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原子力損害賠償支援機構法案に対する修正案



   原子力損害賠償支援機構法案に対する修正案
 原子力損害賠償支援機構法案の全部を次のように修正する。
   原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保を図るための特別措置等に関する法律
目次
 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 特定原子力損害に対する特別措置の原則等(第三条―第五条)
 第三章 特定原子力損害に係る原子力事業者の財務内容等の透明性の確保(第六条・第七条)
 第四章 特別公的管理(第八条―第二十九条)
 第五章 電力再生機構
  第一節 総則(第三十条―第三十六条)
  第二節 設立(第三十七条―第四十一条)
  第三節 運営委員会(第四十二条―第五十条)
  第四節 役員等(第五十一条―第六十二条)
  第五節 業務
   第一款 業務の範囲等(第六十三条―第六十五条)
   第二款 資金援助等(第六十六条―第七十二条)
  第六節 財務及び会計(第七十三条―第八十条)
  第七節 監督(第八十一条・第八十二条)
  第八節 雑則(第八十三条―第八十八条)
 第六章 電力再生委員会
  第一節 通則(第八十九条―第百一条)
  第二節 株価算定委員会(第百二条―第百五条)
 第七章 罰則(第百六条―第百十七条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条の規定により原子力事業者が賠償の責めに任ずべき額が同法第七条第一項に規定する賠償措置額(以下「賠償措置額」という。)を超える原子力損害(同法第二条第二項に規定する原子力損害をいう。以下同じ。)(以下「特定原子力損害」という。)が生じた場合における当該原子力事業者の特別公的管理その他の特定原子力損害に対する措置(以下「特別措置」という。)を講ずるとともに、特別措置に係る体制を整備することにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「原子力事業者」とは、次に掲げる者(これらの者であった者を含む。)であって、原子炉の運転等(原子力損害の賠償に関する法律第二条第一項に規定する原子炉の運転等のうち第一号に規定する実用発電用原子炉又は第二号に規定する実用再処理施設に係るものをいう。)をしているものをいう。
 一 実用発電用原子炉(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第二十三条第一項第一号に規定する実用発電用原子炉をいう。以下同じ。)に係る同項の許可を受けた者
 二 実用再処理施設(原子炉等規制法第四十四条第二項第二号に規定する再処理施設のうち実用発電用原子炉において燃料として使用した核燃料物質(原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号に規定する核燃料物質をいう。)に係る再処理(原子炉等規制法第二条第八項に規定する再処理をいう。)を行うものとして政令で定めるものをいう。)に係る原子炉等規制法第四十四条第一項の指定を受けた者
   第二章 特定原子力損害に対する特別措置の原則等
 (特別措置の原則)
第三条 原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保を図るため、電力再生委員会が講ずる特別措置は、次に掲げる原則によるものとする。
 一 特定原子力損害に係る原子力事業者の財務内容その他の経営の状況を開示すること。
 二 特定原子力損害に係る原子力事業者の株主の責任を明確にするものとすること。
 三 特別措置に係る費用が最小となるようにすること。
 (電力再生委員会に対する意見の申出)
第四条 電力再生機構は、特別措置に関する事項に関し、電力再生委員会に対して意見を述べることができる。
 (国会に対する報告)
第五条 政府は、おおむね六月に一回、又はその求めがあったときは直ちに、電力再生委員会が講じた特別措置の内容その他必要な事項を国会に報告しなければならない。
   第三章 特定原子力損害に係る原子力事業者の財務内容等の透明性の確保
 (資産等の評価の報告及び公表)
第六条 原子力事業者は、原子力損害の賠償に関する法律第三条の規定により賠償の責めに任ぜられるときは、電力再生委員会規則で定める期日において資産及び負債の評価を行い、電力再生委員会規則で定めるところにより、資産等評価報告書を作成し、電力再生委員会に提出するとともに、これを公表しなければならない。
 (報告又は資料の提出)
第七条 電力再生委員会は、必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、前条の資産等評価報告書の作成及び公表に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
   第四章 特別公的管理
 (特別公的管理の開始の決定)
第八条 電力再生委員会は、原子力事業者が原子力損害の賠償に関する法律第三条の規定により賠償の責めに任ずべき額について支払不能若しくは債務超過に陥り、又はこれらのおそれがあると認めるときは、当該原子力事業者につき、特別公的管理の開始の決定をすることができる。
2 電力再生委員会は、前項の規定により特別公的管理の開始の決定をしたときは、その旨を当該決定を受けた原子力事業者(以下「特別公的管理原子力事業者」という。)及び電力再生機構に通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
 (特別公的管理原子力事業者の株式の取得の決定)
第九条 電力再生委員会は、前条第一項の規定による特別公的管理の開始の決定と同時に、電力再生機構が当該決定に係る特別公的管理原子力事業者の株式を取得することを決定するものとする。
2 電力再生委員会は、前項の規定による決定をしたときは、その旨を電力再生機構及び特別公的管理原子力事業者に通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
 (株式の取得等)
第十条 前条第二項の規定による公告があった場合には、特別公的管理原子力事業者の株式は、当該公告があった時(以下「公告時」という。)に、電力再生機構が取得する。
2 前項の規定により電力再生機構が取得した株式(以下「取得株式」という。)に係る株券は、公告時において無効とする。
3 第一項の規定による株式の取得については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百二十八条第一項本文及び第百三十条第一項の規定は、適用しない。
4 特別公的管理原子力事業者が会社法百八条第二項(第九号に係る部分に限る。)の定款の定めをしているときは、当該定めは、公告時において廃止されたものとみなす。
 (株式の対価)
第十一条 株価算定委員会は、公告時における特別公的管理原子力事業者の純資産額を基礎として、電力再生委員会規則で定める算定基準に従い、取得株式の対価を決定するものとする。
2 電力再生委員会は、前項の算定基準を定めたときは、これを公示するものとする。
