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   貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱

第一 貸金業の規制等に関する法律の一部改正
 一 過剰貸付け等の禁止
1 貸金業者は、貸付けの金額が、資金需要者の資力又は信用等に関し総理府令・大蔵省令で定める基準を超えると認められる貸付けに係る契約を締結してはならないものとすること。
2 貸金業者は、その担保する債権の額が、保証人の資力又は信用等に関し総理府令・大蔵省令で定める基準を超えると認められる保証契約を締結してはならないものとすること。
3 貸金業者は、貸付けに係る契約について、総理府令・大蔵省令で定める基準に照らし必要と認められる程度を超えて、保証契約を締結してはならないものとすること。
 二 根保証契約に対する規制
1 貸金業者が締結する主たる債務者との間の一定の範囲に属する不特定の債権に係る保証契約においては、次に掲げる事項が定められていなければならないものとすること。
@ 保証の期間。ただし、その期間は一年以内でなければならない。
A 保証の限度額
B 主たる債務者と当該保証契約に係る貸付けに係る契約を締結したときは、その都度、遅滞なく、当該貸付けに係る契約の内容を明らかにする事項を書面で根保証人に通知すべき旨
C 保証人が、Bの書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間に申し出た場合には、当該貸付けに係る契約に基づく債権が当該保証契約に係る保証の対象とならない旨
2 1に反する契約は、無効とすること。
三 保証契約締結前の説明
 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しようとするときは、その相手方に対し、当該保証契約を締結するまでに、当該貸付けに係る契約及び当該保証契約の内容を明らかにする事項、主たる債務者に対する貸付けの状況その他の事項について説明しなければならないものとすること。
四 書面による解除
1 資金需要者である顧客は、その締結した貸付けに係る契約の内容を明らかにする書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間、書面により当該貸付に係る契約を解除することができるものとすること。
2 保証人は、その締結した貸付けに係る契約に係る保証契約の内容を明らかにする書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間、書面により当該保証契約を解除することができるものとすること。
五 帳簿の閲覧
 債務者及び保証人は、貸金業者に対し、その業務に関する帳簿(自己の貸付けに係る契約に関する部分又は自己の貸付けに係る契約に係る保証契約に関する部分に限る。)の閲覧を請求することができるものとすること。
六 保証人に対する報告義務
 貸金業者は、貸付けに係る契約について保証契約を締結しているときは、保証人に対し、毎月、主たる債務者に対する貸付けの状況、当該債務者の債務の弁済の状況その他の事項について報告をしなければならないものとすること。
七 保証人に対する配慮
 貸金業者等は、貸付けの契約に基づく保証債権の取立てをするに当たっては、保証人の置かれている経済状況等に配慮しなければならず、一括して債務を弁済することをみだりに要求する等のことをしてはならないものとすること。
八 資金需要者及び保証人の正当な利益を害する契約約款の規制
 貸金業協会が都道府県知事の認可を受けて定める契約約款の内容となるべき事項については、資金需要者である顧客及び保証人の正当な利益を害するものであってはならないものとすること。
九 貸金業者に対する監督の強化
1 是正命令
 金融再生委員会又は都道府県知事は、貸金業者の業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該貸金業者に対し、業務の運営の是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができるものとすること。
2 業務の停止等
 一、三又は六に違反した貸金業者に対しては、業務停止処分その他の行政処分を行うことができるものとすること。
3 報告徴収及び立入検査
 金融再生委員会又は都道府県知事は、貸金業規制法を施行するため必要があると認めるときは、貸金業者に対し、報告をさせ、また立入検査を行うことができるものとすること。
4 違反事実の申出
@ 何人も、貸金業規制法に違反する事実があると認めるときは、金融再生委員会又は都道府県知事に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができるものとすること。
A 金融再生委員会又は都道府県知事は、@の申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が真実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならないものとすること。
B 金融再生委員会又は都道府県知事は、@の申出に係る事項について適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、速やかにその旨を当該申出をした者に通知しなければならないものとすること。
十 任意に支払った場合のみなし弁済規定の削除
 貸金業者が業として行う金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に基づき債務者が利息として任意に支払った金銭の額が利息制限法の利息の制限を超える場合において、一定の要件に該当するときは当該超過部分の支払は有効な利息の債務の弁済とみなすものとする規定を削除すること。
十一 過剰貸付けに係る契約の無効等
1 貸金業者が、資金需要者である顧客の資力又は信用等に照らし、その者の返済能力を著しく超えると認められる貸付けに係る契約を締結したときは、当該貸付けに係る契約は無効であるものとすること。
2 貸金業者が、貸付けに係る契約について、保証人の資力又は信用等に照らし、その者の保証能力を著しく超えると認められる保証契約を締結したときは、当該保証契約は無効であるものとすること。
十二 保証契約の取消し
 貸金業者が、貸付けに係る契約について保証契約を締結するに際し、保証人に対し、保証人の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項につき、事実を告げず、又は不実のことを告げたときは、保証人は、当該保証契約を取り消すことができるものとすること。
十三 罰則の強化
 貸金業者等が、貸付けに係る契約に基づく債権の取立てをするに当たって、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動によってその者を困惑させた場合の罰則を強化して、一年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するものとすること。法人に対しては、一億円以下の罰金に処するものとすること。

第二 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部改正
 金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合における刑罰金利を、元本の額に応じ次のとおり引き下げるものとすること。
一 元本が十万円未満の場合 年二十・〇〇二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十・〇五六八パーセントとし、一日当たりについては〇・〇五四八パーセントとする。)
二 元本が十万円以上百万円未満の場合 年十八・〇〇一八パーセント(二月二十九日を含む一年については年一八・〇五一一二パーセントとし、一日当たりについては〇・〇四九三二パーセントとする。)
三 元本が百万円以上の場合 年十五・〇〇一五パーセント(二月二十九日を含む一年については年一五・〇四二六パーセントとし、一日当たりについては〇・〇四一一パーセントとする。)

第三 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律の一部改正
 日賦貸金業者及び電話担保金融に係る制限利息の特例を廃止するものとすること。

第四 利息制限法の一部改正
 一 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約に関し、その利息の最高限を第二と同一のものとすること。
 二 債務者が一の利息の最高限を超える利息を任意に支払ったときはその超過部分の返還を請求することができないものとする規定を削除すること。
三 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定の制限について、賠償額の元本に対する割合が一の率の二倍までとされているのを当該消費貸借上の約定利率の二倍又は一の率のいずれか低い方とすること。
四 債務者が賠償額の制限を超えて任意に支払ったときはその超過部分の返還を請求することができないものとする規定を削除すること。

第五 その他
一 この法律は、平成十二年一月一日から施行するものとすること。
二 その他所要の規定の整備を行うものとすること。

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