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   競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案要綱


第一 民事執行法の一部改正
 一 原裁判所による執行抗告の却下(第十条第五項関係)
   執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならないものとすること。
 二 競売物件に対する調査権限の拡充(第十八条第二項、第五十七条第四項及び第五項並びに第五十八条第三項関係)
  1 執行裁判所又は執行官は、租税公課に関する所管の官庁又は公署に対し、民事執行の目的である財産が土地である場合にはその上にある建物について、その財産が建物である場合にはその敷地について必要な証明書の交付を請求することができるものとすること。
  2 執行官は、不動産の現況調査のため必要がある場合には、市町村(特別区の存する区域にあっては、都)に対し、不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を、不動産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができるものとすること。
3 執行官は、2の場合には、電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができるものとすること。
  4 租税公課に関する証明書の交付の請求等の執行官の調査権限に関する規定は、評価人について準用するものとすること。
三 買受けの申出をした差押債権者のための保全処分(第六十八条の二関係)
  1 入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかった場合において、不動産を占有する債務者又は不動産の占有者でその占有の権原を差押債権者、仮差押債権者若しくは売却により消滅する権利を有する者に対抗することができないものが、不動産の売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、執行裁判所は、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、その行為をし、又はその行為をするおそれがある者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官又は申立人に保管させるべきことを命ずることができるものとすること。
  2 差押債権者は、1の申立てをするには、最低売却価額以上の申出額を定めて、次の入札又は競り売りの方法による売却の実施において申出額に達する買受けの申出がないときは自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出をし、かつ、申出額に相当する保証の提供をしなければならないものとすること。
  3 事情の変更があったときは、執行裁判所は、申立てにより又は職権で、1による決定を取り消し、又は変更することができるものとすること。
 四 売却の見込みのない場合の措置(第六十八条の三関係)
  1 執行裁判所は、入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかった場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができるものとすること。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならないものとすること。
  2 差押債権者が、1の通知を受けた日から三月以内に、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、執行裁判所は、売却を実施させなければならないものとすること。
  3 差押債権者が2の期間内に2の売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができるものとすること。2による売却を実施させた場合において買受けの申出がなかったときも、同様とするものとすること。
 五 代金納付による登記の嘱託の特例(第八十二条第二項関係)
買受人及び買受人から不動産の上に抵当権の設定を受けようとする者が、最高裁判所規則で定めるところにより、代金の納付の時までに申出をしたときは、登記の嘱託は、登記の申請の代理を業とすることができる者で申出人の指定するものに嘱託書を交付して登記所に提出させる方法によってしなければならないものとすること。この場合において、申出人の指定する者は、遅滞なく、嘱託書を登記所に提出しなければならないものとすること。
 六 配当期日における送達方法の合理化(第八十五条第六項関係)
  債権の届出をしていない債権者に対する配当期日の呼出状の送達は、事件の記録に表れた住所等においてすれば足りるものとすること。
第二 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部改正(第八条第三号関係)
  滞納処分による差押えがされている財産に対する強制執行続行の決定の申請をすることができる要件を緩和するものとすること。
第三 不動産登記法の一部改正(第百十九条ノ九関係)
根抵当権の担保すべき元本の確定の登記について、一定の場合に、根抵当権者のみでこれを申請することができるものとすること。
第四 執行官法及び民事訴訟費用等に関する法律の一部改正
民事執行法の一部改正に伴い、執行官法及び民事訴訟費用等に関する法律の規定を整備するものとすること。
第五 施行期日等
一 施行期日(附則第一項関係)
この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行するものとすること。
二 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の一部改正に伴う経過措置(附則第二項関係)
この法律の施行前にされた第二の強制執行続行の決定の申請については、なお従前の例によるものとすること。

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