衆議院

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第二一三回

閣第三四号

   特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案

 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律

 目次中「第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条−第十九条)」を

第四章 発信者情報開示命令事件に関する裁判手続(第八条−第十九条)

 

 

第五章 大規模特定電気通信役務提供者の義務(第二十条−第三十四条)

 

 

第六章 罰則(第三十五条−第三十八条)

に改める。

 第一条中「侵害」を「侵害等」に、「を定める」を「を定め、あわせて、侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図るための大規模特定電気通信役務提供者の義務について定める」に改める。

 第二条中第九号を第十三号とし、第六号から第八号までを四号ずつ繰り下げ、第五号を第六号とし、同号の次に次の三号を加える。

 七 侵害情報等 侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由をいう。

 八 侵害情報送信防止措置 侵害情報の送信を防止する措置をいう。

 九 送信防止措置 侵害情報送信防止措置その他の特定電気通信による情報の送信を防止する措置(当該情報の送信を防止するとともに、当該情報の発信者に対する特定電気通信役務の提供を停止する措置(第二十六条第二項第二号において「役務提供停止措置」という。)を含む。)をいう。

 第二条中第四号を第五号とし、同条第三号中「(特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。同条第三項において同じ。)」を削り、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。

 三 特定電気通信役務 特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務(電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。

 第二条に次の一号を加える。

 十四 大規模特定電気通信役務提供者 第二十条第一項の規定により指定された特定電気通信役務提供者をいう。

 第三条第二項第二号中「侵害情報、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)」を「侵害情報等」に、「侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)」を「侵害情報送信防止措置」に、「当該侵害情報の」を「当該申出に係る侵害情報の」に、「当該送信防止措置」を「当該侵害情報送信防止措置」に改める。

 第十七条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第二条第九号」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第二条第十三号」に改める。

 本則に次の二章を加える。

   第五章 大規模特定電気通信役務提供者の義務

 (大規模特定電気通信役務提供者の指定)

第二十条 総務大臣は、次の各号のいずれにも該当する特定電気通信役務であって、その利用に係る特定電気通信による情報の流通について侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図る必要性が特に高いと認められるもの(以下「大規模特定電気通信役務」という。)を提供する特定電気通信役務提供者を、大規模特定電気通信役務提供者として指定することができる。

 一 当該特定電気通信役務が次のいずれかに該当すること。

  イ 当該特定電気通信役務を利用して一月間に発信者となった者(日本国外にあると推定される者を除く。ロにおいて同じ。)及びこれに準ずる者として総務省令で定める者の数の総務省令で定める期間における平均(以下この条及び第二十四条第二項において「平均月間発信者数」という。)が特定電気通信役務の種類に応じて総務省令で定める数を超えること。

  ロ 当該特定電気通信役務を利用して一月間に発信者となった者の延べ数の総務省令で定める期間における平均(以下この条及び第二十四条第二項において「平均月間延べ発信者数」という。)が特定電気通信役務の種類に応じて総務省令で定める数を超えること。

 二 当該特定電気通信役務の一般的な性質に照らして侵害情報送信防止措置(侵害情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われるものに限る。以下同じ。)を講ずることが技術的に可能であること。

 三 当該特定電気通信役務が、その利用に係る特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害が発生するおそれの少ない特定電気通信役務として総務省令で定めるもの以外のものであること。

2 総務大臣は、大規模特定電気通信役務提供者について前項の規定による指定の理由がなくなったと認めるときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。

3 総務大臣は、第一項の規定による指定及び前項の規定による指定の解除に必要な限度において、総務省令で定めるところにより、特定電気通信役務提供者に対し、その提供する特定電気通信役務の平均月間発信者数及び平均月間延べ発信者数を報告させることができる。

4 総務大臣は、前項の規定による報告の徴収によっては特定電気通信役務提供者の提供する特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数を把握することが困難であると認めるときは、当該平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数を総務省令で定める合理的な方法により推計して、第一項の規定による指定及び第二項の規定による指定の解除を行うことができる。

 (大規模特定電気通信役務提供者による届出)

