衆議院

メインへスキップ



第二〇一回

衆第一七号

   新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための休業者、離職者等の生活の支援に関する特別措置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 労働者生活支援給付金(第二条−第六条)

 第三章 雇用保険法の特例(第七条−第十条)

 第四章 臨時職業訓練受講給付金(第十一条−第十四条)

 第五章 生活保護法の要保護者に対する支援措置(第十五条・第十六条)

 第六章 雑則(第十七条−第十九条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)及びそのまん延防止のための措置の影響により休業、離職等を余儀なくされたことで収入が減少した者等の生活を支援するため、労働者生活支援給付金の支給、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の特例等の特別の措置について定めるものとする。

   第二章 労働者生活支援給付金

 (労働者生活支援給付金の支給)

第二条 国は、この法律の定めるところにより、令和二年二月から政令で定める月までの間(以下この条において「支給対象期間」という。)において、一月ごとに、その月に受けた賃金(臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金を除く。以下この条及び次条において同じ。)の額が支給対象期間前の最後の三月間に受けた賃金の月額の平均額(次条において「平均賃金月額」という。)から政令で定める割合以上減少した者に対し、その者の請求により、労働者生活支援給付金を支給する。

2 前項の規定にかかわらず、支給対象期間のうち一月間に受けた賃金の額が政令で定める額を超える月については、労働者生活支援給付金は、支給しない。

 (労働者生活支援給付金の額)

第三条 労働者生活支援給付金の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額と請求に係る月に受けた賃金の額との差額に相当する額として厚生労働省令で定める額とする。

 一 平均賃金月額の百分の八十に相当する額が政令で定める額を超える場合 平均賃金月額の百分の八十に相当する額と前条第二項の政令で定める額のいずれか低い額

 二 平均賃金月額の百分の八十に相当する額が前号の政令で定める額以下の場合 平均賃金月額に相当する額と当該政令で定める額のいずれか低い額

 (不正利得の徴収)

第四条 偽りその他不正の手段により労働者生活支援給付金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該労働者生活支援給付金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (譲渡等の禁止)

第五条 労働者生活支援給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

2 労働者生活支援給付金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。

 (公課の禁止)

第六条 租税その他の公課は、労働者生活支援給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

   第三章 雇用保険法の特例

 (基本手当の日額の特例)

第七条 令和二年二月一日から政令で定める日までの間(以下この章において「特例期間」という。)においては、雇用保険法第十五条第一項に規定する受給資格者(以下この章において単に「受給資格者」という。)に対して支給される基本手当についての同法第十六条の規定の適用については、同条第一項中「百分の五十」とあるのは「百分の七十」と、「百分の八十」とあるのは「百分の百」と、同条第二項中「百分の五十」とあるのは「百分の七十」と、「百分の四十五」とあるのは「百分の六十五」とする。

2 前項の規定による基本手当の支給を受ける受給資格者が、失業の認定に係る期間中に自己の労働によって収入を得た場合における雇用保険法第十九条第一項の規定の適用については、同項第一号及び第二号中「百分の八十」とあるのは、「百分の百」とする。

 (賃金日額の計算の特例)

第八条 特例期間においては、受給資格者に対して支給される基本手当の日額の算定に用いる賃金日額についての雇用保険法第十七条の規定の適用については、同条第一項中「六箇月間」とあるのは、「六箇月間(最後の六箇月間のうちに、令和二年二月から政令で定める月までの間の月であつてその月の収入が著しく減少した月として厚生労働省令で定める月に当たるものがある場合にあつては、当該月を除いた最後の六箇月間)」とする。

 (基本手当の給付日数の特例等)

第九条 特例期間において基本手当の支給を受けることができる日がある受給資格者の受給期間は、雇用保険法第二十条第一項及び第二項の規定にかかわらず、これらの規定による期間に九十日を加えた期間とする。

2 前項に規定する受給資格者の所定給付日数は、雇用保険法第二十二条第一項及び第二項並びに第二十三条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による日数に九十日を加えた日数とする。この場合における所定給付日数については、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後における日数が三百六十日を超えることがないよう、政令で特別の定めをすることができる。

3 第一項に規定する受給資格者であって施行日前に基本手当の支給を受け終わったものについての前二条の規定の適用については、第七条第一項中「令和二年二月一日」とあるのは、「この法律の施行の日」とする。

