衆議院

メインへスキップ



第一八六回

衆第二七号

   国会法等の一部を改正する法律案

 (国会法の一部改正)

第一条 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。

  第五十四条の四第一項中「、第百五条」を「から第百五条まで」に改める。

  第十一章の三の次に次の一章を加える。

    第十一章の四 情報監視審査会

 第百二条の十三 行政における特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号。以下「特定秘密保護法」という。)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。以下同じ。)の保護に関する制度の運用を常時監視するため特定秘密の指定(同項の規定による指定をいう。)及びその解除並びに適性評価(特定秘密保護法第十二条第一項に規定する適性評価をいう。)の実施の状況について調査し、並びに各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会からの第百四条第一項(第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)の規定による特定秘密の提出の要求に係る行政機関の長(特定秘密保護法第三条第一項に規定する行政機関の長をいう。以下同じ。)の判断の適否等を審査するため、各議院に情報監視審査会を設ける。

 第百二条の十四 情報監視審査会は、調査のため、特定秘密保護法第十九条の規定による報告を受ける。

 第百二条の十五 各議院の情報監視審査会から調査のため、行政機関の長に対し、必要な特定秘密の提出(提示を含むものとする。以下第百四条の三までにおいて同じ。)を求めたときは、その求めに応じなければならない。

   前項の場合における特定秘密保護法第十条第一項及び第二十三条第二項の規定の適用については、特定秘密保護法第十条第一項第一号イ中「各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会」とあるのは「各議院の情報監視審査会」と、「第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条」とあるのは「第百二条の十五第一項」と、「審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの」とあるのは「調査(公開しないで行われるものに限る。)」と、特定秘密保護法第二十三条第二項中「第十条」とあるのは「第十条(国会法第百二条の十五第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。

   行政機関の長が第一項の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならない。その理由をその情報監視審査会において受諾し得る場合には、行政機関の長は、その特定秘密の提出をする必要がない。

   前項の理由を受諾することができない場合は、その情報監視審査会は、更にその特定秘密の提出が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、行政機関の長は、その特定秘密の提出をする必要がない。

   前項の要求後十日以内に、内閣がその声明を出さないときは、行政機関の長は、先に求められた特定秘密の提出をしなければならない。

 第百二条の十六 情報監視審査会は、調査の結果、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、行政における特定秘密の保護に関する制度の運用について改善すべき旨の勧告をすることができる。

   情報監視審査会は、行政機関の長に対し、前項の勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。

 第百二条の十七 情報監視審査会は、第百四条の二(第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)の規定による審査の求め又は要請を受けた場合は、各議院の議決により定めるところにより、これについて審査するものとする。

   各議院の情報監視審査会から審査のため、行政機関の長に対し、必要な特定秘密の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。

   前項の場合における特定秘密保護法第十条第一項及び第二十三条第二項の規定の適用については、特定秘密保護法第十条第一項第一号イ中「各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会」とあるのは「各議院の情報監視審査会」と、「第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条」とあるのは「第百二条の十七第二項」と、「審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの」とあるのは「審査(公開しないで行われるものに限る。)」と、特定秘密保護法第二十三条第二項中「第十条」とあるのは「第十条(国会法第百二条の十七第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。

   第百二条の十五第三項から第五項までの規定は、行政機関の長が第二項の求めに応じない場合について準用する。

   情報監視審査会は、第一項の審査の結果に基づき必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、当該審査の求め又は要請をした議院又は委員会若しくは参議院の調査会の求めに応じて報告又は記録の提出をすべき旨の勧告をすることができる。この場合において、当該勧告は、その提出を求める報告又は記録の範囲を限定して行うことができる。

   第百二条の十五第三項から第五項までの規定は、行政機関の長が前項の勧告に従わない場合について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「その特定秘密の提出」とあり、並びに同条第五項中「先に求められた特定秘密の提出」とあるのは、「その勧告に係る報告又は記録の提出」と読み替えるものとする。

