定を行うことができる。

 (患畜又は疑似患畜の死体の焼却又は埋却の支援)

第七条 農林水産大臣が口蹄疫のまん延を防止するために患畜又は疑似患畜の死体の焼却又は埋却の支援を行う必要がある地域として指定する地域内に存する患畜又は疑似患畜の死体の所有者は、家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号。以下「法」という。)第二十一条第一項の規定にかかわらず、当該死体を焼却し、又は埋却することが困難な場合には、家畜防疫員に対し、これらの死体の焼却又は埋却を求めることができる。

2 家畜防疫員は、前項の規定による求めがあったときは、当該求めのあった死体を焼却し、又は埋却するものとする。

3 国は、前項又は法第二十一条第四項の規定により家畜防疫員が行う患畜又は疑似患畜の死体の焼却又は埋却の円滑な実施に資するため、埋却の用に供する土地の確保、埋却のために必要な作業に従事する者の派遣その他の必要な措置を講ずるものとする。

4 第一項の指定については、前条第五項及び第六項の規定を準用する。

 (患畜等以外の家畜の殺処分等)

第八条 都道府県知事は、法第十六条及び第三十二条に規定する措置だけでは口蹄疫のまん延の防止が困難であり、かつ、急速かつ広範囲にまん延が拡大することを防止するためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が口蹄疫のまん延を防止するために患畜等以外の家畜の殺処分を行う必要がある地域として指定する地域内において都道府県知事が指定する種類の家畜(患畜及び疑似患畜を除く。)を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができる。

2 前項の勧告を受けた者が当該勧告に従わないとき又は家畜の所有者若しくはその所在が知れないため同項の勧告をすることができない場合において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができる。

3 都道府県知事は、第一項の勧告をし、又は前項に規定する措置を実施する場合には、同時に、農林水産省令で定めるところにより、当該勧告をし、又は当該措置を実施する理由その他の農林水産省令で定める事項を書面により通知しなければならない。ただし、当該事項を書面により通知しないで当該勧告をし、又は当該措置を実施すべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

4 都道府県知事は、前項ただし書の場合においては、当該勧告又は措置の後相当の期間内に、農林水産省令で定めるところにより、同項の理由その他の農林水産省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

5 家畜防疫員は、口蹄疫のまん延を防止するため必要があるときは、第一項の規定による勧告に係る家畜につき、殺す場所又は殺す方法を指示することができる。

6 第一項の勧告に従ってその所有する家畜を自ら殺した者又は第二項の規定により殺された家畜の死体の所有者は、家畜防疫員が農林水産省令で定める基準に基づいてする指示に従い、遅滞なく、当該死体を焼却し、又は埋却しなければならない。

7 家畜防疫員は、口蹄疫のまん延を防止するため緊急の必要があるときは、前項の規定による指示に代えて、自らこれを焼却し、又は埋却することができる。

8 第六項に規定する焼却又は埋却については前条第一項から第三項までの規定を、前項に規定する焼却又は埋却については同条第三項の規定を準用する。

9 都道府県知事は、第一項の勧告に従ってその所有する家畜を自ら殺したため損失を受けた当該家畜の所有者に対し、通常生ずべき損失を補てんしなければならない。

10 都道府県知事は、第二項の規定によりその所有する家畜を殺されたため損失を受けた当該家畜の所有者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

11 前二項に定めるもののほか、前二項に定める措置に関し必要な事項は、政令で定める。

12 第一項の指定については、第六条第五項及び第六項の規定を準用する。

 (化製場等に関する法律の特例)

第九条 第七条第二項(前条第八項において準用する場合を含む。)又は前条第六項若しくは第七項の規定により家畜の死体を焼却し、又は埋却する場合には、化製場等に関する法律(昭和二十三年法律第百四十号)第二条第二項の規定は、適用しない。

 (催物の開催の停止の要請等)

第十条 都道府県知事は、口蹄疫のまん延を防止するため必要があるときは、法第三十三条に定めるもののほか、催物の開催者に対して、当該催物の開催の停止又は制限を要請することができる。

 (農林水産大臣の都道府県知事に対する指示等)

