衆議院

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第一九六回

衆第一五号

   労働基準法の一部を改正する法律案

第一条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  第百十八条を次のように改める。

 第百十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

  一 第六条、第三十二条、第五十六条、第六十三条又は第六十四条の二の規定に違反した者

  二 第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第三十二条の規定に係る部分に限る。)に違反した者

  三 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十三条又は第六十四条の二の規定に係る部分に限る。)に違反した者

  第百十九条中「一に」を「いずれかに」に、「これを六箇月」を「六月」に改め、同条第一号中「、第三十二条」を削り、同条第三号中「厚生労働省令」の下に「(第三十四条の規定に係る部分に限る。)」を加える。

第二条 労働基準法の一部を次のように改正する。

  労働基準法目次中「休憩」の下に「、休息時間」を加える。

  第十二条第三項第四号中「第三十九条第八項」を「第三十九条第十項」に改める。

  第四章の章名中「休憩」の下に「、休息時間」を加える。

  第三十二条の三中「ゆだねる」を「委ねる」に改め、同条第一号中「この条」を「この項」に改め、同条第二号中「一箇月」を「三箇月」に、「次号」を「以下この条及び次条」に改め、同条に次の三項を加える。

   清算期間が一箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。

   一週間の所定労働日数が五日の労働者について第一項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第三十二条第一項の労働時間」とあるのは「第三十二条第一項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第二項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を七で除して得た数をもつてその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。

   前条第二項の規定は、第一項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない。

  第三十二条の三の次に次の一条を加える。

 第三十二条の三の二 使用者が、清算期間が一箇月を超えるものであるときの当該清算期間中の前条第一項の規定により労働させた期間が当該清算期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第三十七条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。

  第三十三条第一項中「第四十条」を「第四十条第一項」に、「又は」を「若しくは」に、「労働させる」を「労働させ、又は第三十四条の二若しくは第四十条第二項の休息時間を短縮する」に改め、同項ただし書中「暇」を「いとま」に改め、同条第二項中「又は休日の労働」を「若しくは休日の労働又は休息時間の短縮」に改め、「その後に」の下に「、労働時間の延長又は休日の労働にあつては」を、「ことを」の下に「、休息時間の短縮にあつてはそれを補うために必要な措置をとるべきことを」を加え、同条第三項中「第四十条」を「第四十条第一項」に、「又は」を「若しくは」に、「労働させる」を「労働させ、又は第三十四条の二若しくは第四十条第二項の休息時間を短縮する」に改める。

  第三十四条の次に次の一条を加える。

  (休息時間)

 第三十四条の二 使用者は、労働者の健康の保持及び仕事と生活の調和を勘案して厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を、労働者ごとに始業から二十四時間を経過するまでに確保して与えなければならない。

  第三十五条第二項を次のように改める。

   使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、四週間を通じ四日以上の休日を与える定めをしたときは、前項の規定にかかわらず、その協定で定めるところにより休日を与えることができる。

  第三十六条第一項中「協定をし、」の下に「厚生労働省令で定めるところにより」を加え、「この項」を「この条」に改め、同項ただし書を削り、同条第二項中「、労働時間の延長」の下に「及び休日の労働」を加え、「前項の協定で定める労働時間の延長の限度」を「第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項」に、「福祉」を「健康、福祉」に、「基準」を「指針」に改め、同条第三項中「延長」の下に「及び休日の労働」を加え、「基準」を「指針」に改め、同条第四項中「第二項の基準」を「第七項の指針」に改め、同条第一項の次に次の五項を加える。

   前項の協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

  一 この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲

  二 対象期間(この条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、一年間に限るものとする。第四号及び第六項第三号において同じ。)

  三 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合

  四 対象期間における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数

  五 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

   前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。

   前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。

   第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。

   使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。

  一 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間 二時間を超えないこと。

  二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間 百時間未満であること。

  三 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間 八十時間を超えないこと。

  第三十六条に次の二項を加える。

   前項の助言及び指導を行うに当たつては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない。

   第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については適用しない。

  第三十六条の次に次の一条を加える。

  (休息時間の短縮)

 第三十六条の二 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、休息時間(第三十四条の二又は第四十条第二項の休息時間をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところにより休息時間を短縮することができる。

   厚生労働大臣は、休息時間の短縮を適正なものとするため、前項の協定で定める休息時間の短縮の限度その他の必要な事項について、労働者の健康及び福祉その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

   前条第八項及び第九項の規定は、第一項の協定について準用する。この場合において、同条第八項中「前項の指針」とあり、及び同条第九項中「第七項の指針」とあるのは、「次条第二項の基準」と読み替えるものとする。

