衆議院

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第一八三回

衆第二五号

   教育委員会制度を廃止する等のための地方自治法等の一部を改正する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、地方教育行政をめぐる現状に鑑み、教育委員会制度を廃止して地方公共団体における教育に関する事務の管理執行を地方公共団体の長に一元的に担わせるとともに、指導主事を廃止すること等により主として指導及び助言に基づいて行われてきた地方教育行政の運営の在り方を抜本的に改めることを通じて地方教育行政における責任を負うべき主体の明確化を図り、もって地方教育行政における責任体制を確立するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)等の一部改正について定めるものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第二条 地方自治法の一部を次のように改正する。

  地方自治法目次中「第二款 教育委員会」を「第二款 削除」に改める。

  第十三条第三項を削る。

  第七十五条第三項中「教育委員会、」を削る。

  第九十八条第一項中「、教育委員会」を削る。

  第百二十一条第一項中「、教育委員会の委員長」を削る。

  第百二十五条中「、教育委員会」を削る。

  第百六十七条の次に次の二条を加える。

 第百六十七条の二 普通地方公共団体に、別に法律で定めるところにより、教育部局の長(地方公務員法第三条第三項第一号の二に掲げる職を占める者をいい、いかなる名称であるかを問わない。次条において同じ。)を置く。

 第百六十七条の三 教育部局の長は、別に法律で定めるところにより、普通地方公共団体の長の指揮監督の下に、当該普通地方公共団体における教育、学術及び文化に関する事務をつかさどる。

  第百七十二条第一項中「前十一条」を「第百六十一条から前条まで」に改める。

  第百八十条の五第一項中「左の通り」を「次のとおり」に改め、同項第一号を次のように改める。

  一 削除

  第二編第七章第三節第二款を次のように改める。

      第二款 削除

 第百八十条の八 削除

  第百九十九条第九項中「教育委員会、」を削り、同条第十二項中「、教育委員会」を削る。

  第二百四十五条の五第二項第一号中「教育委員会及び」及び「次号及び」を削り、同項第二号を次のように改める。

  二 削除

  第二百四十五条の六第一号中「教育委員会及び」を削り、同条第二号を次のように改める。

  二 削除

  第二百四十五条の七第二項第一号中「教育委員会及び」を削り、同項第二号を次のように改める。

  二 削除

  第二百四十五条の九第二項第一号中「教育委員会及び」を削り、同項第二号を次のように改める。

  二 削除

  第二百五十二条の三十七第五項中「教育委員会、」を削る。

  第二百五十二条の三十八第四項中「教育委員会、」を削り、同条第六項中「、教育委員会」を削る。

  第二百五十二条の三十九第十二項中「教育委員会、」を削る。

  第二百五十五条の二第二号中「教育委員会及び」を削り、同項第三号を次のように改める。

  三 削除

  別表第一地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)の項中「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を「地方教育行政の運営に関する法律」に、「第四十八条第一項(第五十四条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により処理することとされている事務(市町村が処理する事務が自治事務又は第二号法定受託事務である場合においては、第四十八条第三項(第五十四条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する文部科学大臣の指示を受けて行うものに限る。)、第五十三条第二項(第五十四条の二の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」を「第三十五条第二項」に改め、「、第六十条第五項の規定により処理することとされている事務(都道府県委員会の意見を聴くことに係るものに限る。)並びに第五十五条第九項(同条第十項により読み替えて適用する場合並びに第六十条第七項において準用する場合及び同条第九項において読み替えて準用する場合を含む。)において準用する地方自治法第二百五十二条の十七の三第二項及び第三項並びに第二百五十二条の十七の四第一項及び第三項の規定により処理することとされている事務」を削る。

 (地方公務員法の一部改正)

第三条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項第一号の二を同項第一号の三とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 教育、学術及び文化に関する事務を担当する部局の長の職

  第六条第一項中「、教育委員会」を削る。

 (地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正)

第四条 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  題名を次のように改める。

    地方教育行政の運営に関する法律

  目次を次のように改める。

 目次

  第一章 総則(第一条・第二条)

  第二章 教育部局の長(第三条−第八条)

  第三章 教育機関

   第一節 通則(第九条−第十五条)

   第二節 市町村立学校の教職員(第十六条−第二十九条)

   第三節 学校運営協議会(第三十条)

