第二〇一回
衆第二号
家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案
家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項の表二十の項中「豚コレラ」を「豚熱」に改め、同表二十一の項中「アフリカ豚コレラ」を「アフリカ豚熱」に改め、同条第二項中「豚コレラ、アフリカ豚コレラ」を「豚熱、アフリカ豚熱」に改める。
第十条第三項、第十五条、第十六条第一項及び第二十一条第一項第一号中「豚コレラ、アフリカ豚コレラ」を「豚熱、アフリカ豚熱」に改める。
附則第一項を附則第一条とし、同条に見出しとして「(施行期日)」を付する。
附則第二項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、同項を附則第二条とし、同条の前に見出しとして「(旧法の廃止等)」を付する。
附則第三項を附則第三条とする。
附則第四項中「基く」を「基づく」に改め、同項を附則第四条とする。
附則第五項及び第六項を削り、附則に次の見出し及び六条を加える。
(アフリカ豚熱に関する特例)
第五条 農林水産大臣は、当分の間、アフリカ豚熱がまん延し、又はまん延するおそれがある場合(家畜以外の動物がアフリカ豚熱にかかつていることが発見された場合であつて、当該動物から家畜に伝染することにより家畜においてアフリカ豚熱がまん延するおそれがあるときを含む。)において、第三章(次項の規定により読み替えて適用される第十七条の二の規定に係る部分を除き、第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)並びに次条及び附則第七条の規定により講じられる措置のみによつてはそのまん延の防止が困難であり、かつ、その急速かつ広範囲なまん延を防止するため、アフリカ豚熱の患畜及び疑似患畜(以下この項において「患畜等」という。)以外の家畜であつてもこれを殺すことがやむを得ないと認めるときは、患畜等以外の家畜を殺す必要がある地域を附則第五条指定地域として、また、当該附則第五条指定地域において殺す必要がある家畜(患畜等を除く。)を附則第五条指定家畜として、それぞれ指定することができる。
2 前項の附則第五条指定地域(以下この項において単に「附則第五条指定地域」という。)及び前項の附則第五条指定家畜(以下この項において単に「附則第五条指定家畜」という。)については、附則第五条指定地域及び附則第五条指定家畜の指定を第十七条の二第一項の指定地域及び指定家畜の指定と、附則第五条指定地域を同項の指定地域と、附則第五条指定家畜を指定家畜と、それぞれみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第十七条の二第二項 |
口蹄疫 |
アフリカ豚熱 |
|
ものとする |
ものとする。この場合において、家畜以外の動物がアフリカ豚熱にかかつていることが発見された場合における指定地域及び指定家畜の指定の範囲は、当該動物がいた場所又はその死体があつた場所の周辺における当該動物の生息の状況、当該動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散の状況、これらの場所の周辺における家畜の飼養に係る衛生管理の状況その他の事情を考慮して定めるものとする |
第十七条の二第三項 |
都道府県知事 |
都道府県知事(家畜以外の動物がアフリカ豚熱にかかつていることが発見された場合において指定地域及び指定家畜の指定をしようとするときは、当該指定地域を管轄する都道府県知事及び食料・農業・農村政策審議会) |
第十七条の二第八項 |
第三項 |
附則第五条第二項の規定により読み替えて適用される第三項 |
3 アフリカ豚熱に係る次の表の上欄に掲げる規定の適用については、当分の間、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第三条 |
及び第五十八条から第六十条の二まで |
、第五十八条(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)、第五十九条、第六十条(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)及び第六十条の二 |
第三条の二第一項
|
まん延を |
まん延(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を含む。)を |
第三条の二第二項、第二十六条第二項、第二十八条の二第二項、第三十一条第二項及び第五十八条第五項 |
前項 |
前項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第三条の二第二項及び第二十六条第五項 |
同項 |
前項 |
第三条の二第二項、第二十六条第一項、第二項及び第四項、第二十八条の二第一項、第三十条、第三十一条第一項並びに第三十二条から第三十五条まで |
まん延 |
まん延(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を含む。) |
第三条の二第三項 |
防止 |
防止(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散の防止を含む。) |
第三条の二第四項 |
次項 |
次項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
前項 |
前項(同条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第三条の二第五項 |
とき |
とき(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によりその病原体が拡散し、又は拡散するおそれがあるときを含む。) |
第三条の二第五項及び第二十六条第五項 |
第三項 |
第三項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第二十六条第一項 |
ときは、 |
ときは、要消毒倉庫等( |
|
以下「要消毒倉庫等」という |
)及びその敷地(農林水産省令で定める敷地を除く。)をいう。以下同じ |
第二十六条第三項及び第四項、第二十八条の二第三項並びに第五十八条第四項 |
第一項 |
第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第二十六条第四項 |
要消毒倉庫等及びその敷地(農林水産省令で定める敷地を除く。) |
要消毒倉庫等 |
第二十六条第五項 |
前項 |
