衆議院

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第一八二回

参第一号

   公職の選挙におけるインターネットの活用の促進を図るための公職選挙法の一部を改正する等の法律案

 (公職選挙法の一部改正)

第一条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第百四十二条の二の次に次の二条を加える。

  (ウェブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布)

 第百四十二条の三 第百四十二条第一項及び第四項の規定にかかわらず、何人も、ウェブサイト等を利用する方法(電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この条において同じ。)の送信(公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)により文書図画をその受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。以下この条において同じ。)の映像面に表示されるようにする方法(以下「インターネット等を利用する方法」という。)のうち、電子メール(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第一号に規定する電子メールをいう。第三項及び次条において同じ。)を利用する方法を除いたものをいう。第三項において同じ。)により、文書図画を、選挙運動のために頒布することができる。

 2 前項の規定により文書図画を選挙運動のために頒布する者が、選挙の期日の前日までに、文書図画をその文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させることができる状態に置いたときは、当該文書図画は、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、その状態に置いたままにすることができる。

 3 第一項の規定により文書図画を選挙運動のために頒布する者は、その頒布に当たつては、その者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号をいう。次条において同じ。)又はウェブサイト等を利用する方法によりその者に連絡をする際に必要となる情報として政令で定めるものが、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

  (電子メールを利用する方法による文書図画の頒布)

 第百四十二条の四 第百四十二条第一項及び第四項の規定にかかわらず、何人も、自らに対して自己の電子メールアドレスを通知した者に対し、電子メールを利用する方法(当該電子メールアドレスをその宛先として送信をすることによるものに限る。)により、文書図画を、選挙運動のために頒布することができる。ただし、その者から、電子メールの送信その他の方法により、当該電子メールアドレスをその宛先とする選挙運動用電子メール(文書図画を選挙運動のために頒布するために用いられる電子メールをいう。次項において同じ。)の送信をしないように求める旨の通知を受けたときは、この限りでない。

 2 前項の規定により文書図画を選挙運動のために頒布する者は、選挙運動用電子メールの送信に当たつては、当該文書図画に次に掲げる事項が正しく表示されるようにしなければならない。

  一 自己の氏名又は名称

  二 当該選挙運動用電子メールの受信をした者が電子メールの送信その他のインターネット等を利用する方法により前項ただし書の通知を行う際にその宛先となる電子メールアドレス又はこれに類する情報として政令で定めるもの

  第百四十七条の二の見出し中「あいさつ状」を「挨拶状」に改め、同条中「あいさつ状」を「挨拶状」に、「ものを含む」を「ものを含み、インターネット等を利用する方法により頒布するものを除く」に改める。

  第百五十二条の見出し中「あいさつ」を「挨拶」に改め、同条中「あいさつ」を「挨拶」に、「ものに」を「もの若しくはインターネット等を利用する方法により頒布される文書図画に」に改める。

  第百七十八条の見出し中「あいさつ行為」を「挨拶行為」に改め、同条中「あいさつする」を「挨拶する」に改め、同条第二号中「を頒布し又は掲示する」を「の頒布(インターネット等を利用する方法によるものを除く。)又は掲示をする」に改める。

  第百八十七条第一項中「及び」を「並びに」に改め、「による選挙運動」の下に「及びインターネット等を利用する方法による選挙運動(広告を有料で文書図画に掲載させることを除く。)」を加え、「外」を「ほか」に改め、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

  第二百一条の四第六項中「一に」を「いずれかに」に、「、掲示」を「、掲示し」に改め、同項に次の一号を加える。

  三 インターネット等を利用する方法により頒布される文書図画

  第二百一条の十三第一項ただし書中「上においてする場合」の下に「、第二号の文書図画への記載については、インターネット等を利用する方法により頒布する文書図画に記載する場合」を加え、「場合は」を「場合及びインターネット等を利用する方法によりする場合は」に改め、同項第二号中「掲示」を「掲示し」に改める。

