衆議院

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第一八〇回

参第二八号

   首都直下地震対策特別措置法案

目次

 第一章 総則(第一条−第四条)

 第二章 緊急対策推進基本計画(第五条)

 第三章 行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画等(第六条・第七条)

 第四章 首都中枢機能維持基盤整備等地区における特別の措置

  第一節 首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定等(第八条)

  第二節 首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定等(第九条−第十六条)

  第三節 認定基盤整備等計画に係る特別の措置(第十七条−第二十二条)

 第五章 地方緊急対策実施計画の作成等(第二十三条−第三十四条)

 第六章 地方緊急対策実施計画に係る特別の措置(第三十五条−第四十五条)

 第七章 特定緊急対策事業推進計画に係る特別の措置

  第一節 特定緊急対策事業推進計画の認定等(第四十六条−第五十三条)

  第二節 認定推進計画に基づく事業に対する特別の措置(第五十四条−第五十七条)

 第八章 雑則(第五十八条−第六十五条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、首都直下地震緊急対策区域の指定、首都直下地震に関する地震観測体制の整備、緊急対策推進基本計画の作成、行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画の作成、首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定並びに首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定及び認定基盤整備等計画に係る特別の措置、地方緊急対策実施計画の作成及び地方緊急対策実施計画に係る特別の措置、特定緊急対策事業推進計画の認定及び認定推進計画に基づく事業に対する特別の措置等について定めることにより、首都直下地震に係る地震防災対策の推進を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「首都直下地震」とは、東京圏(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の区域並びに茨城県の区域のうち政令で定める区域をいう。次項において同じ。)及びその周辺の地域における地殻の境界又はその内部を震源とする大規模な地震をいう。

2 この法律において「首都中枢機能」とは、東京圏における政治、行政、経済等の中枢機能をいう。

3 この法律において「地震災害」とは、地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他の異常な現象により生ずる被害をいう。

4 この法律において「地震防災」とは、地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。

 (首都直下地震緊急対策区域の指定等)

第三条 内閣総理大臣は、首都直下地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、緊急に地震防災対策を推進する必要がある区域を、首都直下地震緊急対策区域(以下「緊急対策区域」という。)として指定するものとする。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による緊急対策区域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。

3 内閣総理大臣は、第一項の規定による緊急対策区域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係する都県の意見を聴かなければならない。この場合において、当該都県が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係する市町村の意見を聴かなければならない。

4 内閣総理大臣は、第一項の規定による緊急対策区域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

5 前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による緊急対策区域の指定を解除する場合に準用する。

 (首都直下地震に関する観測及び測量の実施の強化)

第四条 国は、首都直下地震の発生を予知し、もって地震災害の発生を防止し、又は軽減するため、首都直下地震に関する観測及び測量のための施設等の整備に努めるとともに、計画的に、地象、水象等の常時観測を実施し、首都直下地震に関する土地及び水域の測量の密度を高める等観測及び測量の実施の強化を図らなければならない。

   第二章 緊急対策推進基本計画

第五条 政府は、第三条第一項の規定による緊急対策区域の指定があったときは、首都直下地震に係る地震防災上緊急に講ずべき対策(以下「緊急対策」という。)の推進に関する基本的な計画(以下「緊急対策推進基本計画」という。)を定めなければならない。

2 緊急対策推進基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 緊急対策区域における緊急対策の円滑かつ迅速な推進の意義に関する事項

 二 緊急対策区域における緊急対策の円滑かつ迅速な推進のために政府が着実に実施すべき地方公共団体に対する支援その他の施策に関する基本的な方針

 三 首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持に関し次に掲げる事項

  イ 首都中枢機能の維持を図るための施策に関する基本的な事項

  ロ 首都中枢機能の全部又は一部を維持することが困難となった場合における当該首都中枢機能の一時的な代替に関する基本的な事項

  ハ 緊急輸送を確保する等のために必要な港湾、空港等の機能の維持に係る施策に関する基本的な事項

  ニ イからハまでに掲げるもののほか、首都中枢機能の維持に関し必要な事項

 四 第八条第一項に規定する首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定及び第九条第一項に規定する基盤整備等計画の同条第十項の認定に関する基本的な事項

 五 第二十三条第一項に規定する地方緊急対策実施計画の基本となるべき事項

 六 第四十六条第一項に規定する特定緊急対策事業推進計画の同条第八項の認定に関する基本的な事項

 七 緊急対策区域における緊急対策の円滑かつ迅速な推進に関し政府が講ずべき措置についての計画

 八 前各号に掲げるもののほか、緊急対策区域における緊急対策の円滑かつ迅速な推進に関し必要な事項

3 内閣総理大臣は、緊急対策推進基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、緊急対策推進基本計画を公表しなければならない。

5 政府は、情勢の推移により必要が生じた場合には、緊急対策推進基本計画を変更しなければならない。

6 第三項及び第四項の規定は、前項の規定による緊急対策推進基本計画の変更について準用する。

   第三章 行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画等

 (行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画)

第六条 政府は、緊急対策推進基本計画を基本として、首都直下地震が発生した場合における国の行政に関する機能のうち中枢的なもの(以下この条において「行政中枢機能」という。)の維持に係る緊急対策の実施に関する計画(以下この条において「緊急対策実施計画」という。)を定めなければならない。

2 緊急対策実施計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 政府全体の見地からの政府の業務の継続に関する事項

 二 業務の継続に必要な職員の確保、非常用食糧、救助用資機材等の物資の備蓄その他の首都直下地震が発生した場合における円滑かつ迅速な業務の継続に係る体制の整備に関する事項を内容とする各行政機関における業務の継続に係る計画の作成に関する事項

 三 行政中枢機能の全部又は一部を維持することが困難となった場合における当該行政中枢機能の一時的な代替に関する事項

 四 前三号に掲げるもののほか、行政中枢機能の維持に関し必要な事項

3 前条第三項から第六項までの規定は、緊急対策実施計画について準用する。

 (首都中枢機能の維持に係る国会及び裁判所の措置)

第七条 国会及び裁判所は、緊急対策推進基本計画を考慮して、前条の規定に準じた所要の措置を講ずるものとする。

   第四章 首都中枢機能維持基盤整備等地区における特別の措置

    第一節 首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定等

第八条 内閣総理大臣は、緊急対策区域のうち、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者、来訪者又は居住者(以下「滞在者等」という。)の安全の確保を図るために必要な退避のために移動する経路、一定期間退避するための施設、備蓄倉庫その他の施設(以下「安全確保施設」という。)の整備等を緊急に行う必要がある地区を、首都中枢機能維持基盤整備等地区(以下「基盤整備等地区」という。)として指定するものとする。

2 第三条第三項から第五項までの規定は、前項の規定による基盤整備等地区の指定について準用する。この場合において、同条第五項中「前三項」とあるのは「前二項」と読み替えるものとする。

    第二節 首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定等

 (首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定)

第九条 前条第一項の規定による基盤整備等地区の指定があったときは、その全部又は一部の区域が基盤整備等地区である地方公共団体(以下この章において「関係地方公共団体」という。)は、共同して、基盤整備等地区について、首都直下地震が発生した場合における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者等の安全の確保を図るために必要な安全確保施設の整備等に関する計画(以下「基盤整備等計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができる。

2 基盤整備等計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 首都中枢機能の維持を図るために必要な次に掲げる事項

  イ ロ()から()までに掲げる事業(以下「基盤整備事業」という。)を通じた首都中枢機能の維持に関する基本的な方針

  ロ 首都中枢機能の維持を図るために必要な次に掲げる事業並びにその実施主体及び実施期間に関する事項

   () 電気、ガス、水道等の供給体制に係る基盤の整備に関する事業

   () 情報通信システムに係る基盤の整備に関する事業

   () 道路、公園、広場その他政令で定める公共の用に供する施設その他の公益的施設(ハにおいて「公共公益施設」という。)の整備に関する事業

   () ()から()までに掲げるもののほか、首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備に関する事業