第十一条 農林水産大臣は、法第四十七条に定めるもののほか、口蹄疫のまん延により畜産に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、都道府県知事に第六条第二項若しくは第四項の規定による消毒に係る措置、第七条第二項の規定による焼却若しくは埋却に係る措置又は第八条第一項の規定による勧告若しくは同条第二項の規定による措置を実施すべき旨を指示することができる。

2 農林水産大臣は、都道府県知事が前項の指示に従わないときその他特に必要があると認めるときは、第六条第二項若しくは第四項の規定による消毒に係る措置、第七条第二項の規定による焼却若しくは埋却に係る措置又は第八条第一項の規定による勧告若しくは同条第二項の規定による措置を自ら実施することができる。

3 法第四十八条の規定は、第一項の指示をした場合に準用する。この場合において、「第二章又は第三章」とあるのは、「口蹄疫対策緊急措置法第七条又は第八条」と読み替えるものとする。

 (焼却又は埋却に関する留意事項)

第十二条 法第二十一条第一項の規定による患畜又は疑似患畜の焼却又は埋却については、できる限り当該患畜又は疑似患畜がと殺された場所に近い場所で行われなければならない。

 (家畜防疫員の確保)

第十三条 都道府県知事は、当該地域内における家畜伝染病に関する知識経験を有する人材の活用を図ることにより、口蹄疫のまん延を防止するための施策を実施するために必要な家畜防疫員を確保するよう努めるものとする。

 (簡易畜舎の建設等を促進するための農地法に係る措置)

第十四条 国は、口蹄疫のまん延を防止するための法第三十二条の規定による禁止又は制限に係る区域内に畜舎を有する者が、当該畜舎に隣接する農地を当該禁止又は制限に起因して建設することが必要となる一時的に使用する畜舎の敷地の用等に供することが可能となるよう、農地に関する制度等について、必要な措置を講ずるものとする。

 (患畜の判定の迅速化のための措置)

第十五条 国は、患畜の判定の迅速化に資するよう、家畜が所在する地域における専門家による患畜の判定の迅速な実施、口蹄疫の病原体の有無に係る検査の円滑かつ迅速な実施その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (口蹄疫のまん延を防止するための措置についての適切な配慮)

第十六条 国及び地方公共団体は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延を防止するための措置を講ずるに当たっては、できる限り関係者の意向を十分尊重するなど、当該措置が円滑に行われるよう適切な配慮をするものとする。

 (口蹄疫のまん延の防止に関する調査研究等)

第十七条 国及び都道府県は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫の感染経路及びそのまん延の原因の究明、口蹄疫の予防及びまん延の防止のための研究開発の推進及びその成果の普及並びに調査研究の体制の整備、口蹄疫に係る検査体制の整備その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (偶蹄類に属する野生動物の監視等)

第十八条 都道府県知事は、偶蹄類に属する野生動物に係る口蹄疫の発生の状況の監視その他の当該野生動物に係る口蹄疫の発生の予防及びまん延の防止のために必要な措置を講ずるものとする。

   第三章 家畜等の所有者に対する特別手当金の交付等

 (と殺された家畜等の所有者に対する特別手当金の交付)

第十九条 国は、次に掲げる家畜又は物品の所有者に対し、それぞれ当該各号に定める額を特別手当金として交付する。ただし、口蹄疫の発生を防止し、又はまん延を防止するために必要な措置を講じなかった者その他の農林水産省令で定める者に対しては、当該特別手当金の全部又は一部を交付しないことができる。

 一 法第十六条の規定により殺された患畜又は疑似患畜であって平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に係るものにあっては、患畜又は疑似患畜となる前における当該家畜の評価額の全額

 二 法第二十三条(同条第一項ただし書の場合を除く。)の規定により焼却し、又は埋却した物品であって平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に係るものにあっては、焼却又は埋却前における当該物品の評価額の全額

 三 前号に掲げるもののほか、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫の発生に伴う損失が生じ、これを補てんすることが必要な物品として政令で定めるものにあっては、当該政令で定める額

2 前項第一号の家畜の評価額の算定は、農林水産省令で定めるところにより、過去三年間における当該家畜と種類、品種、性別等を同じくする家畜の都道府県ごとの取引価額の実績を基礎として行うものとする。