前項(同条第三項の規定により読替えて適用される場合を含む。以下この項において同じ。) |
第二十六条第六項 |
第四項 |
第四項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
の敷地 |
に車両を入れ、又は当該要消毒倉庫等 |
第二十八条第二項 |
第二十六条第四項 |
第二十六条第四項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
から出る |
に出入りする |
第二十八条の二第二項 |
まん延 |
まん延(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱の急速かつ広範囲なまん延によるその病原体の拡散を含む。) |
第三十五条 |
この章 |
この章(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第四十六条第一項 |
第二十六条まで |
第二十五条まで、第二十六条(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第三十一条第一項並びに同条第二項 |
第三十一条第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)並びに第三十一条第二項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第四十七条 |
第三十四条 |
第三十四条(第二十六条第一項、第三項及び第五項、第二十八条の二第一項、第三十条、第三十一条第一項、第三十二条第一項、第三十三条並びに第三十四条については、附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第四十八条 |
前条 |
前条(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第三章 |
第三章(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第五十二条の三 |
第二十六条第二項 |
第二十六条第二項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第四十八条 |
第四十八条(これらの規定が附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下この条において同じ。) |
|
第十七条の二第五項又は第二十六条第一項 |
第十七条の二第五項又は第二十六条第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下この条において同じ。) |
第五十八条第一項第四号 |
第三十一条第一項 |
第三十一条第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第五十八条第三項 |
前二項 |
第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)及び前項 |
|
第一項第四号 |
第一項第四号(同条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第六十条第一項第二号 |
第五十八条第五項 |
第五十八条第五項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第六十条第二項 |
第三十二条 |
第三十二条(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第三十三条 |
第三十三条(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第三十四条 |
第三十四条(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第六十一条 |
第三十一条第二項 |
第三十一条第二項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
|
第五項、第三十条、第三十一条第一項 |
第五項(同条第一項、第三項及び第五項については、附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)、第三十条(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)、第三十一条第一項(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
第六十四条第二号 |
場合 |
場合及びこれらの規定が附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合 |
第六十六条第一号及び第二号 |
ついては、 |
ついては |
第六十六条第一号 |
含む |
含み、第二十六条第四項及び第六項、第二十八条第二項並びに第二十八条の二第一項については附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む |
第六十六条第二号 |
含む |
含み、第二十六条第一項及び第三十条については附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む |
第六十六条第三号 |
含む |
含み、第二十六条第二項については附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む |
第六十六条第七号及び第八号 |
場合 |
場合及び附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合 |
第六十七条 |
から前条まで |
、第六十四条(附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)、第六十五条及び前条(同項の規定により読み替えて適用される場合を含む。) |
4 前項の規定により第五十八条第一項の規定を読み替えて適用する場合における農業保険法(昭和二十二年法律第百八十五号)第九十八条第一項の規定の適用については、同項第二号中「第四号」とあるのは「第四号(同法附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)」と、「同条第二項」とあるのは「同法第五十八条第二項」とする。