  ハ ロ()及び()に掲げる事業により整備された公共公益施設の適切な管理のために必要な事項

  ニ イからハまでに掲げるもののほか、首都中枢機能の維持を図るために必要な事項

 二 滞在者等の安全の確保を図るために必要な次に掲げる事項

  イ 安全確保施設の整備等を通じた滞在者等の安全の確保に関する基本的な方針

  ロ 安全確保施設の整備に関する事業並びにその実施主体及び実施期間に関する事項

  ハ ロに規定する事業により整備された安全確保施設の適切な管理のために必要な事項

  ニ 安全確保施設を有する建築物の耐震改修(建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成七年法律第百二十三号)第二条第二項に規定する耐震改修をいう。)その他の滞在者等の安全の確保を図るために必要な事業及びその実施主体に関する事項

  ホ 滞在者等の誘導、滞在者等に対する情報提供その他の滞在者等の安全の確保を図るために必要な事務及びその実施主体に関する事項

  ヘ イからホまでに掲げるもののほか、滞在者等の安全の確保を図るために必要な事項

3 基盤整備事業に関する事項には、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十二条第一項第一号、第二号又は第七号に掲げる施設、工作物又は物件(次項並びに第二十条第一項及び第三項において「施設等」という。)のうち、首都中枢機能の維持を図るためのものとして政令で定めるものの設置であって、同法第三十二条第一項又は第三項の許可に係るものに関する事項を記載することができる。

4 関係地方公共団体は、基盤整備等計画に前項の施設等の設置に関する事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、同項の許可の権限を有する道路管理者(道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。第二十条第一項から第三項まで並びに第三十八条第一項及び第五項において同じ。)及び都道府県公安委員会に協議し、その同意を得なければならない。

5 基盤整備等計画は、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第九号に規定する防災業務計画及び同条第十号に規定する地域防災計画との調和が保たれたものでなければならない。

6 次に掲げる者は、関係地方公共団体に対して、第一項の規定による申請(以下この条及び次条第一項において単に「申請」という。)をすることについての提案をすることができる。

 一 当該提案に係る基盤整備等地区において基盤整備事業及び第二項第二号ロ又はニに規定する事業(以下この章において「基盤整備事業等」という。)を実施しようとする者

 二 前号に掲げる者のほか、当該提案に係る基盤整備等地区における基盤整備事業等の実施に関し密接な関係を有する者

7 前項の提案を受けた関係地方公共団体は、当該提案に基づき申請をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、申請をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。

8 関係地方公共団体は、基盤整備等計画を作成しようとするときは、当該基盤整備等計画に定める事項について第十六条第一項の首都中枢機能維持基盤整備等協議会における協議をしなければならない。

9 申請には、次に掲げる事項を記載した書面を添付しなければならない。

 一 第六項の提案を踏まえた申請をする場合にあっては、当該提案の概要

 二 前項の規定による協議の概要

10 内閣総理大臣は、申請があった基盤整備等計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 緊急対策推進基本計画に適合するものであること。

 二 当該基盤整備等計画の実施が当該基盤整備等地区における首都中枢機能の維持を図るために必要な基盤の整備及び滞在者等の安全の確保を図るために必要な安全確保施設の整備等の円滑かつ迅速な推進に寄与するものであると認められること。

 三 円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

11 内閣総理大臣は、前項の認定(次項、次条及び第十一条第一項において単に「認定」という。)をしようとするときは、基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等に関する事項について、当該基盤整備事業等に係る関係行政機関の長(以下この節において単に「関係行政機関の長」という。)の同意を得なければならない。

12 内閣総理大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。

 (認定に関する処理期間)

第十条 内閣総理大臣は、申請を受理した日から三月以内において速やかに、認定に関する処分を行わなければならない。

2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣が前項の処理期間中に認定に関する処分を行うことができるよう、速やかに、前条第十一項の同意について同意又は不同意の旨を通知しなければならない。

 (認定基盤整備等計画の変更)

第十一条 認定を受けた関係地方公共団体は、認定を受けた基盤整備等計画(以下この章において「認定基盤整備等計画」という。)の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。

2 第九条第五項から第十二項まで及び前条の規定は、認定基盤整備等計画の変更について準用する。

 (報告の徴収)

第十二条 内閣総理大臣は、第九条第十項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。第十四条第一項において単に「認定」という。)を受けた関係地方公共団体(以下この節において「認定地方公共団体」という。)に対し、認定基盤整備等計画(認定基盤整備等計画の変更があったときは、その変更後のもの。以下この章において同じ。)の実施の状況について報告を求めることができる。

2 関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等の実施の状況について報告を求めることができる。

 (措置の要求)

第十三条 内閣総理大臣は、認定基盤整備等計画の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該認定基盤整備等計画の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。

2 関係行政機関の長は、認定基盤整備等計画に定められた基盤整備事業等の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該基盤整備事業等の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。

 (認定の取消し)

第十四条 内閣総理大臣は、認定基盤整備等計画が第九条第十項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。この場合において、内閣総理大臣は、あらかじめ関係行政機関の長にその旨を通知しなければならない。

2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣に対し、前項の規定による認定の取消しに関し必要と認める意見を申し出ることができる。

3 第九条第十二項の規定は、第一項の規定による認定基盤整備等計画の認定の取消しについて準用する。

 (認定地方公共団体への援助等)

第十五条 内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定基盤整備等計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うように努めなければならない。

2 関係行政機関の長その他の執行機関は、認定基盤整備等計画に係る基盤整備事業等の実施に関し、法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該基盤整備事業等が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。

3 前二項に定めるもののほか、内閣総理大臣、国の関係行政機関その他の関係機関の長、認定地方公共団体及び基盤整備事業等の実施主体は、認定基盤整備等計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 (首都中枢機能維持基盤整備等協議会)

第十六条 関係地方公共団体は、第九条第一項の規定により作成しようとする基盤整備等計画並びに認定基盤整備等計画及びその実施に関し必要な事項について協議するため、首都中枢機能維持基盤整備等協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織するものとする。

2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 前項の関係地方公共団体

 二 国の関係行政機関その他の関係機関

 三 基盤整備事業等を実施し、又は実施すると見込まれる者

3 第一項の規定により協議会を組織する関係地方公共団体は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者のほか、協議会に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。

 一 当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関し密接な関係を有する者

 二 前号に掲げる者のほか、当該関係地方公共団体が必要と認める者

4 関係地方公共団体は、前項の規定により協議会の構成員を加えるに当たっては、協議会の構成員の構成が、当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関する多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。

5 次に掲げる者であって協議会の構成員でないものは、第一項の規定により協議会を組織する関係地方公共団体に対して、自己を協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。

 一 基盤整備事業等を実施し、又は実施しようとする者

 二 前号に掲げる者のほか、当該関係地方公共団体が作成しようとする基盤整備等計画又は認定基盤整備等計画及びその実施に関し密接な関係を有する者

6 前項の規定による申出を受けた関係地方公共団体は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならない。

7 第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

8 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

    第三節 認定基盤整備等計画に係る特別の措置

 (開発許可の特例)

第十七条 関係地方公共団体は、基盤整備等計画に基盤整備事業に関する事項として都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第十二項に規定する開発行為(同法第二十九条第一項各号に掲げるものを除き、同法第三十二条第一項の同意又は同条第二項の規定による協議を要する場合にあっては、当該同意が得られ、又は当該協議が行われているものに限る。)に関する事項を記載しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、同法第二十九条第一項の許可の権限を有する者に協議し、その同意を得ることができる。

2 前項の規定による同意を得た事項が記載された基盤整備等計画につき第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日に当該事項に係る事業の実施主体に対する都市計画法第二十九条第一項の許可があったものとみなす。

 (土地区画整理事業の認可の特例)

第十八条 関係地方公共団体は、基盤整備等計画に基盤整備事業に関する事項として土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)による土地区画整理事業(同法第四条第一項の規準又は規約及び事業計画が定められているものに限り、かつ、同法第七条の承認又は同法第八条第一項の同意を要する場合にあっては、当該承認又は当該同意が得られているものに限る。)に関する事項を記載しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、同法第四条第一項の認可の権限を有する者に協議し、その同意を得ることができる。

2 前項の規定による同意を得た事項が記載された基盤整備等計画につき第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日に当該事項に係る事業の実施主体に対する土地区画整理法第四条第一項の認可があったものとみなす。

 (市街地再開発事業の認可の特例)

