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第二〇一回

衆第一九号

   特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、特定給付金等が受給権者に迅速かつ確実に給付されるようにするため、給付名簿の作成等について定めるとともに、給付名簿情報の正確性の確保及び給付名簿の作成等に関する事務の効率的な処理に資するための口座名簿の作成その他必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「特定給付金等」とは、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害若しくは感染症が発生した場合に行政機関等(行政機関(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第一項に規定する行政機関をいう。)、地方公共団体、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。)その他の行政事務を処理する者のうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)が給付する金銭若しくは物品であって政令で指定するもの又は経済事情の急激な変動による影響を緩和するために行政機関等が給付する金銭若しくは物品であって政令で指定するものをいう。

2 この法律において「給付名簿」とは、特定給付金等の給付を実施するための基礎とする名簿をいう。

3 この法律において「給付名簿情報」とは、給付名簿に記載(次条第二項の規定により磁気ディスクをもって調製する給付名簿にあっては、記録。第四条において同じ。)をされた情報をいう。

4 この法律において「口座名簿」とは、特定給付金等その他の公的給付又は国税に係る還付金等の振込みに利用することができる預金口座又は貯金口座に係る名簿をいう。

5 この法律において「口座名簿情報」とは、口座名簿に記載(第六条第三項の規定により磁気ディスクをもって調製する口座名簿にあっては、記録。同条第一項及び第七条において同じ。)をされた情報をいう。

 (給付名簿の作成)

第三条 行政機関等の長は、特定給付金等を給付しようとするときは、政令で定めるところにより、当該特定給付金等に係る給付名簿を作成するものとする。

2 給付名簿は、政令で定めるところにより、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。第六条第三項において同じ。)をもって調製することができる。

 (給付名簿の記載事項)

第四条 給付名簿には、特定給付金等を受けるべき者に関する次に掲げる事項について記載をする。

 一 氏名

 二 生年月日

 三 住所

 四 個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。第七条第四号において同じ。)

 五 電話番号、電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。第七条第五号において同じ。)その他の連絡先

 六 特定給付金等として金銭を給付する場合にあっては、預金口座又は貯金口座に係る金融機関等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第一項に規定する金融機関及び農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第二条第一項に規定する農水産業協同組合をいう。第七条第六号において同じ。)及びその店舗並びに預金又は貯金の種別及び口座番号並びに預金口座又は貯金口座の名義人の氏名

 七 その他政令で定める事項

 (給付名簿情報の管理)

第五条 行政機関等の長は、政令で定めるところにより、給付名簿情報を適切に管理するものとする。

 (口座名簿の作成)

第六条 内閣総理大臣は、給付名簿情報の正確性の確保並びに第三条第一項の規定による給付名簿の作成及び前条の規定による給付名簿情報の管理に関する事務の効率的な処理に資するため、政令で定めるところにより、次条各号に掲げる事項に係る情報の口座名簿への記載を希望する旨の個人の申出に基づき、口座名簿を作成するものとする。

2 前項の申出は、内閣府令で定めるところにより、当該申出をする者の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)から電気通信回線を通じて内閣総理大臣の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする。

3 口座名簿は、政令で定めるところにより、磁気ディスクをもって調製することができる。

4 次の各号に掲げる者は、当該各号に定める手続が行われる際に当該手続を行う者から次条各号に掲げる事項に係る情報を取得するときは、当該手続を行う者の同意を得て、当該情報を内閣総理大臣に提供することができる。この場合において、当該同意をした者は、第一項の申出をしたものとみなす。

 一 国税庁長官 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第百二十二条第一項の規定による申告書の提出その他の内閣府令で定める手続

 二 厚生労働大臣 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十六条の請求その他の内閣府令で定める手続

 三 地方公共団体の長 児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号)第六条の規定による認定の請求、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条の規定による認定の請求その他の内閣府令で定める手続

 (口座名簿の記載事項)

第七条 口座名簿には、前条第一項の申出をした者(同条第四項後段の規定により申出をしたものとみなされる者を含む。)に関する次に掲げる事項について記載をする。

 一 氏名

 二 生年月日

 三 住所

 四 個人番号

 五 電話番号、電子メールアドレスその他の連絡先

 六 預金口座又は貯金口座に係る金融機関等及びその店舗並びに預金又は貯金の種別及び口座番号並びに預金口座又は貯金口座の名義人の氏名

 七 その他政令で定める事項

 (口座名簿情報の管理)

第八条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、口座名簿情報を適切に管理するものとする。

 (政令への委任)

第九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正)

第二条 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を次のように改正する。

  別表第一に次のように加える。

百 特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律(令和二年法律第▼▼▼号)第三条第一項に規定する行政機関等の長

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による給付名簿(同法第二条第二項に規定する給付名簿をいう。別表第二の百二十一の項において同じ。)の作成又は給付名簿情報(同条第三項に規定する給付名簿情報をいう。同表の百二十一の項において同じ。)の管理に関する事務であって主務省令で定めるもの

百一 内閣総理大臣

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による口座名簿(同法第二条第四項に規定する口座名簿をいう。)の作成又は口座名簿情報(同条第五項に規定する口座名簿情報をいう。)の管理に関する事務であって主務省令で定めるもの

