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第一九〇回

衆第二三号

   政官接触記録の作成等に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、行政機関の職員等が国会議員等と接触した場合における当該接触に係る記録の作成等に関する事項を定めることにより、国会議員等による特定の者の利益を図るためのあっせんその他の行政機関等の事務又は事業の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を防止し、もって公務等に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「行政機関」とは、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関、各省並びに会計検査院をいう。

2 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人及び別表第一に掲げる法人をいう。

3 この法律において「国会議員等」とは、国会議員及び国会議員の秘書(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百三十二条に規定する秘書その他国会議員に使用される者で当該国会議員の政治活動を補佐するものをいう。)をいう。

 (政官接触記録の作成)

第三条 行政機関の職員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第三項第一号、第二号、第五号及び第六号から第七号の三までに掲げる職員を除く。次項において同じ。)は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関の事務又は事業に関し国会議員等(内閣総理大臣、内閣官房長官、内閣官房副長官若しくは内閣総理大臣補佐官又は当該行政機関の職員である者を除く。)と接触した場合において、当該国会議員等から特定の個人(当該国会議員等を除く。)又は法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人を除く。)に関する事項(以下「特定事項」という。)を示されたときは、政令で定めるところにより、当該接触の日時及び場所、当該接触に係る者の氏名、当該特定事項の内容、当該特定事項に係る事案の処理の経過その他政令で定める事項について、記録を作成しなければならない。

2 行政機関の職員は、前項の記録(以下「政官接触記録」という。)の作成に当たっては、客観性及び中立性の確保に留意しなければならない。

3 政官接触記録(公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号。以下「公文書管理法」という。)第二条第七項に規定する特定歴史公文書等に該当するものを除く。第五条において同じ。)は、公文書管理法第二条第四項に規定する行政文書及び行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第二条第二項に規定する行政文書に該当するものとする。

 (政官接触記録の保存期間)

第四条 政官接触記録の保存期間は、十年間とする。ただし、他の法令に十年間より長い保存期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

 (行政機関情報公開法第七条の規定の適用における配慮)

第五条 行政機関情報公開法第三条に規定する行政機関の長は、政官接触記録についての行政機関情報公開法第七条の規定の適用に当たっては、国会議員等による特定の者の利益を図るためのあっせんその他の行政機関の事務又は事業の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止が図られるよう適切な配慮をするものとする。

 (独立行政法人等接触記録の作成)

第六条 独立行政法人等の役員又は職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該独立行政法人等の事務又は事業に関し国会議員等と接触した場合(別表第二の上欄に掲げる独立行政法人等の専ら同表下欄に掲げる業務に関し国会議員等と接触した場合を除く。)において、当該国会議員等から特定事項を示されたときは、政令で定めるところにより、当該接触の日時及び場所、当該接触に係る者の氏名、当該特定事項の内容、当該特定事項に係る事案の処理の経過その他政令で定める事項について、記録を作成しなければならない。

2 独立行政法人等の役員又は職員は、前項の記録(以下「独立行政法人等接触記録」という。)の作成に当たっては、客観性及び中立性の確保に留意しなければならない。

3 独立行政法人等接触記録(公文書管理法第二条第七項に規定する特定歴史公文書等に該当するものを除く。第八条において同じ。)は、公文書管理法第二条第五項に規定する法人文書及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第二項に規定する法人文書に該当するものとする。

 (独立行政法人等接触記録の保存期間)

第七条 独立行政法人等接触記録の保存期間は、十年間とする。ただし、他の法令に十年間より長い保存期間の定めがあるときは、その定めるところによる。

 (独立行政法人等情報公開法第七条の規定の適用における配慮)

第八条 独立行政法人等は、独立行政法人等接触記録についての独立行政法人等情報公開法第七条の規定の適用に当たっては、国会議員等による特定の者の利益を図るためのあっせんその他の独立行政法人等の事務又は事業の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止が図られるよう適切な配慮をするものとする。

 (地方公共団体における接触に係る記録の作成等)

第九条 地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、当該地方公共団体の職員が国会議員等又は当該地方公共団体の議会の議員等と接触した場合における当該接触に係る記録の作成、保存及び公開に関して必要な施策を策定し、並びにこれを実施するよう努めなければならない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成二十九年四月一日から施行する。ただし、附則第三項の規定は、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)の公布の日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日から施行する。

 (検討)

2 政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行の状況を勘案しつつ、行政機関の職員等と国会議員等との接触のうち記録を作成するものの範囲その他当該接触に係る記録の管理及び公開の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部改正)

3 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を次のように改正する。

  附則第二十三条の次に次の一条を加える。

  (政官接触記録の作成等に関する法律の一部改正)

 第二十三条の二 政官接触記録の作成等に関する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

   別表第一沖縄振興開発金融公庫の項の次に次のように加える。

外国人技能実習機構

外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第▼▼▼号)

別表第一(第二条関係)

名    称

根    拠    法

沖縄科学技術大学院大学学園

沖縄科学技術大学院大学学園法(平成二十一年法律第七十六号)

沖縄振興開発金融公庫

沖縄振興開発金融公庫法(昭和四十七年法律第三十一号)

株式会社国際協力銀行

株式会社国際協力銀行法(平成二十三年法律第三十九号)

株式会社日本政策金融公庫

株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)

株式会社日本貿易保険

貿易保険法(昭和二十五年法律第六十七号)

原子力損害賠償・廃炉等支援機構

原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成二十三年法律第九十四号)

国立大学法人

国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)

新関西国際空港株式会社

関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(平成二十三年法律第五十四号)

大学共同利用機関法人

国立大学法人法

日本銀行

日本銀行法(平成九年法律第八十九号)

日本司法支援センター

総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)

日本私立学校振興・共済事業団

日本私立学校振興・共済事業団法(平成九年法律第四十八号)

日本中央競馬会

日本中央競馬会法(昭和二十九年法律第二百五号)

日本年金機構

日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)

農水産業協同組合貯金保険機構

農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)

放送大学学園

放送大学学園法(平成十四年法律第百五十六号)

預金保険機構

預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)

別表第二(第六条関係)

新関西国際空港株式会社

一 関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律(以下この項において「設置管理法」という。)第九条第一項の事業に係る業務のうち関西国際空港に係るものであって、次のいずれかに該当するもの

 イ 関西国際空港及び設置管理法第九条第一項第二号に規定する施設の設置(これらの建設に係るものを除く。)及び管理の事業に係る業務

 ロ 設置管理法第九条第一項第三号の政令で定める施設及び同項第六号に規定する施設の管理の事業に係る業務

 ハ イ又はロに規定する事業に附帯する事業に係る業務

二 設置管理法第九条第一項の事業に係る業務のうち大阪国際空港に係るもの

三 設置管理法第九条第二項に規定する事業に係る業務

日本私立学校振興・共済事業団

一 日本私立学校振興・共済事業団法(以下この項において「事業団法」という。)第二十三条第一項第六号から第九号までに掲げる業務

二 事業団法第二十三条第二項に規定する業務

三 事業団法第二十三条第三項第一号及び第二号に掲げる業務


     理 由

 国会議員等による特定の者の利益を図るためのあっせんその他の行政機関等の事務又は事業の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を防止し、もって公務等に対する国民の信頼を確保するため、行政機関の職員等が国会議員等と接触した場合における当該接触に係る記録の作成等に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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