第十九条 関係地方公共団体は、基盤整備等計画に基盤整備事業に関する事項として都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)による第一種市街地再開発事業(同法第七条の九第一項の規準又は規約及び事業計画が定められているものに限り、かつ、同法第七条の十二又は第七条の十三第一項の同意を要する場合にあっては、当該同意が得られているものに限る。)に関する事項を記載しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、同法第七条の九第一項の認可の権限を有する者に協議し、その同意を得ることができる。

2 前項の規定による同意を得た事項が記載された基盤整備等計画につき第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日に当該事項に係る事業の実施主体に対する都市再開発法第七条の九第一項の認可があったものとみなす。

 (道路の占用の許可基準の特例)

第二十条 基盤整備等地区内の道路の道路管理者は、道路法第三十三条第一項の規定にかかわらず、認定基盤整備等計画に記載された第九条第三項に規定する事項に係る施設等のための道路の占用(同法第三十二条第二項第一号に規定する道路の占用をいい、同法第三十三条第二項に規定するものを除く。)で次に掲げる要件のいずれにも該当するものについて、同法第三十二条第一項又は第三項の許可を与えることができる。

 一 道路管理者が施設等の種類ごとに指定した道路の区域内に設けられる施設等(当該指定に係る種類のものに限る。)のためのものであること。

 二 道路法第三十三条第一項の政令で定める基準に適合するものであること。

 三 前二号に掲げるもののほか、安全かつ円滑な交通を確保するために必要なものとして政令で定める基準に適合するものであること。

2 道路管理者は、前項第一号の道路の区域(以下この条において「特例道路占用区域」という。)を指定しようとするときは、あらかじめ当該特例道路占用区域を管轄する警察署長に協議しなければならない。

3 道路管理者は、特例道路占用区域を指定するときは、その旨並びに指定の区域及び施設等の種類を公示しなければならない。

4 前二項の規定は、特例道路占用区域の指定の変更又は解除について準用する。

5 第一項の許可に係る道路法第八十七条第一項の規定の適用については、同項中「円滑な交通を確保する」とあるのは、「円滑な交通を確保し、又は道路交通環境の維持及び向上を図る」とする。

 (都市再生特別措置法の適用)

第二十一条 認定基盤整備等計画(第九条第二項第二号に掲げる事項について記載された部分に限る。)については、都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第十九条の十三第一項に規定する都市再生安全確保計画とみなして、同法第十九条の十五から第十九条の十八までの規定を適用する。この場合において、同法第十九条の十五第一項中「協議会は、都市再生安全確保計画に第十九条の十三第二項第二号又は第四号」とあるのは「首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第九条第一項に規定する関係地方公共団体(以下「関係地方公共団体」という。)は、同項に規定する基盤整備等計画(以下「基盤整備等計画」という。)に同条第二項第二号ロ又はニ」と、同条第三項中「協議会は、都市再生安全確保計画に第十九条の十三第二項第二号又は第四号」とあるのは「関係地方公共団体は、基盤整備等計画に首都直下地震対策特別措置法第九条第二項第二号ロ又はニ」と、同条第四項中「都市再生安全確保計画が第十九条の十三第五項の規定により公表されたときは、当該公表の日」とあるのは「基盤整備等計画につき首都直下地震対策特別措置法第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日」と、同法第十九条の十六第一項中「協議会は、都市再生安全確保計画に第十九条の十三第二項第二号又は第四号」とあるのは「関係地方公共団体は、基盤整備等計画に首都直下地震対策特別措置法第九条第二項第二号ロ又はニ」と、同条第三項中「都市再生安全確保計画が第十九条の十三第五項の規定により公表されたときは、当該公表の日」とあるのは「基盤整備等計画につき首都直下地震対策特別措置法第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日」と、同法第十九条の十七第一項中「都市再生安全確保計画に記載された第十九条の十三第二項第二号又は第四号」とあるのは「基盤整備等計画に記載された首都直下地震対策特別措置法第九条第二項第二号ロ又はニ」と、「都市再生安全確保施設」とあるのは「首都直下地震対策特別措置法第八条第一項に規定する安全確保施設(以下「安全確保施設」という。)」と、同条第二項中「協議会は、都市再生安全確保計画に第十九条の十三第二項第二号又は第四号」とあるのは「関係地方公共団体は、基盤整備等計画に首都直下地震対策特別措置法第九条第二項第二号ロ又はニ」と、「都市再生安全確保施設」とあるのは「安全確保施設」と、同条第三項中「都市再生安全確保計画が第十九条の十三第五項の規定により公表されたときは、当該公表の日」とあるのは「基盤整備等計画につき首都直下地震対策特別措置法第九条第十二項の規定による公示があったときは、当該公示の日」と、同法第十九条の十八第一項中「協議会は、都市再生安全確保計画に第十九条の十三第二項第二号」とあるのは「関係地方公共団体は、基盤整備等計画に首都直下地震対策特別措置法第九条第二項第二号ロ」と、「都市再生安全確保施設」とあるのは「安全確保施設」と、同条第二項中「都市再生安全確保計画が第十九条の十三第五項の規定により公表された日」とあるのは「基盤整備等計画の認定につき首都直下地震対策特別措置法第九条第十二項の規定による公示があった日」と、「当該都市再生安全確保計画」とあるのは「当該認定を受けた基盤整備等計画」とする。

 (交付金の交付等)

第二十二条 国は、関係地方公共団体に対し、認定基盤整備等計画に基づく基盤整備事業等の実施に要する経費に充てるため、内閣府令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。

2 前項の規定による交付金を充てて行う基盤整備事業等に要する費用については、他の法令の規定に基づく国の負担若しくは補助又は交付金の交付は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。

3 前二項に定めるもののほか、交付金の交付に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

   第五章 地方緊急対策実施計画の作成等

 (地方緊急対策実施計画)

第二十三条 第三条第一項の規定による緊急対策区域の指定があったときは、その全部又は一部の区域が緊急対策区域である都県(以下「関係都県」という。)の知事(第六章を除き、以下「関係都県知事」という。)は、緊急対策推進基本計画を基本として、当該緊急対策区域において実施すべき緊急対策に関する計画(以下「地方緊急対策実施計画」という。)を作成することができる。

2 地方緊急対策実施計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 地方緊急対策実施計画の区域

 二 地方緊急対策実施計画の目標

 三 地方緊急対策実施計画の期間

3 地方緊急対策実施計画には、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項のうち必要なものを定めるものとする。

 一 次に掲げる施設等(政令で定めるものを除き、当該施設等に関する主務大臣の定める基準に適合するものに限る。)の整備等であって、当該緊急対策区域において首都直下地震に係る地震防災上緊急に実施する必要があるものに関する事項

  イ 避難路

  ロ 避難施設その他の避難場所

  ハ 消防用施設

  ニ 緊急輸送を確保するため必要な道路、ヘリポート、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項に規定する港湾施設(第三十七条第一項において「港湾施設」という。)又は漁港漁場整備法(昭和二十五年法律第百三十七号)第三条に規定する漁港施設

  ホ 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十一条に規定する公的医療機関その他地震災害が発生した時(以下「地震災害時」という。)における医療活動の拠点となる病院、社会福祉施設、学校(専修学校及び各種学校を含む。第二十五条第二項において同じ。)その他の不特定かつ多数の者が利用する公的建造物のうち、地震防災上改築若しくは補強又は移転を要するもの

  ヘ ホに掲げるもののほか、住宅その他の建築物のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの

  ト 高層建築物、地下街、駅その他不特定かつ多数の者が利用する施設又は当該施設内におけるエレベーター等の設備のうち、地震防災上その利用者の安全の確保を要するもの

  チ 工場、事業場等の施設が集積している地域における工場その他の施設又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第二条第二号に規定する石油コンビナート等特別防災区域における石油、高圧ガス等の貯蔵所、製造所その他の施設のうち、地震防災上改築又は補強を要するもの

  リ 海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設(第三十九条第一項において「海岸保全施設」という。)、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第三条第二項に規定する河川管理施設又は津波防災地域づくりに関する法律(平成二十三年法律第百二十三号)第二条第十項に規定する津波防護施設(第四十三条第一項において「津波防護施設」という。)で、地震防災上必要なもの