  第三十七条第一項中「前条第一項」を「第三十六条第一項」に改める。

  第三十八条の三第一項に次のただし書を加える。

   ただし、第四号又は第五号に規定する措置を使用者が講じていない場合は、この限りでない。

  第三十八条の三第一項第一号中「ゆだねる」を「委ねる」に改め、「決定」の下に「(始業及び終業の時刻の決定を含む。第三号及び次条第一項第一号において同じ。)」を加え、「この条」を「この項」に改め、同項第六号を同項第九号とし、同項第五号を同項第七号とし、同号の次に次の一号を加える。

  八 使用者は、労働者を対象業務に就かせようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、次に掲げる事項について通知しなければならないこと。

   イ 対象業務に従事する労働者について第二号に掲げる時間労働したものとみなすこと。

   ロ 当該協定の内容その他の当該事業場におけるこの項の規定により対象業務に従事する労働者について第二号に掲げる時間労働したものとみなす制度の概要(当該労働者を就かせようとする対象業務の範囲及び当該労働者の裁量に委ねる当該対象業務の遂行の方法を含む。)

   ハ 当該事業場におけるロの制度において当該労働者に適用される人事評価の方法及びこれに対応する賃金の決定の方法

  第三十八条の三第一項第四号中「労働時間」を「健康管理時間」に、「措置を」を「措置であつて、当該労働者に対する有給休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。次条第一項第六号において同じ。)の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち」に、「ところにより」を「ものを」に改め、同号を同項第六号とし、同項第三号の次に次の二号を加える。

  四 対象業務に従事する労働者の健康管理を行うために当該労働者が事業場内にいた時間(当該協定において厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを定めたときは、当該協定に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(次号及び第六号において「健康管理時間」という。)を把握し、及び記録する措置(厚生労働省令で定める方法によるものに限る。)を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。

  五 対象業務に従事する労働者に対し、健康管理時間を労働者の健康の保持及び仕事と生活の調和を勘案して厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とする措置を当該協定及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。

  第三十八条の四第一項に次のただし書を加える。

   ただし、第四号又は第五号に規定する措置を使用者が講じていない場合は、この限りでない。

  第三十八条の四第一項第一号中「ゆだねる」を「委ねる」に改め、同項第二号中「の知識」を「に十分なものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する知識」に改め、同項第七号を同項第十号とし、同項第六号中「当該労働者の」の下に「書面による」を加え、「及び」を「、当該同意をした労働者は三十日前までに予告して当該同意の撤回をすることができること並びに」に改め、「しなかつた当該労働者」の下に「及び当該同意の撤回をした当該労働者」を加え、同号を同項第九号とし、同項第五号を同項第七号とし、同号の次に次の一号を加える。

  八 使用者は、第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を対象業務に就かせようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならないこと。

   イ 当該決議の内容その他の当該事業場におけるこの項の規定により対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者について第三号に掲げる時間労働したものとみなす制度の概要(当該労働者を就かせようとする対象業務の範囲及び当該労働者の裁量に委ねる当該対象業務の遂行の方法を含む。)

   ロ 当該事業場におけるイの制度において当該労働者に適用される人事評価の方法及びこれに対応する賃金の決定の方法

   ハ この項の規定により第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者を対象業務に就かせたときは第三号に掲げる時間労働したものとみなすことについて当該労働者が次号の同意をしなかつた場合における当該労働者の配置及び待遇

  第三十八条の四第一項第四号中「労働時間」を「健康管理時間」に、「措置を」を「措置であつて、当該労働者に対する有給休暇の付与、健康診断の実施その他の厚生労働省令で定める措置のうち」に、「ところにより」を「もの(第六項第二号において「健康確保措置」という。)を」に改め、同号を同項第六号とし、同項第三号の次に次の二号を加える。

  四 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の健康管理を行うために当該労働者が事業場内にいた時間(当該決議において厚生労働省令で定める労働時間以外の時間を除くことを定めたときは、当該決議に係る時間を除いた時間)と事業場外において労働した時間との合計の時間(次号及び第六号並びに第六項第一号において「健康管理時間」という。)を把握し、及び記録する措置(厚生労働省令で定める方法によるものに限る。)を当該決議で定めるところにより使用者が講ずること。

  五 対象業務に従事する第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者に対し、健康管理時間を労働者の健康の保持及び仕事と生活の調和を勘案して厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内とする措置を当該決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより使用者が講ずること。

  第三十八条の四第四項中「同項第四号に規定する措置の実施状況」を「次に掲げる事項」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 対象業務に従事する第一項第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者の健康管理時間の状況