  第二百三十五条の五中「又は電話」を「、電話又はインターネット等を利用する方法」に、「禁()  第二百四十四条第一項中「一に」を「いずれかに」に、「禁()  二の二 第百四十二条の四第二項の規定に違反して同項に規定する事項が表示されるようにしなかつた者

 (インターネットを利用する投票方法に関する検討)

第二条 政府は、情報化社会の一層の進展に鑑み、選挙人の利便の向上及びこれによる投票率の上昇並びに開票事務等の効率化及び迅速化を図るため公職の選挙に係るインターネットを利用する投票方法を導入するかどうかの判断に資するよう、当該投票方法を導入するとした場合に次に掲げる条件を満たすために講ぜられるべき技術上及び制度上の措置について、この法律の施行後一年以内に、検討を加え、その結果をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

 一 投票の秘密が侵されないこと。

 二 選挙人が一の選挙において二以上の投票を行うことを防止できること。

 三 選挙人が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の操作により公職の候補者(衆議院比例代表選出議員の選挙にあっては衆議院名簿届出政党等(公職選挙法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)、参議院比例代表選出議員の選挙にあっては公職の候補者たる参議院名簿登載者(同法第八十六条の三第一項の参議院名簿登載者をいう。)又は参議院名簿届出政党等(同項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)。第七号において同じ。)のいずれを選択したかを、投票の管理を行う機関に対して送信し、当該機関の電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。)に記録することが正確かつ確実にできること。

 四 投票をしようとする選挙人が本人であるかどうかの確認をすることができること及び当該確認に係る個人情報の保護のためのその適正な取扱いが確保されること。

 五 自宅その他の投票立会人のいない場所において選挙人がその自由な意思によって投票をする環境が確保されること。

 六 投票に係る情報システムについて不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)からの防御その他当該情報システムにおける情報の安全が確保されること。

 七 事故が発生した場合において、選挙人が公職の候補者のいずれを選択したかの記録が保護されること及び投票に係る情報システムが保全されること。

 八 その他選挙の公正かつ適正な執行を害しないこと。

2 前項の検討の結果が公表された場合において、必要があると認められるときは、所要の措置が講ぜられるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (適用区分)

2 第一条の規定による改正後の公職選挙法(以下「新法」という。)の規定(新法第百四十七条の二及び第百五十二条の規定を除く。)及び附則第五項の規定による改正後の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の規定は、この法律の施行の日以後初めてその期日を公示される衆議院議員の総選挙の期日の公示の日又はこの法律の施行の日以後初めてその期日を公示される参議院議員の通常選挙の期日の公示の日のうちいずれか早い日(以下この項において「公示日」という。)以後にその期日を公示され又は告示される選挙について適用し、公示日の前日までにその期日を公示され又は告示された選挙については、なお従前の例による。

 (通知に関する経過措置)

3 新法第百四十二条の四第一項本文の通知には、この法律の施行前にされたものを含むものとする。

 (罰則に関する経過措置)

4 この法律の施行前にした行為及び附則第二項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部改正)

5 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を次のように改正する。

  第三条第二項第二号中「情報(以下」の下に「この号及び第五条において」を加える。

  第四条を第五条とし、第三条の次に次の一条を加える。

  (公職の候補者等に係る特例)

 第四条 前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に選挙運動又は当選を得させないための活動のために頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。

  一 特定電気通信による情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。以下同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨及び名誉が侵害されたとする理由(以下「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

  二 特定電気通信による情報の流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び公職選挙法第百四十二条の三第三項の規定に違反して同項に規定する事項が表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、同項に規定する事項が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。


     理 由

 近時におけるインターネットの普及に鑑み、公職の選挙におけるインターネットの活用の促進を図るため、インターネット等を利用する方法により文書図画を選挙運動のために頒布することができること等とするとともに、公職の選挙に係るインターネットを利用する投票方法に関する検討を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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