3 第九条第二項の規定は、第一項の規定により取得株式の対価を決定した場合について準用する。
 (株式の対価の支払の請求)
第十二条 公告時において特別公的管理原子力事業者の株主であった者(以下「旧株主」という。)は、前条第一項の決定があったときは、電力再生機構に対し、取得株式の対価の支払を請求することができる。
2 第十条第二項の規定により無効とされた株券の占有者は、公告時における適法な所持人と推定する。
3 第一項の規定による取得株式の対価の支払方法その他取得株式の対価の支払に関し必要な事項は、政令で定める。
 (担保権の消滅等)
第十三条 第十条第一項の規定により電力再生機構が特別公的管理原子力事業者の株式を取得したときは、当該株式を目的とする質権その他の担保権は、消滅する。
2 前項の場合において、これらの権利は、前条第一項の規定により旧株主が受けるべき取得株式の対価に対しても行うことができる。ただし、その支払の前に差押えをしなければならない。
 (政令への委任)
第十四条 前条に定めるもののほか、取得株式につき質権その他の担保権を有する者その他の政令で定める関係人がある場合における取得株式の対価の支払について必要な事項は、政令で定める。
 (旧株主等に周知させるための措置)
第十五条 電力再生機構は、第九条第二項の規定による公告があったときは、電力再生委員会規則で定めるところにより、同条第一項の規定による決定の内容その他電力再生委員会規則で定める事項について、旧株主その他関係人に周知させるため必要な措置を講じなければならない。
 (訴訟)
第十六条 第十一条第一項の規定により株価算定委員会が決定した取得株式の対価に不服のある者は、同条第三項において準用する第九条第二項の規定による公告があった日から起算して六月以内に、訴えをもってその変更を請求することができる。
2 前項の規定による訴えにおいては、電力再生機構を被告としなければならない。
 (業務及び財産の管理を命ずる処分)
第十七条 電力再生委員会は、第八条第一項の規定により特別公的管理の開始の決定をしたときは、直ちに、当該決定に係る特別公的管理原子力事業者に対し、電気事業者整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をするものとする。
2 電力再生委員会は、管理を命ずる処分をしたときは、官報により、これを公告しなければならない。
 (電気事業者整理管財人の選任等)
第十八条 管理を命ずる処分があったときは、当該管理を命ずる処分に係る特別公的管理原子力事業者を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、電気事業者整理管財人に専属する。会社法第八百二十八条第一項及び第二項並びに第八百三十一条の規定による取締役及び執行役の権利についても、同様とする。
2 電力再生委員会は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の電気事業者整理管財人を選任しなければならない。この場合において、電力再生委員会は、電力再生機構の意見を聴かなければならない。
3 電力再生委員会は、必要があると認めるときは、前項の規定により電気事業者整理管財人を選任した後においても、更に電気事業者整理管財人を選任し、又は電気事業者整理管財人が当該特別公的管理原子力事業者の業務及び財産の管理を適切に行っていないと認めるときは、電気事業者整理管財人を解任することができる。
4 電力再生委員会は、第二項若しくは前項の規定により電気事業者整理管財人を選任したとき又は同項の規定により電気事業者整理管財人を解任したときは、当該特別公的管理原子力事業者にその旨を通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
5 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第六十九条、第七十条、第八十条並びに第八十一条第一項及び第五項の規定は電気事業者整理管財人について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第七十八条の規定は管理を命ずる処分に係る特別公的管理原子力事業者について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第六十九条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「電力再生委員会の承認」と、同法第七十条中「管財人代理」とあるのは「電気事業者整理管財人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「電力再生委員会の承認」と、同法第八十一条第一項中「裁判所」とあるのは「電力再生委員会」と、同条第五項中「管財人代理」とあるのは「電気事業者整理管財人代理」と、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条中「代表理事その他の代表者」とあるのは「電気事業者整理管財人」と読み替えるものとする。
第十九条 法人は、電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理となることができる。
2 電力再生機構は、電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理となり、その業務を行うことができる。
 (通知及び登記)
第二十条 電力再生委員会は、管理を命ずる処分をしたときは、直ちに、当該管理を命ずる処分に係る特別公的管理原子力事業者の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所にその旨を通知し、かつ、嘱託書に当該命令書の謄本を添付して、当該特別公的管理原子力事業者の本店又は主たる事務所の所在地の登記所に、その登記を嘱託しなければならない。
2 前項の登記には、電気事業者整理管財人の氏名又は名称及び住所をも登記しなければならない。
3 第一項の規定は、前項に掲げる事項に変更が生じた場合について準用する。
 (電気事業者整理管財人の報告義務等)
第二十一条 電気事業者整理管財人は、就職の後遅滞なく、当該特別公的管理原子力事業者の業務及び財産の状況、当該特別公的管理原子力事業者に係る事業譲渡等の見込みその他電力再生委員会規則で定める事項を調査し、電力再生委員会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
2 電力再生委員会は、電気事業者整理管財人に対し、前項の規定による調査、報告及び公表に関し必要な措置を命ずることができる。
 (電気事業者整理管財人の調査等)
第二十二条 電気事業者整理管財人は、当該特別公的管理原子力事業者の取締役、会計参与、監査役及び会計監査人(当該特別公的管理原子力事業者が委員会設置会社である場合にあっては、取締役、執行役、会計参与及び会計監査人。以下同じ。)並びに支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、当該特別公的管理原子力事業者の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該特別公的管理原子力事業者の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は当該特別公的管理原子力事業者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 電気事業者整理管財人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。
