衆議院

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第一八五回

衆第一一号

   特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 特別安全保障秘密の指定等(第三条−第六条)

 第三章 特別安全保障秘密の提供(第七条−第十一条)

 第四章 特別安全保障秘密の取扱者の制限(第十二条)

 第五章 適格性確認(第十三条−第十八条)

 第六章 雑則(第十九条−第二十二条)

 第七章 罰則(第二十三条・第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、外国の政府又は国際機関と情報を共有する観点から外交又は国際的なテロリズムの防止に関する情報のうち秘匿することが必要かつ不可欠であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、国の保有する情報は本来国民のものであるとの国民主権の理念にのっとり国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由を十分に尊重しつつ、恣意的な情報の秘匿が行われないよう、当該情報の適正な管理に関し、特別安全保障秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

 一 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関

 二 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)

 三 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)

 四 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの

 五 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの

 六 会計検査院

   第二章 特別安全保障秘密の指定等

 (特別安全保障秘密の指定)

第三条 行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十二条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障及び外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれがあるために秘匿することが必要かつ不可欠であるもの(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第九十六条の二第一項に規定する防衛秘密及び日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)に限り、これを特別安全保障秘密として指定するものとする。この場合においては、その漏えいが我が国の安全保障及び外国の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれについて説明する責務が全うされるようにするものとする。

2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、違法行為、行政機関の不作為若しくは過失若しくは既に公になっている情報を隠蔽し、若しくは公正な競争を阻害する目的で、又は我が国及び国民の安全の確保に必要と認められない情報について、同項の規定による指定(以下単に「指定」という。)をしてはならないものとする。

3 行政機関の長は、指定をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特別安全保障秘密の範囲を明らかにするため、特別安全保障秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。

 一 政令で定めるところにより、特別安全保障秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に特別安全保障秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。

 二 特別安全保障秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が第一項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。

4 行政機関の長は、特別安全保障秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。

 (指定の有効期間及び解除)

第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

2 行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。

3 指定の有効期間は、前項の規定により延長した有効期間を通じて三十年を超えることができない。

4 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にすることにより、我が国の安全保障及び外国の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれがあることが明らかであることについて、その理由を示して、情報適正管理委員会の承認を得た場合(行政機関が会計検査院であるときを除く。)は、通じて三十年を超えて指定の有効期間を延長することができる。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特別安全保障秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、情報適正管理委員会に当該特別安全保障秘密を提供することができる。

5 行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件(公になっていないものであることを除く。次条第一項において同じ。)を欠くに至ったとき又は前条第二項の規定により指定をしてはならないものであることが明らかとなったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。

 (指定の解除に係る調査)

第五条 特別安全保障秘密の取扱いの業務を行う者は、指定に係る情報が第三条第一項に規定する要件を欠くに至ったと思料するとき又は同条第二項の規定により指定をしてはならないものであると思料するときは、情報適正管理委員会に対して、その旨を通知しなければならない。

2 情報適正管理委員会は、前項の通知を受けた場合において、必要があると認めるときは、同項の通知に係る指定の適否について調査を行うものとする。

3 情報適正管理委員会は、前項の調査のために必要があると認めるときは、第一項の通知に係る指定をした行政機関の長に対し、当該指定に係る特別安全保障秘密の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、情報適正管理委員会に対し、その提示された特別安全保障秘密の開示を求めることができない。

4 行政機関の長は、情報適正管理委員会から前項前段の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。

5 第三項に定めるもののほか、情報適正管理委員会は、第二項の調査に関し、行政機関の長に報告又は資料の提出を求めることができる。

6 情報適正管理委員会は、第二項の調査の結果指定を解除する必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、その旨を勧告するものとする。

7 情報適正管理委員会は、前項の規定による勧告をしたときは、当該勧告を受けた行政機関の長に対し、当該勧告に基づき講じた措置について報告を求めることができる。

8 行政機関の長は、第一項の通知をしたことを理由として、当該通知をした者に対して、免職その他不利益な取扱いをしてはならない。

 (特別安全保障秘密の保護措置)

第六条 行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第三項に規定する措置のほか、第十二条の規定により特別安全保障秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該特別安全保障秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。

2 警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特別安全保障秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。

3 前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該特別安全保障秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特別安全保障秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

4 行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特別安全保障秘密の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特別安全保障秘密(第九条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。

5 前項の契約には、第十二条の規定により特別安全保障秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特別安全保障秘密を保有する適合事業者が指名して当該特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲その他の当該適合事業者による当該特別安全保障秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。

6 第四項の規定により特別安全保障秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特別安全保障秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

   第三章 特別安全保障秘密の提供

 (我が国の安全保障上の必要による特別安全保障秘密の提供)

第七条 特別安全保障秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特別安全保障秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特別安全保障秘密を提供することができる。ただし、当該特別安全保障秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特別安全保障秘密について指定をしているとき(当該特別安全保障秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

2 前項の規定により他の行政機関に特別安全保障秘密を提供する行政機関の長は、当該特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該特別安全保障秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。

