衆議院

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第一八九回

衆第二四号

   国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「対象施設」とは、次に掲げる施設をいう。

 一 国の重要な施設等として次に掲げる施設

  イ 国会議事堂、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百三十二条の二に規定する議員会館並びに衆議院議長及び参議院議長の公邸その他国会に置かれる機関(国会に置かれる機関の休日に関する法律(昭和六十三年法律第百五号)第一条第二項に規定する国会に置かれる機関をいう。)の庁舎(国家機関がその事務を処理するために使用する建築物(専ら公園の管理事務所として使用されるものを除く。)をいう。ハにおいて同じ。)であって東京都千代田区永田町一丁目又は二丁目に所在するもの

  ロ 内閣総理大臣官邸並びに内閣総理大臣及び内閣官房長官の公邸

  ハ 最高裁判所の庁舎であって東京都千代田区隼町に所在するもの

  ニ 皇居及び御所であって東京都港区元赤坂二丁目に所在するもの

  ホ 第四条第一項の規定により対象政党事務所として指定された施設

 二 第五条第一項の規定により対象外国公館等として指定された施設

2 この法律において「対象施設周辺地域」とは、前項第一号イからニまでに掲げる対象施設については次条第二項の規定により指定された地域をいい、同号ホに掲げる対象施設については第四条第二項の規定により指定された地域をいい、前項第二号に掲げる対象施設については第五条第二項の規定により指定された地域をいう。

3 この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船その他航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるものをいう。

 (国の所有する対象施設の敷地等の指定)

第三条 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める対象施設の敷地(一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。以下同じ。)又は区域を指定しなければならない。

 一 衆議院議長及び参議院議長 その所管に属する前条第一項第一号イに掲げる対象施設の敷地(国会議事堂の敷地にあっては、その所管に属する部分に限る。)

 二 内閣総理大臣 前条第一項第一号ロに掲げる対象施設の敷地及び同号ニに掲げる対象施設の区域(一般の利用に供される区域を除く。)

 三 最高裁判所長官 前条第一項第一号ハに掲げる対象施設の敷地

2 前項各号に掲げる者は、同項の規定により同項各号に定める対象施設の敷地又は区域を指定するときは、当該対象施設の敷地又は区域及びその周囲おおむね三百メートルの地域を、当該対象施設に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3 第一項各号に掲げる者は、同項の規定により同項各号に定める対象施設の敷地又は区域を指定し、及び前項の規定により当該対象施設に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

4 第一項各号に掲げる者は、同項各号に定める対象施設の敷地又は区域及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象施設の敷地又は区域及び当該対象施設に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

 (対象政党事務所の指定等)

第四条 総務大臣は、衆議院議員又は参議院議員が所属している政党(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により政党である旨を総務大臣に届け出たものに限る。第五項及び第六項において同じ。)の要請があったときは、その主たる事務所を対象政党事務所として指定するものとする。この場合において、総務大臣は、併せて当該対象政党事務所の敷地を指定するものとする。

2 総務大臣は、前項の規定により対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地を指定するときは、当該対象政党事務所の敷地及びその周囲おおむね三百メートルの地域を、当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3 総務大臣は、第一項の規定により対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地を指定し、並びに前項の規定により当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官(当該対象施設周辺地域が海域を含む場合にあっては、警察庁長官及び海上保安庁長官。次条第四項において同じ。)と協議しなければならない。

4 総務大臣は、対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨並びに当該対象政党事務所の名称、所在地及び敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

5 第一項の規定によりその主たる事務所が対象政党事務所として指定された政党(次項において「対象政党」という。)は、第一項の規定により指定された対象政党事務所が衆議院議員又は参議院議員が所属している政党の主たる事務所でなくなったときは、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。

6 総務大臣は、対象政党から当該対象政党に係る対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定の解除の要請があったとき又は第一項の規定により指定された対象政党事務所が衆議院議員若しくは参議院議員が所属している政党の主たる事務所でなくなったときは、直ちに当該対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定を解除しなければならない。

7 総務大臣は、対象政党事務所及び当該対象政党事務所の敷地並びに当該対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

 (対象外国公館等の指定等)

第五条 外務大臣は、外交関係に関するウィーン条約第一条(i)に規定する使節団の公館、領事関係に関するウィーン条約第一条1(j)に規定する領事機関の公館及び条約において不可侵とされる外国政府又は国際機関の事務所並びに別表に定める外国要人(以下この条において単に「外国要人」という。)の所在する場所のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象外国公館等として指定することができる。この場合において、外務大臣は、併せて当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定するものとする。

2 外務大臣は、前項の規定により対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定するときは、当該対象外国公館等の敷地又は区域及びその周囲おおむね三百メートルの地域を、当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域として指定するものとする。

3 外務大臣は、第一項の規定により対象外国公館等として外国要人の所在する場所を指定し、及び当該外国要人の所在する場所に係る対象外国公館等の敷地又は区域を指定し、並びに前項の規定により当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定するときは、期間を定めて指定するものとする。

4 外務大臣は、第一項の規定により対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域を指定し、並びに第二項の規定により当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定しようとするときは、あらかじめ、警察庁長官と協議しなければならない。

5 外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定する場合には、その旨(対象外国公館等として外国要人の所在する場所及び当該外国要人の所在する場所に係る対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を指定するときは、その旨及び期間)並びに当該対象外国公館等の名称、所在地及び敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域を官報で告示しなければならない。

