衆議院

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第一九三回

衆第七号

   将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための措置を講ずることにより、要介護者等が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにし、その日常生活の質を維持向上させるとともに、要介護者等の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないよう要介護者等の家族の負担を軽減することに資するため、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)等の一部改正について定めるものとする。

 (介護保険法の一部改正)

第二条 介護保険法の一部を次のように改正する。

  第一条中「できるよう」の下に「にし、その日常生活の質を維持向上させるよう」を加える。

  第二条第四項中「できるように」の下に「し、その日常生活の質を維持向上させるように」を加え、同条に次の一項を加える。

 5 第一項の保険給付の内容及び水準は、要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようにするため、要介護者等の家族の負担を十分に軽減するように配慮されなければならない。

  第五条第一項中「福祉サービス」の下に「に従事する優れた人材の確保等これらのサービス」を加え、同条第三項中「できるよう」の下に「にし、その日常生活の質を維持向上させるよう」を加える。

  第五条の二の次に次の一条を加える。

  (利用者等の評価の向上のための措置)

 第五条の三 国及び地方公共団体並びに介護事業者(保険給付及び第百十五条の四十五に規定する地域支援事業に係る保健医療サービス及び福祉サービス(以下この条及び附則第五条の三において「介護等サービス」という。)を提供する者をいう。)は、介護等サービスの利用者及びその家族の介護等サービスに対する評価の把握に努めるとともに、当該評価を向上させるための措置を講ずるよう努めなければならない。

  第七条第五項中「要介護者又は要支援者(以下「要介護者等」という。)」を「要介護者等」に改める。

  第四十九条の二及び第五十九条の二中「政令で定める額」を「基準額(次の各号に掲げる介護給付を受けるとしたならばこの条の規定の適用を受けることとなる第一号被保険者の数の、第一号被保険者の総数のうちに占める割合が、おおむね百分の二十を超えないように政令で定める額をいう。)」に改める。

  附則第五条の次に次の三条を加える。

  (軽度要介護者等に対する将来にわたる十分な内容及び水準のサービスの提供)

 第五条の二 政府は、その介護の必要の程度が軽い要介護者(以下この項において「軽度要介護者」という。)にとって、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修その他将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成二十九年法律第▼▼▼号。以下この項及び第三項において「平成二十九年改正法」という。)の施行の際現に保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスとして提供されているものを受けることが、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにし、その日常生活の質を維持向上させること及びその者の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないようその者の家族の負担を軽減すること(次項及び第三項において「日常生活の質の維持向上等」という。)に重要な役割を果たすものであることに鑑み、次条(平成二十九年改正法附則第二項において準用する場合を含む。)に規定する調査、分析及び評価(以下この条及び附則第五条の四において「特定調査等」という。)の結果を踏まえつつ、当該保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービス又はこれらに相当するサービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、軽度要介護者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならない。

 2 政府は、要支援者にとって、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)第五条の規定による改正前の第八条の二第二項に規定する介護予防訪問介護及び同条第七項に規定する介護予防通所介護(以下この項において「旧介護予防訪問介護等」という。)を受けることが、日常生活の質の維持向上等に重要な役割を果たしていたことに鑑み、特定調査等の結果を踏まえつつ、旧介護予防訪問介護等に相当する保健医療サービス及び福祉サービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、要支援者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならない。

 3 政府は、要支援者にとって、介護予防福祉用具貸与、特定介護予防福祉用具販売、介護予防住宅改修その他平成二十九年改正法の施行の際現に保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスとして提供されているものを受けることが、日常生活の質の維持向上等に重要な役割を果たすものであることに鑑み、特定調査等の結果を踏まえつつ、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービス又はこれらに相当するサービスが将来にわたりあまねく全国において十分な内容及び水準で提供され、要支援者が必要とする良質なこれらのサービスを受けることができるようにしなければならない。

  (介護保険制度又は介護報酬基準の改正が行われた場合の調査、分析及び評価)

 第五条の三 政府は、当分の間、介護保険制度又は介護報酬基準(第四十一条第四項各号の基準その他の厚生労働省令で定める基準等をいう。次条において同じ。)の改正が行われた場合には、当該改正に関し、次に掲げる事項について調査、分析及び評価を行わなければならない。

  一 要介護者等が経済的困難その他の事由により介護等サービスの提供を受けない事例(要介護者等が要介護認定又は要支援認定を受けないことにより介護等サービスの提供を受けない事例を含む。)の発生の状況

  二 当該改正前と同一の水準及び内容の介護等サービスが提供されない事例の発生の状況

  三 前二号に掲げる事例の発生が要介護者等の要介護状態又は要支援状態の悪化に及ぼす影響及び介護保険事業の財政に及ぼす長期的な影響

  四 第一号又は第二号に掲げる事例の発生が家族の介護のために離職を余儀なくされる事態の発生に及ぼす影響並びに当該事態の発生が国民生活及び国民経済に与える長期的な影響

  五 前各号に掲げるもののほか、当該改正に起因する重大な影響

  (介護保険制度又は介護報酬基準の改正を行おうとする場合の調査、予測及び評価)

 第五条の四 政府は、当分の間、介護保険制度又は介護報酬基準の改正を行おうとする場合には、あらかじめ、特定調査等の結果を踏まえ、当該改正による影響に関し、前条各号に掲げる事項について調査、予測及び評価を行わなければならない。

 (健康保険法等の一部を改正する法律附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第二十六条の規定による改正前の介護保険法の一部改正)

第三条 健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第二十六条の規定による改正前の介護保険法の一部を次のように改正する。

  第四十九条の二中「政令で定める額」を「基準額(次の各号に掲げる介護給付を受けるとしたならばこの条の規定の適用を受けることとなる第一号被保険者の数の、第一号被保険者の総数のうちに占める割合が、おおむね百分の二十を超えないように政令で定める額をいう。)」に改める。

 (育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正)

第四条 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第三条に次の一項を加える。

 2 政府は、要介護者等(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第二条第五項の要介護者等をいう。)の家族が、介護休業又は介護休暇に関する制度を活用することにより、介護のために離職を余儀なくされる事態が生じないよう、介護休業をすることができる日数及び回数の増加等について、速やかに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (平成二十六年の介護保険制度の改正及び平成二十七年度の介護報酬基準の改正に関する措置)

2 第二条の規定による改正後の介護保険法附則第五条の三の規定は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)による介護保険制度の改正及び平成二十七年度に行われた介護報酬基準(同条に規定する介護報酬基準をいう。)の改正について準用する。


     理 由

 将来にわたる質の高い介護サービスの提供の確保等のための措置を講ずることにより、要介護者等が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにし、その日常生活の質を維持向上させるとともに、要介護者等の家族が介護のために離職を余儀なくされる等の事態が生じないよう要介護者等の家族の負担を軽減することに資するため、介護保険法等の一部改正について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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