衆議院

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第一八六回

閣第五三号

   海岸法の一部を改正する法律案

 海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。

 第二条第一項中「もので、」の下に「主務省令で定めるところにより」を、「ための施設」の下に「(堤防又は胸壁にあつては、津波、高潮等により海水が当該施設を越えて侵入した場合にこれによる被害を軽減するため、当該施設と一体的に設置された根固工又は樹林(樹林にあつては、海岸管理者が設けたもので、主務省令で定めるところにより指定したものに限る。)を含む。)」を加える。

 第八条の二第一項第一号中「第十六条及び第三十一条において」を「以下」に改める。

 第十二条第十項中「第五項」を「第六項」に、「第四項」を「第五項」に、「第六項」を「第七項」に改め、同項を同条第十一項とし、同条第九項中「第三項から第六項まで」を「第四項から第七項まで」に、「第三項に」を「第四項に」に改め、同項を同条第十項とし、同条第八項中「第六項」を「第七項」に改め、同項を同条第九項とし、同条第七項を同条第八項とし、同条第六項中「第四項」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「第一項」の下に「及び第三項」を加え、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

3 海岸管理者は、海岸保全区域内において発生した船舶の沈没又は乗揚げに起因して当該海岸管理者が管理する海岸保全施設等が損傷され、若しくは汚損され、又は損傷され、若しくは汚損されるおそれがあり、当該損傷又は汚損が海岸の保全に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認める場合(当該船舶が第八条の二第一項第三号に規定する放置された物件に該当する場合を除く。)においては、当該沈没し、又は乗り揚げた船舶の船舶所有者に対し、当該船舶の除却その他当該損傷又は汚損の防止のため必要な措置を命ずることができる。

 第十四条の次に次の四条を加える。

 (操作規則)

第十四条の二 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設のうち、操作施設(水門、仰陸閘その他の操作を伴う施設で主務省令で定めるものをいう。以下同じ。)については、主務省令で定めるところにより、操作規則を定めなければならない。

2 前項の操作規則は、津波、高潮等の発生時における操作施設の操作に従事する者の安全の確保が図られるように配慮されたものでなければならない。

3 海岸管理者は、第一項の操作規則を定めようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。

4 前二項の規定は、第一項の操作規則の変更について準用する。

 (操作規程)

第十四条の三 海岸管理者以外の海岸保全施設の管理者(以下「他の管理者」という。)は、その管理する海岸保全施設のうち、操作施設については、主務省令で定めるところにより、当該操作施設の操作の方法、訓練その他の措置に関する事項について操作規程を定め、海岸管理者の承認を受けなければならない。

2 前項の操作規程は、津波、高潮等の発生時における操作施設の操作に従事する者の安全の確保が図られるように配慮されたものでなければならない。

3 海岸管理者は、第一項の操作規程を承認しようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴かなければならない。

4 第十条第二項に規定する者は、第一項の規定にかかわらず、その管理する操作施設について同項の操作規程を定め、海岸管理者に協議することをもつて足りる。

5 前各項の規定は、第一項の操作規程の変更について準用する。

第十四条の四 前条第一項の規定による承認を受けた他の管理者は、その管理する操作施設の操作については、当該承認を受けた操作規程に従つて行わなければならない。

 (維持又は修繕)

第十四条の五 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設を良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて海岸の防護に支障を及ぼさないように努めなければならない。

2 海岸管理者が管理する海岸保全施設の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、主務省令で定める。

3 前項の技術的基準は、海岸保全施設の修繕を効率的に行うための点検に関する基準を含むものでなければならない。

 第十六条第一項中「この項及び第三十一条第一項において」を削る。

 第二十条の前の見出し中「海岸管理者以外の者」を「他の管理者」に改め、同条第一項中「海岸管理者以外の海岸保全施設の管理者」を「他の管理者」に改め、「当該」の下に「他の管理者の管理する」を加える。

 第二十一条第一項中「海岸管理者以外の者」を「他の管理者」に、「一に」を「いずれかに」に、「その管理者」を「当該他の管理者」に改め、同項第二号中「附した」を「付した」に改め、同条の次に次の二条を加える。