  ヌ 砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防設備、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条に規定する保安施設事業に係る保安施設、地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二条第三項に規定する地すべり防止施設、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号。第四十二条第一項、第四項及び第六項において「急傾斜地崩壊防止法」という。)第二条第二項に規定する急傾斜地崩壊防止施設又は土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項第一号に規定する農業用用排水施設であるため池で、家屋の密集している地域の地震防災上必要なもの

  ル 地震災害時において災害応急対策の拠点として機能する地域防災拠点施設

  ヲ 地震災害時において迅速かつ的確な被害状況の把握及び住民に対する災害情報の伝達を行うために必要な防災行政無線設備その他の施設又は設備

  ワ 地震災害時における飲料水、電源等の確保等により被災者の安全を確保するために必要な井戸、貯水槽、水泳プール、自家発電設備その他の施設又は設備

  カ 地震災害時において必要となる非常用食糧、救助用資機材等の物資の備蓄倉庫

  ヨ 負傷者を一時的に収容及び保護するための救護設備等地震災害時における応急的な措置に必要な設備又は資機材

  タ イからヨまでに掲げるもののほか、首都直下地震に係る地震防災上緊急に整備すべき施設等であって政令で定めるもの

 二 首都直下地震に係る被害の発生を防止し、又は軽減するための住宅その他の建築物等に係る地震防災対策に関し次に掲げる事項

  イ 住宅その他の建築物の耐震診断(地震に対する安全性を評価することをいう。第四十四条において同じ。)の促進その他建築物の耐震化(地震に対する安全性の向上を目的として、増築、改築、修繕若しくは模様替又は敷地の整備をすることをいう。第六十二条において同じ。)に関する事項

  ロ 住宅その他の建築物の不燃化、延焼の防止その他の火災の発生の防止及び火災による被害の軽減に関する事項

  ハ 延焼の防止、避難路の確保等のための街区の整備に関する事項

  ニ 住居内における安全の確保に関する事項

  ホ 土砂災害及び地盤の液状化の防止に関する事項

 三 次に掲げる事項のうち、当該緊急対策区域において首都直下地震に係る災害応急対策及び災害復旧の円滑かつ的確な実施に必要なもの

  イ 被災者の救難及び救助の実施に関する事項

  ロ 地震災害時における医療の提供に関する事項

  ハ 地震災害時における滞在者等に対する支援に関する事項

  ニ 地震災害時における電気、ガス、水道等の供給体制の確保に関する事項

  ホ 災害応急対策及び災害復旧に必要な物資の流通に関する事項

  ヘ 地震災害時における通信手段の確保に関する事項

  ト ボランティアによる防災活動の環境の整備に関する事項

  チ 海外からの防災に関する支援の円滑な受入れに関する事項

  リ 応急仮設住宅の建設に係る用地の確保に関する事項

  ヌ 災害廃棄物の一時的な保管場所の確保に関する事項

 四 住民等の協働による防災対策の推進に関する事項

 五 首都直下地震の発生を予知するための観測体制の強化に関する事項

 六 首都直下地震に係る防災訓練に関する事項

 七 地震防災に関する技術の研究開発に関する事項

 八 前各号に掲げる事項に係る事業又は事務(以下「事業等」という。)と一体となってその効果を増大させるために必要な事業等その他の首都直下地震に係る地震防災対策の推進のため前各号に掲げる事項に係る事業等に関連して地域の特性に即して自主的かつ主体的に実施する事業等に関する事項

 九 地方緊急対策実施計画に基づいて実施される事業等(以下「緊急対策事業等」という。)のうち第二十六条第一項の交付金を充てて行う事業等に関する事項

 十 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

4 前項各号に掲げる事項には、関係都県が実施する事業等に係るものを記載するほか、必要に応じ、当該関係都県以外の者が実施する事業等に係るものを記載することができる。

5 関係都県知事は、地方緊急対策実施計画に当該関係都県以外の者が実施する事業等に係る事項を記載しようとするときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。

6 関係都県知事は、地方緊急対策実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その全部又は一部の区域が当該地方緊急対策実施計画に係る緊急対策区域である市町村の長の意見を聴かなければならない。

7 関係都県知事は、地方緊急対策実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。

8 内閣総理大臣は、前項の同意をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該行政機関。以下同じ。)と協議しなければならない。

9 関係都県知事は、地方緊急対策実施計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

10 第四項から前項までの規定は、地方緊急対策実施計画の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。

 (緊急対策事業等に係る国の負担又は補助の特例等)

第二十四条 緊急対策事業等のうち、別表第一に掲げるもの(当該事業に関する主務大臣の定める基準に適合するものに限る。第三項において同じ。)に要する経費に対する国の負担又は補助の割合(以下「国の負担割合」という。)は、当該事業に関する法令の規定にかかわらず、同表のとおりとする。この場合において、これらの事業のうち、別表第二に掲げるもの(都県が実施するものを除き、当該事業に関する主務大臣の定める基準に適合するものに限る。)に要する経費に係る都県の負担又は補助の割合(以下「都県の負担割合」という。)は、同表に掲げる割合とする。

2 前項に規定する事業に係る経費に対する他の法令による国の負担割合が、同項の規定による国の負担割合を超えるときは、当該事業に係る経費に対する国の負担割合又は都県の負担割合については、同項の規定にかかわらず、当該他の法令の定める割合による。

3 国は、緊急対策事業等のうち、別表第一に掲げるものに要する経費に充てるため政令で定める交付金を交付する場合においては、政令で定めるところにより、当該経費について前二項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、当該交付金の額を算定するものとする。

 (学校及び病院についての財政上の配慮等)

第二十五条 国は、私立の幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校の前期課程並びに特別支援学校の幼稚部、小学部及び中学部の校舎、屋内運動場及び寄宿舎について、首都直下地震に係る地震防災上必要な整備のため財政上の適切な配慮をするものとする。

2 国は、首都直下地震が発生した場合における滞在者等が一定期間退避するための施設等として学校が重要な機能を有することに鑑み、当該学校について、首都直下地震に係る地震防災上必要な財政上及び金融上の配慮をするものとする。

3 国は、医療法第三十一条に規定する公的医療機関その他地震災害時における医療活動の拠点となる病院の施設について、首都直下地震に係る地震防災上必要な整備を促進するため財政上及び金融上の配慮をするものとする。

 (緊急対策交付金の交付等)

第二十六条 国は、関係都県又はその全部若しくは一部の区域が緊急対策区域である市町村(特別区を含む。以下「関係市町村」という。)(以下「特定地方公共団体」という。)に対し、緊急対策事業等のうち第二十三条第三項第九号に掲げる事項に係る事業等の実施に要する経費に充てるため、内閣府令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。

2 国は、前項に規定する経費に第二十四条第一項に規定する経費が含まれる場合においては、当該経費について同項の規定を適用したとするならば国が負担し、又は補助することとなる割合を参酌して、前項の交付金(以下「緊急対策交付金」という。)の額を算定するものとする。

3 緊急対策交付金を充てて行う事業等(以下「緊急対策交付金事業等」という。)に要する費用については、第二十四条及び他の法令の規定に基づく国の負担若しくは補助又は交付金の交付は、当該規定にかかわらず、行わないものとする。

4 前三項に定めるもののほか、緊急対策交付金の交付に関し必要な事項は、内閣府令で定める。

 (緊急対策交付金の交付に関する基本理念)

第二十七条 緊急対策交付金は、特定地方公共団体がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に緊急対策交付金事業等を実施することを旨として交付されるものとする。

2 緊急対策交付金の交付に当たっては、特定地方公共団体がその創意工夫を発揮して緊急対策交付金事業等を実施することができるように十分に配慮するものとする。

 (特定地方公共団体への援助等)

第二十八条 内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、特定地方公共団体に対し、緊急対策交付金事業等の円滑かつ迅速な実施に関し、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めなければならない。

2 関係行政機関の長は、緊急対策交付金事業等の実施に関し、特定地方公共団体から法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該事業等が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。

 (補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の特例)

