第一九三回
参第一三号
外国の国籍を有する国の行政機関の職員に係る欠格事由に関する特別措置法案
(趣旨)
第一条 この法律は、第五条の規定による国の行政機関の職員の国籍に係る欠格事由に関する法制の整備が行われるまでの間の措置として、国の行政機関の職員が日本の国籍のほか外国の国籍を有することについて、その欠格事由に関する特別措置を定めるものとする。
(国の行政機関の職員に係る欠格事由に関する特別措置)
第二条 国の行政機関の職員(次に掲げる職員を除く。以下「特定職員」という。)は、他の法令に別段の定めがある場合を除き、外国の国籍を有することができない。ただし、特定職員となる前に国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第十四条第二項に規定する選択の宣言(以下「国籍選択の宣言」という。)をした者並びに同条第一項の規定により国籍の選択をしなければならない期間内にある者及び特定職員となった後の当該期間内に国籍選択の宣言をした者については、この限りでない。
一 公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは重要施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とする職員のいずれにも該当しない職員であって政令で定めるもの
二 その他政令で定める職務に従事する職員
2 国会議員である国の行政機関の職員及び外務公務員(外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第二条第一項に規定する外務公務員をいう。)については、前項の規定は適用せず、それぞれ公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)及び外務公務員法の定めるところによる。
第三条 特定職員が前条第一項本文の規定に該当するときは、他の法令の規定にかかわらず、当該特定職員の任命権者は、当該特定職員を罷免し、又は免職するものとする。
2 特定職員となった後で、かつ、前条第一項ただし書の期間の経過後において国籍選択の宣言をした者であって、これに関しやむを得ない事情がある場合として政令で定める場合に該当するものについては、前項の規定は、適用しない。
第四条 第二条第一項ただし書の国籍選択の宣言をした者及び前条第二項の者は、速やかに、外国の国籍の離脱のための措置をとらなければならない。
(国の行政機関の職員の国籍に係る欠格事由に関する法制の整備)
第五条 政府は、国の行政機関の職員の国籍に係る欠格事由の在り方について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な法制の整備を行うものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし、第五条及び附則第四条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に外国の国籍を有する特定職員で国籍選択の宣言をしていないもの(この法律の施行の際現に第二条第一項ただし書の期間内にある者については、当該期間の末日がこの法律の施行の日から起算して一年を経過する日前にある者に限る。)については、この法律の施行の日から起算して一年を経過する日まで(同項ただし書の期間内にある者にあっては、当該期間の末日の翌日から当該経過する日まで)の間は、同項の規定は、適用しない。
2 前項の特定職員が同項に定める期間内において国籍選択の宣言をした場合には、当該特定職員については、第三条第一項の規定は、適用しない。この場合においては、第四条の規定を準用する。
第三条 この法律の施行の際現に、外国の国籍を有する特定職員であって、特定職員となった後で、かつ、第二条第一項ただし書の期間の経過後において国籍選択の宣言をしているものについては、第三条第二項の規定にかかわらず、同項の政令で定める場合に該当しないものであっても、同条第一項の規定は、適用しない。この場合においては、第四条の規定を準用する。
(検討)
第四条 裁判官、国会職員、地方公共団体の職員その他の国の行政機関の職員以外の公務員の国籍に係る欠格事由の在り方については、それぞれの職務の特性等を踏まえ、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
理 由
国の行政機関の職員の国籍に係る欠格事由に関する法制の整備が行われるまでの間の措置として、国の行政機関の職員が日本の国籍のほか外国の国籍を有することについて、その欠格事由に関する特別措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。