  二 第一項第五号に規定する措置及び健康確保措置の実施状況

  三 第一項第九号の同意をした労働者並びに当該同意をしなかつた労働者及び同意の撤回をした労働者の人数

  四 第一項第九号の同意をしなかつた労働者及び同意の撤回をした労働者のその後の配置及び待遇

  第三十八条の四第五項中「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に、「第三十六条第一項、」を「第三十五条第二項、第三十六条第一項、第二項及び第五項、第三十六条の二第一項、」に、「第七項ただし書」を「第九項ただし書」に、「第三十六条、」を「第三十五条第二項、第三十六条、第三十六条の二、」に、「第三十六条第二項」を「第三十五条第二項、第三十六条第二項及び第五項から第七項まで、第三十六条の二第二項及び第三項」に、「第三十六条第一項中」を「第三十六条第一項及び第三十六条の二第一項中」に、「同条第三項」を「第三十六条第八項(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に、「同条第四項」を「第三十六条第九項(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改め、同条第四項の次に次の二項を加える。

   厚生労働大臣は、毎年度、前項の規定により行政官庁が報告を受けた同項各号に掲げる事項を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

   行政官庁は、使用者が次の各号のいずれかに該当する行為をした場合において、使用者が当該行為に係る事業場において更に反復してこれらの号のいずれかに該当する行為をするおそれがあり、かつ、労働者の健康及び福祉を確保するため特に必要があると認めるときは、一年を超えない範囲内において期間を定めて、当該事業場に係る第一項の規定による届出(当該期間内に新たにされた当該事業場に係る同項の規定による届出を含む。)の効力を停止することができる。

  一 次に掲げる労働者について第一項の適用があるものとして同項第三号に掲げる時間労働したものとみなして労働時間を算定する行為

   イ 対象業務に従事する労働者以外の労働者

   ロ 第一項第二号に掲げる労働者の範囲に属する労働者以外の労働者

   ハ 第一項第九号の同意をしない労働者又は同意の撤回をした労働者

   ニ 第一項第四号又は第五号に規定する措置が講じられていない労働者

  二 前号に掲げるもののほか、第一項第八号イの制度に係る法令又は同項の委員会の決議において定められた事項に違反する行為

  第三十八条の四第三項の次に次の二項を加える。

   第一項の決議をする委員は、当該決議の内容が前項の指針に適合したものとなるようにしなければならない。

   行政官庁は、第三項の指針に関し、第一項の決議をする委員に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

  第三十九条第六項の次に次の二項を加える。

   使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

   前項の規定にかかわらず、第五項又は第六項の規定により第一項から第三項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が五日を超える場合には、五日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。

  第四十条の見出しを「(労働時間等の特例)」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

   公衆の不便を避けるために必要な事業その他特殊の必要がある事業については、その必要避くべからざる限度で、第三十四条の二の休息時間に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

  第四十一条中「休憩」の下に「、休息時間」を加え、「一に」を「いずれかに」に改める。

  第六十条の見出しを「(労働時間等)」に改め、同条第一項中「第三十六条」の下に「、第三十六条の二」を加える。

  第六十一条第四項中「よつて」を「より」に、「労働させる」を「労働させ、若しくは休息時間を短縮する」に改める。

  第六十六条第二項中「並びに第三十六条第一項」を「、第三十六条第一項並びに第三十六条の二第一項」に、「させてはならず、又は休日に労働させて」を「させ、若しくは休日に労働させ、又は休息時間を短縮して」に改める。

  第百五条の二の次に次の一条を加える。

  (法令違反行為を行つた者の氏名等の公表)

 第百五条の三 厚生労働大臣は、適正な労働条件の確保及び労働者の保護のため必要かつ適当であると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行つた者の氏名又は名称、その違反行為の内容その他必要な事項を一般に公表することができる。

  第百六条第一項中「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に、「第三十六条第一項」を「第三十五条第二項、第三十六条第一項、第三十六条の二第一項」に、「第七項ただし書」を「第九項ただし書」に、「第五項」を「第九項」に、「よつて」を「より」に改める。

  第百七条の次に次の一条を加える。

  (労働時間管理簿)

 第百七条の二 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、各事業場ごとに労働時間管理簿を調製し、各労働者に係る労働した日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに労働時間(第三十八条の三第一項の規定により同項第二号に掲げる時間労働したものとみなされる労働者については同項第四号に規定する健康管理時間、第三十八条の四第一項の規定により同項第三号に掲げる時間労働したものとみなされる労働者については同項第四号に規定する健康管理時間)その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

   労働者又は労働者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母若しくは兄弟姉妹は、使用者に対し、当該労働者に係る労働時間管理簿に記入されている事項に係る情報の開示を請求することができる。

  第百九条中「労働者名簿」の下に「、労働時間管理簿」を加える。

  第百十四条中「第三十九条第七項」を「第三十九条第九項」に改める。

  第百十八条第一号中「第三十二条」の下に「、第三十六条第六項」を加え、同条第二号中「第四十条」を「第四十条第一項」に改める。

  第百十九条第一号中「、第三十五条」を「から第三十五条まで」に改め、「、第三十六条第一項ただし書」を削り、「第三十九条」の下に「(第七項を除く。)」を加え、同条第三号中「第四十条」を「第四十条第一項」に改め、「限る。)」の下に「又は第四十条第二項の規定に基づいて発する厚生労働省令」を加える。