3 第一項の規定により特別安全保障秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特別安全保障秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特別安全保障秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。

第八条 警察庁長官は、警察庁が保有する特別安全保障秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特別安全保障秘密を提供することができる。

2 前項の規定により都道府県警察に特別安全保障秘密を提供する場合については、第六条第三項の規定を準用する。

3 警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特別安全保障秘密で第六条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。

第九条 特別安全保障秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特別安全保障秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特別安全保障秘密を提供することができる。ただし、当該特別安全保障秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特別安全保障秘密について指定をしているとき(当該特別安全保障秘密が、第七条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

2 前項の契約については第六条第五項の規定を、前項の規定により特別安全保障秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。この場合において、同条第五項中「前項」とあるのは「第九条第一項」と、「を保有する」とあるのは「の提供を受ける」と読み替えるものとする。

3 第六条第四項の規定により適合事業者に特別安全保障秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特別安全保障秘密の提供を求めることができる。

第十条 特別安全保障秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特別安全保障秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特別安全保障秘密を提供することができる。ただし、当該特別安全保障秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特別安全保障秘密について指定をしているとき(当該特別安全保障秘密が、第七条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。

 (その他公益上の必要による特別安全保障秘密の提供)

第十一条 第四条第四項後段、第五条第三項前段及び第七条から前条までに規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特別安全保障秘密を提供することができる。

 一 特別安全保障秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務において当該特別安全保障秘密を利用する場合(次号から第六号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特別安全保障秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特別安全保障秘密が利用されないようにすることその他の当該特別安全保障秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障及び外国の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれがないと認めたとき。

  イ 刑事事件の捜査又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、当該捜査又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特別安全保障秘密を提供することがないと認められるもの

  ロ 公益上特に必要があると認められるイに準ずる業務

 二 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合

 三 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第二十四条第一項の規定により裁判所に提示する場合

 四 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二十三条第一項の規定により裁判所に提示する場合

 五 情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

 六 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合

2 警察本部長は、第八条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特別安全保障秘密が同号イに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障及び外国の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号から第四号までに掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特別安全保障秘密を提供することができる。

3 適合事業者は、第九条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障及び外国の政府又は国際機関との情報の共有に著しい支障を与えるおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特別安全保障秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号から第五号までに掲げる場合に限り、特別安全保障秘密を提供することができる。

   第四章 特別安全保障秘密の取扱者の制限

第十二条 特別安全保障秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特別安全保障秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十六条第一項の適格性確認(第十四条第一項(第十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十六条第一項第三号に掲げる者として次条第三項又は第十六条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十六条第一項の適格性確認を受けることを要しない。

 一 行政機関の長

 二 国務大臣(前号に掲げる者を除く。

 三 内閣官房副長官

 四 内閣総理大臣補佐官

 五 副大臣

 六 大臣政務官

 七 前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十六条第一項の適格性確認を受けることなく特別安全保障秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者

   第五章 適格性確認

 (行政機関の長による適格性確認の実施)

第十三条 行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての確認(以下「適格性確認」という。)を実施するものとする。

 一 当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第六条第四項若しくは第九条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特別安全保障秘密を保有し、若しくは特別安全保障秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特別安全保障秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適格性確認において、特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき特別安全保障秘密を保有し、若しくは特別安全保障秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特別安全保障秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適格性確認に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特別安全保障秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該行政機関の長が直近に実施した適格性確認において特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

2 適格性確認は、適格性確認の対象となる者(以下「確認対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。

 一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第二号において同じ。)との関係に関する事項(確認対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)

 二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項

 三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項

 四 薬物の濫用及び影響に関する事項

 五 精神疾患に関する事項

 六 飲酒についての節度に関する事項

 七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項

3 適格性確認は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を確認対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。

 一 前項各号に掲げる事項について調査を行う旨

 二 前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨

 三 確認対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨

4 行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に確認対象者若しくは確認対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは確認対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (適格性確認の結果等の通知)

第十四条 行政機関の長は、適格性確認を実施したときは、その結果を確認対象者に対し通知するものとする。

2 行政機関の長は、適合事業者の従業者について適格性確認を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適格性確認が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。

3 前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該確認対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十七条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該確認対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。

4 行政機関の長は、第一項の規定により確認対象者に対し特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適格性確認の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該確認対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。

 (情報適正管理委員会に対する苦情の申出等)

第十五条 確認対象者は、前条第一項の規定により通知された適格性確認の結果その他当該確認対象者について実施された適格性確認について、書面で、情報適正管理委員会に対し、苦情の申出をすることができる。

2 情報適正管理委員会は、前項の苦情の申出を受けたときは、当該申出に係る行政機関の長に対して、申出があった旨を通知するものとする。

3 行政機関の長は、前項の通知を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するとともに、情報適正管理委員会に報告するものとする。

4 確認対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。

 (警察本部長による適格性確認の実施等)

第十六条 警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適格性確認を実施するものとする。

 一 当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特別安全保障秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十四条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適格性確認において、特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)