 (他の管理者の管理する操作施設に関する監督)

第二十一条の二 海岸管理者は、他の管理者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該他の管理者に対し、その管理する操作施設の操作規程を定め、又は変更することを勧告することができる。

 一 第十四条の三第一項の規定に違反したとき。

 二 第十四条の三第一項の規定による承認に付した条件に違反したとき。

 三 偽りその他不正な手段により第十四条の三第一項の規定による承認を受けたとき。

2 海岸管理者は、他の管理者が管理する操作施設について、その操作が第十四条の四の規定に違反して行われている場合においては、当該他の管理者に対し、当該操作規程の遵守のため必要な措置をとることを勧告することができる。

3 海岸管理者は、前二項の規定によるほか、海岸の状況の変化その他当該海岸に関する特別の事情により、第十四条の三第一項の規定による承認を受けた操作規程によつては津波、高潮等による被害を防止することが困難であると認められるときは、当該承認を受けた他の管理者に対し、当該操作規程を変更することを勧告することができる。

4 海岸管理者は、前三項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた他の管理者が、正当な理由がなく、その勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

第二十一条の三 海岸管理者は、他の管理者が、その管理する操作施設について、前条第一項又は第二項の規定による勧告に従わない場合において、これを放置すれば津波、高潮等による著しい被害が生ずるおそれがあると認められるときは、その被害の防止のため必要であり、かつ、当該操作施設の管理の状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該他の管理者に対し、相当の猶予期限を付けて、当該操作施設の開口部の閉塞その他当該操作施設を含む海岸保全施設の管理につき必要な措置を命ずることができる。

2 海岸管理者は、他の管理者が、その管理する操作施設について、前条第三項の規定による勧告に従わない場合において、これを放置すれば津波、高潮等による著しい被害が生ずるおそれがあると認められるときは、その被害の防止のため必要であり、かつ、当該操作施設の管理の状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において、当該他の管理者に対し前項に規定する措置を命ずることができる。

3 海岸管理者は、前項の規定による命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。

4 第十二条の二第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

 第二十三条を次のように改める。

 (災害時における緊急措置)

第二十三条 津波、高潮等の発生のおそれがあり、これによる被害を防止する措置をとるため緊急の必要があるときは、海岸管理者は、その現場において、必要な土地を使用し、土石、竹木その他の資材を使用し、若しくは収用し、車両その他の運搬具若しくは器具を使用し、又は工作物その他の障害物を処分することができる。

2 海岸管理者は、前項に規定する措置をとるため緊急の必要があるときは、その付近に居住する者又はその現場にある者を当該業務に従事させることができる。

3 海岸管理者は、第一項の規定による収用、使用又は処分により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。

4 第十二条の二第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

5 第二項の規定により業務に従事した者が当該業務に従事したことにより死亡し、負傷し、若しくは病気にかかり、又は当該業務に従事したことによる負傷若しくは病気により死亡し、若しくは障害の状態となつたときは、海岸管理者は、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。

 第二十三条の次に次の六条を加える。

 (協議会)

第二十三条の二 海岸管理者(第六条第一項の規定により海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事を施行する主務大臣を含む。)、国の関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長は、海岸保全施設とその近接地に存する海水の侵入による被害を軽減する効用を有する施設の一体的な整備その他海岸の保全に関し必要な措置について協議を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、必要があると認めるときは、学識経験を有する者その他の協議会が必要と認める者をその構成員として加えることができる。

3 協議会において協議が調つた事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

4 前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

 (海岸協力団体の指定)

第二十三条の三 海岸管理者は、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められる法人その他これに準ずるものとして主務省令で定める団体を、その申請により、海岸協力団体として指定することができる。

2 海岸管理者は、前項の規定による指定をしたときは、当該海岸協力団体の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

3 海岸協力団体は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を海岸管理者に届け出なければならない。

4 海岸管理者は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

 (海岸協力団体の業務)