  第百二十条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第三十二条の二第二項(」の下に「第三十二条の三第四項、」を、「第三十八条の三第二項において準用する場合を含む。)」の下に「、第三十九条第七項」を加え、「又は第百六条から第百九条まで」を「、第百六条又は第百九条」に改め、同条に次の一号を加える。

  六 第百七条、第百七条の二第一項又は第百八条の規定に違反して、労働者名簿、労働時間管理簿若しくは賃金台帳を調製せず、若しくはこれらに記入すべき事項を記入せず、又はこれらに虚偽の記入をした者

  第百三十三条を次のように改める。

 第百三十三条 削除

  第百三十八条を次のように改める。

 第百三十八条 削除

  附則に次の四条を加える。

 第百三十九条 工作物の建設の事業(災害時における復旧及び復興の事業に限る。)その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業に関する第三十六条の規定の適用については、当分の間、同条第五項中「時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)」とあるのは「時間」と、「同号」とあるのは「第二項第四号」とし、同条第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

   前項の規定にかかわらず、工作物の建設の事業その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業については、平成三十六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている第三十六条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第二項第四号中「一箇月及び」とあるのは、「一日を超え三箇月以内の範囲で前項の協定をする使用者及び労働組合若しくは労働者の過半数を代表する者が定める期間並びに」とし、同条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

 第百四十条 一般乗用旅客自動車運送事業(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第三条第一号ハに規定する一般乗用旅客自動車運送事業をいう。)の業務、貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第二条第一項に規定する貨物自動車運送事業をいう。)の業務その他の自動車の運転の業務として厚生労働省令で定める業務に関する第三十六条の規定の適用については、平成三十六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている同条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第二項第四号中「一箇月及び」とあるのは、「一日を超え三箇月以内の範囲で前項の協定をする使用者及び労働組合若しくは労働者の過半数を代表する者が定める期間並びに」とし、同条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

 第百四十一条 医業に従事する医師(医療提供体制の確保に必要な者として厚生労働省令で定める者に限る。)に関する第三十六条の規定の適用については、当分の間、同条第二項第四号中「における一日、一箇月及び一年のそれぞれの期間について」とあるのは「における」とし、同条第三項中「限度時間」とあるのは「限度時間並びに労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定める時間」とし、同条第五項及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

   前項の場合において、第三十六条第一項の協定に、同条第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に前項の規定により読み替えて適用する同条第三項の厚生労働省令で定める時間を超えて労働させる必要がある場合において、同条第二項第四号に関して協定した時間を超えて労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め、同条第五項に定める時間及び月数並びに労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内に限る。)その他厚生労働省令で定める事項を定めることができる。

   使用者は、第一項の場合において、第三十六条第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、同条第六項に定める要件並びに労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定める時間を超えて労働させてはならない。

   前三項の規定にかかわらず、医業に従事する医師については、平成三十六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている第三十六条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第二項第四号中「一箇月及び」とあるのは、「一日を超え三箇月以内の範囲で前項の協定をする使用者及び労働組合若しくは労働者の過半数を代表する者が定める期間並びに」とし、同条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

   第三項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第百四十二条 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業に関する第三十六条の規定の適用については、平成三十六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている同条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第五項中「時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)」とあるのは「時間」と、「同号」とあるのは「第二項第四号」とし、同条第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成三十一年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 次条並びに附則第三条(第一項を除く。)、第九条、第十一条、第十二条第二項、第四項から第七項まで及び第九項並びに第二十四条の規定 公布の日