6 外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域についてその指定の必要がなくなったと認めるときは、直ちに当該指定を解除しなければならない。

7 第四項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

8 外務大臣は、対象外国公館等及び当該対象外国公館等の敷地又は区域並びに当該対象外国公館等に係る対象施設周辺地域の指定を解除したときは、その旨を官報で告示しなければならない。

 (対象施設等の周知)

第六条 国は、対象施設、対象施設の指定敷地等(第三条第一項、第四条第一項又は前条第一項の規定により指定された敷地及び区域をいう。以下この条及び第九条第一項において同じ。)及び対象施設周辺地域を国民に周知するため、対象施設、対象施設の指定敷地等及び対象施設周辺地域に関する地図を作成し、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

 (対象施設周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止)

第七条 何人も、対象施設周辺地域の上空において、小型無人機を飛行させてはならない。

2 前項の規定は、次に掲げる小型無人機の飛行については、適用しない。

 一 対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空においてする小型無人機の飛行

 二 土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空においてする小型無人機の飛行

 三 国又は地方公共団体の業務を行うためにする小型無人機の飛行

3 前項に掲げる小型無人機の飛行をしようとする者は、国家公安委員会規則(管区海上保安本部長への通報については、国土交通省令)で定めるところにより、あらかじめ、その旨を当該小型無人機の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会(当該対象施設周辺地域が第二条第一項第一号ニに掲げる対象施設に係るものである場合には東京都公安委員会及び皇宮警察本部長、当該対象施設周辺地域が海域を含むものである場合には当該対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会及び管区海上保安本部長)に通報しなければならない。

 (対象施設の安全の確保のための措置)

第八条 警察官は、前条第一項又は第三項の規定に違反して小型無人機が飛行していると認められる場合には、当該小型無人機を飛行させている者に対し、当該小型無人機を対象施設周辺地域の上空から退去させることその他の対象施設に対する危険を未然に防止するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2 前項に規定する場合において、同項の規定による措置をとることを命ぜられた者が当該措置をとらないとき、その命令の相手方が現場にいないために当該措置をとることを命ずることができないとき又は同項の小型無人機の飛行をしている者に対し当該措置をとることを命ずるいとまがないときは、警察官は、対象施設に対する危険を未然に防止するためやむを得ないと認められる限度において、同項の小型無人機の飛行の妨害又は破損その他の必要な措置をとることができる。

3 前二項の規定は、皇宮護衛官及び海上保安官の職務の執行について準用する。

4 国又は地方公共団体は、第二項(前項において準用する場合を含む。)の規定による措置が行われたときは、当該措置により損失を受けた者(前条第一項又は第三項の規定に違反して小型無人機を飛行させた者を除く。)に対し、当該措置により通常生ずべき損失を補償しなければならない。

 (罰則)

第九条 第七条第一項の規定に違反して対象施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機を飛行させた者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2 前条第一項の規定による警察官の命令(同条第三項において準用する同条第一項の規定による皇宮護衛官又は海上保安官の命令を含む。)に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、この法律の施行の日又は内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日から施行する。

 (検討)

第二条 国は、速やかに、防衛省、警察庁、海上保安庁等危機管理に関する機能を担う機関の庁舎等の重要な施設に対する上空からの危険の未然の防止の在り方のほか、小型無人機の安全な飛行の確保の在り方等について、小型無人機の多様な分野における利用の促進のための施策をも踏まえ、かつ、小型無人機に関連する技術の進歩を勘案しつつ、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (総務省設置法の一部改正)

第三条 総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第九十二号の次に次の一号を加える。

  九十二の二 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律(平成二十七年法律第▼▼▼号)第四条第一項の規定による対象政党事務所及び対象政党事務所の敷地の指定並びに同条第二項の規定による対象政党事務所に係る対象施設周辺地域の指定に関すること。

 (内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律の一部改正)

第四条 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  第六条のうち総務省設置法第四条中第九十号から第九十九号までを四号ずつ繰り上げる改正規定中「第九十九号までを四号」を「第九十二号までを四号ずつ繰り上げ、第九十二号の二を第八十九号とし、第九十三号から第九十九号までを三号」に改める。

  附則第二十六条中「第四条第一項第八十九号」を「第四条第一項第九十号」に改める。

別表 外国要人(第五条関係)

 一 外国の元首(当該国の憲法に基づき元首の任務を遂行する団体の構成員を含む。)及び外国の元首の任務を代行し得る地位にある者並びにこれらの者の家族の構成員

 二 外国の政府の長及び外国の政府の長の任務を代行し得る地位にある者並びにこれらの者の家族の構成員

 三 外国の外務大臣及びこれに同行する家族の構成員並びに外国の外務大臣に準ずる地位にある者

 四 外国の外務大臣以外の外国の大臣及びこれに同行する家族の構成員並びに外国の外務大臣以外の外国の大臣に準ずる地位にある者

 五 国際連合の事務総長及び事務次長並びに我が国が加盟国となっている国際機関の事務局長並びにこれらに同行する家族の構成員

 六 前各号に掲げる者以外の者で、外務大臣がこれらの者と同等の接遇を行う必要があると認めて指定するもの


     理 由

 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止し、もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持に資する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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