  別表第二の三十の項中

厚生労働大臣若しくは日本年金機構又は共済組合等

年金給付関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 を

市町村長

地方税関係情報、住民票関係情報、児童手当関係情報又は介護保険給付等関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 

社会福祉協議会

社会福祉法による生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業の実施に関する情報であって主務省令で定めるもの

 

 

厚生労働大臣若しくは日本年金機構又は共済組合等

年金給付関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 に、

市町村長

住民票関係情報、児童手当関係情報又は介護保険給付等関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 を

内閣総理大臣

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律第七条第六号に規定する事項(以下「口座関係情報」という。)であって主務省令で定めるもの

 

 

 

 に改め、同表の七十九の項中

厚生労働大臣

失業等給付関係情報であって主務省令で定めるもの

 を

市町村長

地方税関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 

厚生労働大臣

失業等給付関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 

内閣総理大臣

口座関係情報であって主務省令で定めるもの

 に改め、同表の九十六の項中

市町村長

住民票関係情報であって主務省令で定めるもの

 を

市町村長

住民票関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 

内閣総理大臣

口座関係情報であって主務省令で定めるもの

 に改め、同表に次のように加える。

百二十一 特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律第三条第一項に規定する行政機関等の長

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による給付名簿の作成又は給付名簿情報の管理に関する事務であって主務省令で定めるもの

市町村長

地方税関係情報であって主務省令で定めるもの

 

 

内閣総理大臣

口座関係情報であって主務省令で定めるもの

 (住民基本台帳法の一部改正)

第三条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  別表第一中一の十の項を一の十二の項とし、一の二の項から一の九の項までを二項ずつ繰り下げ、一の項の次に次のように加える。

一の二 国の機関又は法人

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律(令和二年法律第▼▼▼号)による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

一の三 内閣府

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第六条第一項の口座名簿の作成又は同法第八条の口座名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第二中一の八の項を一の九の項とし、一の七の項を一の八の項とし、一の六の項を一の七の項とし、一の五の項の次に次のように加える。

一の六 市町村長その他の執行機関

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第三中一の五の項を一の六の項とし、一の四の項の次に次のように加える。

一の五 都道府県知事その他の執行機関

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第四中一の九の項を一の十の項とし、一の六の項から一の八の項までを一項ずつ繰り下げ、一の五の項の次に次のように加える。

一の六 市町村長その他の執行機関

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第五中第一号の五を第一号の六とし、第一号の四の次に次の一号を加える。

  一の五 特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

  別表第六中四の項を五の項とし、三の項を四の項とし、二の項を三の項とし、一の項を二の項とし、同項の前に次のように加える。

一 都道府県知事以外の執行機関

特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律による同法第三条第一項の給付名簿の作成又は同法第五条の給付名簿情報の管理に関する事務であつて総務省令で定めるもの

 (漁業法等の一部を改正する等の法律の一部改正)

第四条 漁業法等の一部を改正する等の法律(平成三十年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第五十条のうち住民基本台帳法別表第一の一の八の項の改正規定中「別表第一の一の八の項」を「別表第一の一の十の項」に改める。

 (漁業法等の一部を改正する等の法律の一部改正に伴う調整規定)

第五条 この法律の施行の日が漁業法等の一部を改正する等の法律の施行の日以後となる場合には、前条の規定は、適用しない。

 (森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の一部改正)

第六条 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成三十一年法律第三号)の一部を次のように改正する。

  附則第十四条のうち住民基本台帳法別表第四の一の九の項の改正規定中「別表第四の一の九の項」を「別表第四の一の十の項」に改める。

 (内閣府設置法の一部改正)

第七条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項第十四号の五の次に次の一号を加える。

  十四の六 特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律(令和二年法律第▼▼▼号)第二条第一項に規定する特定給付金等の指定に関すること、同条第二項に規定する給付名簿及び同条第三項に規定する給付名簿情報に関すること、同法第六条第一項の規定による口座名簿の作成に関すること並びに同法第八条の規定による口座名簿情報の管理に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。

 (政令への委任)

第八条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第九条 政府は、個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十七年法律第六十五号)附則第十二条第四項の検討を行うに当たっては、緊急時において行政機関等の事務の正確性の確保及び効率化を通じて迅速かつ確実に給付金の給付を行うことができるようにすること、災害時においてあらかじめ締結した契約に基づく金銭の支払が確実に行われるようにすること、相続時において相続人の負担を軽減すること等の観点を踏まえるとともに、預金保険機構の役割も含め早期に当該検討の結果を得、当該結果に基づき、この法律の施行後一年以内を目途として必要な法制上の措置を講ずるものとする。

2 政府は、地方公共団体が住民に関する事務を処理するための情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保のための措置について速やかに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。

3 政府は、前二項に定める事項のほか、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、特定給付金等が受給権者に一層迅速かつ確実に給付されるようにするための方策、受給権者が特定給付金等をより簡便な方法で受けることができるようにするための方策等について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。


     理 由

 特定給付金等が受給権者に迅速かつ確実に給付されるようにするため、給付名簿の作成等について定めるとともに、給付名簿情報の正確性の確保及び給付名簿の作成等に関する事務の効率的な処理に資するための口座名簿の作成その他必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、令和二年度約百億円の見込みである。

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