   情報監視審査会は、第一項の審査の結果を、当該審査の求め又は要請をした議院又は委員会若しくは参議院の調査会に対して通知するものとする。

 第百二条の十八 各議院の情報監視審査会の事務は、その議院の議長が別に法律で定めるところにより実施する適性評価(情報監視審査会の事務を行つた場合に特定秘密を漏らすおそれがないことについての職員又は職員になることが見込まれる者に係る評価をいう。)においてその事務を行つた場合に特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者でなければ、行つてはならない。

 第百二条の十九 第百二条の十五及び第百二条の十七の規定により、特定秘密が各議院の情報監視審査会に提出されたときは、その特定秘密は、その情報監視審査会の委員及び各議院の議決により定める者並びにその事務を行う職員に限り、かつ、その調査又は審査に必要な範囲で、利用し、又は知ることができるものとする。

 第百二条の二十 情報監視審査会については、第六十九条から第七十二条まで及び第百四条の規定を準用する。

 第百二条の二十一 この法律及び他の法律に定めるもののほか、情報監視審査会に関する事項は、各議院の議決によりこれを定める。

  第百四条の次に次の二条を加える。

 第百四条の二 各議院又は各議院の委員会が前条第一項の規定によりその内容に特定秘密である情報が含まれる報告又は記録の提出を求めた場合において、行政機関の長が同条第二項の規定により理由を疎明してその求めに応じなかつたときは、その議院又は委員会は、同条第三項の規定により内閣の声明を要求することに代えて、その議院の情報監視審査会に対し、行政機関の長がその求めに応じないことについて審査を求め、又はこれを要請することができる。

 第百四条の三 第百四条の規定により、その内容に特定秘密である情報を含む報告又は記録が各議院又は各議院の委員会に提出されたときは、その報告又は記録は、その議院の議員又は委員会の委員及びその事務を行う職員に限り、かつ、その審査又は調査に必要な範囲で、利用し、又は知ることができるものとする。

 (議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の一部改正)

第二条 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「提出」の下に「(提示を含むものとする。以下同じ。)」を加える。

  第五条の四を第五条の八とし、第五条の三を第五条の七とし、第五条の二を第五条の六とし、第五条の次に次の四条を加える。

 第五条の二 各議院若しくは各議院の委員会又は両議院の合同審査会が第一条の規定によりその内容に特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号。以下「特定秘密保護法」という。)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。以下同じ。)である情報が含まれる証言又は特定秘密である情報を記録する書類の提出を公務員である証人又は公務員であつた証人に求めた場合において、これらの証言又は書類に係る特定秘密の指定(同項の規定による指定をいう。)をした行政機関の長(同項に規定する行政機関の長をいう。以下この条及び次条において同じ。)が前条第二項の規定により理由を疎明して同条第一項の承認を拒んだときは、その議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、同条第三項の規定により内閣の声明を要求することに代えて、その議院(両議院の合同審査会にあつては、その会長が属する議院)の情報監視審査会に対し、行政機関の長が同条第一項の承認を拒んだことについて審査を求め、又はこれを要請することができる。

 第五条の三 情報監視審査会は、前条の規定による審査の求め又は要請を受けた場合は、各議院の議決により定めるところにより、これについて審査するものとする。

   各議院の情報監視審査会から審査のため、行政機関の長に対し、必要な特定秘密の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。

   前項の場合における特定秘密保護法第十条第一項及び第二十三条第二項の規定の適用については、特定秘密保護法第十条第一項第一号イ中「各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会」とあるのは「各議院の情報監視審査会」と、「国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条」とあるのは「議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第五条の三第二項」と、「審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの」とあるのは「審査(公開しないで行われるものに限る。)」と、特定秘密保護法第二十三条第二項中「第十条」とあるのは「第十条(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条の三第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」とする。

   行政機関の長が第二項の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならない。その理由をその情報監視審査会において受諾し得る場合には、行政機関の長は、その特定秘密の提出をする必要がない。

