衆議院

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第一八三回

衆第四七号

   刑事訴訟法の一部を改正する法律案

 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

 第百九十八条の次に次の二条を加える。

第百九十八条の二 前条第一項の取調べに際しては、取調べの適正を確保するとともに自白が行われた状況の後の刑事手続における立証等に資するため、後の刑事手続において第三百十九条第一項又は第三百二十二条第一項ただし書の適用が争われる可能性等を勘案しつつ、できる限り、取調べの状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録するよう努めるものとする。

  次に掲げる事件について被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われる前条第一項の取調べに際しては、災害によりやむを得ない場合及び被疑者が弁護人の同意を得て拒否した場合を除き、取調べの状況の全てについて、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならない。

 一 次のイからハまでに掲げる事件であつて、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十九条第二項(同法第二十三条第三項及び第二十七条の二第四項において準用する場合を含む。)又は第二十条第一項の規定により家庭裁判所から検察官に送致された事件以外のもの

  イ 検察官が端緒を得て自ら捜査する事件

  ロ 検察官が告訴又は告発を受けた事件。ただし、次に掲げる事件を除く。

   (1) 国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)第十二条ノ二、第十三条、第十四条第二項又は第十七条(これらの規定を地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)において準用する場合を含む。)の規定により収税官吏、国税局長、税務署長等から告発を受けた事件

   (2) 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第七十四条第一項の規定により公正取引委員会から告発を受けた事件

   (3) 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二百二十六条第一項の規定により証券取引等監視委員会から告発を受けた事件

   (4) 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第百三十六条の二、第百三十七条ただし書、第百三十八条第一項ただし書若しくは第二項又は第百三十九条(これらの規定を他の関税に関する法律において準用する場合を含む。)の規定により税関長又は税関職員から告発を受けた事件

  ハ 検察官に自首した事件

 二 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)第二条第一項の規定が適用される可能性があると認められる事件

  被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われる前条第一項の取調べに際しては、前項の規定により取調べの状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合(災害によりやむを得ないため又は被疑者が弁護人の同意を得て拒否したためこれを記録媒体に記録しない場合を含む。)を除き、被疑者に対し、あらかじめ、取調べの状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録するよう申し出ることができる旨を告げなければならない。この場合において、被疑者から申出があつたときは、災害によりやむを得ない場合を除き、取調べのうち当該申出に係る部分の状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならない。

  前二項に定める場合のほか、知的障害により意思疎通を図ることに支障があり、又は取調べを行う者に迎合し、若しくは誘導されやすいと認める被疑者について行う前条第一項の取調べに際しては、災害によりやむを得ない場合を除き、取調べの状況の全てについて、その映像及び音声を記録媒体に記録するよう努めなければならない。被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われる同項の取調べに際し、被疑者が被後見人であり、その後見人から申出があつた場合には、災害によりやむを得ない場合及び被疑者が弁護人の同意を得て拒否した場合を除き、取調べのうち当該申出に係る部分の状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならない。

  被疑者の取調べの状況の映像及び音声を記録する場合においては、同時に、同一の方法により二以上の記録媒体に記録し、当該記録媒体の一については、取調べを終了した後、速やかに、被疑者の面前において封印をしなければならない。この場合においては、当該記録媒体が当該取調べの状況の映像及び音声を記録したものであることについて、被疑者に確認を求めることができる。

  前項の確認がされたときは、同項の封印に被疑者の署名押印を求めることができる。ただし、被疑者がこれを拒絶した場合は、この限りでない。

  被疑者又はその弁護人は、被疑者の取調べの状況の映像及び音声を記録した記録媒体(第五項の規定により封印をした記録媒体以外のものに限る。)を閲覧し、若しくは聴取し、又はその複製を作成することができる。被告人又はその弁護人についても、同様とする。

  前項の記録媒体に記録された内容に被疑者若しくは被告人又は関係人の権利を著しく害する部分があるときは、同項の規定による閲覧、聴取又は複製の作成について、同項の記録媒体に代えて、当該部分が除外され、又は修正された内容が記録された記録媒体により行わせることができる。

  被疑者又はその弁護人は、第七項前段又は前項の規定により閲覧され、若しくは聴取され、又は複製が作成された記録媒体(以下この条において「閲覧等をされた記録媒体」という。)に係る複製等(複製その他記録の内容の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面をいう。以下この条において同じ。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人に委ねてはならない。