第二十九条 緊急対策交付金に関しては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第十四条の規定による実績報告(事業等の廃止に係るものを除く。)は、緊急対策交付金事業等ごとに行うことを要しないものとし、同法第十五条の規定による交付すべき額の確定は、緊急対策交付金事業等に係る交付金として交付すべき額の総額を確定することをもって足りるものとする。

 (計画の実績に関する評価)

第三十条 緊急対策交付金の交付を受けた特定地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、地方緊急対策実施計画(緊急対策交付金事業等に係る部分に限る。以下この項において同じ。)の期間の終了の日の属する年度の翌年度において、地方緊急対策実施計画に掲げる目標の達成状況及び緊急対策交付金事業等の実施状況に関する調査及び分析を行い、地方緊急対策実施計画の実績に関する評価を行うものとする。

2 特定地方公共団体は、前項の評価を行ったときは、内閣府令で定めるところにより、その内容を公表するものとする。

 (基金)

第三十一条 特定地方公共団体は、緊急対策事業等に充てる経費の全部又は一部を支弁するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金を設けることができる。

2 特定地方公共団体が前項の規定により基金を設ける場合において、国は、当該基金の造成の目的である緊急対策事業等が、あらかじめ複数年度にわたり財源を確保しておくことが施策の安定的かつ効率的な実施に必要不可欠であって、複数年度にわたり事業等の進捗状況等に応じた助成が必要であるが、各年度の所要額をあらかじめ見込み難く、弾力的な支出が必要不可欠である等の特段の事情がある事業等であると認めるときは、予算の範囲内で、当該基金の財源に充てるために必要な資金として緊急対策交付金を交付することができる。

 (地方債の特例等)

第三十二条 緊急対策事業等の実施につき特定地方公共団体が必要とする経費については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもってその財源とすることができる。

2 緊急対策事業等の実施につき特定地方公共団体が必要とする経費の財源に充てるために起こした地方債で、総務大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、当該特定地方公共団体に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。

 (資金の確保のための措置)

第三十三条 国は、財政投融資に係る資金及び民間の資金の積極的な活用その他の措置を講ずることにより、緊急対策の実施に必要な資金の確保に努めるものとする。

 (緊急対策債の発行等)

第三十四条 国は、緊急対策の実施に必要な資金を確保するため、別に法律で定めるところにより、公債(次項において「緊急対策債」という。)を発行するものとする。

2 国は、緊急対策債については、その他の公債と区分して管理するとともに、別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、あらかじめ、その償還の道筋を明らかにするものとする。

   第六章 地方緊急対策実施計画に係る特別の措置

 (漁港漁場整備法の特例)

第三十五条 農林水産大臣は、地方緊急対策実施計画(第二十三条第三項第一号ニに掲げる事項に係る部分に限る。第三十七条第一項及び第三十八条第一項において同じ。)に基づいて行う漁港漁場整備法第四条第一項に規定する漁港漁場整備事業(漁港管理者(同法第二十五条の規定により決定された地方公共団体をいう。以下この条において同じ。)である関係都県が管理する同法第二条に規定する漁港に係る同項第一号に掲げる事業に係るものに限る。)に関する工事であって、当該関係都県における漁港漁場整備事業に関する工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が農林水産大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急漁港工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、漁港管理者である同項の関係都県の要請に基づいて行うものとする。

3 農林水産大臣は、第一項の規定により緊急漁港工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、漁港管理者である同項の関係都県に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により農林水産大臣が施行する緊急漁港工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、当該費用の額から、自ら当該緊急漁港工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により漁港管理者に代わってその権限を行う農林水産大臣は、漁港漁場整備法第七章の規定の適用については、漁港管理者とみなす。

 (砂防法の特例)

第三十六条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画(第二十三条第三項第一号ヌに掲げる事項に係る部分に限る。第四十条第一項及び第四十二条第一項において同じ。)に基づいて行う砂防法第一条に規定する砂防工事であって、関係都県における砂防工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急砂防工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の関係都県の知事の要請に基づいて行うものとする。

3 国土交通大臣は、第一項の規定により緊急砂防工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の関係都県の知事に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急砂防工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、同項の関係都県の知事が自ら当該緊急砂防工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

 (港湾法の特例)

第三十七条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う港湾法第二条第七項に規定する港湾工事のうち港湾施設(港湾管理者(同条第一項に規定する港湾管理者をいう。次項において同じ。)である関係都県が管理するものに限る。)の建設又は改良に係るものであって、当該関係都県における港湾工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項において「緊急港湾工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、港湾管理者である同項の関係都県の要請に基づいて行うものとする。

3 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急港湾工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、自ら当該緊急港湾工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

 (道路法の特例)

第三十八条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う都道府県道(道路法第三条第三号に掲げる都道府県道をいう。)又は市町村道(同条第四号に掲げる市町村道をいう。)の新設又は改築に関する工事であって、当該道路の道路管理者である特定地方公共団体における道路の新設又は改築に関する工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急道路工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の特定地方公共団体の要請に基づいて行うものとする。

3 国土交通大臣は、第一項の規定により緊急道路工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の特定地方公共団体に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急道路工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の特定地方公共団体は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、自ら当該緊急道路工事を施行することとした場合に国が当該特定地方公共団体に交付すべき補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により道路管理者に代わってその権限を行う国土交通大臣は、道路法第八章の規定の適用については、道路管理者とみなす。

 (海岸法の特例)

第三十九条 主務大臣(海岸法第四十条に規定する主務大臣をいう。以下この条において同じ。)は、地方緊急対策実施計画(第二十三条第三項第一号リに掲げる事項に係る部分に限る。第四十一条第一項及び第四十三条第一項において同じ。)に基づいて行う海岸保全施設の新設又は改良に関する工事であって、関係都県における海岸保全施設の新設又は改良に関する工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が主務大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急海岸工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、海岸管理者(海岸法第二条第三項に規定する海岸管理者をいう。以下この条において同じ。)である前項の関係都県の知事の要請に基づいて行うものとする。

3 主務大臣は、第一項の規定により緊急海岸工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、海岸管理者である同項の関係都県の知事に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により主務大臣が施行する緊急海岸工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、海岸管理者である同項の関係都県の知事が自ら当該緊急海岸工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により海岸管理者に代わってその権限を行う主務大臣は、海岸法第五章の規定の適用については、海岸管理者とみなす。

 (地すべり等防止法の特例)

第四十条 主務大臣(地すべり等防止法第五十一条第一項に規定する主務大臣をいう。以下この条において同じ。)は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う同法第二条第四項に規定する地すべり防止工事であって、関係都県における地すべり防止工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が主務大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急地すべり防止工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の関係都県の知事の要請に基づいて行うものとする。

3 主務大臣は、第一項の規定により緊急地すべり防止工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の関係都県の知事に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により主務大臣が施行する緊急地すべり防止工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、同項の関係都県の知事が自ら当該緊急地すべり防止工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により都県知事に代わってその権限を行う主務大臣は、地すべり等防止法第六章の規定の適用については、都県知事とみなす。

 (河川法の特例)

第四十一条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う指定区間(河川法第九条第二項に規定する指定区間をいう。)内の一級河川(同法第四条第一項に規定する一級河川をいう。)、二級河川(同法第五条第一項に規定する二級河川をいう。第五項において同じ。)又は準用河川(同法第百条第一項に規定する準用河川をいう。第五項において同じ。)の改良工事であって、当該河川の改良工事を施行すべき関係都県の知事又は関係市町村の長が統括する特定地方公共団体における河川の改良工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急河川工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の関係都県の知事又は関係市町村の長の要請に基づいて行うものとする。

3 国土交通大臣は、第一項の規定により緊急河川工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の関係都県の知事又は関係市町村の長に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急河川工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の特定地方公共団体は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、当該特定地方公共団体の長が自ら当該緊急河川工事を施行することとした場合に国が当該特定地方公共団体に交付すべき負担金若しくは補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により二級河川又は準用河川の河川管理者(河川法第七条(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者をいう。以下この項において同じ。)に代わってその権限を行う国土交通大臣は、同法第七章(同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、河川管理者とみなす。

 (急傾斜地崩壊防止法の特例)

第四十二条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う急傾斜地崩壊防止法第二条第三項に規定する急傾斜地崩壊防止工事であって、関係都県における当該急傾斜地崩壊防止工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項から第五項までにおいて「緊急急傾斜地崩壊防止工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の関係都県の要請に基づいて行うものとする。