第二十一条 大規模特定電気通信役務提供者は、前条第一項の規定による指定を受けた日から三月以内に、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 外国の法人若しくは団体又は外国に住所を有する個人にあっては、国内における代表者又は国内における代理人の氏名又は名称及び国内の住所

 三 前二号に掲げる事項のほか、総務省令で定める事項

2 大規模特定電気通信役務提供者は、前項各号に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

 (被侵害者からの申出を受け付ける方法の公表)

第二十二条 大規模特定電気通信役務提供者(前条第一項の規定による届出をした者に限る。以下同じ。)は、総務省令で定めるところにより、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者(次条において「被侵害者」という。)が侵害情報等を示して当該大規模特定電気通信役務提供者に対し侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出を行うための方法を定め、これを公表しなければならない。

2 前項の方法は、次の各号のいずれにも適合するものでなければならない。

 一 電子情報処理組織を使用する方法による申出を行うことができるものであること。

 二 申出を行おうとする者に過重な負担を課するものでないこと。

 三 当該大規模特定電気通信役務提供者が申出を受けた日時が当該申出を行った者(第二十五条において「申出者」という。)に明らかとなるものであること。

 (侵害情報に係る調査の実施)

第二十三条 大規模特定電気通信役務提供者は、被侵害者から前条第一項の方法に従って侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があったときは、当該申出に係る侵害情報の流通によって当該被侵害者の権利が不当に侵害されているかどうかについて、遅滞なく必要な調査を行わなければならない。

 (侵害情報調査専門員)

第二十四条 大規模特定電気通信役務提供者は、前条の調査のうち専門的な知識経験を必要とするものを適正に行わせるため、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害への対処に関して十分な知識経験を有する者のうちから、侵害情報調査専門員(以下この条及び次条第二項第二号において「専門員」という。)を選任しなければならない。

2 大規模特定電気通信役務提供者の専門員の数は、当該大規模特定電気通信役務提供者の提供する大規模特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数及び種別に応じて総務省令で定める数(当該大規模特定電気通信役務提供者が複数の大規模特定電気通信役務を提供している場合にあっては、それぞれの大規模特定電気通信役務の平均月間発信者数又は平均月間延べ発信者数及び種別に応じて総務省令で定める数を合算した数)以上でなければならない。

3 大規模特定電気通信役務提供者は、専門員を選任したときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨及び総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。これらを変更したときも、同様とする。

 (申出者に対する通知)

第二十五条 大規模特定電気通信役務提供者は、第二十三条の申出があったときは、同条の調査の結果に基づき侵害情報送信防止措置を講ずるかどうかを判断し、当該申出を受けた日から十四日以内の総務省令で定める期間内に、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を申出者に通知しなければならない。ただし、申出者から過去に同一の内容の申出が行われていたときその他の通知しないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

 一 当該申出に応じて侵害情報送信防止措置を講じたとき その旨

 二 当該申出に応じた侵害情報送信防止措置を講じなかったとき その旨及びその理由

2 前項本文の規定にかかわらず、大規模特定電気通信役務提供者は、次の各号のいずれかに該当するときは、第二十三条の調査の結果に基づき侵害情報送信防止措置を講ずるかどうかを判断した後、遅滞なく、同項各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を申出者に通知すれば足りる。この場合においては、同項の総務省令で定める期間内に、次の各号のいずれに該当するか(第三号に該当する場合にあっては、その旨及びやむを得ない理由の内容)を申出者に通知しなければならない。

 一 第二十三条の調査のため侵害情報の発信者の意見を聴くこととしたとき。

 二 第二十三条の調査を専門員に行わせることとしたとき。

 三 前二号に掲げる場合のほか、やむを得ない理由があるとき。

 (送信防止措置の実施に関する基準等の公表)

第二十六条 大規模特定電気通信役務提供者は、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通については、次の各号のいずれかに該当する場合のほか、自ら定め、公表している基準に従う場合に限り、送信防止措置を講ずることができる。この場合において、当該基準は、当該送信防止措置を講ずる日の総務省令で定める一定の期間前までに公表されていなければならない。

 一 当該大規模特定電気通信役務提供者が送信防止措置を講じようとする情報の発信者であるとき。

 二 他人の権利を不当に侵害する情報の送信を防止する義務がある場合その他送信防止措置を講ずる法令上の義務(努力義務を除く。)がある場合において、当該義務に基づき送信防止措置を講ずるとき。

