第一八三回
衆第九号
日本銀行法の一部を改正する法律案
日本銀行法(平成九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「通貨及び金融の調節を行う」を「雇用及び名目経済成長率に配慮しつつ物価の安定を図るため通貨及び金融の調節を行い、もって国民経済の健全な発展に資する」に改める。
第二条を次のように改める。
第二条 削除
第三条第一項中「調節」の下に「(次条第二項の物価変動目標の設定を除く。)」を加える。
第四条の見出しを「(政府との関係等)」に改め、同条に次の三項を加える。
2 日本銀行は、物価の変動に係る目標及びその達成の時期(以下「物価変動目標」という。)並びに当該物価変動目標に基づき日本銀行の果たすべき機能及び責務等を定める協定(以下単に「協定」という。)を政府との間で締結するものとする。
3 協定には、日本銀行が行う通貨及び金融の調節に関し、雇用に関する事項及び名目経済成長率に関する事項を併せて定めることができる。
4 日本銀行は、協定で定めるところにより、物価変動目標の達成状況その他の協定の実施状況について、政府に対し説明をしなければならない。
第十五条第一項中第六号を第七号とし、第一号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、同項に第一号として次の一号を加える。
一 協定において定める事項
第十五条第二項第十三号中「第五十四条第一項」を「第五十四条第二項の規定による報告の内容の決定、同条第三項」に改める。
第二十五条の見出しを「(役員の解任)」に改め、同条第一項各号列記以外の部分を次のように改める。
内閣又は財務大臣は、日本銀行の役員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該役員を解任しなければならない。
第二十五条第一項第三号中「禁錮2 前項の規定によるほか、内閣又は財務大臣は、日本銀行の役員が職務上の義務に違反したときその他日本銀行の役員たるに適しないと認めるときは、委員会の意見を聴いて、当該役員を解任することができる。この場合において、総裁、副総裁又は審議委員を解任しようとするときは、内閣は、委員会の意見を聴いた後、両議院の同意を得なければならない。
3 物価変動目標を達成することができなかった場合でも、日本銀行からその合理的な理由について説明があったときは、前項の規定の適用はないものとする。
第四十条第一項中「日本銀行は、」の下に「通貨及び金融の調節のためその他」を加える。
第五十四条中第三項を第五項とし、第二項を第四項とし、第一項を第三項とし、同条に第一項及び第二項として次の二項を加える。
日本銀行は、協定を締結したときは、速やかに、その内容を財務大臣を経由して国会に報告しなければならない。
2 日本銀行は、物価変動目標の達成状況その他の協定の実施状況について、国会に対し、財務大臣を経由して報告するとともに、説明をしなければならない。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。
(健康保険法等の一部改正)
2 次に掲げる法律の規定中「第十五条第一項第一号」を「第十五条第一項第二号」に改める。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)附則第九条
二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)附則第十条
三 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第三条の二第一項及び第三条の二の二
四 地方税法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第三号)第一条中地方税法附則第三条の二第一項の改正規定
五 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)附則第三十五項
六 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)附則第三項
七 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)附則第十七条の十四
八 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九十三条第一項
九 所得税法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第五号)第八条中租税特別措置法第九十三条第一項の改正規定
十 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)附則第二十条の九第五項
十一 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)附則第九条の二の五
十二 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)附則第三十四条の二
十三 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)附則第十二条
十四 独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)附則第三条の二
理 由
最近の厳しい経済情勢等を踏まえ、日本銀行の目的に雇用及び名目経済成長率に配慮しつつ物価の安定を図るため通貨及び金融の調節を行うことを明記するとともに、物価変動目標等について日本銀行と政府との間で締結する協定及び物価変動目標の達成状況等についての日本銀行による説明に関する規定を定め、並びに日本銀行の役員の解任に関する規定を整備するほか、日本銀行が通貨及び金融の調節のため自ら外国為替の売買を行うことができることを明記する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。