 (電気事業者整理管財人等の秘密保持義務)
第二十三条 電気事業者整理管財人及び電気事業者整理管財人代理は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理がその職を退いた後も、同様とする。
2 電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理が法人であるときは、電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理の職務に従事する役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。
 (電気事業者整理管財人と特別公的管理原子力事業者との取引)
第二十四条 電気事業者整理管財人は、自己又は第三者のために当該特別公的管理原子力事業者と取引をするときは、電力再生委員会の承認を得なければならない。この場合においては、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百八条の規定は、適用しない。
2 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。
 (経営合理化計画の作成等)
第二十五条 特別公的管理原子力事業者は、電力再生委員会規則で定めるところにより、経営合理化計画を作成し、電力再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の経営合理化計画(以下「経営合理化計画」という。)には、次に掲げる事項を定めなければならない。
 一 原子力損害の状況
 二 原子力損害の賠償に関する法律第三条の規定により特別公的管理原子力事業者が賠償の責めに任ずべき額の見通し及び損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策
三 特別公的管理原子力事業者の業務の実施に係る方針
 四 特別公的管理原子力事業者の業務の整理及び合理化に係る方針
 五 特別公的管理原子力事業者の資産及び収支の状況に係る評価に関する事項
 六 その他電力再生委員会規則で定める事項
3 電力再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理原子力事業者に対し、経営合理化計画の変更を命ずることができる。
 (特別公的管理原子力事業者の業務)
第二十六条 特別公的管理原子力事業者は、その業務を行う基準を作成し、電力再生委員会の承認を得なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 (報告又は資料の提出等)
第二十七条 電力再生委員会は、必要があると認めるときは、特別公的管理原子力事業者に対し、その業務及び財産の状況、経営合理化計画の実施の状況等に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 電力再生機構は、特別公的管理原子力事業者の取締役、会計参与、監査役及び会計監査人並びに支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、特別公的管理原子力事業者の業務及び財産の状況(これらの者であった場合については、その者が当該特別公的管理原子力事業者の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は特別公的管理原子力事業者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
 (債権者保護手続の特例)
第二十八条 特別公的管理原子力事業者が資本金の額の減少の決議をした場合においては、政令で定める債権者に対する会社法第四百四十九条第二項の規定による催告は、することを要しない。
 (特別公的管理の終了)
第二十九条 電力再生委員会は、電力再生機構又は特別公的管理原子力事業者に次に掲げる措置を行わせることにより、この章に定める特別公的管理を終えるものとする。
 一 特別公的管理原子力事業者の事業の譲渡
 二 特別公的管理原子力事業者の株式の譲渡その他の処分
   第五章 電力再生機構
    第一節 総則
 (目的)
第三十条 電力再生機構(以下「機構」という。)は、特別公的管理原子力事業者が電気の安定供給に係る事業を円滑に運営するために必要な資金援助その他の業務を行うことにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給に係る事業の円滑な運営の確保を図り、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
 (法人格)
第三十一条 機構は、法人とする。
 (数)
第三十二条 機構は、一を限り、設立されるものとする。
 (資本金)
第三十三条 機構の資本金は、その設立に際し、政府が出資する金額とする。
2 機構は、必要があるときは、電力再生委員会の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
 (名称)
第三十四条 機構は、その名称中に電力再生機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に電力再生機構という文字を用いてはならない。
 (登記)
第三十五条 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
 (一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用)
第三十六条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条及び第七十八条の規定は、機構について準用する。
    第二節 設立
 (発起人)
第三十七条 機構を設立するには、電気事業に関して専門的な知識と経験を有する者三人以上が発起人となることを必要とする。
 (定款の作成等)
第三十八条 発起人は、速やかに、機構の定款を作成しなければならない。
2 前項の定款には、次の事項を記載しなければならない。
 一 目的
 二 名称
 三 事務所の所在地
 四 資本金及び出資に関する事項
 五 運営委員会に関する事項
 六 役員に関する事項
 七 業務及びその執行に関する事項
 八 財務及び会計に関する事項
 九 定款の変更に関する事項
 十 公告の方法
 (設立の認可)
第三十九条 発起人は、定款を作成したときは、速やかに、これを電力再生委員会に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
 (事務の引継ぎ)
第四十条 発起人は、前条の認可を受けたときは、遅滞なく、その事務を機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