  第四章 文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係等(第三十一条−第三十七条)

  第五章 雑則(第三十八条−第四十四条)

  附則

  本則を次のように改める。

    第一章 総則

  (趣旨)

 第一条 この法律は、教育部局の長(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三条第三項第一号の二に掲げる職を占める者をいい、いかなる名称であるかを問わない。以下同じ。)の設置、学校その他の教育機関の職員の身分取扱いその他地方公共団体における教育行政の運営の基本を定めることを目的とする。

  (基本理念)

 第二条 地方公共団体における教育行政は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の趣旨にのつとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

    第二章 教育部局の長

  (設置)

 第三条 都道府県、市(特別区を含む。以下同じ。)町村並びに教育、学術及び文化(以下単に「教育」という。)に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合に教育部局の長を置く。

  (任命等)

 第四条 教育部局の長は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者で、人格が高潔で、教育に関し専門的知識及び経験並びに熱意及び高い識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、任命する。

 2 次の各号のいずれかに該当する者は、教育部局の長となることができない。

  一 破産者で復権を得ない者

  二 禁錮以上の刑に処せられた者

 3 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百四十一条及び第百六十六条第一項の規定は、教育部局の長について準用する。

  (任期)

 第五条 教育部局の長の任期は、四年とする。ただし、地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。

 2 教育部局の長は、再任されることができる。

  (失職)

 第六条 教育部局の長は、次のいずれかに該当する場合においては、その職を失う。

  一 第四条第二項各号のいずれかに該当するに至つた場合

  二 前号に掲げる場合のほか、当該地方公共団体の長の被選挙権を有する者でなくなつた場合

 2 地方自治法第百四十三条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、前項第二号に掲げる場合における地方公共団体の長の被選挙権の有無の決定及びその決定に関する争訟について準用する。

  (退職)

 第七条 教育部局の長は、その退職しようとする日前二十日までに、当該地方公共団体の長に申し出なければならない。ただし、当該地方公共団体の長の承認を得たときは、その期日前に退職することができる。

  (職務等)

 第八条 教育部局の長は、地方公共団体の長の指揮監督の下に、次条に規定する学校(大学を除く。以下この項、第十一条から第十三条まで及び第三十条第一項において同じ。)その他の教育機関の管理に関する事務、当該学校の組織編制、教育課程、教科書その他の教材の取扱い及び教職員の身分取扱いに関する事務並びに社会教育その他教育に関する事務をつかさどる。

 2 教育部局の長は、前項に定めるもののほか、地方公共団体の長の指揮監督の下に、大学に関する事務及び私立学校に関する事務をつかさどる。

 3 教育部局の長は、教育基本法及び学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する教育の目的及びこれを実現するための目標が十分に達成されるようにすることを旨として、その職務に従事するものとする。

 4 地方自治法第百五十九条並びに地方公務員法第三十条から第三十七条まで及び第三十八条第一項の規定は、教育部局の長について準用する。

    第三章 教育機関

     第一節 通則

  (教育機関の設置)

 第九条 地方公共団体は、法律で定めるところにより、学校(学校教育法第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)、図書館、博物館、公民館その他の教育機関を設置するほか、条例で、教育に関する専門的、技術的事項の研究又は教育関係職員の研修、保健若しくは福利厚生に関する施設その他の必要な教育機関を設置することができる。

  (教育機関の職員)

 第十条 前条に規定する学校に、法律で定めるところにより、学長、校長、園長、教員(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二条第二項に規定する教員をいう。以下同じ。)、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。

 2 前条に規定する学校以外の教育機関に、法律又は条例で定めるところにより、事務職員、技術職員その他の所要の職員を置く。

 3 前二項に規定する職員の定数は、この法律に特別の定めがある場合を除き、当該地方公共団体の条例で定めなければならない。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。

  (学校等の管理運営に関する規則)

 第十一条 地方公共団体の長は、法令又は条例に違反しない限度において、当該地方公共団体の設置する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱いその他当該学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な規則を定めるものとする。

 2 前項の場合において、地方公共団体の長は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、地方公共団体の長に届け出させ、又は地方公共団体の長の承認を受けさせることとする定めを設けるものとする。

  (学校の管理)

