衆議院

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第一九八回

衆第二九号

   自動車に係る国民負担の軽減及び道路交通の安全のために講ずべき措置に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、自動車が国民生活に重要な役割を果たしていることに鑑み、自動車に係る国民負担の軽減及び道路交通の安全のために講ずべき措置を定めるものとする。

 (自動車重量税等に関する措置)

第二条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九十条の十一から第九十条の十一の三までに規定する自動車重量税率の特例を廃止するものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

2 前項の措置に伴う地方公共団体の減収を補塡する観点等から、自動車重量譲与税の額を引き上げるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 (任意自動車保険料に係る所得控除の導入)

第三条 自動車の運行によって生ずることのある損害を塡補することを約し、保険料等を収受する保険等(自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第五条に規定する責任保険及び責任共済を除く。)の保険料等(以下この項において「任意自動車保険料」という。)に係る若年者の負担が過重なものであること等に鑑み、任意自動車保険料に係る負担の軽減を図るため、所得税の額の計算に当たって、個人が各年において任意自動車保険料を支払った場合に、その年中に支払った任意自動車保険料の額を、その個人のその年分の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二十二条第二項に規定する総所得金額等から控除する制度を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

2 個人の道府県民税(都民税を含む。)及び市町村民税(特別区民税を含む。)の額の計算についても、前項と同様の制度を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

 (会社管理高速道路の料金の減額等に関する措置)

第四条 会社管理高速道路(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二十三条第一項第一号に規定する会社管理高速道路をいう。以下この条において同じ。)の通行者及び利用者の負担の軽減を図るため、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が負う承継債務(独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成十六年法律第百号)第二条第三項に規定する承継債務をいう。)の返済を完了させなければならない日を延期し、会社管理高速道路に係る料金(道路整備特別措置法第二条第五項に規定する料金をいう。以下この条において同じ。)の徴収期間を延長することにより、料金の減額を行うものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 政府は、会社管理高速道路の通行者及び利用者の負担の軽減を図る観点から、料金の体系の在り方について、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社が道路整備特別措置法第三条第一項の許可を受けて新設し、若しくは改築し、又は同法第四条の規定により維持、修繕及び災害復旧を行う会社管理高速道路の通行についての対距離制の料金に上限を定め、一定の距離を超える通行についての料金を定額とする等の抜本的な見直しを行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (先進安全技術免許の創設等)

第五条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)上の自動車の種類として、新たに先進安全技術搭載自動車(衝突被害軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置その他の交通事故の防止及び交通事故による被害の軽減に資する技術を搭載した自動車をいう。以下この条及び次条において同じ。)に係る区分を設けるとともに、免許(同法第八十四条第一項に規定する免許をいう。次項及び第三項において同じ。)の種類として、新たに、運転することができる自動車等(同条第一項に規定する自動車等をいう。次項において同じ。)を先進安全技術搭載自動車に限定する先進安全技術搭載自動車免許(同項及び第三項において「先進安全技術免許」という。)を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 近年、人の死亡を伴う交通事故の発生件数のうち七十五歳以上の者が運転する自動車等に係る交通事故の発生件数の占める割合が増加していること、七十五歳以上の者が運転する自動車等に係る交通事故が大きな社会問題となっていること等に鑑み、免許(先進安全技術免許を除く。以下この項及び次項において同じ。)を受けている七十五歳以上の者が、その者の免許の種類に応じて運転することができる自動車等(先進安全技術搭載自動車を除く。)を運転することにより道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認められる場合において、先進安全技術搭載自動車を運転することにより道路における交通の危険を生じさせるおそれがないと認められるときは、都道府県公安委員会がその者の免許を取り消し、併せて先進安全技術免許を与えることができる制度を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

3 政府は、前項の制度により免許を取り消され、併せて先進安全技術免許を与えられた者が先進安全技術搭載自動車を購入する場合等に、補助金の交付その他の措置を講ずることにより、その者の負担の軽減を最大限に図るものとする。

 (先進安全技術搭載自動車の普及の促進に関する措置)

第六条 先進安全技術搭載自動車の普及が自動車に係る交通事故の防止及び交通事故による被害の軽減に資するものであることに鑑み、その普及を促進するため、先進安全技術搭載自動車に対して課する自動車重量税、自動車税及び軽自動車税の税率を引き下げるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 自動車が国民生活に重要な役割を果たしていることに鑑み、自動車に係る国民負担の軽減及び道路交通の安全のために講ずべき措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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