 (設立の登記)
第四十一条 機構の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあったときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 機構は、設立の登記をすることにより成立する。
    第三節 運営委員会
 (設置)
第四十二条 機構に、運営委員会を置く。
 (権限)
第四十三条 この法律で別に定めるもののほか、次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならない。
 一 定款の変更
 二 業務方法書の作成又は変更
 三 予算及び資金計画の作成又は変更
 四 決算
 五 その他運営委員会が特に必要と認める事項
 (組織)
第四十四条 運営委員会は、委員八人以内並びに機構の理事長及び理事をもって組織する。
2 運営委員会に委員長一人を置き、委員のうちから、委員の互選によってこれを定める。
3 委員長は、運営委員会の会務を総理する。
4 運営委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
 (委員の任命)
第四十五条 委員は、電気事業、経済、金融、法律又は会計に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、機構の理事長が電力再生委員会の認可を受けて任命する。
 (委員の任期)
第四十六条 委員の任期は、二年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
 (委員の解任)
第四十七条 機構の理事長は、委員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、電力再生委員会の認可を受けて、その委員を解任することができる。
 一 破産手続開始の決定を受けたとき。
 二 禁錮以上の刑に処せられたとき。
 三 心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき。
 四 職務上の義務違反があるとき。
 (議決の方法)
第四十八条 運営委員会は、委員長又は第四十四条第四項に規定する委員長の職務を代理する者のほか、委員並びに機構の理事長及び理事の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
2 運営委員会の議事は、出席した委員並びに機構の理事長及び理事の過半数をもって決する。可否同数のときは、委員長が決する。
 (委員の秘密保持義務)
第四十九条 委員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。委員がその職を退いた後も、同様とする。
 (委員の地位)
第五十条 委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四節  役員等
(役員)
第五十一条 機構に、役員として理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。
 (役員の職務及び権限)
第五十二条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、機構の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、運営委員会、理事長又は電力再生委員会に意見を提出することができる。
 (役員の任命)
第五十三条 理事長及び監事は、電力再生委員会が任命する。
2 理事は、理事長が電力再生委員会の認可を受けて任命する。
 (役員の任期)
第五十四条 役員の任期は、二年とする。ただし、役員が欠けた場合における補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
 (役員の欠格条項)
第五十五条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
 (役員の解任)
第五十六条 電力再生委員会又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2 電力再生委員会又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が第四十七条各号のいずれかに該当するに至ったときその他役員たるに適しないと認めるときは、第五十三条の規定の例により、その役員を解任することができる。
 (役員の兼職禁止)
第五十七条 役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、電力再生委員会の承認を受けたときは、この限りでない。
 (監事の兼職禁止)
第五十八条 監事は、理事長、理事、運営委員会の委員又は機構の職員を兼ねてはならない。
 (代表権の制限)
第五十九条 機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が機構を代表する。
 (代理人の選任)
第六十条 理事長は、機構の職員のうちから、機構の業務の一部に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる。
 (職員の任命)
第六十一条 機構の職員は、理事長が任命する。
 (役員等の秘密保持義務等)
第六十二条 第四十九条及び第五十条の規定は、役員及び職員について準用する。
    第五節 業務
     第一款 業務の範囲等
 (業務の範囲)
第六十三条 機構は、第三十条の目的を達成するため、次の業務を行う。
 一 第四章の規定による株式の取得その他同章の規定による業務
 二 次款の規定による資金援助その他同款の規定による業務
 三 前二号に掲げる業務に附帯する業務
 (業務方法書)
第六十四条 機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、電力再生委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、資金援助に関する事項その他電力再生委員会規則で定める事項を記載しなければならない。
 (報告の徴収等)
第六十五条 機構は、その業務を行うため必要があるときは、特定原子力損害に係る原子力事業者に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。
2 前項の規定により報告又は資料の提出を求められた原子力事業者は、遅滞なく、報告又は資料の提出をしなければならない。
     第二款 資金援助等
 (資金援助の申込み)
第六十六条 特別公的管理原子力事業者は、機構が、電気の安定供給に係る事業の円滑な運営の確保に資するため、次に掲げる措置(以下「資金援助」という。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
 一 当該特別公的管理原子力事業者に対する資金の貸付け
 二 当該特別公的管理原子力事業者が発行する社債又は電力再生委員会規則で定める約束手形の取得
 三 当該特別公的管理原子力事業者による資金の借入れに係る債務の保証