 三 緊急の必要により送信防止措置を講ずる場合であって、当該送信防止措置を講ずる情報の種類が、通常予測することができないものであるため、当該基準における送信防止措置の対象として明示されていないとき。

2 大規模特定電気通信役務提供者は、前項の基準を定めるに当たっては、当該基準の内容が次の各号のいずれにも適合したものとなるよう努めなければならない。

 一 送信防止措置の対象となる情報の種類が、当該大規模特定電気通信役務提供者が当該情報の流通を知ることとなった原因の別に応じて、できる限り具体的に定められていること。

 二 役務提供停止措置を講ずることがある場合においては、役務提供停止措置の実施に関する基準ができる限り具体的に定められていること。

 三 発信者その他の関係者が容易に理解することのできる表現を用いて記載されていること。

 四 送信防止措置の実施に関する努力義務を定める法令との整合性に配慮されていること。

3 大規模特定電気通信役務提供者は、第一項第三号に該当することを理由に送信防止措置を講じたときは、速やかに、当該送信防止措置を講じた情報の種類が送信防止措置の対象となることが明らかになるよう同項の基準を変更しなければならない。

4 第一項の基準を公表している大規模特定電気通信役務提供者は、おおむね一年に一回、当該基準に従って送信防止措置を講じた情報の事例のうち発信者その他の関係者に参考となるべきものを情報の種類ごとに整理した資料を作成し、公表するよう努めなければならない。

 (発信者に対する通知等の措置)

第二十七条 大規模特定電気通信役務提供者は、その提供する大規模特定電気通信役務を利用して行われる特定電気通信による情報の流通について送信防止措置を講じたときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、遅滞なく、その旨及びその理由を当該送信防止措置により送信を防止された情報の発信者に通知し、又は当該情報の発信者が容易に知り得る状態に置く措置(第二号及び次条第三号において「通知等の措置」という。)を講じなければならない。この場合において、当該送信防止措置が前条第一項の基準に従って講じられたものであるときは、当該理由において、当該送信防止措置と当該基準との関係を明らかにしなければならない。

 一 当該大規模特定電気通信役務提供者が送信防止措置を講じた情報の発信者であるとき。

 二 過去に同一の発信者に対して同様の情報の送信を同様の理由により防止したことについて通知等の措置を講じていたときその他の通知等の措置を講じないことについて正当な理由があるとき。

 (措置の実施状況等の公表)

第二十八条 大規模特定電気通信役務提供者は、毎年一回、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公表しなければならない。

 一 第二十三条の申出の受付の状況

 二 第二十五条の規定による通知の実施状況

 三 前条の規定による通知等の措置の実施状況

 四 前三号に掲げる事項のほか、大規模特定電気通信役務提供者がこの章の規定に基づき講ずべき措置の実施状況を明らかにするために必要な事項として総務省令で定める事項

 (報告の徴収)

第二十九条 総務大臣は、第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条第一項若しくは第三項、第二十七条又は前条の規定の施行に必要な限度において、大規模特定電気通信役務提供者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。

 (勧告及び命令)

第三十条 総務大臣は、大規模特定電気通信役務提供者が第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条第一項若しくは第三項、第二十七条又は第二十八条の規定に違反していると認めるときは、当該大規模特定電気通信役務提供者に対し、その違反を是正するために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

2 総務大臣は、前項の規定による勧告を受けた大規模特定電気通信役務提供者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置を講じなかったときは、当該大規模特定電気通信役務提供者に対し、当該勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (送達すべき書類)

第三十一条 第二十条第一項の規定による指定、第二十九条の規定による報告の徴収、前条第一項の規定による勧告又は同条第二項の規定による命令は、総務省令で定める書類を送達して行う。

2 第二十条第一項の規定による指定又は前条第二項の規定による命令に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三十条の規定による通知は、同条の書類を送達して行う。この場合において、同法第三十一条において読み替えて準用する同法第十五条第三項の規定は適用しない。

 (送達に関する民事訴訟法の準用)