 第十二条 地方公共団体の長は、地方自治法第百五十三条第一項の規定により、当該地方公共団体の設置する学校の教育課程の管理、施設及び設備の管理、教職員の職務上の監督その他当該学校の管理運営に関する事務を当該学校の校長(園長を含む。以下この条において同じ。)に委任するものとする。

 2 地方公共団体の長は、教育に関する事務を執行するに当たり、次に掲げる場合には、当該地方公共団体の設置する学校の校長に対し、その職務に関し必要な命令をするものとする。

  一 当該学校の教職員に対し、法令、条例又は当該地方公共団体の規則の遵守を求める場合

  二 当該学校の教職員に対し、当該地方公共団体の教育振興基本計画(教育基本法第十七条第二項の規定により地方公共団体が定める当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画をいう。)に定める施策の実施を求める場合

 3 地方公共団体の長は、当該地方公共団体の設置する学校における次に掲げる事態への対処に当たり必要があると認めるときは、第一項の委任を解除するとともに、教育部局の長若しくは当該地方公共団体の長が指定する職員に当該学校の校長を指揮監督させ、又は当該学校の校長以外の教職員を直接指揮監督させることができる。

  一 児童、生徒等の教育を受ける権利を保護する必要がある事態

  二 児童、生徒等の生命又は身体を保護する必要がある事態

  三 児童、生徒等の生命又は身体に重大な被害が生じた事態

  四 前三号に掲げるもののほか、当該学校において緊急に対処しなければならない事態として当該地方公共団体の規則で定める事態

  (教育機関の職員の任命)

 第十三条 地方公共団体の設置する学校その他の教育機関の校長、園長、教員、事務職員、技術職員その他の職員は、この法律に特別の定めがある場合を除き、教育部局の長の推薦により、当該地方公共団体の長が任命する。

  (職員の身分取扱い)

 第十四条 第十条第一項又は第二項に規定する職員の任免、給与、懲戒、服務その他の身分取扱いに関する事項は、この法律及び他の法律に特別の定めがある場合を除き、地方公務員法の定めるところによる。

  (所属職員の進退に関する意見の申出)

 第十五条 地方公共団体の設置する学校その他の教育機関の長は、この法律及び教育公務員特例法に特別の定めがある場合を除き、その所属の職員の任免その他の進退に関する意見を任命権者に対して申し出ることができる。この場合において、大学附置の学校の校長にあつては、学長を経由するものとする。

     第二節 市町村立学校の教職員

  (任命権者)

 第十六条 市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員(以下「県費負担教職員」という。)の任命権は、都道府県知事に属する。

  (市町村長の内申)

 第十七条 都道府県知事は、市町村長の内申を待つて、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする。

 2 前項の規定にかかわらず、都道府県知事は、同項の内申が県費負担教職員の転任に係るものであるときは、当該内申に基づき、その転任を行うものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

  一 都道府県内の教職員の適正な配置と円滑な交流の観点から、一の市町村における県費負担教職員の標準的な在職期間その他の都道府県知事が定める県費負担教職員の任用に関する基準に従い、一の市町村の県費負担教職員を免職し、引き続いて当該都道府県内の他の市町村の県費負担教職員に採用する必要がある場合

  二 前号に掲げる場合のほか、やむを得ない事情により当該内申に係る転任を行うことが困難である場合

 3 市町村長は、当該市町村の教育部局の長の助言により、前二項の内申を行うものとする。

 4 市町村長は、次条の規定による校長の意見の申出があつた県費負担教職員について第一項又は第二項の内申を行うときは、当該校長の意見を付するものとする。

  (校長の所属教職員の進退に関する意見の申出)

 第十八条 市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する学校の校長は、所属の県費負担教職員の任免その他の進退に関する意見を市町村長に申し出ることができる。

  (県費負担教職員の任用等)