 二 第一条及び附則第十三条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日

 三 第二条中労働基準法目次の改正規定、第四章の章名の改正規定、第三十三条の改正規定、第三十四条の次に一条を加える改正規定、第三十六条の次に一条を加える改正規定、第三十七条第一項の改正規定、第三十八条の四第五項の改正規定(「第三十六条第一項、」を「第三十五条第二項、第三十六条第一項、第二項及び第五項、第三十六条の二第一項、」に改める部分中「、第三十六条の二第一項」に係る部分、「第三十六条、」を「第三十五条第二項、第三十六条、第三十六条の二、」に改める部分中「、第三十六条の二」に係る部分、「第三十六条第二項」を「第三十五条第二項、第三十六条第二項及び第五項から第七項まで、第三十六条の二第二項及び第三項」に改める部分中「、第三十六条の二第二項及び第三項」に係る部分、「第三十六条第一項中」を「第三十六条第一項及び第三十六条の二第一項中」に改める部分中「及び第三十六条の二第一項」に係る部分、「同条第三項」を「第三十六条第八項(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改める部分中「(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に係る部分及び「同条第四項」を「第三十六条第九項(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改める部分中「(第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に係る部分に限る。)、第四十条の改正規定、第四十一条の改正規定、第六十条の改正規定、第六十一条第四項の改正規定、第六十六条第二項の改正規定、第百六条第一項の改正規定(「第三十六条第一項」を「第三十五条第二項、第三十六条第一項、第三十六条の二第一項」に改める部分中「、第三十六条の二第一項」に係る部分に限る。)、第百十八条第二号の改正規定、第百十九条第一号の改正規定(「、第三十五条」を「から第三十五条まで」に改める部分に限る。)及び同条第三号の改正規定並びに附則第三条第一項、第十四条、第十六条及び第十七条の規定、附則第十八条中労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十四条第二項の改正規定(「、第三十六条第一項」の下に「及び第六項、第三十六条の二第一項」を加える部分中「、第三十六条の二第一項」に係る部分及び「同法第三十六条第一項」の下に「及び第三十六条の二第一項」を加える部分に限る。)及び同条第三項の改正規定(「、第三十五条、第三十六条第一項ただし書」を「から第三十五条まで、第三十六条第六項」に改める部分中「から第三十五条まで」に係る部分に限る。)、附則第十九条(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第十七条第一項の改正規定、同法第二十三条第二項の改正規定、同法第六十条第二項の改正規定(「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に改める部分に限る。)並びに同法第六十一条第二十一項及び第二十三項の改正規定を除く。)の規定、附則第二十一条中労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)第一条の二の改正規定及び同法第七条第一項の改正規定(「、第三十六条第一項」を「、第三十五条第二項、第三十六条第一項、第二項及び第五項、第三十六条の二第一項」に改める部分中「、第三十六条の二第一項」に係る部分、「並びに第三十六条第一項」を「、第三十五条第二項、第三十六条第一項並びに第三十六条の二第一項」に改める部分中「並びに第三十六条の二第一項」に係る部分、「第三十六条第三項及び第四項」を「第三十六条第八項及び第九項(これらの規定を第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改める部分中「(これらの規定を第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に係る部分、「同法第三十六条第三項」を「同法第三十六条第八項(同法第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改める部分中「(同法第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に係る部分、「として」を「と、同法第三十六条の二第三項中「次条第二項」とあるのは「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第七条第一項の規定により読み替えて適用する次条第二項」として」に改める部分及び「及び第三十六条第二項から第四項まで」を「、第三十六条第三項、第四項及び第六項から第十一項まで並びに第三十六条の二第二項及び第三項」に改める部分中「並びに第三十六条の二第二項及び第三項」に係る部分に限る。)並びに附則第二十二条中独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第五十八条第一項の改正規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 四 第二条中第百三十八条の改正規定 平成三十四年四月一日

 (災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等に関する経過措置)

第二条 使用者は、前条第三号に掲げる規定の施行の日(次項、次条及び附則第九条において「一部施行日」という。)前においても、第二条の規定による改正後の労働基準法(以下「新法」という。)第三十三条第一項の規定の例により、同項の許可の申請をすることができる。

2 行政官庁は、前項の規定による許可の申請があった場合には、一部施行日前においても、新法第三十三条第一項の規定の例により、その許可をすることができる。この場合において、その許可を受けた者は、一部施行日において同項の許可を受けたものとみなす。

 (休息時間に関する経過措置)

第三条 新法第三十四条の二の規定は、一部施行日以後最初の始業から適用する。

2 新法第三十六条の二第一項の協定については、一部施行日前においても、同条の規定の例により、することができる。

3 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、一部施行日前においても、新法第三十六条の二第一項の規定の例により、前項の協定を行政官庁に届け出ることができる。この場合において、当該協定は、一部施行日において新法第三十六条の二第一項の規定により届け出られた協定とみなす。

4 厚生労働大臣は、一部施行日前においても、新法第三十六条の二第二項の規定の例により、第二項の協定で定める休息時間の短縮の限度その他の必要な事項について基準を定めることができる。この場合において、当該基準は、一部施行日において同条第二項の規定により定められたものとみなす。

 (休日に関する経過措置)

第四条 この法律の施行の際現に使用者が第二条の規定による改正前の労働基準法(以下「旧法」という。)第三十五条第二項の規定により休日を与えることとしている労働者に関しては、この法律の施行の日(附則第六条及び第七条において「施行日」という。)の前日を含む同項の四週間に係る休日については、なお従前の例による。

 (時間外及び休日の労働に係る協定に関する経過措置)

第五条 新法第三十六条の規定(新法第百三十九条第二項、第百四十条、第百四十一条第四項及び第百四十二条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)は、平成三十一年四月一日以後の期間のみを定めている協定について適用し、同年三月三十一日を含む期間を定めている協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日までの間については、なお従前の例による。

 (旧法第三十八条の三第一項の協定に係る労働時間の算定に関する経過措置)