第二十三条の四 海岸協力団体は、当該海岸協力団体を指定した海岸管理者が管理する海岸保全区域について、次に掲げる業務を行うものとする。

 一 海岸管理者に協力して、海岸保全施設等に関する工事又は海岸保全施設等の維持を行うこと。

 二 海岸保全区域の管理に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。

 三 海岸保全区域の管理に関する調査研究を行うこと。

 四 海岸保全区域の管理に関する知識の普及及び啓発を行うこと。

 五 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 (監督等)

第二十三条の五 海岸管理者は、前条各号に掲げる業務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、海岸協力団体に対し、その業務に関し報告をさせることができる。

2 海岸管理者は、海岸協力団体が前条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、海岸協力団体に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

3 海岸管理者は、海岸協力団体が前項の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。

4 海岸管理者は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

 (情報の提供等)

第二十三条の六 主務大臣又は海岸管理者は、海岸協力団体に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。

 (海岸協力団体に対する許可の特例)

第二十三条の七 海岸協力団体が第二十三条の四各号に掲げる業務として行う主務省令で定める行為についての第七条第一項及び第八条第一項の規定の適用については、海岸協力団体と海岸管理者との協議が成立することをもつて、これらの規定による許可があつたものとみなす。

 第三十五条第一項及び第三十六条ただし書中「第十二条第九項」を「第十二条第十項」に改める。

 第三十七条の八中「から第十二条の二まで」を「、第十二条(第三項を除く。)、第十二条の二」に改め、「第十八条」の下に「、第二十三条、第二十三条の三から第二十三条の七まで」を加え、「並びに第十二条第一項及び第二項」を「、第十二条第一項及び第二項並びに第二十三条の七」に改める。

 第四十条の四第一項第一号中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「第十五項まで」の下に「、第二十三条の三第一項、第二項及び第四項、第二十三条の五、第二十三条の六」を、「(第五条第一項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を、「第三項、第二十条第一項及び第二項」の下に「、第二十三条の五、第二十三条の六」を加え、同項第二号中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「第十五項まで」の下に「、第二十三条の三第一項、第二項及び第四項、第二十三条の五、第二十三条の六」を、「(第五条第二項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を、「第三項、第二十条第一項及び第二項」の下に「、第二十三条の五、第二十三条の六」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十四条の次に四条を加える改正規定、第二十条(同条の前の見出しを含む。)及び第二十一条の改正規定、同条の次に二条を加える改正規定並びに第四十条の四の改正規定(同条第一項第一号中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「(第五条第一項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を加える部分及び同項第二号中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「(第五条第二項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を加える部分に限る。)並びに附則第四条(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)別表第一海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の項第一号イの改正規定中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「(第五条第一項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を加える部分及び同号ロの改正規定中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「(第五条第二項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を加える部分に限る。)の規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (政令への委任)

第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の海岸法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第四条 地方自治法の一部を次のように改正する。

  別表第一海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の項第一号イ中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「第十五項まで」の下に「、第二十三条の三第一項、第二項及び第四項、第二十三条の五、第二十三条の六」を、「(第五条第一項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を、「第三項、第二十条第一項及び第二項」の下に「、第二十三条の五、第二十三条の六」を加え、同号ロ中「第十三条」の下に「、第十四条の五第一項」を、「同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」の下に「、第二十一条の三第一項から第三項まで、同条第四項において準用する第十二条の二第二項及び第三項」を、「第十五項まで」の下に「、第二十三条の三第一項、第二項及び第四項、第二十三条の五、第二十三条の六」を、「(第五条第二項から第五項まで」の下に「、第十四条の五第一項」を、「第三項、第二十条第一項及び第二項」の下に「、第二十三条の五、第二十三条の六」を加える。


     理 由

 津波、高潮等に対する防災・減災対策を推進するとともに、海岸管理をより適切なものとするため、減災機能を有する海岸保全施設の整備の推進、海岸保全施設の適切な維持管理の推進、水門等の操作規則等の策定、海岸協力団体制度の創設等の所要の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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