衆議院

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第一八〇回

参第二三号

   資源の確保の推進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、我が国が国民生活及び経済活動の根幹を支える資源の大部分を輸入に依存している中で、資源の確保に係る国際的な競争の激化等により、我が国にとって必要な資源を安定的に確保することが困難となりつつある状況に鑑み、資源の確保の推進に関し、国の責務を明らかにするとともに、資源確保推進国家戦略の策定その他の施策の基本となる事項を定めることにより、資源の確保の総合的かつ計画的な推進を図り、もって我が国産業の振興を図るとともに、国民生活の安定向上及び我が国の経済社会の持続的な発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「資源」とは、次に掲げるものをいう。

 一 化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料(その製造に伴い副次的に得られるものであって燃焼の用に供されるものを含む。)をいう。以下同じ。)

 二 鉱物資源(前号に掲げるものを除き、政令で定めるものに限る。)及びこれらに係る金属鉱産物

 三 新エネルギー資源(バイオマスその他のエネルギー源として利用することができるもの(前二号に掲げるものを除く。)として政令で定めるものをいう。以下同じ。)

 四 前三号に掲げるもののほか、我が国の製造業にとって有用な物質であって国がその確保の推進を図るべきものとして政令で定めるもの

 (国の責務)

第三条 国は、資源の確保の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (法制上又は財政上の措置等)

第四条 政府は、資源の確保の推進に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

 (資源確保推進国家戦略)

第五条 政府は、資源の確保の総合的かつ計画的な推進を図るため、資源の確保の推進に関する基本的な計画(以下「資源確保推進国家戦略」という。)を定めなければならない。

2 資源確保推進国家戦略においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 資源の確保の推進に関する基本的な方針

 二 資源の確保の推進の目標に関する事項

 三 資源の確保の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

 四 前三号に掲げるもののほか、資源の確保を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 経済産業大臣は、関係行政機関の長の意見を聴くとともに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、資源確保推進国家戦略の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 経済産業大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、資源確保推進国家戦略を公表しなければならない。

5 前二項の規定は、資源確保推進国家戦略の変更について準用する。

6 政府は、資源確保推進国家戦略について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (国内の資源の開発)

第六条 国は、資源の自給率の向上を図るため、排他的経済水域等(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条第一項の排他的経済水域及び同法第二条の大陸棚をいう。次項において同じ。)における海底又はその下に存在する資源の開発の推進その他国内の資源の開発の推進に関し必要な施策を講ずるものとする。

2 国は、資源の確保を図るため、外交上の適切な対応を通じて、我が国の領域及び排他的経済水域等における領域主権及び主権的権利が害されることのないよう努めなければならない。

 (海外の資源に係る権益の確保)

第七条 国は、資源の安定的な確保を図るため、海外の資源に係る権益の確保に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (資源の探査)

第八条 国は、資源の探査に関する産業の支援その他の資源の探査の推進に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (新エネルギー資源の確保)

第九条 国は、新エネルギー資源の供給に関する産業の支援その他の新エネルギー資源の確保に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (化石燃料の効率的な利用)

第十条 国は、化石燃料の確保に資するため、石油等から水素を効率的に得るための技術の開発及びその成果の普及その他の化石燃料の効率的な利用の推進に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (希少な金属鉱物の再利用等)

第十一条 国は、希少な金属鉱物で我が国の製造業の国際競争力の維持及び強化のために必要なものについて、その安定的な供給の確保に資するため、再利用及び代替する物質の開発の推進に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (緊急時における資源の安定的な供給の確保)

第十二条 国は、化石燃料及び金属鉱産物の備蓄の推進その他の緊急時における資源の安定的な供給の確保に関し必要な施策を講ずるものとする。

 (調査研究等)

第十三条 国は、資源の確保に資するため、資源の探査、資源の効率的な利用、代替する物質の開発その他資源の確保に関する調査研究及び技術開発の推進並びに研究者及び技術者の養成に努めなければならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (エネルギー対策特別会計に所属する株式の処分の凍結)

2 政府は、当分の間、エネルギー対策特別会計に所属する株式のうち我が国の資源の確保の推進に関する施策の実施に重要な役割を果たす法人として政令で定めるものに係るものについては、処分を行わないものとする。

 (東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部改正)

3 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。

  附則第十三条第一項第二号中「株式」の下に「(資源の確保の推進に関する法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)附則第二項の政令で定める法人に係る株式を除く。)」を加える。

 (経済産業省設置法の一部改正)

4 経済産業省設置法(平成十一年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第一項中第一号の二を第一号の三とし、第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 資源の確保の推進に関する法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)第五条第一項に規定する資源確保推進国家戦略に関し、同条第三項に規定する事項を処理すること。

  第十九条第一項第三号中「前三号」を「前各号」に改める。


     理 由

 我が国が国民生活及び経済活動の根幹を支える資源の大部分を輸入に依存している中で、資源の確保に係る国際的な競争の激化等により、我が国にとって必要な資源を安定的に確保することが困難となりつつある状況に鑑み、我が国産業の振興を図るとともに、国民生活の安定向上及び我が国の経済社会の持続的な発展に寄与するため、資源の確保の推進に関し、国の責務を明らかにするとともに、資源確保推進国家戦略の策定その他の施策の基本となる事項を定めることにより、資源の確保の総合的かつ計画的な推進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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