第六条 この法律の施行の際現に効力を有する旧法第三十八条の三第一項の協定に係る労働時間の算定については、その有効期限の末日又は施行日から起算して一年を経過する日のいずれか早い日までの間は、なお従前の例による。

 (旧法第三十八条の四第一項の決議に係る労働時間の算定等に関する経過措置)

第七条 この法律の施行の際現に効力を有する旧法第三十八条の四第一項の決議に係る労働時間の算定については、その有効期限の末日又は施行日から起算して一年を経過する日のいずれか早い日までの間は、なお従前の例による。

2 新法第三十八条の四第八項の規定は、施行日以後に行われる同項各号のいずれかに該当する行為について適用する。

 (年次有給休暇に関する経過措置)

第八条 この法律の施行の際四月一日以外の日が基準日(継続勤務した期間を労働基準法第三十九条第二項に規定する六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間をいう。以下この条において同じ。)の初日をいい、同法第三十九条第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る当該各期間の初日より前の日から与えることとした場合はその日をいう。以下この条において同じ。)である労働者に係る有給休暇については、この法律の施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新法第三十九条第七項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (妊産婦の休息時間の短縮に関する経過措置)

第九条 妊産婦は、一部施行日前においても、新法第六十六条第二項の規定の例により、同項の請求をすることができる。この場合において、同項の規定の例によりされた請求は、一部施行日において同項の規定によりされた請求とみなす。

 (法令違反行為を行った者の氏名等の公表に関する経過措置)

第十条 新法第百五条の三の規定は、この法律の施行前にした行為については、適用しない。

 (政令への委任)

第十一条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (検討)

第十二条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、新法の労働時間等に関する規定に違反する行為(以下この項において「違反行為」という。)に対する罰則の在り方について、違反行為を効果的に抑止する観点から、新法の施行の状況を勘案しつつ、違反行為をした者が事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者であり、かつ、事業主が法人である場合に、当該法人に対し当該違反行為をした者よりも高額の罰金刑を科す制度の導入も含めて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、労働基準法第四十一条各号に該当する労働者に係る労働時間等に関する規定の適用除外について、当該労働者の業務の内容、責任及び権限、勤務形態、待遇、労働時間の管理体制等の実態について調査し、必要に応じ、当該労働者の適切な範囲の在り方について検討を加えるものとする。

3 政府は、新法第百三十九条に規定する事業に係る新法第三十六条の規定の特例の廃止について、この法律の施行後の労働時間の動向その他の事情を勘案しつつ引き続き検討するものとする。

4 政府は、教育職員(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第七十七号。以下この項において「給特法」という。)第二条第二項に規定する教育職員をいう。以下この項において同じ。)が長時間にわたり労働している実態があり、その改善が喫緊の課題となっていることに鑑み、この法律の施行後三年を目途として、教育職員の勤務時間に係る制度、教育職員の業務の範囲等について、給特法の改廃を含めて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

5 政府は、民法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第四十四号)の施行の日までに、労働基準法第百十五条の規定による賃金、災害補償その他の請求権に係る消滅時効の期間の在り方について、労働者の保護を図ることの重要性及び民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による消滅時効の期間との均衡を考慮しつつ検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

6 政府は、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において、労働基準法第三十六条第一項等の規定による労働者の過半数を代表する者と使用者との協定の締結及び同法第三十八条の四第一項の委員会が行う決議等の手続が重要であるにもかかわらず、必ずしもそれらの手続が適正に行われていない現状に鑑み、この法律の施行後三年を目途として、当該協定の締結等を公正で民主的な手続により行うために必要な制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

7 政府は、雇用や就業の形態が多様化し、副業又は兼業を行う労働者が増加している現状において、その健康及び福祉の確保が重要であることに鑑み、この法律の施行後三年を目途として、副業又は兼業を行う労働者の労働時間に関する規制の在り方その他のこれらの労働者の健康及び福祉を確保するために必要な制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

8 前各項に定めるもののほか、政府は、この法律の施行後三年を目途として、新法の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

9 政府は、雇用や就業の形態が多様化し、雇用と類似の就業形態の者が増加している現状に鑑み、この法律の施行後三年を目途として、これらの者に労働者に準じた保護を及ぼすために必要な制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)

第十三条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第二号ヘ中「第百十八条第一項」を「第百十八条第一号」に改める。

 (行政執行法人の労働関係に関する法律等の一部改正)

第十四条 次に掲げる法律の規定中「休憩」の下に「、休息時間」を加える。

 一 行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第八条第一号

 二 地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和二十七年法律第二百八十九号)第七条第一号

 三 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第五十二条第一項

 (地方公務員法の一部改正)

第十五条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第五十八条第三項中「第三十九条第六項」の下に「から第八項まで」を加え、同条第四項中「場合は」と」の下に「、同法第三十五条第二項中「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により」とあるのは「使用者は」と、「その協定で定めるところにより」とあるのは「その定めにより」と」を加える。