第六条 都道府県知事は、当分の間、家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を防止するため必要がある場合には、その必要な限度において、家畜以外の動物であつてアフリカ豚熱にかかつていることが発見されたものがいた場所又はその死体があつた場所その他アフリカ豚熱の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがある場所又は物品を当該都道府県の職員に消毒させることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による消毒をする場所の付近を通行する者に対し、家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を防止するため必要な限度において、その身体又はその場所の付近を通過させる車両の消毒を受けるよう求めることができる。
3 都道府県知事又は市町村長は、当分の間、家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を防止するため緊急の必要があると認める場合には、その必要な限度において、相当の期間を定め、家畜以外の動物であつてアフリカ豚熱にかかつていることが発見されたものがいた場所又はその死体があつた場所(これに隣接してアフリカ豚熱の病原体により汚染し、又は汚染したおそれがある場所を含む。)とその他の場所との通行を制限し、又は遮断することができる。
4 都道府県知事又は市町村長は、前項の規定により通行を制限し、又は遮断しようとするときは、あらかじめ、通行が制限され、又は遮断されるべき場所を管轄する警察署長にその旨を通報するとともに、市町村長にあつては都道府県知事にその旨を報告しなければならない。
5 前項の場合において、同項に規定する場所に鉄道若しくは軌道が敷設されているとき又は当該場所の全部若しくは一部が港若しくは飛行場の区域の全部若しくは一部であるときは、同項の通報前にこれらの施設を管理する者に協議しなければならない。
6 第三項の規定による通行の制限又は遮断は、適当な場所にその旨及び理由その他農林水産省令で定める事項を掲示し、かつ、制限し、又は遮断すべき場所への通路に綱を張り、夜間は赤色灯又は黄色灯をつけ、その他その場所とその他の場所とを明確に識別できる方法により行わなければならない。
第七条 都道府県知事は、当分の間、家畜におけるアフリカ豚熱のまん延(家畜以外の動物におけるアフリカ豚熱のまん延によるその病原体の拡散を含む。)を防止するため必要がある場合において、飼養衛生管理基準が定められた家畜の所有者が当該飼養衛生管理基準(衛生管理区域(第八条の二第一項に規定する施設及びその敷地をいう。以下この項において同じ。)内におけるアフリカ豚熱の病原体による汚染の拡大の防止の方法及び衛生管理区域外へのアフリカ豚熱の病原体の拡散の防止の方法に係る部分に限る。)を遵守していないと認めるときは、改善すべき事項を記載した文書の提示その他の農林水産省令で定める方法により、その者に対し、期限を定めて、衛生管理区域内におけるアフリカ豚熱の病原体による汚染の拡大の防止の方法又は衛生管理区域外へのアフリカ豚熱の病原体の拡散の防止の方法を改善すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、改善すべき事項を記載した文書の提示その他の農林水産省令で定める方法により、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
第八条 附則第六条第一項から第三項まで及び前条の規定による措置には、第三十五条及び第四十七条の規定を準用する。
第九条 附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される第二十六条、第二十八条の二及び第三十条から第三十五条まで並びに附則第六条及び第七条並びに前条において準用する第三十五条の規定により地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 附則第六条第三項の規定による通行の制限又は遮断に違反した者
二 附則第七条第二項の規定による命令に違反した者
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則に見出し及び六条を加える改正規定(附則第五条第三項中第六十四条第二号、第六十六条及び第六十七条の読替えに係る部分並びに附則第十条に係る部分に限る。)は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(豚コレラ及びアフリカ豚コレラの名称の変更に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行前にされたこの法律による改正前の家畜伝染病予防法第二条第一項の表二十の項に規定する豚コレラ又は同表二十一の項に規定するアフリカ豚コレラに係る処分、手続その他の行為は、それぞれこの法律による改正後の家畜伝染病予防法(次条において「新法」という。)第二条第一項の表二十の項に規定する豚熱又は同表二十一の項に規定するアフリカ豚熱に係る処分、手続その他の行為としてされたものとみなす。
(罰則の適用に係る経過措置)
第三条 この法律の施行の日から起算して二十日を経過する日までの間における新法附則第五条第二項の規定の適用については、同項中「この法律の規定」とあるのは、「この法律の規定(第六十三条第三号を除く。)」とする。
(地方自治法の一部改正)
第四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一家畜伝染病予防法(昭和二十六年法律第百六十六号)の項の下欄を次のように改める。
一 第三章(第二十一条第六項及び第七項を除く。)の規定(第六十二条第一項において準用する場合を含む。)により地方公共団体が処理することとされている事務 |
二 附則第五条第三項の規定により読み替えて適用される第二十六条、第二十八条の二及び第三十条から第三十五条まで並びに附則第六条及び第七条並びに附則第八条において準用する第三十五条の規定により地方公共団体が処理することとされている事務 |
理 由
「豚コレラ」及び「アフリカ豚コレラ」の名称を、国際機関において用いられている名称に即してそれぞれ「豚熱」及び「アフリカ豚熱」に変更するとともに、有効な予防液がないアフリカ豚熱が近隣諸国でまん延している状況に鑑み、家畜の伝染性疾病の発生の予防及びまん延の防止の在り方に関し総合的な見直しが行われるまでの間の緊急の措置として、アフリカ豚熱の急速かつ広範囲なまん延を防止するために予防的殺処分を行うことができることとする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。