4 前項に規定する受給資格者の受給期間については、その基本手当の支給を受ける権利の行使を妨げることがないよう、政令で特別の定めをすることができる。

 (政令への委任)

第十条 前三条の規定の適用がある場合における雇用保険法の規定の技術的読替えその他この章の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 臨時職業訓練受講給付金

 (臨時職業訓練受講給付金の支給)

第十一条 国は、この法律の定めるところにより、令和二年二月分から政令で定める月分までの職業訓練受講給付金(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(平成二十三年法律第四十七号)第七条第一項の職業訓練受講給付金をいう。以下この章において同じ。)の支給を受ける者に対し、当該支給を受ける月について臨時職業訓練受講給付金を支給する。

 (臨時職業訓練受講給付金の額)

第十二条 臨時職業訓練受講給付金の額は、一月につき、当該月分の職業訓練受講給付金(厚生労働省令で定める手当を除く。)の額に相当する額とする。

 (支払期月)

第十三条 各月分の臨時職業訓練受講給付金は、それぞれ当該月分の職業訓練受講給付金の支払に併せて支払う。

2 前項の規定にかかわらず、令和二年二月分から施行日の属する月の前月分までの臨時職業訓練受講給付金については、この法律の施行後、速やかに支払うものとする。

 (職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律の準用)

第十四条 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律第八条から第十条まで及び第十四条の規定は、臨時職業訓練受講給付金について準用する。

   第五章 生活保護法の要保護者に対する支援措置

 (保護の実施機関の責務)

第十五条 保護の実施機関(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第十九条第四項に規定する保護の実施機関をいう。)は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響等に鑑み、保護の開始の申請(同法第二十四条第一項に規定する保護の開始の申請をいう。次条において同じ。)があったときは、要保護者(同法第六条第二項に規定する要保護者をいう。以下この章において同じ。)及び扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に規定する扶養義務者をいう。)の資産及び収入の状況の調査その他の要保護者に関する調査の簡素化及び合理化を図るとともに、積極的に生活保護法による保護を行うよう努めなければならない。

 (国の支援措置)

第十六条 国は、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響等に鑑み、要保護者が保護の開始の申請をするまでの間においても、当該要保護者が生計を維持することができるよう、当面の生活に必要な短期の資金の融通その他の必要な支援を行わなければならない。

   第六章 雑則

 (国の配慮)

第十七条 国は、この法律に基づく労働者生活支援給付金の支給その他の措置を実施するに当たっては、これらの措置が新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を緩和するための特別の措置であることを踏まえ、休業手当(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第二十六条の規定により使用者が支払うべき手当をいう。以下同じ。)の支払の状況、雇用保険法第六十二条第一項第一号に掲げる事業の実施の状況その他の状況を勘案して、国民の勤労意欲の増進を阻害することがないよう適切な配慮をするものとする。

 (事業主の責務)

第十八条 事業主は、この法律に基づき国が実施する措置に積極的に協力するとともに、労働基準法その他の労働に関する法令を遵守しつつ、その雇用する労働者の雇用の継続に配慮するよう努めるものとする。

 (厚生労働省令への委任)

第十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、厚生労働省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (この法律の廃止)

第二条 この法律は、施行日から二年以内に廃止するものとする。

 (検討)

第三条 政府は、令和二年度中に、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響を受けた個人事業者に対して支給される給付金その他の金銭の支給の状況を踏まえ、被用者と類似した働き方をする個人事業者の生活を支援するための給付金制度の創設について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、令和二年度中に、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響によりその雇用する労働者をやむを得ず休業させた事業主について休業手当の支払を促進する観点から、休業手当を支払った事業主に対する金融上の支援、税制上の優遇措置その他の措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (雇用保険法の一部改正)

第四条 雇用保険法の一部を次のように改正する。

  附則第十四条を次のように改める。

 第十四条 令和二年度及び令和三年度においては、前条の規定は、適用しない。

 2 国庫は、令和二年度及び令和三年度における第六十六条第一項に規定する求職者給付に要する費用の一部に充てるため、経済情勢の変化及び労働保険特別会計の雇用勘定の財政状況を踏まえ、必要がある場合には、予算で定めるところにより、その費用の一部を負担することができる。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により、休業、離職等を余儀なくされたことで収入が減少した者等の生活を支援するため、労働者生活支援給付金の支給、雇用保険法の特例等の特別の措置等に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、令和二年度約二兆八千億円の見込みである。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.