衆議院

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第一八〇回

参第一七号

   内閣総理大臣の指名に係る国民投票制度の創設に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、内閣総理大臣の辞職が頻繁に行われることに伴い我が国が直面する内外の諸問題への対処に支障を来している状況において、内閣総理大臣の指名の在り方についての国民の関心が高まっていることを踏まえ、主権者である国民が内閣総理大臣にふさわしいと考える者についての投票を行うことによって示される国民世論が内閣総理大臣の安定的な政治指導力の発揮に重要な影響を及ぼすものであることに鑑み、内閣総理大臣の指名に係る国民による投票(以下「国民投票」という。)に関する制度(以下「国民投票制度」という。)を創設することとし、そのために必要となる事項について定めるものとする。

 (国民投票制度の創設に関する基本方針)

第二条 国民投票制度は、次に掲げる事項を基本として創設されるものとする。

 一 国民投票は、衆議院議員総選挙が行われる場合においてはその期日に、内閣が総辞職をした場合(衆議院議員総選挙の後初めて国会の召集があったときに内閣が総辞職をしなければならない場合を除く。次条第一号において同じ。)においては速やかに、実施するものとすること。

 二 国民投票の投票権は、衆議院議員の選挙権を有する者が有するものとすること。

 三 国民投票は、全都道府県の区域を通じて実施するものとすること。

 四 国民投票に関する事務は、中央選挙管理会が管理するものとすること。

 五 国民投票の対象となる者は、政党その他の政治団体が、それぞれ一人を限り、透明性が確保された手続により選定し、届け出るものとすること。

 六 国民投票は、一人一票に限るものとすること。

 七 投票人は、国民投票の対象となる者のうちから内閣総理大臣にふさわしいと認める者を選んで投票するものとすること。

 八 国民投票においては、何人も、投票人の投票した者の氏名を陳述する義務はないものとすること。

 九 国民投票の結果は、国民投票の対象となる者ごとの得票数により公表するものとすること。

 十 国民投票に関する費用は、国庫の負担とするものとすること。

 十一 国民投票の結果は各議院及び各国会議員を拘束しないものとするが、各国会議員は国民投票により示された国民世論を尊重して内閣総理大臣の指名に関する投票を行うものとすること。

 (法制上の措置)

第三条 国民投票制度の創設に当たっては、次に掲げる事項その他国民投票の実施に関し必要な事項について速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な法制上の措置が講ぜられるものとする。

 一 内閣が総辞職をした場合における国民投票の期日の設定その他国民投票の期日に関する事項

 二 国民投票の対象となる者を選定し届出を行うことができる政党その他の政治団体の要件及び選定の手続、届出の手続その他の国民投票の対象となる者の届出に関する事項

 三 投票人名簿の調製、投票の方式、投票用紙の様式、無効投票の種類、得票数の算定の方法その他の投票及び開票に関する事項

 四 国民投票の結果の公表の方法その他の国民投票の結果の取扱いに関する事項

 五 国民投票運動(国民投票において特定の者に投票し又は投票しないよう勧誘する行為をいう。以下この号及び次号において同じ。)の主体、内容、規制その他の国民投票運動の在り方に関する事項

 六 国民投票又は国民投票運動に係る不正な行為に対する罰則及び不正な行為が介在した国民投票の結果の取扱いに関する事項

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 内閣総理大臣の辞職が頻繁に行われることに伴い我が国が直面する内外の諸問題への対処に支障を来している状況において、内閣総理大臣の指名の在り方についての国民の関心が高まっていることを踏まえ、主権者である国民が内閣総理大臣にふさわしいと考える者についての投票を行うことによって示される国民世論が内閣総理大臣の安定的な政治指導力の発揮に重要な影響を及ぼすものであることに鑑み、内閣総理大臣の指名に係る国民投票制度を創設することとし、そのために必要となる事項について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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