第三十二条 前条の規定による送達については、民事訴訟法第九十九条、第百一条、第百三条、第百五条、第百六条、第百八条及び第百九条の規定を準用する。この場合において、同法第九十九条第一項中「執行官」とあるのは「総務大臣の職員」と、同法第百八条中「裁判長」とあり、及び同法第百九条中「裁判所」とあるのは「総務大臣」と読み替えるものとする。

 (公示送達)

第三十三条 総務大臣は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる。

 一 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合

 二 外国においてすべき送達について、前条において読み替えて準用する民事訴訟法第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合

 三 前条において読み替えて準用する民事訴訟法第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合

2 公示送達は、送達をすべき書類を送達を受けるべき者にいつでも交付すべき旨を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、その旨が記載された書面を総務省の掲示場に掲示し、又はその旨を総務省の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとることにより行う。

3 公示送達は、前項の規定による措置を開始した日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。

4 外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては、前項の期間は、六週間とする。

 (電子情報処理組織の使用)

第三十四条 総務大臣の職員が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第九号に規定する処分通知等であって第三十一条の規定により書類を送達して行うこととしているものに関する事務を、同法第七条第一項の規定により同法第六条第一項に規定する電子情報処理組織を使用して行ったときは、第三十二条において読み替えて準用する民事訴訟法第百九条の規定による送達に関する事項を記載した書面の作成及び提出に代えて、当該事項を当該電子情報処理組織を使用して総務大臣の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイルに記録しなければならない。

   第六章 罰則

第三十五条 第三十条第二項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

第三十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第二十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第三十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

 一 第三十五条又は前条第一号 一億円以下の罰金刑

 二 前条第二号 同条の罰金刑

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の過料に処する。

 一 正当な理由がなく、第二十条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第二十四条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (経過措置)

第三条 この法律の施行の日からデジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和五年法律第六十三号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「デジタル社会形成基本法施行日」という。)の前日までの間におけるこの法律による改正後の特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(次条において「新法」という。)第三十三条の規定の適用については、同条第二項中「旨を総務省令で定める方法により不特定多数の者が閲覧することができる状態に置くとともに、その旨が記載された書面を」とあるのは「旨を」と、「掲示し、又はその旨を総務省の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとる」とあるのは「掲示する」と、同条第三項中「措置を開始した」とあるのは「掲示を始めた」とする。デジタル社会形成基本法施行日以後におけるデジタル社会形成基本法施行日前にした公示送達に対する同条の規定の適用についても、同様とする。

 (調整規定)

第四条 この法律の施行の日が刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)前である場合には、この法律の施行の日から刑法施行日の前日までの間における新法第三十五条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。

 (医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部改正)

第五条 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の五第二項中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に、「第二条第三号」を「第二条第四号」に改める。

  第七十二条の六中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第二条第四号」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第二条第五号」に改める。

 (いじめ防止対策推進法の一部改正)

第六条 いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第三項中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に、「第二条第六号」を「第二条第十号」に改める。

 (私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の一部改正)

第七条 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(平成二十六年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第四条の見出しを「(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の特例)」に改め、同条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に、「第二条第三号」を「第二条第四号」に、「第二条第四号」を「第二条第五号」に改める。

 (民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正)

第八条 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。

  附則第九十一条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。

 第九十一条 削除

  附則第九十二条に見出しとして「(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正)」を付し、同条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)」に改め、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十七条の改正規定の次に次のように加える。

   第三十二条中「第九十九条、第百一条」を「第百条第一項、第百一条、第百二条の二」に、「、第百八条及び第百九条」を「及び第百八条」に改め、同条後段を次のように改める。

    この場合において、同項中「裁判所」とあり、及び同条中「裁判長」とあるのは「総務大臣」と、同法第百一条第一項中「執行官」とあるのは「総務大臣の職員」と読み替えるものとする。

   第三十四条中「第百九条」を「第百条第一項」に改める。

 (性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の一部改正)

第九条 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。

  目次、第一条及び第三章の章名中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第十六条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に、「第二条第三号」を「第二条第四号」に、「第二条第四号」を「第二条第五号」に改める。

 (民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第十条 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。

  目次中

第十八章 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部改正等

 

 

 第一節 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部改正(第百九十九条)

 

 