3 国土交通大臣は、第一項の規定により緊急急傾斜地崩壊防止工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の関係都県の知事に代わってその権限を行うものとする。

4 急傾斜地崩壊防止法第十三条第二項の規定は、国土交通大臣が第一項の規定により緊急急傾斜地崩壊防止工事を施行する場合については、適用しない。

5 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急急傾斜地崩壊防止工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の関係都県は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、自ら当該緊急急傾斜地崩壊防止工事を施行することとした場合に国が当該関係都県に交付すべき補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

6 第三項の規定により都県知事に代わってその権限を行う国土交通大臣は、急傾斜地崩壊防止法第五章の規定の適用については、都県知事とみなす。

 (津波防災地域づくりに関する法律の特例)

第四十三条 国土交通大臣は、地方緊急対策実施計画に基づいて行う津波防護施設の新設又は改良に関する工事であって、当該津波防護施設の新設又は改良に関する工事を施行すべき関係都県の知事又は関係市町村の長が管理する特定地方公共団体における津波防護施設の新設又は改良に関する工事の実施体制その他の地域の実情を勘案して、緊急対策の推進のために特に必要があるものとして内閣総理大臣が国土交通大臣の同意を得て指定したもの(第三項及び第四項において「緊急津波防護施設工事」という。)を、自ら施行することができる。

2 前項の規定による指定は、同項の関係都県の知事又は関係市町村の長の要請に基づいて行うものとする。

3 国土交通大臣は、第一項の規定により緊急津波防護施設工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、同項の関係都県の知事又は関係市町村の長に代わってその権限を行うものとする。

4 第一項の規定により国土交通大臣が施行する緊急津波防護施設工事に要する費用は、国の負担とする。この場合において、同項の特定地方公共団体は、政令で定めるところにより、当該費用の額から、当該特定地方公共団体の長が自ら当該緊急津波防護施設工事を施行することとした場合に国が当該特定地方公共団体に交付すべき補助金又は交付金の額に相当する額を控除した額を負担する。

5 第三項の規定により津波防護施設管理者(津波防災地域づくりに関する法律第二条第十一項に規定する津波防護施設管理者をいう。以下この項において同じ。)に代わってその権限を行う国土交通大臣は、同法第十一章の規定の適用については、津波防護施設管理者とみなす。

 (建築物の耐震診断の促進)

第四十四条 関係都県は、条例で、緊急対策区域内における建築物の耐震改修の促進に関する法律第六条に規定する特定建築物以外の建築物のうち、多数の者が利用する建築物、危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物、首都直下地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とするおそれがある建築物等であって、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)又はこれに基づく命令若しくは条例が定める地震に対する安全性に係る基準に照らして当該安全性が不足している可能性があり、首都直下地震による建築物の倒壊等の被害から国民の生命、身体及び財産を保護するために耐震診断を行う必要がある建築物として政令で定めるものの所有者について、当該建築物の耐震診断を行うよう努めなければならない旨(耐震診断について必要な指導及び助言並びに勧告及びこれに従わない場合におけるその旨の公表をすることができる旨を含む。)を定めることができる。

 (住民防災組織の認定等)

第四十五条 関係都県の知事は、その区域内における住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織のうち、緊急対策区域内において首都直下地震による被害の軽減を図る上で効果的な活動を行うと認められるものを、住民防災組織として認定することができる。

2 国及び特定地方公共団体は、前項の認定を受けた住民防災組織に対し、必要な財政上の援助その他の援助を行うものとする。

   第七章 特定緊急対策事業推進計画に係る特別の措置

    第一節 特定緊急対策事業推進計画の認定等

 (特定緊急対策事業推進計画の認定)

第四十六条 特定地方公共団体は、単独で又は共同して、当該特定地方公共団体に係る緊急対策区域内の区域について、内閣府令で定めるところにより、特定緊急対策事業(地方緊急対策実施計画に記載された事業で、次節の規定による特別の措置の適用を受けるものをいう。以下同じ。)の実施又はその実施の促進による首都直下地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進を図るための計画(以下「特定緊急対策事業推進計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができる。

2 特定緊急対策事業推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 特定緊急対策事業推進計画の区域

 二 特定緊急対策事業推進計画の目標

 三 前号の目標を達成するために推進しようとする取組の内容

 四 第二号の目標を達成するために実施し又はその実施を促進しようとする特定緊急対策事業の内容及び実施主体に関する事項

 五 前号に規定する特定緊急対策事業ごとの次節の規定による特別の措置の内容

 六 前各号に掲げるもののほか、第四号に規定する特定緊急対策事業に関する事項その他特定緊急対策事業の実施等による地震防災対策の円滑かつ迅速な推進に関し必要な事項

3 特定地方公共団体は、特定緊急対策事業推進計画を作成しようとするときは、関係地方公共団体及び前項第四号に規定する実施主体(以下この章において単に「実施主体」という。)の意見を聴かなければならない。

4 次に掲げる者は、特定地方公共団体に対して、第一項の規定による申請(以下この節において単に「申請」という。)をすることについての提案をすることができる。

 一 当該提案に係る区域において特定緊急対策事業を実施しようとする者

 二 前号に掲げる者のほか、当該提案に係る区域における特定緊急対策事業の実施に関し密接な関係を有する者

5 前項の提案を受けた特定地方公共団体は、当該提案に基づき申請をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした者に通知しなければならない。この場合において、申請をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。

6 特定地方公共団体は、特定緊急対策事業推進計画を作成しようとする場合において、第五十三条第一項の地震防災対策推進協議会が組織されているときは、当該特定緊急対策事業推進計画に定める事項について当該地震防災対策推進協議会における協議をしなければならない。

7 申請には、次に掲げる事項を記載した書面を添付しなければならない。

 一 第三項の規定により聴いた関係地方公共団体及び実施主体の意見の概要

 二 第四項の提案を踏まえた申請をする場合にあっては、当該提案の概要

 三 前項の規定による協議をした場合にあっては、当該協議の概要

8 内閣総理大臣は、申請があった特定緊急対策事業推進計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 緊急対策推進基本計画に適合するものであること。

 二 当該特定緊急対策事業推進計画の実施が当該特定緊急対策事業推進計画の区域における首都直下地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進に寄与するものであると認められること。

 三 円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

9 内閣総理大臣は、前項の認定(以下この条、次条及び第四十八条第一項において単に「認定」という。)をしようとするときは、特定緊急対策事業推進計画に定められた特定緊急対策事業に関する事項について、当該特定緊急対策事業に係る関係行政機関の長(以下この章において単に「関係行政機関の長」という。)の同意を得なければならない。

10 内閣総理大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公示しなければならない。

 (認定に関する処理期間)

第四十七条 内閣総理大臣は、申請を受理した日から三月以内において速やかに、認定に関する処分を行わなければならない。

2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣が前項の処理期間中に認定に関する処分を行うことができるよう、速やかに、前条第九項の同意について同意又は不同意の旨を通知しなければならない。

 (認定推進計画の変更)

第四十八条 認定を受けた特定地方公共団体は、認定を受けた特定緊急対策事業推進計画(以下「認定推進計画」という。)の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。

2 第四十六条第三項から第十項まで及び前条の規定は、前項の認定推進計画の変更について準用する。

 (報告の徴収)

第四十九条 内閣総理大臣は、第四十六条第八項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。以下この章において単に「認定」という。)を受けた特定地方公共団体(以下「認定地方公共団体」という。)に対し、認定推進計画(認定推進計画の変更があったときは、その変更後のもの。以下同じ。)の実施の状況について報告を求めることができる。

2 関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定推進計画に定められた特定緊急対策事業の実施の状況について報告を求めることができる。

 (措置の要求)

第五十条 内閣総理大臣は、認定推進計画の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該認定推進計画の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。

2 関係行政機関の長は、認定推進計画に定められた特定緊急対策事業の適正な実施のため必要があると認めるときは、認定地方公共団体に対し、当該特定緊急対策事業の実施に関し必要な措置を講ずることを求めることができる。

 (認定の取消し)