2 前項の規定による申込みを行う特別公的管理原子力事業者は、機構に対し、次に掲げる事項を記載した書類を提出しなければならない。
 一 原子力損害の状況
 二 原子力損害の賠償に関する法律第三条の規定により賠償の責めに任ずべき額の見通し及び損害賠償の迅速かつ適切な実施のための方策
 三 資金援助を必要とする理由並びに実施を希望する資金援助の内容及び額
 四 経営合理化計画に関する事項
 五 その他電力再生委員会規則で定める事項
 (資金援助の決定)
第六十七条 機構は、前条第一項の規定による申込みがあったときは、遅滞なく、運営委員会の議決を経て、当該申込みに係る資金援助を行うかどうか並びに当該資金援助を行う場合にあってはその内容及び額を決定し、電力再生委員会の認定を受けた上で、当該決定に係る事項を当該申込みを行った特別公的管理原子力事業者に通知しなければならない。
2 電力再生委員会は、前項の認定の申請があった場合には、次に掲げる要件の全てに該当すると認めるときに限り、同項の認定をすることができる。
 一 当該特別公的管理原子力事業者による電気の安定供給に係る事業の円滑な運営の確保を図る上で資金援助が必要不可欠であること。
 二 当該特別公的管理原子力事業者が原子力損害の賠償の履行に充てるための資金を確保するため最大限の努力を尽くしていること。
3 電力再生委員会は、第一項の規定による決定に係る特別公的管理原子力事業者の電気の安定供給に係る事業の円滑な運営の確保を図るため必要があると認めるときは、機構に対し、当該決定の変更を命ずることができる。
4 電力再生委員会は、第一項の認定をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣その他の関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 電力再生委員会は、第一項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を公表するものとする。
 (資金援助の内容等の変更)
第六十八条 前条第一項の認定に係る特別公的管理原子力事業者は、電気の安定供給に係る業務の円滑な運営の確保に関し必要が生じた場合には、当該認定に係る資金援助の内容又は額の変更の申込みをすることができる。
2 前項の申込みを行う特別公的管理原子力事業者は、機構に対し、第六十六条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を提出しなければならない。
3 機構は、第一項の申込みがあったときは、遅滞なく、運営委員会の議決を経て、当該申込みに係る資金援助の内容又は額の変更を行うかどうかを決定し、電力再生委員会の認定を受けた上で、当該決定に係る事項を当該申込みを行った特別公的管理原子力事業者に通知しなければならない。
4 電力再生委員会は、第一項の申込みがあった場合には、当該申込みに係る資金援助の内容又は額の変更について、前条第二項各号に掲げる要件を満たし、かつ、電気の安定供給に係る事業の実施の状況その他の事情に照らしやむを得ない事情があるときに限り、前項の認定をするものとする。
5 前条第三項から第五項までの規定は、第三項の認定について準用する。
 (国債の交付)
第六十九条 政府は、機構が資金援助を行うため必要となる資金の確保に用いるため、国債を発行することができる。
2 政府は、前項の規定により、予算で定める額の範囲内において、国債を発行し、これを機構に交付するものとする。
3 第一項の規定により発行する国債は、無利子とする。
4 第一項の規定により発行する国債については、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。
5 前三項に定めるもののほか、第一項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、財務省令で定める。
 (国債の償還等)
第七十条 機構は、資金援助を行うために必要となる額を限り、前条第二項の規定により交付された国債の償還の請求をすることができる。
2 政府は、前条第二項の規定により交付した国債の全部又は一部につき機構から償還の請求を受けたときは、速やかに、その償還をしなければならない。
3 前項の規定による償還は、この法律の規定により行う電気の安定供給に係る事業の円滑な実施を確保するための財政上の措置に関する措置の経理を明確にすることを目的としてエネルギー対策特別会計に設けられる勘定の負担において行うものとする。
4 前項に規定する勘定の負担は、特別の資金の設置及び当該資金の適切な受払いその他の当該勘定における資金の確保に必要な措置により円滑に行われなければならない。
5 前各項に定めるもののほか、前条第二項の規定により政府が交付した国債の償還に関し必要な事項は、財務省令で定める。
 (国債の返還等)
第七十一条 機構は、第六十九条第二項の規定により交付された国債のうち償還されていないものがある場合において、資金援助の実施の状況に照らし、特別公的管理原子力事業者に対する資金援助を行うために新たに前条第一項の規定により国債の償還の請求を行う必要が生ずることがないと認めるときは、その償還されていない国債を政府に返還しなければならない。
2 政府は、前項の規定により国債が返還された場合には、直ちに、これを消却しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、第六十九条第二項の規定により政府が交付した国債の返還及び消却に関し必要な事項は、財務省令で定める。
 (資産の買取り)
第七十二条 機構は、資金援助を受けた特別公的管理原子力事業者からの申込みに基づき、当該資金援助に係る電気の安定供給に係る事業の円滑な運営に充てるための資金の確保に資するため、当該特別公的管理原子力事業者の保有する資産の買取りを行うことができる。
2 機構は、前項の資産の買取りの申込みがあったときは、遅滞なく、運営委員会の議決を経て、当該資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
3 機構は、前項の規定による決定をしたときは、遅滞なく、当該決定に係る事項を当該申込みを行った特別公的管理原子力事業者に通知するとともに、電力再生委員会に報告しなければならない。
4 電力再生委員会は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該報告に係る決定を受けた特別公的管理原子力事業者による電気の安定供給に係る事業の円滑な運営の確保を図るため必要があると認めるときは、機構に対し、当該決定の変更を命ずることができる。
    第六節 財務及び会計
 (事業年度)
第七十三条 機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
 (予算等の認可)
第七十四条 機構は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、電力再生委員会の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 電力再生委員会は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
 (財務諸表等)
