衆議院

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第一八七回

衆第一二号

   特定土砂等の管理、土地の掘削等の規制等に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、特定土砂等の管理に関する制度を設けること、土地の掘削等について必要な規制を行うこと等により、災害の防止及び生活環境の保全を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「土砂等」とは、土、砂利(砂及び玉石を含む。)、砕石その他政令で定める物をいう。

2 この法律において「大規模工事」とは、土砂等の発生を伴う工事であって、政令で定めるところにより算定した当該工事から発生する土砂等の見込量が五百万立方メートルを超えるものをいう。

3 この法律において「特定土砂等」とは、大規模工事から発生した土砂等をいう。

4 この法律において「土地の掘削等」とは、土地の掘削、盛土又は切土その他土地の形状を変更する行為であって、政令で定めるものをいう。

 (特定土砂等の管理)

第三条 大規模工事の発注者(大規模工事の全部又は一部(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいう。)又は大規模工事の全部若しくは一部を請負契約によらないで自ら施工する者(以下「大規模工事の発注者等」という。)は、その大規模工事に係る特定土砂等の全部又は一部を他の者に引き渡す場合には、国土交通省令で定めるところにより、その引渡しと同時に、当該他の者に対し、引き渡す特定土砂等の体積、大規模工事の発注者等の氏名又は名称、引渡しを受ける者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項を記載した特定土砂等管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、特定土砂等(第二号に掲げる者にあっては、同号の管理票に係る特定土砂等に限る。)の全部又は一部を他の者に引き渡す場合には、国土交通省令で定めるところにより、その引渡しと同時に、当該他の者に管理票を交付し、かつ、国土交通省令で定める期間内に、当該特定土砂等に係る大規模工事の発注者等に当該管理票の写しを送付しなければならない。

 一 当該特定土砂等に係る大規模工事の全部又は一部を他の者から請け負った者

 二 前項又はこの項の規定による管理票の交付を受けた者(当該特定土砂等に係る大規模工事の発注者等及び前号に掲げる者を除く。)

3 前二項の規定による管理票の交付を受けた者は、当該管理票に係る特定土砂等の全部又は一部が付合、加工その他の事由により土砂等でなくなった場合には、国土交通省令で定めるところにより、国土交通省令で定める期間内に、当該特定土砂等に係る大規模工事の発注者等に対し、土砂等でなくなった特定土砂等の体積その他国土交通省令で定める事項を記載した特定土砂等最終管理票(以下単に「最終管理票」という。)を送付しなければならない。

4 大規模工事の発注者等は、管理対象特定土砂等(第一項の規定により交付した管理票に係る特定土砂等及び第二項第一号に掲げる者から同項の規定による送付を受けた管理票の写しに係る特定土砂等をいう。以下この項及び次項において同じ。)の全部(国土交通省令で定める部分を除く。同項において同じ。)について前項の規定による最終管理票の送付を受けるまでの間、国土交通省令で定める期間ごとに、管理対象特定土砂等の状況を把握し、その結果を国土交通大臣に届け出なければならない。

5 大規模工事の発注者等は、管理対象特定土砂等の全部について第三項の規定による最終管理票の送付を受けたときは、その旨その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に届け出なければならない。

6 第一項若しくは第二項の規定により管理票を交付し、又は第三項の規定により最終管理票を送付した者は、当該管理票の写し又は当該最終管理票の写しを国土交通省令で定める期間保存しなければならない。

7 第一項又は第二項の規定による管理票の交付を受けた者は、当該管理票を国土交通省令で定める期間保存しなければならない。

8 大規模工事の発注者等は、第二項の規定による管理票の写しの送付を受け、又は第三項の規定による最終管理票の送付を受けたときは、当該管理票の写し又は当該最終管理票を国土交通省令で定める期間保存しなければならない。

9 前各項に定めるもののほか、管理票及び最終管理票に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

 (虚偽の管理票又は最終管理票の交付等の禁止)

第四条 何人も、特定土砂等の全部又は一部を他の者に引き渡していないにもかかわらず、前条第一項に規定する事項について虚偽の記載をして管理票を交付してはならない。

2 何人も、前条第三項に規定する場合でないにもかかわらず、同項に規定する事項について虚偽の記載をして最終管理票を送付してはならない。

 (土地の掘削等に関する規制)

第五条 土地の掘削等を行う者は、政令で定める技術的基準に従い、急傾斜地の崩壊等(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成十二年法律第五十七号)第二条に規定する急傾斜地の崩壊等をいう。次項において同じ。)を発生原因として生ずる被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定に違反して土地の掘削等が行われた場合において、急傾斜地の崩壊等を防止するために必要があると認めるときは、当該土地の掘削等をした者に対し、当該土地の掘削等の中止その他当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

3 前二項の規定は、地方公共団体が、土地の掘削等に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。

 (土砂等の置場の確保)

第六条 都道府県は、単独で又は共同して、当該都道府県の区域内において発生した土砂等の置場を確保するよう努めるものとする。

2 国は、前項に定める施策を実施する都道府県に対し、財政上の援助をするよう努めなければならない。

 (罰則)

第七条 第五条第二項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、管理票を交付せず、又は同条第一項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして管理票を交付した者

 二 第三条第二項の規定に違反して、管理票の写しを送付しなかった者

 三 第三条第三項の規定に違反して、最終管理票を送付せず、又は同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして最終管理票を送付した者

 四 第三条第四項又は第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 五 第三条第六項から第八項までの規定に違反して、管理票若しくはその写し又は最終管理票若しくはその写しを保存しなかった者

 六 第四条第一項の規定に違反して、虚偽の記載をして管理票を交付した者

 七 第四条第二項の規定に違反して、虚偽の記載をして最終管理票を送付した者

第九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 第三条及び第四条の規定は、この法律の施行の日以後に発生した特定土砂等について、適用する。

2 第五条の規定は、この法律の施行の日以後に着手する土地の掘削等について、適用する。

3 前二項に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第三条 政府は、この法律の施行後三年以内に、砂防法(明治三十年法律第二十九号)その他の土砂等による災害の防止について定める法律の罰則に関する規定に係る罰金及び過料の額について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。


     理 由

 災害の防止及び生活環境の保全を図るため、特定土砂等の管理に関する制度を設け、及び土地の掘削等について必要な規制を行う等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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