  被疑者若しくは被疑者であつた者(被告人又は被告人であつた者を除く。以下この条において「被疑者等」という。)又は被疑者の弁護人若しくは弁護人であつた者(被告人の弁護人又は弁護人であつた者を除く。第十三項において同じ。)は、閲覧等をされた記録媒体に係る複製等を、被疑者等の防御又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。

  前項の規定に違反した場合の措置については、被疑者等の防御をする権利を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうかその他の事情を考慮するものとする。

  被疑者等が、閲覧等をされた記録媒体に係る複製等を、被疑者等の防御又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

  被疑者の弁護人又は弁護人であつた者が、閲覧等をされた記録媒体に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。

第百九十八条の三 第百九十八条第一項の取調べ(被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われるものを除く。)であつて、取調べの状況の映像及び音声を記録媒体に記録しないものに際しては、被疑者は、取調べの適正を確保するとともに供述が行われた状況の後の刑事手続における立証等に資するため、取調べの状況について、自己の手段により録音することができる。

  前項の場合においては、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者に対し、あらかじめ、取調べの状況について、自己の手段により録音することができる旨を告げなければならない。

  第一項の取調べを受ける被疑者は、自己の手段により録音する場合には、その旨を明らかにするものとする。

  被疑者が自己の手段により第一項の取調べの状況を録音した場合には、当該被疑者又はその弁護人は、録音した音声を記録した電磁的記録及び当該電磁的記録に係る記録媒体(複製その他録音した音声の内容の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面を含む。以下この条において「自己録音記録」という。)を適正に管理し、その保管をみだりに他人に委ねてはならない。

  被疑者若しくは被疑者であつた者(以下この条において「被疑者等」という。)又は被疑者の弁護人若しくは弁護人であつた者は、当該被疑者等又は当該被疑者等の当該取調べに係る事件若しくは当該事件と密接に関連する事件(被告事件を含む。以下この条において「当該事件等」という。)の関係人が、当該事件等における防御、当該事件等に関する第二百八十一条の四第一項第二号に掲げる手続、当該事件等に関し公務員からその職務を行うに当たつて損害を加えられた場合に行う民事の裁判手続及びこれらの準備のための使用その他当該事件等に関連して被疑者等若しくは当該事件等の関係人の権利を擁護し、又は実現するための正当な使用をする目的以外の目的で、自己録音記録を人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。

  前項の規定に違反した場合の措置については、被疑者等若しくは当該事件等の関係人の権利を擁護し、又は実現する必要性を踏まえ、自己録音記録の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉、その私生活又は業務の平穏を害されているかどうかその他の事情を考慮するものとする。

 第百九十九条第一項ただし書中「前条」を「第百九十八条」に改める。

 第二百三条第三項の次に次の一項を加える。

  司法警察員は、第一項の規定により弁解の機会を与えるに当たつては、第六項において準用する第百九十八条の二第二項の規定により弁解の状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合(災害によりやむを得ないため又は被疑者が弁護人の同意を得て拒否したためこれを記録媒体に記録しない場合を含む。)を除き、被疑者に対し、あらかじめ、弁解の状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録するよう申し出ることができる旨を告げなければならない。この場合において、被疑者から申出があつたときは、弁解の状況の全てについて、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならない。

 第二百三条に次の一項を加える。

  第百九十八条の二第二項及び第四項の規定は、司法警察員が第一項の規定により弁解の機会を与える場合について、同条第五項から第十三項までの規定は、第一項の規定によりその機会を与えた弁解の状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合についてこれを準用する。

 第二百四条第四項中「第一項の場合に」の下に「ついて、第百九十八条の二第二項及び第四項の規定は、検察官が第一項の規定により弁解の機会を与える場合について、同条第五項から第十三項までの規定は、第一項の規定によりその機会を与えた弁解の状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合について」を加える。

 第二百四条第二項の次に次の一項を加える。

  検察官は、第一項の規定により弁解の機会を与えるに当たつては、第五項において準用する第百九十八条の二第二項の規定により弁解の状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合(災害によりやむを得ないため又は被疑者が弁護人の同意を得て拒否したためこれを記録媒体に記録しない場合を含む。)を除き、被疑者に対し、あらかじめ、弁解の状況について、その映像及び音声を記録媒体に記録するよう申し出ることができる旨を告げなければならない。この場合において、被疑者から申出があつたときは、弁解の状況の全てについて、その映像及び音声を記録媒体に記録しなければならない。

 第二百五条第五項中「与える場合」の下に「(被疑者に弁護人があるときを除く。)について、第百九十八条の二第二項及び第四項並びに前条第三項の規定は、検察官が第一項の規定により弁解の機会を与える場合について、第百九十八条の二第五項から第十三項までの規定は、第一項の規定によりその機会を与えた弁解の状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合」を加え、同項ただし書を削る。