 第十九条 第十六条の場合において、都道府県知事(この条に掲げる一の市町村に係る県費負担教職員の免職に関する事務を行う者及びこの条に掲げる他の市町村に係る県費負担教職員の採用に関する事務を行う者の一方又は双方が第三十九条第一項若しくは第四十二条第一項又は地方自治法第二百五十二条の十七の二第一項の規定により当該事務を行うこととされた市町村長である場合にあつては、当該一の市町村に係る県費負担教職員の免職に関する事務を行う市町村長及び当該他の市町村に係る県費負担教職員の採用に関する事務を行う市町村長)は、地方公務員法第二十七条第二項及び第二十八条第一項の規定にかかわらず、一の市町村の県費負担教職員(非常勤の講師(同法第二十八条の五第一項に規定する短時間勤務の職を占める者を除く。以下同じ。)を除く。以下この条、第二十一条、第二十二条第三項、第二十三条、第二十四条第一項、第二十五条、第二十六条、第三十九条第二項、第四十条及び第四十二条第二項において同じ。)を免職し、引き続いて当該都道府県内の他の市町村の県費負担教職員に採用することができるものとする。この場合において、当該県費負担教職員が当該免職された市町村において同法第二十二条第一項(教育公務員特例法第十二条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により正式任用になつていた者であるときは、当該県費負担教職員の当該他の市町村における採用については、地方公務員法第二十二条第一項の規定は、適用しない。

  (県費負担教職員の定数)

 第二十条 県費負担教職員の定数は、都道府県の条例で定める。ただし、臨時又は非常勤の職員については、この限りでない。

 2 県費負担教職員の市町村別の学校の種類ごとの定数は、前項の規定により定められた定数の範囲内で、都道府県知事が、当該市町村における児童又は生徒の実態、当該市町村が設置する学校の学級編制に係る事情等を総合的に勘案して定める。

 3 前項の場合において、都道府県知事は、あらかじめ、市町村長の意見を聴き、その意見を十分に尊重しなければならない。

  (県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件)

 第二十一条 県費負担教職員の給与、勤務時間その他の勤務条件については、地方公務員法第二十四条第六項の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。

  (服務の監督)

 第二十二条 市町村長は、県費負担教職員の服務を監督する。

 2 県費負担教職員は、その職務を遂行するに当たつて、法令、当該市町村の条例及び規則(前条又は次項の規定によつて都道府県が制定する条例を含む。)に従い、かつ、市町村長その他職務上の上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。

 3 県費負担教職員の任免、分限又は懲戒に関して、地方公務員法の規定により条例で定めるものとされている事項は、都道府県の条例で定める。

 4 都道府県知事は、県費負担教職員の任免その他の進退を適切に行うため、市町村長の行う県費負担教職員の服務の監督又は前条、前項若しくは第二十八条第一項の規定により都道府県が制定する条例若しくは同条第二項の都道府県の定めの実施について、技術的な基準を設けることができる。

  (職階制)

 第二十三条 県費負担教職員の職階制は、地方公務員法第二十三条第一項の規定にかかわらず、都道府県内の県費負担教職員を通じて都道府県が採用するものとし、職階制に関する計画は、都道府県の条例で定める。

  (研修)

 第二十四条 県費負担教職員の研修は、地方公務員法第三十九条第二項の規定にかかわらず、市町村長も行うことができる。

 2 市町村長は、都道府県知事が行う県費負担教職員の研修に協力しなければならない。

  (勤務成績の評定)

 第二十五条 県費負担教職員の勤務成績の評定は、地方公務員法第四十条第一項の規定にかかわらず、都道府県知事の計画の下に、市町村長が行うものとする。

  (地方公務員法の適用の特例)

 第二十六条 この法律に特別の定めがあるもののほか、県費負担教職員に対して地方公務員法を適用する場合においては、同法中次の表の上欄に掲げる規定の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

規  定

読み替えられる字句

読み替える字句

第十六条各号列記以外の部分

職員

職員(第三号の場合にあつては、都道府県知事又は地方教育行政の運営に関する法律第三十九条第一項若しくは第四十二条第一項又は地方自治法第二百五十二条の十七の二第一項の規定により地方教育行政の運営に関する法律第十六条に規定する県費負担教職員の任用に関する事務を行うこととされた市町村長の任命に係る職員及び懲戒免職の処分を受けた当時属していた地方公共団体の職員)

第十六条第三号

当該地方公共団体において

都道府県知事(地方教育行政の運営に関する法律第三十九条第一項若しくは第四十二条第一項又は地方自治法第二百五十二条の十七の二第一項の規定により地方教育行政の運営に関する法律第十六条に規定する県費負担教職員の懲戒に関する事務を行うこととされた市町村長を含む。)により

第二十六条の二第一項及び第二十六条の三第一項

任命権者

市町村長

第二十八条の四第一項

当該地方公共団体

市町村

 