第五十一条 内閣総理大臣は、認定推進計画が第四十六条第八項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。この場合において、内閣総理大臣は、あらかじめ関係行政機関の長にその旨を通知しなければならない。

2 関係行政機関の長は、内閣総理大臣に対し、前項の規定による認定の取消しに関し必要と認める意見を申し出ることができる。

3 第四十六条第十項の規定は、第一項の規定による認定推進計画の認定の取消しについて準用する。

 (認定地方公共団体への援助等)

第五十二条 内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、認定地方公共団体に対し、認定推進計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うように努めなければならない。

2 関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関は、認定推進計画に係る特定緊急対策事業の実施に関し、法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該特定緊急対策事業が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をするものとする。

3 前二項に定めるもののほか、内閣総理大臣、関係行政機関の長、認定地方公共団体、関係地方公共団体及び実施主体は、認定推進計画の円滑かつ確実な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 (地震防災対策推進協議会)

第五十三条 特定地方公共団体は、第四十六条第一項の規定により作成しようとする特定緊急対策事業推進計画並びに認定推進計画及びその実施に関し必要な事項について協議するため、地震防災対策推進協議会(以下この条において「地域協議会」という。)を組織することができる。

2 地域協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

 一 前項の特定地方公共団体

 二 特定緊急対策事業を実施し、又は実施すると見込まれる者

3 第一項の規定により地域協議会を組織する特定地方公共団体は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者のほか、地域協議会に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。

 一 当該特定地方公共団体が作成しようとする特定緊急対策事業推進計画又は認定推進計画及びその実施に関し密接な関係を有する者

 二 前号に掲げる者のほか、当該特定地方公共団体が必要と認める者

4 特定地方公共団体は、前項の規定により地域協議会の構成員を加えるに当たっては、地域協議会の構成員の構成が、当該特定地方公共団体が作成しようとする特定緊急対策事業推進計画又は認定推進計画及びその実施に関する多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。

5 次に掲げる者は、地域協議会が組織されていない場合にあっては、特定地方公共団体に対して、地域協議会を組織するよう要請することができる。

 一 特定緊急対策事業を実施し、又は実施しようとする者

 二 前号に掲げる者のほか、当該特定地方公共団体が作成しようとする特定緊急対策事業推進計画又は認定推進計画及びその実施に関し密接な関係を有する者

6 前項の規定による要請を受けた特定地方公共団体は、正当な理由がある場合を除き、当該要請に応じなければならない。

7 特定地方公共団体は、第一項の規定により地域協議会を組織したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。

8 第五項各号に掲げる者であって地域協議会の構成員でないものは、第一項の規定により地域協議会を組織する特定地方公共団体に対して、自己を地域協議会の構成員として加えるよう申し出ることができる。

9 前項の規定による申出を受けた特定地方公共団体は、正当な理由がある場合を除き、当該申出に応じなければならない。

10 第一項の協議を行うための会議において協議が調った事項については、地域協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

11 前各項に定めるもののほか、地域協議会の運営に関し必要な事項は、地域協議会が定める。

    第二節 認定推進計画に基づく事業に対する特別の措置

 (建築基準法の特例)

第五十四条 特定地方公共団体が、第四十六条第二項第四号に規定する特定緊急対策事業として、緊急防災建築物整備事業(特定緊急対策事業推進計画の区域内において避難施設その他の地震防災対策の円滑かつ迅速な推進のために必要な建築物の整備を促進する事業をいう。次項において同じ。)を定めた特定緊急対策事業推進計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該特定緊急対策事業推進計画に定められた建築物に対する建築基準法第四十八条第一項から第十二項まで(これらの規定を同法第八十七条第二項又は第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同法第四十八条第一項ただし書中「特定行政庁が」とあるのは「特定行政庁が、首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第五十四条第一項の認定を受けた同項に規定する特定緊急対策事業推進計画に定められた同条第二項に規定する基本方針(以下この条において「認定計画基本方針」という。)に適合すると認めて許可した場合その他」と、同項から同条第十項まで及び同条第十二項の規定のただし書の規定中「認め、」とあるのは「認めて許可した場合、」と、同条第二項から第十二項までの規定のただし書の規定中「特定行政庁が」とあるのは「特定行政庁が、認定計画基本方針に適合すると認めて許可した場合その他」とする。

2 前項の特定緊急対策事業推進計画には、第四十六条第二項第六号に掲げる事項として、当該特定緊急対策事業推進計画において定められた緊急防災建築物整備事業に係る建築物の整備に関する基本方針を定めるものとする。この場合において、当該基本方針は、当該特定緊急対策事業推進計画の区域内の用途地域(建築基準法第四十八条第十三項に規定する用途地域をいう。)の指定の目的に反することのないよう定めなければならない。

第五十五条 特定地方公共団体が、第四十六条第二項第四号に規定する特定緊急対策事業として、特別用途地区緊急防災建築物整備事業(建築基準法第四十九条第二項の規定に基づく条例で同法第四十八条第一項から第十二項までの規定による制限を緩和することにより、特定緊急対策事業推進計画の区域内の特別用途地区(都市計画法第八条第一項第二号に掲げる特別用途地区をいう。次項において同じ。)内において、避難施設その他の地震防災対策の円滑かつ迅速な推進のために必要な建築物の整備を促進する事業をいう。次項において同じ。)を定めた特定緊急対策事業推進計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定の日以後は、当該認定を受けた特定地方公共団体については、当該認定を建築基準法第四十九条第二項の承認とみなして、同項の規定を適用する。

2 前項の特定緊急対策事業推進計画には、第四十六条第二項第六号に掲げる事項として、当該特別用途地区緊急防災建築物整備事業に係る特別用途地区について建築基準法第四十九条第二項の規定に基づく条例で定めようとする同法第四十八条第一項から第十二項までの規定による制限の緩和の内容を定めるものとする。

 (補助金等交付財産の処分の制限に係る承認の手続の特例)

第五十六条 特定地方公共団体が、第四十六条第二項第四号に規定する特定緊急対策事業として、首都直下地震に係る地震防災対策の円滑かつ迅速な推進に資する事業の活動の基盤を充実するため、補助金等交付財産(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第二十二条に規定する財産をいう。)を当該補助金等交付財産に充てられた補助金等(同法第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の交付の目的以外の目的に使用し、譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供することにより行う事業を定めた特定緊急対策事業推進計画について、内閣総理大臣の認定を申請し、その認定を受けたときは、当該認定を受けたことをもって、同法第二十二条に規定する各省各庁の長の承認を受けたものとみなす。

 (防災街区整備事業の施行に伴う土地の使用)

第五十七条 特定地方公共団体は、認定推進計画に特定緊急対策事業として防災街区整備事業(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成九年法律第四十九号)第二条第五号に規定する防災街区整備事業をいう。以下この条及び第六十二条において同じ。)が定められた場合において、当該認定推進計画に基づく防災街区整備事業の実施に当たり、その施行に伴い延焼を防止し又は避難路を確保する上で支障となる建築物を除却し当該建築物の敷地を整備するため必要があるときは、当該建築物の除却及び敷地の整備に関する事業を土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第三条第三十五号に掲げる施設に関する事業に該当するものとみなして、同法に定めるところに従い、当該土地を使用することができる。

   第八章 雑則

 (監視区域の指定)

第五十八条 関係都県知事又はその全部若しくは一部の区域が緊急対策区域である指定都市(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市をいう。)の長は、緊急対策区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十七条の六第一項の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。

 (関係都県等に対する国の援助)

第五十九条 第十五条第一項、第二十八条第一項及び第五十二条第一項に定めるもののほか、国は、関係都県及び関係市町村に対し、首都直下地震に係る地震防災対策の実施に関し、当該地域の実情に応じ、情報の提供、技術的な助言その他必要な援助を行うよう努めなければならない。

 (首都直下地震に係る総合的な防災訓練の実施)

第六十条 緊急対策区域に係る災害対策基本法第二条第三号に規定する指定行政機関の長(当該指定行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該指定行政機関)及び関係都県知事は、必要に応じ、当該区域に係る関係市町村の長その他の者と連携して、首都直下地震に係る総合的な防災訓練を行わなければならない。

 (広域的な連携協力体制の構築)