 (土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法の一部改正)

第十六条 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法(昭和四十二年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一項中「第三十二条」の下に「、第三十四条の二」を加える。

 (公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部改正)

第十七条 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を次のように改正する。

  第五条中「労働させることが」を削る。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第十八条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第四十四条第二項中「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に改め、「、第三十六条第一項」の下に「及び第六項、第三十六条の二第一項」を加え、「及び第六十六条から第六十八条まで」を「、第六十六条から第六十八条まで並びに第百四十一条第三項」に改め、「第二項」の下に「並びに第三十五条第二項」を、「同法第三十六条第一項」の下に「及び第三十六条の二第一項」を加え、「これを行政官庁に」とあるのは「及びこれを行政官庁に」を「協定をし、」とあるのは「協定をし、及び」に改め、同条第三項中「、第三十五条、第三十六条第一項ただし書」を「から第三十五条まで、第三十六条第六項」に、「若しくは第六十四条の三」を「、第六十四条の三若しくは第百四十一条第三項」に改め、同条第五項中「同条第三項の規定」と」の下に「、同法第百五条の三中「この法律又はこの法律に基づく命令」とあるのは「この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定(労働者派遣法第四十四条の規定により適用される場合を含む。)又は同条第三項の規定」と」を加え、「第五項」を「第九項」に改める。

 (育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正)

第十九条 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を次のように改正する。

  目次中「第七章 時間外労働の制限(第十七条−第十八条の二)」を

第七章 時間外労働の制限(第十七条−第十八条の二)

 

 

第七章の二 休息時間の短縮の制限(第十八条の三−第十八条の五)

 に改める。

  第十七条第一項中「第三十六条第一項本文」を「第三十六条第一項」に改める。

  第七章の次に次の一章を加える。

    第七章の二 休息時間の短縮の制限

 第十八条の三 事業主は、労働基準法第三十六条の二第一項の規定により同項に規定する休息時間(以下単に「休息時間」という。)を短縮することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、休息時間を短縮してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

  一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者

  二 前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの

 2 前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は休息時間を短縮してはならないこととなる一の期間(一月以上一年以内の期間に限る。第四項において「制限期間」という。)について、その初日(以下この項及び次項において「制限開始予定日」という。)及び末日(第四項において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならない。

 3 第一項の規定による請求がされた後制限開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなす。この場合において、労働者は、その事業主に対して、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。

 4 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(第三号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。

  一 制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が第一項の規定による請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。

  二 制限終了予定日とされた日の前日までに、第一項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。

  三 制限終了予定日とされた日までに、第一項の規定による請求をした労働者について、労働基準法第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと。

 5 第三項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

 第十八条の四 前条第一項から第四項まで(同項第二号を除く。)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条第一項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条第三項及び第四項第一号中「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」と読み替えるものとする。

 2 前条第三項後段の規定は、前項において準用する同条第四項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。

 第十八条の五 事業主は、労働者が第十八条の三第一項(前条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による請求をし、又は第十八条の三第一項の規定により当該事業主が当該請求をした労働者について休息時間を短縮してはならない場合に当該労働者が休息時間を短縮して労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

  第二十三条第二項中「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に改める。

  第五十六条の二中「第十八条の二」の下に「、第十八条の三第一項(第十八条の四第一項において準用する場合を含む。)、第十八条の五」を加える。

  第五十七条中「第十九条第一項第二号及び第三号」を「第十八条の三第一項第二号、第三項及び第四項第一号(これらの規定を第十八条の四第一項において準用する場合を含む。)、第十九条第一項第二号及び第三号」に改める。

  第六十条第一項中「、第七章」を「から第七章の二まで」に改め、同条第二項中「第三十二条の三」を「第三十二条の三第一項」に改め、「第十八条の二」の下に「、第十八条の三第一項(第十八条の四第一項において準用する場合を含む。)、第十八条の五」を加え、「含む。)」とあるのは」を「含む。)、第十八条の三第一項第二号、第三項及び第四項第一号(これらの規定を第十八条の四第一項において準用する場合を含む。)」とあるのは」に改める。

  第六十一条第四項中「第三十項」を「第三十四項」に改め、同条第二十一項及び第二十三項中「第三十六条第一項本文」を「第三十六条第一項」に改め、同条第三十四項を同条第三十八項とし、同条第三十三項を同条第三十七項とし、同条第三十二項中「第二十九項」を「第三十三項」に改め、同項を同条第三十六項とし、同条第三十一項中「第二十九項」を「第三十三項」に改め、同項を同条第三十五項とし、同条第三十項を同条第三十四項とし、同条第二十六項から同条第二十九項までを四項ずつ繰り下げ、同条第二十五項中「第二十七項」を「第三十一項」に改め、同項を同条第二十九項とし、同条第二十四項の次に次の四項を加える。