 第二節 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部改正に伴う経過措置(第二百条・第二百一条)

 を

第十八章 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正等

 

 

 第一節 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正(第百九十九条)

 

 

 第二節 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正に伴う経過措置(第二百条・第二百一条)

 

 

 第三節 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正に伴う関係法律の整備(第二百一条の二)

 に改める。

  第十八章の章名及び同章第一節の節名中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第百九十九条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(」に改め、同条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律目次の改正規定中「」に」の下に「、「第二十条−第三十四条」を「第二十一条−第三十五条」に、「第三十五条−第三十八条」を「第三十六条−第三十九条」に」を加え、同改正規定の次に次のように加える。

   第二条第九号中「第二十六条第二項第二号」を「第二十七条第二項第二号」に改め、同条第十四号中「第二十条第一項」を「第二十一条第一項」に改める。

  第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十二条を改め、同条の次に二条を加える改正規定の次に次のように加える。

   第三十八条第一号中「第二十条第三項」を「第二十一条第三項」に改め、同条第二号中「第二十四条第三項」を「第二十五条第三項」に改め、同条を第三十九条とする。

   第三十七条第一号中「第三十五条」を「第三十六条」に改め、同条を第三十八条とする。

   第三十六条第一号中「第二十一条」を「第二十二条」に改め、同条第二号中「第二十九条」を「第三十条」に改め、同条を第三十七条とする。

   第三十五条中「第三十条第二項」を「第三十一条第二項」に改め、同条を第三十六条とする。

   第三十四条中「第三十一条」を「第三十二条」に、「第三十二条」を「第三十三条」に改め、第五章中同条を第三十五条とし、第三十三条を第三十四条とし、第三十二条を第三十三条とする。

   第三十一条第一項中「第二十条第一項」を「第二十一条第一項」に、「第二十九条」を「第三十条」に改め、同条第二項中「第二十条第一項」を「第二十一条第一項」に改め、同条を第三十二条とする。

   第三十条第一項中「第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条第一項若しくは第三項、第二十七条又は第二十八条」を「第二十三条、第二十五条、第二十六条、第二十七条第一項若しくは第三項、第二十八条又は第二十九条」に改め、同条を第三十一条とする。

   第二十九条中「第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条第一項若しくは第三項、第二十七条」を「第二十三条、第二十五条、第二十六条、第二十七条第一項若しくは第三項、第二十八条」に改め、同条を第三十条とする。

   第二十八条第一号中「第二十三条」を「第二十四条」に改め、同条第二号中「第二十五条」を「第二十六条」に改め、同条を第二十九条とし、第二十七条を第二十八条とし、第二十六条を第二十七条とする。

   第二十五条中「第二十三条」を「第二十四条」に改め、同条を第二十六条とし、第二十四条を第二十五条とし、第二十三条を第二十四条とする。

   第二十二条第二項第三号中「第二十五条」を「第二十六条」に改め、同条を第二十三条とし、第二十一条を第二十二条とする。

   第二十条第一項第一号中「第二十四条第二項」を「第二十五条第二項」に改め、同条を第二十一条とし、第四章中第十九条を第二十条とする。

  第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十九条を同法第二十条とする改正規定を削る。

  第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十八条を改め、同条に一項を加える改正規定中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十七条の改正規定中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第二条第九号」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第二条第十三号」に改める。

  第百九十九条のうち特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第十七条を同法第十八条とし、同法第十六条の次に一条を加える改正規定中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第十八章第二節の節名、第二百条及び第二百一条中「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」に改める。

  第十八章に次の一節を加える。

     第三節 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律の一部改正に伴う関係法律の整備

 第二百一条の二 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

   附則第四条中「新法第三十五条」を「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第三十六条」に改める。


     理 由

 近年、インターネット上のSNS等の特定電気通信役務を利用して行われる他人の権利を侵害する情報の流通による被害が深刻化する一方、情報発信のための公共的な基盤としての特定電気通信役務の機能が重要性を増していることに鑑み、大規模なSNS事業者等を大規模特定電気通信役務提供者として指定し、侵害情報送信防止措置の実施手続の迅速化及び送信防止措置の実施状況の透明化を図るための義務を課す等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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