第七十五条 機構は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他電力再生委員会規則で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に電力再生委員会に提出し、その承認を受けなければならない。
2 機構は、前項の規定により財務諸表を電力再生委員会に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による電力再生委員会の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、電力再生委員会規則で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
 (利益及び損失の処理)
第七十六条 機構は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 機構は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
3 機構は、予算をもって定める額に限り、第一項の規定による積立金を第六十三条第二号に掲げる業務に要する費用に充てることができる。
4 機構は、資金援助を行った場合には、毎事業年度、第一項に規定する残余があるときは、当該資金援助を行うために既に第七十条第二項の規定により国債の償還を受けた額の合計額からこの項の規定により既に国庫に納付した額を控除した額までを限り、国庫に納付しなければならない。この場合において、第一項中「なお残余があるとき」とあるのは、「なお残余がある場合において、第四項の規定により国庫に納付しなければならない額を控除してなお残余があるとき」とする。
5 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。
 (借入金及び電力再生機構債)
第七十七条 機構は、電力再生委員会の認可を受けて、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は電力再生機構債(以下「機構債」という。)の発行(機構債の借換えのための発行を含む。)をすることができる。この場合において、機構は、機構債の債券を発行することができる。
2 電力再生委員会は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
3 第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する機構債の元本に係る債務の現在額の合計額は、政令で定める額を超えることとなってはならない。
4 第一項の規定による機構債の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 機構は、電力再生委員会の認可を受けて、機構債の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 会社法第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項、第二項及び第四項から前項までに定めるもののほか、機構債に関し必要な事項は、政令で定める。
 (政府保証)
第七十八条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項の借入れ又は機構債に係る債務の保証をすることができる。
 (余裕金の運用)
第七十九条 機構は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
 一 国債その他電力再生委員会の指定する有価証券の保有
 二 電力再生委員会の指定する金融機関への預金
 三 その他電力再生委員会規則で定める方法
 (電力再生委員会規則への委任)
第八十条 この法律に定めるもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、電力再生委員会規則で定める。
第七節 監督
 (監督)
第八十一条 機構は、電力再生委員会が監督する。
2 電力再生委員会は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関して監督上必要な命令をすることができる。
 (報告及び検査)
第八十二条 電力再生委員会は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
    第八節 雑則
 (定款の変更)
第八十三条 定款の変更は、電力再生委員会の認可を受けなければ、その効力を生じない。
 (解散)
第八十四条 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、当該残余財産の額に相当する金額を国庫に納付するものとする。
2 前項に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。
 (政府による資金の交付)
第八十五条 政府は、著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、特別公的管理原子力事業者による電気の安定供給に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼすこととなり、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限り、予算で定める額の範囲内において、機構に対し、必要な資金を交付することができる。
 (法人税の特例)
第八十六条 特別公的管理原子力事業者が第六十七条第一項の認定を受けたときは、その資金援助による収益の額については、機構から交付を受けた資金の額を当該交付を受けた日の属する事業年度(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。)の所得の金額又は連結事業年度(同法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。)の連結所得(同法第二条第十八号の四に規定する連結所得をいう。)の金額の計算上、益金の額に算入する。
2 前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
 (登録免許税の特例)
第八十七条 機構が第七十二条第一項の規定により資金援助を受けた特別公的管理原子力事業者から資産の買取りを行う場合における当該資産の買取りに伴う不動産の所有権の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該買取り後三月以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
 (電力再生委員会規則への委任)
第八十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、電力再生委員会規則で定める。
第六章 電力再生委員会
    第一節 通則
 (設置)
第八十九条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、電力再生委員会を設置する。
 (任務)