常時勤務を要する職

当該市町村を包括する都道府県の区域内の市町村の常時勤務を要する職

第二十八条の五第一項

当該地方公共団体

市町村

 

短時間勤務の職(

当該市町村を包括する都道府県の区域内の市町村の短時間勤務の職(

第二十九条第一項第一号

この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律

この法律、第五十七条に規定する特例を定めた法律若しくは地方教育行政の運営に関する法律

第三十四条第二項

任命権者

市町村長

第三十七条

地方公共団体

都道府県及び市町村

第三十八条

任命権者

市町村長

 2 前項に定めるもののほか、県費負担教職員に対して地方公務員法の規定を適用する場合における技術的読替えは、政令で定める。

  (県費負担教職員の免職及び都道府県の職への採用)

 第二十七条 都道府県知事は、地方公務員法第二十七条第二項及び第二十八条第一項の規定にかかわらず、その任命に係る市町村の県費負担教職員(教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭及び養護助教諭(同法第二十八条の四第一項又は第二十八条の五第一項の規定により採用された者(以下この項において「再任用職員」という。)を除く。)並びに講師(再任用職員及び非常勤の講師を除く。)に限る。)で次の各号のいずれにも該当するもの(同法第二十八条第一項各号又は第二項各号のいずれかに該当する者を除く。)を免職し、引き続いて当該都道府県の常時勤務を要する職(校長、園長及び教員の職を除く。)に採用することができる。

  一 児童又は生徒に対する指導が不適切であること。

  二 研修等必要な措置が講じられたとしてもなお児童又は生徒に対する指導を適切に行うことができないと認められること。

 2 事実の確認の方法その他前項の県費負担教職員が同項各号に該当するかどうかを判断するための手続に関し必要な事項は、都道府県の規則で定めるものとする。

 3 都道府県知事は、第一項の規定による採用に当たつては、公務の能率的な運営を確保する見地から、同項の県費負担教職員の適性、知識等について十分に考慮するものとする。

 4 第十九条後段の規定は、第一項の場合について準用する。この場合において、同条後段中「当該他の市町村」とあるのは、「当該都道府県」と読み替えるものとする。

  (県費負担教職員のうち非常勤講師の報酬等及び身分取扱い)

 第二十八条 県費負担教職員のうち非常勤の講師の報酬及び職務を行うために要する費用の弁償の額並びにその支給方法については、都道府県の条例で定める。

 2 この章に規定するもののほか、県費負担教職員のうち非常勤の講師の身分取扱いについては、都道府県の定めの適用があるものとする。

  (初任者研修に係る非常勤講師の派遣)

 第二十九条 市(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)を除く。以下この条において同じ。)町村の長は、都道府県知事が教育公務員特例法第二十三条第一項の初任者研修を実施する場合において、市町村の設置する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校(後期課程に定時制の課程(学校教育法第四条第一項に規定する定時制の課程をいう。以下同じ。)のみを置くものに限る。)又は特別支援学校に非常勤の講師(高等学校にあつては、定時制の課程の授業を担任する非常勤の講師に限る。)を勤務させる必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該都道府県の非常勤の職員の派遣を求めることができる。

 2 前項の規定による求めに応じて派遣される職員(第四項において「派遣職員」という。)は、派遣を受けた市町村の職員の身分を併せ有することとなるものとし、その報酬及び職務を行うために要する費用の弁償は、当該職員の派遣をした都道府県の負担とする。

 3 市町村の長は、第一項の規定に基づき派遣された非常勤の講師の服務を監督する。

 4 前項に規定するもののほか、派遣職員の身分取扱いに関しては、当該職員の派遣をした都道府県の非常勤の講師に関する定めの適用があるものとする。

     第三節 学校運営協議会

 第三十条 地方公共団体の長は、当該地方公共団体の規則で定めるところにより、当該地方公共団体の設置する学校のうちその指定する学校(以下この条において「指定学校」という。)の運営に関して協議する機関として、当該指定学校ごとに、学校運営協議会を置くことができる。

 2 学校運営協議会の委員は、当該指定学校の所在する地域の住民、当該指定学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者(親権を行う者及び未成年後見人をいう。)その他地方公共団体の長が必要と認める者について、地方公共団体の長が任命する。

 3 指定学校の校長は、当該指定学校の運営に関して、教育課程の編成その他地方公共団体の規則で定める事項について基本的な方針を作成し、当該指定学校の学校運営協議会の承認を得なければならない。