   前項の理由を受諾することができない場合は、その情報監視審査会は、更にその特定秘密の提出が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、行政機関の長は、その特定秘密の提出をする必要がない。

   前項の要求後十日以内に、内閣がその声明を出さないときは、行政機関の長は、先に求められた特定秘密の提出をしなければならない。

   情報監視審査会は、第一項の審査の結果に基づき必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、当該審査の求め又は要請をした議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の求めに応じて第五条第一項の承認をすべき旨の勧告をすることができる。この場合において、当該勧告は、その承認を求める証言又は書類の範囲を限定して行うことができる。

   第四項から第六項までの規定は、行政機関の長が前項の勧告に従わない場合について準用する。この場合において、第四項及び第五項中「行政機関の長は」とあるのは「証人は」と、「その特定秘密の提出」とあるのは「その勧告に係る証言又は書類の提出」と、第六項中「行政機関の長は」とあるのは「証人は」と、「先に求められた特定秘密の提出」とあるのは「その勧告に係る証言又は書類の提出」と読み替えるものとする。

   情報監視審査会は、第一項の審査の結果を、当該審査の求め又は要請をした議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会に対して通知するものとする。

 第五条の四 前条の規定により、特定秘密が各議院の情報監視審査会に提出されたときは、その特定秘密は、その情報監視審査会の委員及び各議院の議決により定める者並びにその事務を行う職員に限り、かつ、その審査に必要な範囲で、利用し、又は知ることができるものとする。

 第五条の五 第一条の規定により、各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会に、その内容に特定秘密である情報が含まれる証言がされ、又は特定秘密である情報を記録する書類が提出されたときは、その証言又は書類は、その議院の議員若しくは委員会の委員又は合同審査会の委員及びその事務を行う職員に限り、かつ、その審査又は調査に必要な範囲で、利用し、又は知ることができるものとする。

 (国会職員法の一部改正)

第三条 国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

  第五章の次に次の一章を加える。

    第五章の二 適性評価

 第二十四条の四 各議院の議長は、両議院の議長が協議して定めるところにより、両議院の議長が協議して定める国会職員又は国会職員になることが見込まれる者について、適性評価(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百二条の十八に規定する適性評価をいう。以下次条までにおいて同じ。)を実施するものとする。

   各議院の議長は、適性評価の対象となる者(以下この項において「評価対象者」という。)について、両議院の議長が協議して定める事項についての調査を行うため必要な範囲内において、その院の国会職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 第二十四条の五 前条に定めるもののほか、適性評価の実施に関し必要な事項は、両議院の議長が協議して定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)の施行の日から施行する。ただし、第三条及び次項の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

2 情報監視審査会の委員の選任のために必要な行為その他情報監視審査会の設置のために必要な準備行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

 (検討)

3 この法律の施行後、我が国が国際社会の中で我が国及び国民の安全を確保するために必要な海外の情報を収集することを目的とする行政機関が設置される場合には、国会における当該行政機関の監視の在り方について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

4 情報監視審査会における調査スタッフの能力の向上、効果的な調査手法の開発その他情報監視審査会の調査機能の充実強化のための方策については、国会において、常に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

5 政府は、この法律の施行後速やかに、行政機関が保有する特定秘密以外の公表しないこととされている情報の取扱いの適正を確保するための仕組みを整備するものとし、当該情報の提供を受ける国会における手続及びその保護に関する方策については、国会において、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部改正)

6 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(昭和二十二年法律第八十号)の一部を次のように改正する。

  第八条の二中「の会長」の下に「及び情報監視審査会の会長」を加える。

 (議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律の一部改正)

7 議院に出頭する証人等の旅費及び日当に関する法律(昭和二十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  第六条中「憲法審査会」の下に「、情報監視審査会」を加える。


     理 由

 特定秘密の保護に関する法律附則第十条の規定に基づく検討を踏まえ、各議院に情報監視審査会を設置するとともに、国会において特定秘密の提出を受ける際の手続その他国会における特定秘密の保護措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.