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第一八七回

衆第一四号

   労働基準法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案

 (労働基準法の一部改正)

第一条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二項中「この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その」を「労働条件の」に改める。

  第四条の次に次の二条を加える。

  (業務に応じて支払う賃金に係る差別的取扱いの禁止)

 第四条の二 使用者は、雇用形態の差異その他の業務の内容及び成果の差異以外の差異を理由として、労働者の業務に応じて支払う賃金について、差別的取扱いをしてはならない。

  (派遣労働者の業務に応じて支払う賃金)

 第四条の三 派遣元事業主(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下この条において「労働者派遣法」という。)第二条第四号に規定する派遣元事業主をいう。次項において同じ。)は、前条の規定にかかわらず、同項の規定により通知された額を、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する派遣労働者(労働者派遣法第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第百一条第一項において同じ。)の業務に応じて支払う賃金の額としなければならない。

   労働者派遣(労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣をいう。以下この項及び第百一条第一項において同じ。)の役務の提供を受ける者(以下この項及び同条第一項において「派遣先」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該派遣先に雇用される労働者が当該労働者派遣に係る業務に従事するとした場合における当該業務に応じて支払う賃金の額を算定し、労働者派遣契約(労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約をいう。以下この項において同じ。)を締結するまでに(労働者派遣契約の期間中に当該額に異動が生ずる場合にあつては、算定した後遅滞なく)、その額を派遣元事業主に通知しなければならない。

  第百一条第一項中「使用者」の下に「(労働者派遣が行われる場合にあつては、派遣先及び当該派遣先の事業の経営担当者その他当該派遣先の事業の派遣労働者に関する事項について当該派遣先のために行為をする全ての者を含む。第百四条第二項、第百四条の二及び第百五条の二において同じ。)」を加える。

  第百十六条第一項中「第一条から」の下に「第四条の二まで、第五条から」を加える。

  第百十九条第一号中「、第四条」を「から第四条の三まで」に改める。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第二条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第十四条第一項第二号中「除く。)」の下に「、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四条の三第一項」を加える。

  第二十六条第一項第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 労働基準法第四条の三第二項の規定により算定された額を変更する場合の取扱いに関する事項

  第二十六条第一項第八号中「(昭和二十二年法律第四十九号)」を削る。

  第二十八条中「この法律」の下に「、労働基準法第四条の三第二項」を加える。

  第三十条の三第一項中「その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する」を削り、「賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し」を「賃金(業務に応じて支払う賃金を除く。以下この項及び第四十条第五項において同じ。)の水準との均衡を考慮し」に改める。

  第三十一条中「この法律」の下に「、労働基準法第四条の三第二項」を加える。

  第三十四条第一項第一号の次に次の一号を加える。

  一の二 労働基準法第四条の三第二項の規定により通知された額

  第三十四条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 派遣元事業主は、労働者派遣契約の期間中に労働基準法第四条の三第二項の規定による通知があつたときは、遅滞なく、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該通知に係る額を明示しなければならない。

  第四十条第五項中「その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する」を削り、「賃金水準」を「賃金の水準」に、「当該業務に従事する」を「当該派遣先の」に改める。

  第四十一条第一号イ中「この法律」の下に「、労働基準法第四条の三第二項」を加える。

  第四十四条第五項中「同法第百一条第一項、」を「同法第百一条第一項中「使用者(労働者派遣が行われる場合にあつては、派遣先及び当該派遣先の事業の経営担当者その他当該派遣先の事業の派遣労働者に関する事項について当該派遣先のために行為をする全ての者を含む。第百四条第二項、第百四条の二及び第百五条の二において同じ。)」とあり、並びに同法」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。

 (適用区分)

第二条 第一条の規定による改正後の労働基準法(次項において「新労働基準法」という。)第四条の二の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)以後に支払われる賃金で、施行日以後の労働者の業務に応じて支払われるものについて適用する。

2 新労働基準法第四条の三の規定は、施行日以後に支払われる賃金で、施行日以後に締結される労働者派遣契約(第二条の規定による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約をいう。)に係るものについて適用する。

 (短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正)

第三条 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第八条中「待遇を」を「待遇(業務に応じて支払う賃金を除く。以下この条において同じ。)を」に改める。

  第九条中「賃金」を「業務に応じて支払う賃金以外の賃金」に改める。

  第十条の見出しを「(業務に応じて支払う賃金以外の賃金)」に改め、同条中「職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金」を「業務に応じて支払う賃金以外の賃金」に改める。

 (労働契約法の一部改正)

第四条 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。

  第二十条中「労働条件が」を「労働条件(業務に応じて支払う賃金を除く。以下この条において同じ。)が」に改める。

 (経過措置等)

第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置及び関係法律の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 最近の社会経済情勢の変化に鑑み、労働基準法で定める労働条件の基準を理由として労働条件を低下させてはならないこととする規定を削るとともに、労働者の業務に応じて支払う賃金について雇用形態の差異その他の業務の内容及び成果の差異以外の差異を理由とする差別的取扱いを禁止し、併せて派遣労働者の業務に応じて支払う賃金を派遣先に雇用される労働者と同一の賃金とする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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