 第二百二十三条第二項を次のように改める。

  前項の取調べに際しては、取調べの適正を確保するとともに供述が行われた状況の後の刑事手続における立証等に資するため、後の刑事手続において第三百二十一条第一項第二号ただし書の適用が争われる可能性等を勘案しつつ、必要に応じて取調べの状況の映像及び音声を記録媒体に記録するよう努めるものとする。

 第二百二十三条に次の二項を加える。

  被疑者又はその弁護人は、第一項の取調べの状況の映像及び音声を記録した記録媒体(次項において準用する第百九十八条の二第五項の規定により封印をした記録媒体以外のものに限る。)であつて当該被疑者に係る被疑事実について被疑者が受けた第一項の取調べに係るものを閲覧し、若しくは聴取し、又はその複製を作成することができる。被告人又はその弁護人についても、同様とする。

  第百九十八条第一項ただし書及び第三項から第五項までの規定は、第一項の場合に、第百九十八条の二第五項及び第六項の規定は、第一項の取調べに際して取調べの状況の映像及び音声を記録媒体に記録する場合に、同条第八項から第十三項までの規定は、前項の規定により取調べの状況の映像及び音声を記録した記録媒体を閲覧し、若しくは聴取し、又はその複製を作成する場合にこれを準用する。

 第二百二十三条の次に次の一条を加える。

第二百二十三条の二 前条第一項の取調べであつて、取調べの状況の映像及び音声を記録媒体に記録しないものに際しては、取調べを受ける者は、取調べの適正を確保するとともに供述が行われた状況の後の刑事手続における立証等に資するため、取調べの状況について、自己の手段により録音することができる。

  第百九十八条の三第二項から第六項までの規定は、前条第一項の取調べを受ける者による取調べの状況の自己の手段による録音及び録音した音声を記録した電磁的記録の取扱い等についてこれを準用する。

 第二百二十四条第一項中「前条第一項」を「第二百二十三条第一項」に改める。

 第二百八十一条の三中「与えた証拠」の下に「(第百九十八条の二第七項若しくは第八項(これらの規定を第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)並びに第二百二十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第二百二十三条第三項の規定により閲覧され、若しくは聴取され、又は複製が作成された記録媒体を含む。次条及び第二百八十一条の五において同じ。)」を加え、同条に後段として次のように加える。

  当該記録媒体に係る複製等については、被告人も同様とする。

 第二百九十九条中「これ」の下に「(被疑者の取調べの状況を記録した記録媒体及び被疑者の弁解の状況を記録した記録媒体並びに第二百二十三条第一項の取調べの状況を記録した記録媒体(第三百七条の二及び第三百十六条の十四第一号において「取調べ等の状況を記録した記録媒体」という。)にあつては、第百九十八条の二第五項(第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)並びに第二百二十三条第四項において準用する場合を含む。第三百七条の二及び第三百十六条の十四第一号において同じ。)の規定により封印をした記録媒体以外の記録媒体又は第三百七条の二ただし書の記録媒体)」を加え、同条ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

 第三百七条の二中「乃至第三百二条」を「から第三百二条まで」に、「乃至前条」を「から前条まで」に、「証拠調」を「証拠調べ」に改め、同条を第三百七条の三とし、第三百七条の次に次の一条を加える。

第三百七条の二 取調べ等の状況を記録した記録媒体の取調べについては、第百九十八条の二第五項の規定により封印をした記録媒体を取り調べるものとする。ただし、当該記録媒体に記録された内容に供述者又は関係人の権利を著しく害する部分があるときは、当該封印をした記録媒体の取調べに代えて、当該部分が除外され、又は修正された内容が記録された記録媒体を取り調べることができる。

 第三百十六条の十四第一号中「当該証拠書類又は証拠物」の下に「(取調べ等の状況を記録した記録媒体にあつては、第百九十八条の二第五項の規定により封印をした記録媒体以外の記録媒体又は第三百七条の二ただし書の記録媒体)」を加える。

 第三百二十二条第一項の次に次の三項を加える。

  前項本文に規定する書面(被告人が逮捕又は勾留をされている場合に行われた第百九十八条第一項の取調べ又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定による弁解の機会(以下この条において「取調べ等」という。)における供述を録取したものに限る。)であつて、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものは、当該逮捕若しくは勾留に係る取調べ等のうちに第百九十八条の二第二項第一号(第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の違反があつたとき又は同号の規定により映像及び音声を記録媒体に記録した場合に第百九十八条の二第五項(第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の違反があつたときは、前項本文の規定にかかわらず、これを証拠とすることができない。

  裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第二条第一項各号に掲げる事件(以下この項において「裁判員裁判対象事件」という。)については、第一項本文に規定する書面(被告人が公訴事実と同一性が認められる被疑事実について逮捕又は勾留をされている間に行われた取調べ等(逮捕又は勾留に係る事件が後の刑事手続において裁判員裁判対象事件となることの予見ができなかつたことが特にやむを得ないと認められる時期に行われたものを除く。)における供述を録取したものに限る。)であつて、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものは、当該取調べ等のうちにその状況の映像及び音声の全てを記録媒体に記録していないもの(災害によりやむを得ず記録媒体に記録が行えなかつた部分又は被告人が弁護人の同意を得て記録媒体に記録することを拒否した部分のみが記録されていないものを除く。)があるとき又は当該取調べ等についてその状況の映像及び音声を記録媒体に記録した場合に第百九十八条の二第五項の規定の違反があつたときは、第一項本文の規定にかかわらず、これを証拠とすることができない。

  第一項本文に規定する書面(被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われた取調べ等であつて第百九十八条の二第三項後段又は第二百三条第四項後段若しくは第二百四条第三項後段(第二百五条第五項において準用する場合を含む。)(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定による申出に係るものにおける供述を録取したものに限る。)であつて、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものは、当該逮捕若しくは勾留に係る取調べ等のうちにこれらの規定の違反があつたとき又はこれらの規定により映像及び音声を記録媒体に記録した場合に第百九十八条の二第五項の規定の違反があつたときは、第一項本文の規定にかかわらず、これを証拠とすることができない。同項本文に規定する書面(被疑者が逮捕又は勾留をされている場合に行われた取調べ等であつて第百九十八条の二第四項後段(第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による申出に係るものにおける供述を録取したものに限る。)であつて、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものについて、当該逮捕若しくは勾留に係る取調べ等のうちに第百九十八条の二第四項後段の違反があつたとき又は同項後段の規定により映像及び音声を記録媒体に記録した場合に同条第五項の規定の違反があつたときも、同様とする。

 第四百三十条中「又は押収」を「、押収」に改め、「還付に関する処分」の下に「又は第百九十八条の二第八項(第二百三条第六項、第二百四条第五項及び第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)並びに第二百二十三条第四項において準用する場合を含む。)の処分」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の刑事訴訟法(以下「新法」という。)第百九十八条の二、第百九十八条の三、第二百三条第四項及び第六項、第二百四条第三項及び第五項並びに第二百五条第五項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)、第二百二十三条第二項から第四項まで並びに第二百二十三条の二の規定は、この法律の施行の日以後に行われる取調べ又は弁解の機会の付与及び当該取調べ又は弁解の状況を記録した記録媒体の取扱い等について、適用する。

2 この法律の施行の日以後に刑事訴訟法第百九十八条第一項又は第二百三条第一項、第二百四条第一項若しくは第二百五条第一項(これらの規定を第二百十一条又は第二百十六条において準用する場合を含む。)の規定により取調べを受け又は弁解の機会を与えられた者がこの法律の施行の日前にこれらの規定により取調べを受け又は弁解の機会を与えられていた場合における新法第三百二十二条第二項から第四項までの規定の適用については、同条第二項中「以下この条において「取調べ等」という。」とあるのは、「刑事訴訟法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)の施行の日以後になされた取調べ又は弁解の機会の付与に係るものに限る。以下この条において「取調べ等」という。」とする。

第三条 新法第百九十八条の二、第百九十八条の三、第二百三条第四項及び第六項(これらの規定を第二百十一条及び第二百十六条において準用する場合を含む。)、第二百二十三条第二項から第四項まで並びに第二百二十三条の二の規定は、当分の間、刑事訴訟法第百九十条に規定する司法警察職員として職務を行うべき者の行う取調べ又は弁解の機会の付与及び当該取調べ又は弁解の状況を記録した記録媒体の取扱い等については、適用しない。

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 取調べの適正を確保するとともに、供述が行われた状況の後の刑事手続における立証等に資するため、裁判員裁判対象事件である場合、被疑者の申出がある場合等について、逮捕又は勾留をされている被疑者の取調べの状況の録画等を義務付け、必要な録画等がされていない場合に供述調書の証拠能力を否定するとともに、被疑者等による自己の手段による取調べの状況の録音等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
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