衆議院

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第二〇三回

衆第二号

   短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律案

 (短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正)

第一条 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第八条の見出し中「不合理な」を「合理的と認められない」に改め、同条中「賞与」の下に「、退職手当」を加え、「、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情」を「その他就業の実態等」に、「不合理と認められる」を「合理的と認められない」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前項の規定は、賞与、退職手当その他の待遇であって賃金の後払又は継続的な勤務に対する功労報償の性質を含むものについては、当該待遇を当該性質を有する部分とその他の部分に区分して、それぞれの部分について適用するものとする。この場合において、当該性質を有する部分に係る同項の規定の適用については、同項中「その他就業の実態等のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるもの」とあるのは、「並びに勤続期間」とする。

  第九条中「、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において」を削り、「その職務の内容及び配置」の下に「の変更の範囲」を加え、「同一の範囲で変更されることが見込まれる」を「実質的に同一である」に改め、「賞与」の下に「、退職手当」を加える。

  第十四条第二項中「当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由(第八条及び第九条の規定に反するものではないと判断した理由を含む。)

  二 第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項

  三 労働者の職務の価値の評価等を踏まえた賃金体系その他の待遇の決定に関する基準のうち当該短時間・有期雇用労働者及び対応通常労働者(当該短時間・有期雇用労働者の職務の内容に対応する通常の労働者をいう。次号において同じ。)に係るもの

  四 前号の基準に従った当該短時間・有期雇用労働者及び対応通常労働者の賃金その他の待遇の決定の方法

  五 教育訓練の実施の状況

  六 福利厚生施設の利用に係る規則

  第十四条第三項中「前項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 事業主は、前二項の規定による説明を行うときは、適切な資料を用いて具体的に分かりやすく説明するものとする。この場合において、通常の労働者に対する労働条件の説明に用いた資料があるときは、当該資料を併せて用いるものとする。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第二条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第三十条の三の前の見出し中「不合理な」を「合理的と認められない」に改め、同条第一項中「賞与」の下に「、退職手当」を加え、「、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情」を「その他就業の実態等」に、「不合理と認められる」を「合理的と認められない」に改め、同条第二項中「、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において」を削り、「その職務の内容及び配置」の下に「の変更の範囲」を加え、「当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における」を削り、「同一の範囲で変更されることが見込まれる」を「実質的に同一である」に改め、「賞与」の下に「、退職手当」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 前項の規定は、賞与、退職手当その他の待遇であつて賃金の後払又は継続的な勤務に対する功労報償の性質を含むものについては、当該待遇を当該性質を有する部分とその他の部分に区分して、それぞれの部分について適用するものとする。この場合において、当該性質を有する部分に係る同項の規定の適用については、同項中「その他就業の実態等のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるもの」とあるのは、「及び勤続期間」とする。

  第三十条の四第一項第四号中「、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情」を「その他就業の実態等」に、「不合理と認められる」を「合理的と認められない」に改める。

  第三十条の五中「第三十条の三第二項」を「第三十条の三第三項」に改める。

  第三十一条の二第四項中「当該派遣労働者と第二十六条第八項に規定する比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第三十条の三から第三十条の六までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たつて考慮した」を「次に掲げる」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 当該派遣労働者と第二十六条第八項に規定する比較対象労働者(第三号において単に「比較対象労働者」という。)との間の待遇の相違の内容及び理由(第三十条の三の規定に反するものではないと判断した理由を含む。)

  二 第三十条の三から第三十条の六までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たつて考慮した事項

  三 労働者の職務の価値の評価等を踏まえた賃金体系その他の待遇の決定に関する基準のうち当該派遣労働者及び比較対象労働者に係るもの

  四 前号の基準に従つた当該派遣労働者の賃金その他の待遇の決定の方法

  五 派遣先における教育訓練の実施の状況

  六 派遣先における福利厚生施設の利用に係る規則

  第三十一条の二第五項中「前項」を「第四項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。

 5 派遣元事業主は、前各項の規定による説明を行うときは、適切な資料を用いて具体的に分かりやすく説明するものとする。

  第四十七条の五第一項中「第五項」を「第六項」に改める。

 (労働契約法の一部改正)

第三条 労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二項中「就業の実態に応じて」を「労働者の職務の価値の適正な評価を踏まえ」に改め、「均衡」の下に「及び均等」を加える。

  第四条第一項中「ついて」の下に「、その合理性を含め具体的に分かりやすく説明すること等により」を加える。

 (労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律の一部改正)

第四条 労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一号を加える。

  四 雇用形態による労働者の待遇についての格差の是正は、通常の労働者の待遇の低下によることなく、通常の労働者以外の労働者の待遇の改善により行われるようにすること。

  第三条第二項中「事業主は」の下に「、その雇用する労働者の待遇についての雇用形態による格差の是正に当たっては、これを通常の労働者の待遇の低下によることなく、通常の労働者以外の労働者の待遇の改善により行うように努めなければならない。また、事業主は」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、第四条及び次条の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の公布後一年を目途として、労働者の職務に応じた待遇を確保するため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価の方法に関する調査研究を推進するとともに、その成果を労働者及び事業主が職務の価値の評価に係る基準の作成、職務の価値の評価に係る紛争の解決等に当たって利用することができる体制の構築について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、この法律の公布後三年を目途として、期間の定めのある労働契約を締結することができる場合の制限について、当該労働契約が果たす機能、第一条の規定による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部改正)

第三条 建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  第四十四条の表中「、第三十条の三第二項」を削る。


     理 由

 労働者の雇用形態による賞与、退職手当等の待遇の格差を是正するため、短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者と通常の労働者との間の合理的と認められない待遇の相違の禁止並びに待遇の相違が合理的と認められるか否かの判断に当たっての考慮事項の限定等、事業主による待遇に関する説明義務の強化、労働契約の締結及び変更に当たって労働者の職務の価値の評価を踏まえるべきこととする等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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