 4 学校運営協議会は、当該指定学校の運営に関する事項(次項に規定する事項を除く。)について、地方公共団体の長又は校長に対して、意見を述べることができる。

 5 学校運営協議会は、当該指定学校の職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者に対して意見を述べることができる。この場合において、当該職員が県費負担教職員(第三十九条第一項若しくは第四十二条第一項又は地方自治法第二百五十二条の十七の二第一項の規定により市町村長がその任用に関する事務を行う職員を除く。)であるときは、市町村長を経由するものとする。

 6 指定学校の職員の任命権者は、当該職員の任用に当たつては、前項の規定により述べられた意見を尊重するものとする。

 7 地方公共団体の長は、学校運営協議会の運営が著しく適正を欠くことにより、当該指定学校の運営に現に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合においては、その指定を取り消さなければならない。

 8 指定学校の指定及び指定の取消しの手続、指定の期間、学校運営協議会の委員の任免の手続及び任期、学校運営協議会の議事の手続その他学校運営協議会の運営に関し必要な事項については、地方公共団体の規則で定める。

    第四章 文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係等

  (是正の要求の方式)

 第三十一条 文部科学大臣は、地方公共団体の長の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の教育を受ける機会が妨げられていることその他の教育を受ける権利が侵害されていることが明らかであるとして地方自治法第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による求め又は同条第二項の指示を行うときは、当該地方公共団体の長が講ずべき措置の内容を示して行うものとする。

  (文部科学大臣の指示)

 第三十二条 文部科学大臣は、地方公共団体の長の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合又は当該事務の管理及び執行を怠るものがある場合において、児童、生徒等の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときは、当該地方公共団体の長に対し、当該違反を是正し、又は当該怠る事務の管理及び執行を改めるべきことを指示することができる。ただし、他の措置によつては、その是正を図ることが困難である場合に限る。

  (文部科学大臣の通知)

 第三十三条 文部科学大臣は、第三十一条に規定する求め若しくは指示又は前条の規定による指示を行つたときは、遅滞なく、当該地方公共団体(第三十一条に規定する指示を行つたときにあつては、当該指示に係る市町村)の議会に対して、その旨を通知するものとする。

  (文部科学大臣及び地方公共団体の長相互間の関係)

 第三十四条 文部科学大臣は都道府県知事又は市町村長相互の間の、都道府県知事は市町村長相互の間の連絡調整を図り、並びに地方公共団体の長は、相互の間の連絡を密にし、及び文部科学大臣又は他の地方公共団体の長と協力し、教職員の適正な配置と円滑な交流及び教職員の勤務能率の増進を図り、もつてそれぞれその所掌する教育に関する事務の適正な執行と管理に努めなければならない。

  (調査)

 第三十五条 文部科学大臣又は都道府県知事は、前条の規定による権限を行うため必要があるときは、地方公共団体の長が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査を行うことができる。

 2 文部科学大臣は、前項の調査に関し、都道府県知事に対し、市町村長が管理し、及び執行する教育に関する事務について、その特に指定する事項の調査を行うよう指示をすることができる。

  (資料及び報告)

 第三十六条 教育行政機関は、的確な調査、統計その他の資料に基づいて、その所掌する事務の適切かつ合理的な処理に努めなければならない。

 2 文部科学大臣は地方公共団体の長に対し、都道府県知事は市町村長に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができる。

  (市町村の教育行政の体制の整備及び充実)

 第三十七条 市町村は、近隣の市町村と協力して地域における教育の振興を図るため、地方自治法第二百五十二条の七第一項の規定による教育に関する事務を担当する内部組織の共同設置その他の連携を進め、地域における教育行政の体制の整備及び充実に努めるものとする。

    第五章 雑則

  (保健所との関係)

 第三十八条 保健所を設置する地方公共団体以外の地方公共団体の長は、健康診断その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、保健所を設置する地方公共団体の長に対し、保健所の協力を求めるものとする。

 2 保健所は、学校の環境衛生の維持、保健衛生に関する資料の提供その他学校における保健に関し、政令で定めるところにより、その所管区域内にある学校を設置する地方公共団体の長(当該保健所を設置する地方公共団体の長を除く。)に対し、助言と援助を与えるものとする。