第九十条 電力再生委員会は、特定原子力損害に係る原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保に関する事務を行うことを任務とする。
 (所掌事務)
第九十一条 電力再生委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 特定原子力損害に係る原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
 二 特定原子力損害に係る原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
 三 特定原子力損害に係る原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保を図る上で必要な環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
 四 特定原子力損害に係る原子力事業者による原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給の確保を図る上で必要な電気の安定的かつ効率的な供給の確保に関する調査、企画及び立案に関すること。
 五 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき電力再生委員会に属させられた事務
 (組織)
第九十二条 電力再生委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。
 (委員長)
第九十三条 委員長は、国務大臣をもって充てる。
2 委員長は、会務を総理し、電力再生委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
 (委員の任命)
第九十四条 委員は、経済又は法律に関して優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
2 委員の任期が満了し、又は委員に欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。この場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。
 (委員の任期)
第九十五条 委員の任期は、五年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
 (身分保障)
第九十六条 委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
 一 破産手続開始の決定を受けたとき。
 二 この法律の規定に違反して刑に処せられたとき。
 三 禁錮以上の刑に処せられたとき。
 四 電力再生委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき、又は職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
 五 第九十四条第二項の場合において、両議院の事後の承認を得られなかったとき。
2 内閣総理大臣は、委員が前項各号のいずれかに該当するときは、その委員を罷免しなければならない。
 (委員の服務等)
第九十七条 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
2 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
3 委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。
4 委員の給与は、別に法律で定める。
 (会議)
第九十八条 電力再生委員会は、委員長が招集する。
2 電力再生委員会は、委員長及び二人以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 電力再生委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 電力再生委員会が、第九十六条第一項第四号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。
 (規則の制定)
第九十九条 電力再生委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、電力再生委員会規則を制定することができる。
 (事務局)
第百条 電力再生委員会の事務を処理させるため、電力再生委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。
 (関係行政機関との協力等)
第百一条 電力再生委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、機構その他の者に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 電力再生委員会及び関係行政機関の長は、それぞれの所掌事務を適切に遂行するため、相互に緊密な連絡をとるものとする。
3 電力再生委員会は、必要に応じ、機構の役員又は職員の出席を求めて、説明又は意見を聴くことができる。
    第二節 株価算定委員会
 (設置及び所掌事務)
第百二条 電力再生委員会に、株価算定委員会を置く。
2 株価算定委員会は、この法律によりその権限に属させられた事項を処理する。
 (組織)
第百三条 株価算定委員会は、委員五人をもって組織する。
2 委員は、法務、金融、会計等に関し優れた識見と経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
 (委員長)
第百四条 株価算定委員会に、委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、株価算定委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
 (準用規定)
第百五条 第九十四条第二項、第九十五条、第九十六条並びに第九十七条第一項及び第二項の規定は、株価算定委員会の委員について準用する。この場合において、第九十六条第一項第四号中「電力再生委員会」とあるのは、「株価算定委員会」と読み替えるものとする。
2 第九十八条及び第百一条第一項の規定は、株価算定委員会について準用する。
   第七章 罰則
第百六条 第六条の資産査定等報告書に虚偽の記載をして提出した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 第六条の規定に違反して、資産査定等報告書の提出をしない者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百七条 電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理が法人であるときは、電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理の職務に従事するその役員又は職員がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理が法人である場合において、その役員又は職員が電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理の職務に関し電気事業者整理管財人又は電気事業者整理管財人代理に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。