第六十一条 国及び地方公共団体は、首都直下地震が発生した場合において、災害応急対策、災害復旧、災害廃棄物の処理その他の関係都県及び関係市町村の業務が円滑かつ適切に実施されるよう、関係都県及び関係市町村と関係都県及び関係市町村以外の地方公共団体その他の関係機関との広域的な連携協力体制の構築に努めなければならない。

2 国は、前項の広域的な連携協力体制の構築が推進されるよう、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (税制上の措置)

第六十二条 国は、緊急対策区域内における建築物の耐震化並びに道路等及び公園の整備、緊急対策区域内にある密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第二条第一号の密集市街地において行われる防災街区整備事業その他建築物の不燃化等に係る事業並びに第四十五条第一項の認定を受けた住民防災組織の活動を促進するために必要な税制上の措置を講ずるものとする。

 (権限の委任)

第六十三条 この法律に規定する農林水産大臣又は国土交通大臣の権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。

 (命令への委任)

第六十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、命令で定める。

 (経過措置)

第六十五条 この法律の規定に基づき命令又は条例を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ命令又は条例で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第七条及び第九条の規定は、公布の日から施行する。

 (適用)

第二条 第二十四条(別表第一及び別表第二を含む。)の規定は、平成二十四年度分の事業として実施される緊急対策事業等に係る国及び都県の負担金若しくは補助金又は交付金から適用し、平成二十三年度分の事業で翌年度に繰り越したものに係る国の負担金若しくは補助金又は交付金については、なお従前の例による。

 (平成二十四年度から平成二十六年度までの特例)

第三条 別表第一及び別表第二の規定の平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度における適用については、別表第一中「三分の二」とあるのは「四分の三」と、別表第二中「六分の一」とあるのは「八分の一」とする。

2 前項の規定は、平成二十四年度から平成二十六年度までの各年度分の事業として実施される緊急対策事業等に係る国及び都県の負担金若しくは補助金又は交付金並びに当該負担金若しくは補助金又は交付金で平成二十七年度以降の年度に繰り越されるものについて適用する。

 (検討)

第四条 政府は、この法律の施行状況、最新の科学的知見等を勘案し、首都直下地震に係る地震防災対策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (地方交付税法の一部改正等)

第五条 地方交付税法の一部を次のように改正する。

  附則第五条第一項の表に次の一号を加える。

十 首都直下地震に係る緊急対策のための地方債償還費

首都直下地震に係る緊急対策事業等に要する経費の財源に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債に係る元利償還金

千円につき  七〇〇

  附則第五条第二項の表に次の一号を加える。

十 首都直下地震に係る緊急対策事業等に要する経費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る元利償還金

首都直下地震に係る緊急対策事業等に要する経費の財源に充てるため発行について同意又は許可を得た地方債で首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第三十二条第二項の規定により総務大臣が指定したものに係る当該年度における元利償還金

千円

2 前項の規定による改正後の地方交付税法附則第五条の規定は、平成二十四年度分の地方交付税から適用する。

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第六条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  第二百一条第一項第一号ハ中「又は南海トラフ巨大地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第十九条第四項、第二十三条第四項若しくは第二十四条第四項」を「、南海トラフ巨大地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第十九条第四項、第二十三条第四項若しくは第二十四条第四項又は首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第三十六条第四項、第四十条第四項若しくは第四十一条第四項」に改め、同条第二項第一号ハ中「又は南海トラフ巨大地震対策特別措置法第二十一条第四項」を「、南海トラフ巨大地震対策特別措置法第二十一条第四項又は首都直下地震対策特別措置法第三十八条第四項」に改め、同条第三項第一号ハ中「又は南海トラフ巨大地震対策特別措置法第二十条第三項」を「、南海トラフ巨大地震対策特別措置法第二十条第三項又は首都直下地震対策特別措置法第三十七条第三項」に改める。

 (地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第七条 地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

  附則第十一条に次の一号を加える。

  二十九 首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)別表第一及び別表第二

  附則第十九条に次の一号を加える。

  四 首都直下地震対策特別措置法別表第一及び別表第二

 (内閣府設置法の一部改正)

第八条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項第十四号の六の次に次の一号を加える。

  十四の七 首都直下地震対策特別措置法(平成二十四年法律第▼▼▼号)第三条第一項に規定する首都直下地震緊急対策区域の指定に関すること、同法第八条第一項に規定する首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定に関すること、同法第九条第十項に規定する基盤整備等計画の認定に関すること、同法第二十六条第一項に規定する交付金の配分計画に関すること、同法第四十六条第八項に規定する特定緊急対策事業推進計画の認定に関すること並びに同法第九条第六項第一号に規定する基盤整備事業等、同法第二十二条第二項に規定する同条第一項の規定による交付金を充てて行う基盤整備事業等、同法第二十三条第三項第九号に規定する緊急対策事業等、同法第二十六条第三項に規定する緊急対策交付金事業等及び同法第四十六条第一項に規定する特定緊急対策事業に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。

 (政令への委任)

第九条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

別表第一(第二十四条関係)

事業の区分

国の負担割合

避難路の整備で地方公共団体その他の政令で定める者が実施するもの

三分の二

避難施設その他の避難場所の整備で地方公共団体その他の政令で定める者が実施するもの

三分の二

耐震性貯水槽、可搬式小型動力ポンプその他の政令で定める消防用施設の整備で地方公共団体が実施するもの

三分の二

児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する乳児院、障害児入所施設若しくは情緒障害児短期治療施設、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十八条第一項に規定する救護施設、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三に規定する養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十二項に規定する障害者支援施設(同条第七項に規定する生活介護又は同条第十三項に規定する自立訓練を行うものに限る。)のうち、木造の施設の改築

三分の二

公立の幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部、小学部若しくは中学部の校舎、屋内運動場又は寄宿舎で、地震による倒壊の危険性が高いもののうち、やむを得ない理由により補強が困難なものの改築

三分の二

公立の小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の校舎又は屋内運動場で、木造以外のものの補強(次項に掲げるものを除く。)

三分の二

公立の幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の幼稚部、小学部若しくは中学部の校舎、屋内運動場又は寄宿舎で、地震による倒壊の危険性が高いものの補強

三分の二

地震災害時において迅速かつ的確な被害状況の把握及び住民に対する災害情報の伝達を行うために必要な防災行政無線設備その他の政令で定める施設又は設備の整備で地方公共団体が実施するもの

三分の二

地震災害時における飲料水、電源等の確保等により被災者の安全を確保するために必要な井戸、貯水槽、水泳プール、自家発電設備その他の政令で定める施設又は設備の整備で地方公共団体が実施するもの

三分の二

地震災害時において必要となる非常用食糧、救助用資機材等の物資の備蓄倉庫の施設の整備で地方公共団体が実施するもの

三分の二

負傷者を一時的に収容及び保護するための救護設備等地震災害時における応急的な措置に必要な政令で定める設備又は資機材の整備で地方公共団体が実施するもの

三分の二

別表第二(第二十四条関係)

事業の区分

都県の負担割合

児童福祉法第七条第一項に規定する乳児院、障害児入所施設若しくは情緒障害児短期治療施設、生活保護法第三十八条第一項に規定する救護施設、老人福祉法第五条の三に規定する養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は障害者自立支援法第五条第十二項に規定する障害者支援施設(同条第七項に規定する生活介護又は同条第十三項に規定する自立訓練を行うものに限る。)のうち、木造の施設の改築

六分の一


     理 由

 首都直下地震に係る地震防災対策の推進を図り、もって首都直下地震が発生した場合において首都中枢機能の維持を図るとともに、首都直下地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、首都直下地震緊急対策区域の指定、首都直下地震に関する地震観測体制の整備、緊急対策推進基本計画の作成、行政中枢機能の維持に係る緊急対策実施計画の作成、首都中枢機能維持基盤整備等地区の指定並びに首都中枢機能維持基盤整備等計画の認定及び認定基盤整備等計画に係る特別の措置、地方緊急対策実施計画の作成及び地方緊急対策実施計画に係る特別の措置、特定緊急対策事業推進計画の認定及び認定推進計画に基づく事業に対する特別の措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、平年度約一千億円の見込みである。

衆議院
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