3 前二項に規定するもののほか、第一項の特別手当金の交付に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

4 第一項第一号に掲げる家畜については法第五十八条(同条第一項第一号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用せず、第一項第二号に掲げる物品については同条(同条第一項第五号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

 (口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担等)

第二十条 国は、法第五十九条の規定にかかわらず、同条に規定する費用のうち平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に係るものの全額を同条に規定する者に対して交付する。

2 国は、法第六十条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する費用のうち平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に係るものの全額を負担する。

3 国は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に関し法第二十三条第一項、第二十五条第一項、第二十六条第一項、第二十七条、第二十八条又は第三十条の規定に基づき消毒を行った者に対し、当該消毒に要した費用の全額を交付する。

4 国は、第八条第六項の規定により家畜の死体を焼却し、又は埋却した者に対し、焼却又は埋却に要した費用の全額を交付する。

5 国は、都道府県知事又は家畜防疫員が第六条の規定による消毒を実施するために要する費用、第七条第二項(第八条第八項において準用する場合を含む。)又は第八条第七項の規定による焼却又は埋却を実施するために要する費用並びに同条第九項の規定による損失の補てん及び同条第十項の規定による損失の補償を実施するために要する費用の全額を負担する。

 (家畜等の移動等の禁止等により生じた損失の補てん)

第二十一条 国は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延を防止するために行われた法第三十二条から第三十四条までの規定による家畜等の移動等の禁止、停止若しくは制限又は家畜市場の自主的な開催の停止等であって農林水産省令で定める基準を満たすものにより、家畜の所有者に、家畜に係る売上げの減少、飼料費その他の保管、輸送若しくは処分に要する費用の増加等の損失が生じたときは、当該家畜の所有者に対して当該損失に相当する額を交付するものとする。

2 前項に規定する損失については、法第六十条第二項の規定は、適用しない。

 (農業者年金の保険料の免除等の特例)

第二十二条 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延により重大な被害を受けた農業者年金の被保険者等については、農業者年金に係る保険料の免除、当該免除を受けた保険料の追納等に関し、政令で定めるところにより、独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)の特例を設けることができる。

   第四章 生産者等の経営及び生活の再建等のための措置

 (牛、豚等の家畜の生産者等の経営の再建等のための措置)

第二十三条 国は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延により経営及び生活が不安定になっている牛、豚等の家畜の生産者、牛肉、豚肉、乳製品等に係る製造、加工、流通又は販売の事業を行う者等の事業の再建その他の経営の安定及びその生活の安定を図るため、当該者に対し事業の再建等に必要な資金の無利子の貸付け、当該事業に係る施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (地域再生のための支援)

第二十四条 国及び地方公共団体は、前条に定める措置のほか、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延が地域経済に重大な影響を及ぼしている状況にかんがみ、地域経済の再建及びその活性化を図るため、必要な財政上、税制上及び金融上の措置を講ずるものとする。

2 国及び地方公共団体は、前項の地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。

   第五章 雑則

 (証票の携帯等)

第二十五条 家畜防疫官又は家畜防疫員は、この法律により職務を執行するときは、農林水産省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

 (管理者に対する適用)

第二十六条 この法律中家畜又は物品の所有者に関する規定は、当該家畜又は物品を管理する所有者以外の者(鉄道、軌道、自動車、船舶又は航空機による運送業者で当該家畜又は物品の運送の委託を受けた者を除く。)があるときは、その者に対して適用する。

 (処分の承継人に対する効力)

第二十七条 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による指示その他の処分は、当該処分の目的である家畜その他の物の所有者又は管理者から権利を承継した者又は権利の設定を受けて、新たに当該家畜その他の物の管理者となった者に対しても、またその効力を有する。

2 前項の家畜その他の物の所有者又は管理者は、当該家畜その他の物を他人に譲渡し、又は管理させる場合には、その処分のあったこと及びその処分の内容をその者に知らせなければならない。

 (非課税)

第二十八条 租税その他の公課は、第八条第九項若しくは第十項、第十九条第一項、第二十条第一項、第三項若しくは第四項又は第二十一条第一項の規定により交付され、又は支給された金銭を標準として、課することができない。