 二 当該都道府県警察の職員として、特別安全保障秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適格性確認に係る次項において準用する第十四条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後特別安全保障秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者

 三 当該警察本部長が直近に実施した適格性確認において特別安全保障秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの

2 前三条(第十三条第一項並びに第十四条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適格性確認について準用する。この場合において、第十三条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは、「第十六条第一項第三号」と読み替えるものとする。

 (適格性確認に関する個人情報の利用及び提供の制限)

第十七条 行政機関の長及び警察本部長は、特別安全保障秘密の保護以外の目的のために、確認対象者が第十三条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、確認対象者についての適格性確認の結果その他適格性確認の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。ただし、適格性確認の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。

2 適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特別安全保障秘密の保護以外の目的のために、第十四条第二項又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。

 (権限又は事務の委任)

第十八条 行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。

   第六章 雑則

 (特別安全保障秘密の指定等の運用基準)

第十九条 情報適正管理委員会は、特別安全保障秘密の指定及びその解除並びに適格性確認の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。

 (関係行政機関の協力)

第二十条 関係行政機関の長は、特別安全保障秘密の指定、適格性確認の実施その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、外国の政府又は国際機関と情報を共有する観点から秘匿することが必要かつ不可欠である情報の漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。

 (国会への報告)

第二十一条 政府は、毎年、特別安全保障秘密の指定及びその解除並びに適格性確認の実施の状況を国会に報告するとともに、公表しなければならない。

 (政令への委任)

第二十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   第七章 罰則

第二十三条 特別安全保障秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特別安全保障秘密を漏らしたときは、五年以下の懲役に処する。特別安全保障秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。

2 第四条第四項後段、第五条第三項前段、第十条又は第十一条の規定により提供された特別安全保障秘密について、当該提供の目的である業務により当該特別安全保障秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、三年以下の懲役に処する。同条第一項第一号イに規定する場合において提示された特別安全保障秘密について、当該特別安全保障秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。

第二十四条 前条第一項に規定する行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、唆し又はその(ほう)   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十一条第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)の規定は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)の施行の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第六条第一項及び第五項(第九条第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用については、第六条第一項中「第十二条の規定により特別安全保障秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同条第五項中「第十二条の規定により特別安全保障秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の」とあるのは「同項の」とし、第十二条の規定は、適用しない。

 (内閣法の一部改正)

第三条 内閣法(昭和二十二年法律第五号)の一部を次のように改正する。

  第十七条第二項第一号中「及び内閣広報官」を「並びに内閣広報官及び内閣情報官」に改める。

  第二十条第二項中「助け、」の下に「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特別安全保障秘密(特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第三条第一項に規定する特別安全保障秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び」を加える。

 (自衛隊法の一部改正)

第四条 自衛隊法の一部を次のように改正する。

  第九十六条の二第三項中「者に、」の下に「次項及び」を加え、同条第四項中「及び第二項」を「、第二項及び前項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。

 4 防衛秘密の取扱者の制限及び適格性確認(防衛秘密の取扱いの業務を行つた場合にこれを漏らすおそれがないことについての確認をいう。)については、特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第四章及び第五章の規定を準用する。

 (日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部改正)

第五条 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の一部を次のように改正する。

  第二条中「長は」の下に「、前項に定めるもののほか」を加え、「附し」を「付し」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

   特別防衛秘密の取扱者の制限及び適格性確認(特別防衛秘密の取扱いの業務を行つた場合にこれを漏らすおそれがないことについての確認をいう。)については、特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律(平成二十五年法律第▼▼▼号)第四章及び第五章の規定を準用する。

 (政令への委任)

第六条 附則第二条に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

別表(第三条、第六条−第十条関係)

 一 外交に関する事項

  イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容及び国際約束に基づき保護することが必要な情報のうち、国民の生命及び身体の保護並びに領域の保全に関する安全保障上重要なもの(次号ロに掲げるものを除く。)

  ロ 我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)若しくは国際的な取決めに基づく貨物の輸出若しくは輸入に関する制裁措置又はその方針のうち、国民の生命及び身体の保護並びに領域の保全に関する安全保障上重要なもの(次号イに掲げるものを除く。)

  ハ イに掲げる情報の収集整理又はその能力

  ニ 外交の用に供する暗号

 二 国際的なテロリズムの防止に関する事項

  イ 国際的なテロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「国際的なテロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究

  ロ 国際的なテロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報

  ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力

  ニ 国際的なテロリズムの防止の用に供する暗号


     理 由

 国際情勢の複雑化に伴い我が国及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、外国の政府又は国際機関と情報を共有する観点から外交又は国際的なテロリズムの防止に関する情報のうち秘匿することが必要かつ不可欠である情報について、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、国の保有する情報は本来国民のものであるとの国民主権の理念にのっとり国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由を十分に尊重しつつ、恣意的な情報の秘匿が行われないよう、当該情報の適正な管理に関し、特別安全保障秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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