3 犯人又は法人たる電気事業者整理管財人若しくは電気事業者整理管財人代理の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第百八条 前条第一項若しくは第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第百九条 第二十三条又は第四十九条(第六十二条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百十条 管理を命ずる処分に係る特別公的管理原子力事業者の取締役、会計参与、監査役若しくは会計監査人若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 特別公的管理原子力事業者の取締役、会計参与、監査役若しくは会計監査人若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二十七条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときも、前項と同様とする。
第百十一条 第二十七条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の刑を科する。
第百十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 第六十七条第一項又は第六十八条第三項の規定による認定の申請をせず、又は虚偽の認定の申請をしたとき。
 二 第七十二条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
 三 第八十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第百十三条 第六十五条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
第百十四条 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対しても当該各号に定める罰金刑を科する。
 一 第百六条第一項 五億円以下の罰金刑
 二 第百六条第二項 三億円以下の罰金刑
第百十五条 管理を命ずる処分に係る特別公的管理原子力事業者の取締役又は執行役が電気事業者整理管財人に事務の引渡しをしないときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
第百十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
 一 この法律により電力再生委員会の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
 二 第三十五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。
 三 第六十三条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
 四 第六十七条第三項(第六十八条第五項において準用する場合を含む。)、第七十二条第四項又は第八十一条第二項の規定による電力再生委員会の命令に違反したとき。
 五 第七十五条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。
 六 第七十九条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
第百十七条 第三十四条第二項の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。
附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内で政令で定める日から施行する。ただし、附則第五条及び第六条の規定は、公布の日から施行する。
 (経過措置)
第二条 この法律の施行の際現にその名称中に電力再生機構という文字を用いている者については、第三十四条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第三条 機構の最初の事業年度は、第七十三条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その後最初の三月三十一日に終わるものとする。
第四条 機構の最初の事業年度の予算及び資金計画については、第七十四条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「機構の成立後遅滞なく」とする。
第五条 第九十四条第一項の規定による電力再生委員会の委員の任命のために必要な行為は、この法律の施行前においても行うことができる。
2 この法律の施行の日以後最初に任命される電力再生委員会の委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第九十四条第二項及び第九十六条第二項の規定を準用する。
第六条 前条第一項の規定は、第百三条第二項の規定による株価算定委員会の委員の任命のために必要な行為について準用する。
2 この法律の施行の日以後最初に任命される株価算定委員会の委員の任命について、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、第九十四条第二項及び第九十六条第二項の規定を準用する。
 (政令への委任)
第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
 (検討)
第八条 政府は、この法律の施行後三月以内に、この法律の施行状況について検討を加えるとともに、この法律の施行に関し必要となる発電に係る事業と変電、送電及び配電に係る事業との分離の実施その他電気事業に係る制度の在り方について見直しを行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
 (特定原子力損害に係る原子力事業者の努力)
第九条 特定原子力損害に係る原子力事業者は、特定原子力損害が大規模かつ長期にわたるものであり、これによる被害を受けた者を早期に救済する必要があることに鑑み、その損害の賠償をできる限り迅速に実施するよう努めなければならない。
 (原子力損害の被害の救済に係る措置)
第十条 国は、特定原子力損害に係る原子力事業者が当該特定原子力損害の賠償を適切に実施することができないと認める場合には、別に法律で定めるところにより、当該特定原子力損害に係る被害の救済を図るための措置を講ずるものとする。
 (関係法律の整理)
第十一条 この法律の施行に伴う関係法律の整理については、別に法律で定める。

本修正の結果必要とする経費
 本修正の結果必要とする経費は、平成二十三年度において約三百二十億円の見込みである。

衆議院
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