衆議院

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第一七九回

閣第一六号

   労働安全衛生法の一部を改正する法律案

 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。

 第六十六条第一項中「健康診断」の下に「(精神的健康の状況に係るものを除く。以下この条及び次条において同じ。)」を加え、「行なわなければ」を「行わなければ」に改める。

 第六十六条の九の次に次の一条を加える。

 (精神的健康の状況を把握するための検査等)

第六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は保健師による精神的健康の状況を把握するための検査を行わなければならない。

2 労働者は、前項の規定により事業者が行う検査を受けなければならない。

3 事業者は、第一項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師又は保健師から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。この場合において、当該医師又は保健師は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

4 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、精神的健康の状況が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。

5 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

6 事業者は、第四項の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

7 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。

8 厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

9 厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

 第六十八条の次に次の一条を加える。

 (受動喫煙の防止)

第六十八条の二 事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。以下同じ。)を防止するため、屋内作業場その他の厚生労働省令で定める作業場について、専ら喫煙のために利用されることを目的とする室(当該室からたばこの煙が漏れるおそれがないものとして厚生労働省令で定める基準に合致するものに限る。)を除き、喫煙を禁止することその他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

 第百四条中「健康診断並びに」を「健康診断、」に改め、「面接指導」の下に「並びに第六十六条の十第一項の規定による検査及び同条第四項の規定による面接指導」を加える。

 附則に次の一条を加える。

 (受動喫煙の防止に関する特例)

第二十七条 飲食物の提供その他の役務の提供の事業であつて厚生労働省令で定めるものを行う事業者については、当分の間、第六十八条の二の規定は、適用しない。この場合において、当該事業者は、同条の厚生労働省令で定める作業場について、労働者の受動喫煙の程度を低減させるための措置として厚生労働省令で定める措置を講じなければならない。

 別表第二に次の一号を加える。

 十六 電動ファン付き呼吸用保護具

 別表第四に次の一号を加える。

 十三 電動ファン付き呼吸用保護具

 別表第十四に次のように加える。

別表第四第十三号に掲げる機械等

材料試験機、ガス濃度計測器、内圧試験装置、通気抵抗試験装置、粉じん捕集効率測定装置、排気弁気密試験装置、漏れ率試験装置、最低必要風量試験装置、公称稼働時間試験装置及び騒音計

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第四条の規定 公布の日

 二 別表第二、別表第四及び別表第十四の改正規定並びに次条及び附則第三条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の労働安全衛生法(以下「新法」という。)別表第二第十六号に掲げる機械等で、前条第二号に掲げる規定の施行の日(以下「一部施行日」という。)前に製造され、又は輸入されたものについては、新法第四十二条の規定は、適用しない。

第三条 新法別表第四第十三号に掲げる機械等で、一部施行日前に製造され、又は輸入されたものについては、新法第四十四条の二第一項の型式検定を受けることを要しない。

 (政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第六条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十五条第三項中「第六十八条」の下に「、第六十八条の二」を加え、「並びに第八十八条から第八十九条の二まで」を「、第八十八条から第八十九条の二まで並びに附則第二十七条」に改める。

 (調整規定)

第七条 この法律の施行の日が労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第▼▼▼号)の施行の日前である場合には、前条(見出しを含む。)中「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」とあるのは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」とする。


     理 由

 最近における経済社会情勢の変化及び労働災害の動向に即応し、労働者の安全と健康の一層の確保を図るため、労働者の精神的健康の保持増進のための措置を充実するとともに、職場における受動喫煙の防止のために必要な措置を強化する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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