 (事務の区分)

第二十九条 第六条から第八条までの規定により地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

 (経過措置)

第三十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、平成二十五年三月三十一日限り、その効力を失う。

 (経過措置)

第三条 第十九条の規定は、平成二十二年四月以降において法第十六条の規定により殺された患畜若しくは疑似患畜又は法第二十三条の規定により焼却され、若しくは埋却された物品について適用する。

2 第二十条第一項又は第三項の規定は、平成二十二年四月以降においてこれらの項に規定する者がそれぞれ負担した費用について適用する。

3 第二十条第二項の規定は、平成二十二年四月以降において都道府県知事又は家畜防疫員が負担した費用について適用する。

4 第二十一条の規定は、平成二十二年四月以降において行われた法第三十二条から第三十四条までの規定による家畜等の移動等の禁止、停止若しくは制限又は家畜市場の自主的な開催の停止等に係る損失について適用する。

第四条 第十九条第一項本文に規定する者又は第二十条第一項に規定する者がこの法律の施行前に同一の事由により国から法第五十八条の規定による手当金の交付又は法第五十九条の規定による費用の交付を受けている場合には、農林水産省令で定めるところにより、当該交付を受けた額を第十九条第一項の規定による特別手当金の額又は第二十条第一項の規定により交付される費用の額から差し引いて得た額を交付するものとする。

2 第二十一条に規定する家畜の所有者がこの法律の施行前に同一の事由により地方公共団体から助成金等の支給を受けている場合には、農林水産省令で定めるところにより、当該支給を受けた額を第二十一条第一項による損失の額から差し引いて得た額を交付するものとする。

第五条 この法律の施行前に、国又は都道府県の要請に従い、口蹄疫のまん延を防止するためにその所有する家畜(患畜及び疑似患畜を除く。)を自ら殺した者に対しては、都道府県知事は、これにより通常生ずべき損失を補てんするものとする。

2 第二十条第五項の規定は前項の規定により支払われる費用について、第二十八条の規定は同項の規定により支給された金銭について準用する。

第六条 この法律の失効前にされた第八条第一項の規定による勧告については、同条、第十一条並びに第二十条第四項及び第五項の規定は、附則第二条の規定にかかわらず、同条に規定する日後も、なおその効力を有する。

2 この法律の失効前に法第十六条の規定により殺された患畜若しくは疑似患畜又は法第二十三条の規定により焼却され、若しくは埋却された物品については、第十九条の規定は、附則第二条の規定にかかわらず、同条に規定する日後も、なおその効力を有する。

3 この法律の失効前に第二十条第一項に規定する者が負担した同項に規定する費用、都道府県知事又は家畜防疫員が負担した法第六十条第一項に規定する費用又は第二十条第三項に規定する者が負担した同項に規定する費用については、第二十条第一項から第三項までの規定は、附則第二条の規定にかかわらず、同条に規定する日後も、なおその効力を有する。

4 この法律の失効前に法第三十二条から第三十四条までの規定による家畜等の移動等の禁止、停止若しくは制限又は家畜市場の自主的な開催の停止等が行われたことによる第二十一条の規定による損失については、同条の規定は、附則第二条の規定にかかわらず、同条に規定する日後も、なおその効力を有する。

第七条 附則第三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第八条 政府は、最近における畜産及び酪農の経営の実態、この法律及び法の施行の状況等を踏まえ、平成二十五年三月三十一日までの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止の在り方、家畜伝染病にかかっている家畜等が大量に発生した場合における適切な埋却場所の確保に必要な法制度の整備等について検討を行い、その結果に基づき、法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第九条 地方自治法の一部を次のように改正する。

  別表第一に次のように加える。

口蹄疫対策緊急措置法(平成二十二年法律第▼▼▼号)

第六条から第八条までの規定により都道府県が処理することとされている事務


     理 由

 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するため、口蹄疫緊急対策本部の設置、口蹄疫のまん延を防止するための措置、家畜等の所有者に対する特別手当金の交付等、生産者等の経営及び生活の再建等のための措置等の緊急措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度において約二千億円の見込みである。

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