 25 行政執行法人の長は、当該行政執行法人の職員について労働基準法第三十六条の二第一項の規定により同項に規定する休息時間を短縮することができる場合において、当該職員であって小学校就学の始期に達するまでの子を養育するもの(第十八条の三第一項の規定を適用するとしたならば同項各号のいずれにも該当しないものに限る。)が当該子を養育するために請求した場合で業務の運営に支障がないと認めるときは、その者について、当該休息時間を短縮して勤務しないことを承認しなければならない。

 26 前項の規定は、行政執行法人の職員であって要介護家族を介護するものについて準用する。この場合において、同項中「第十八条の三第一項」とあるのは「第十八条の四第一項において準用する第十八条の三第一項」と、「同項各号」とあるのは「第十八条の四第一項において準用する第十八条の三第一項各号」と、「当該子を養育する」とあるのは「当該要介護家族を介護する」と読み替えるものとする。

 27 地方公務員法第六条第一項に規定する任命権者又はその委任を受けた者は、同法第四条第一項に規定する職員について労働基準法第三十六条の二第一項の規定により同項に規定する休息時間を短縮することができる場合において、当該職員であって小学校就学の始期に達するまでの子を養育するもの(第十八条の三第一項の規定を適用するとしたならば同項各号のいずれにも該当しないものに限る。)が当該子を養育するために請求した場合で公務の運営に支障がないと認めるときは、その者について、当該休息時間を短縮して勤務しないことを承認しなければならない。

 28 前項の規定は、地方公務員法第四条第一項に規定する職員であって要介護家族を介護するものについて準用する。この場合において、前項中「第十八条の三第一項」とあるのは「第十八条の四第一項において準用する第十八条の三第一項」と、「同項各号」とあるのは「第十八条の四第一項において準用する第十八条の三第一項各号」と、「当該子を養育する」とあるのは「当該要介護家族を介護する」と読み替えるものとする。

 (地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正)

第二十条 地方公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

  第二十条第一項中「及び第三十九条第八項」を「及び第三十九条第十項」に、「第二条第一項」と、同法第三十九条第八項」を「(平成三年法律第百十号)第二条第一項」と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第二号」と、同法第三十九条第十項」に、「とする」を「と、「同条第二号」とあるのは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第二号とする」に改める。

 (労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正)

第二十一条 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部を次のように改正する。

  第一条の二中「、労働時間」の下に「、休息時間」を加える。

  第七条第一項中「労働基準法第三十二条の二第一項、第三十二条の三」を「労働基準法第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項(同条第二項及び第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)」に、「、第三十六条第一項」を「、第三十五条第二項、第三十六条第一項、第二項及び第五項、第三十六条の二第一項」に、「同法第三十二条の二第一項、第三十二条の三」を「同法第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項」に、「並びに第三十六条第一項」を「、第三十五条第二項、第三十六条第一項並びに第三十六条の二第一項」に、「及び第三十六条第三項」を「及び第三十六条第八項」に、「次項、」を「次項、次条第四項、」に、「第三十六条第三項及び第四項」を「第三十六条第八項及び第九項(これらの規定を第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に、「同法第三十六条第三項」を「同法第三十六条第八項(同法第三十六条の二第三項において準用する場合を含む。)」に、「として」を「と、同法第三十六条の二第三項中「次条第二項」とあるのは「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第七条第一項の規定により読み替えて適用する次条第二項」として」に、「及び第三十六条第二項から第四項まで」を「、第三十六条第三項、第四項及び第六項から第十一項まで並びに第三十六条の二第二項及び第三項」に改める。

 (独立行政法人通則法の一部改正)

第二十二条 独立行政法人通則法の一部を次のように改正する。

  第五十八条第一項中「休憩」の下に「、休息時間」を加える。

  第五十九条第五項中「第三十九条第八項」を「第三十九条第十項」に改める。

 (地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律の一部改正)

第二十三条 地方公共団体の一般職の任期付研究員の採用等に関する法律(平成十二年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

  第六条中「条例により」と」の下に「、「協定において」とあるのは「条例において」と、「協定に係る」とあるのは「条例に係る」と」を加え、「とする」を「と、「協定及び就業規則その他これに準ずるもの」とあるのは「条例」と、「協定の」とあるのは「条例の」と、「賃金」とあるのは「給与」とする」に改める。

 (関係法律の整備)

第二十四条 附則第十三条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。


     理 由

 労働者が安心して働くことができる社会の実現を図るため、労働時間の延長の上限規制及び休息時間の規制、裁量労働制における健康管理時間の記録及びその上限に係る規制の新設その他の裁量労働制に係る規制の厳格化、労働時間管理簿の調製の義務付け、違法な長時間労働に係る罰則の引上げ等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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