  (指定都市に関する特例)

 第三十九条 指定都市の県費負担教職員の任免、給与(非常勤の講師にあつては、報酬及び職務を行うために要する費用の弁償の額)の決定、休職及び懲戒に関する事務は、第十六条の規定にかかわらず、当該指定都市の長が行う。

 2 指定都市の県費負担教職員の研修は、第二十四条、教育公務員特例法第二十一条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第二十五条及び第二十五条の二の規定にかかわらず、当該指定都市の長が行う。

  (中核市に関する特例)

 第四十条 地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)の県費負担教職員の研修は、第二十四条、教育公務員特例法第二十一条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第二十五条及び第二十五条の二の規定にかかわらず、当該中核市の長が行う。

  (組合に関する特例)

 第四十一条 地方公共団体が教育に関する事務の全部を処理する組合を設ける場合においては、当該組合を組織する地方公共団体には教育部局の長を置かず、当該組合に教育部局の長を置くものとする。

 2 総務大臣は、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置について、地方自治法第二百八十四条第二項又は第三項の許可の処分をする前に、文部科学大臣の意見を聴かなければならない。

 3 教育に関する事務の一部を処理する地方公共団体の組合に置かれる教育部局の長は、第四条第三項において準用する地方自治法第百四十一条第二項の規定にかかわらず、その組合を組織する地方公共団体の教育部局の長と兼ねることができる。

 4 前三項に定めるもののほか、教育に関する事務の全部又は一部を処理する地方公共団体の組合の設置、解散その他の事項については、地方自治法第三編第三章の規定によるほか、政令で特別の定めをすることができる。

  (中等教育学校を設置する市町村に関する特例)

 第四十二条 市(指定都市を除く。以下この項において同じ。)町村の設置する中等教育学校(後期課程に定時制の課程のみを置くものを除く。次項において同じ。)の県費負担教職員の任免、給与(非常勤の講師にあつては、報酬及び職務を行うために要する費用の弁償の額)の決定、休職及び懲戒に関する事務は、第十六条の規定にかかわらず、当該市町村の長が行う。

 2 市(指定都市及び中核市を除く。以下この項において同じ。)町村が設置する中等教育学校の県費負担教職員の研修は、第二十四条、教育公務員特例法第二十一条第二項、第二十三条第一項、第二十四条第一項及び第二十五条の規定にかかわらず、当該市町村の長が行う。

  (政令への委任)

 第四十三条 この法律に定めるもののほか、市町村の廃置分合があつた場合及び指定都市の指定があつた場合におけるこの法律の規定の適用の特例その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

  (事務の区分)

 第四十四条 都道府県が第三十五条第二項の規定により処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

  附則第三条の前の見出し及び同条から附則第十八条までを削り、附則第十九条を附則第三条とする。

  附則第二十条から第二十四条までを削る。

  附則第二十五条中「第四十七条第一項」を「第二十六条第一項」に改め、同条を附則第四条とする。

  附則第二十六条中「第五十九条」を「第四十条」に、「教育委員会」を「知事」に改め、同条を附則第五条とする。

  附則第二十七条中「第五十九条」を「第四十条」に、「教育委員会」を「知事」に改め、同条を附則第六条とし、附則第二十八条を附則第七条とする。

 (教育基本法の一部改正)

第五条 教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。

  第十七条第二項中「参酌し」の下に「、その議会の議決を経て」を加え、「定めるよう努めなければならない」を「定めなければならない」に改め、同条に次の二項を加える。

 3 地方公共団体の長は、前項の計画の案を作成しようとするときは、必要に応じ、教育に関し高い識見を有する者の意見を聴くものとする。

 4 地方公共団体の長は、毎年度、第二項の計画の進捗状況について、その議会に報告しなければならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成二十六年四月一日から施行する。

 (経過措置等)

2 この法律の施行に伴い必要な経過措置及び関係法律の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 地方教育行政をめぐる現状に鑑み、地方教育行政における責任体制を確立するため、教育委員会制度を廃止して地方公共団体における教育に関する事務の管理執行を地方公共団体の長に一元的に担わせるとともに、指導主事を廃止すること等により主として指導及び助言に基づいて行われてきた地方教育行政の運営の在り方を抜本的に改めることを通じて地方教育行政における責任を負うべき主体の明確化を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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