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                                                                      マンションの管理の適正化の推進に関する法律案要綱


第一 総則(第一章関係)
一 目的(第一条関係)
この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするものとすること。
二 定義(第二条関係)
この法律において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによるものとすること。
@ マンション 次に掲げるもの
イ 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地及び附属施設
ロ イに掲げる建物を含む団地の土地及び附属施設
A マンションの区分所有者等 @イの建物の区分所有者並びに@ロの土地及び附属施設の所有者
B 管理組合 マンションの管理を行う区分所有法上の団体又は管理組合法人
C 管理者等 管理組合の管理者又は理事
D マンション管理士 第二の三1の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されているものを除く。)とする者
E 管理事務 マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びにマンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう。第三の三4において同じ。)を含むもの
F マンション管理業 管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行うもの(マンションの区分所有者等が当該マンションについて行うものを除く。)
G マンション管理業者 第三の一1の登録を受けてマンション管理業を営む者
H 管理業務主任者 第三の二4垂フ管理業務主任者証の交付を受けた者
三 マンション管理適正化指針(第三条関係)
国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(四垂ノおいて「マンション管理適正化指針」という。)を定め、これを公表するものとすること。
四 管理組合等の努力(第四条関係)
吹@管理組合は、マンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう努めなければならないものとすること。
早@マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関し、管理組合の一員としての役割を適切に果たすよう努めなければならないものとすること。
五 国及び地方公共団体の措置(第五条関係)
国及び地方公共団体は、マンションの管理の適正化に資するため、管理組合又はマンションの区分所有者等の求めに応じ、必要な情報及び資料の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
第二 マンション管理士(第二章関係)
一 マンション管理士の資格(第六条関係)
マンション管理士試験(二において「試験」という。)に合格した者は、マンション管理士となる資格を有するものとすること。
二 マンション管理士の試験(第七条〜第二十九条関係)
1 試験
吹@試験は、マンション管理士として必要な知識について行うものとすること。
早@国土交通省令で定める資格を有する者に対しては、試験の一部を免除することができるものとすること。
2 試験の実施
試験は、毎年一回以上、国土交通大臣が行うものとすること。
3 指定試験機関の指定
国土交通大臣は、その指定する民法上の法人に、試験の実施に関する事務を行わせることができるものとすること。
三 マンション管理士の登録(第三十条〜第三十九条関係)
1 登録
マンション管理士となる資格を有する者で次のいずれにも該当しないものは、国土交通大臣の登録を受けることができるものとすること。
@ 成年被後見人又は被保佐人
A 禁以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
B この法律の規定によりマンション管理士、管理業務主任者又はマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
2 マンション管理士登録証
国土交通大臣は、マンション管理士の登録をしたときは、申請者に氏名、生年月日等を記載したマンション管理士登録証を交付するものとすること。
3 登録の取消し等
吹@国土交通大臣は、マンション管理士が1の@からBまでのいずれかに該当する場合等には、その登録を取り消さなければならないものとすること。
早@国土交通大臣は、マンション管理士が四の1から3までに違反したときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてマンション管理士の名称の使用の停止を命ずることができるものとすること。
4 登録免許税及び手数料
マンション管理士の登録を受けようとする者は登録免許税を、登録証の再交付又は訂正を受けようとする者は手数料を、それぞれ国に納付しなければならないものとすること。
5 指定登録機関の指定
国土交通大臣は、その指定する民法上の法人に、マンション管理士の登録の実施に関する事務を行わせることができるものとすること。
四 マンション管理士の義務等(第四十条〜第四十三条関係)
1 信用失墜行為の禁止
マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つけるような行為をしてはならないものとすること。
2 講習
マンション管理士は、国土交通省令で定める期間ごとに、国土交通大臣が指定する講習を受けなければならないものとすること。
3 秘密保持義務
マンション管理士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないものとすること。マンション管理士でなくなった後においても、同様とするものとすること。
4 名称の使用制限
マンション管理士でない者は、マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならないものとすること。
第三 マンション管理業(第三章関係)
一 マンション管理業者の登録(第四十四条〜第五十五条関係)
1 登録
吹@マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければならないものとすること。
早@マンション管理業者の登録の有効期間は、五年とし、引き続きマンション管理業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならないものとすること。
2 登録の実施
国土交通大臣は、登録の申請があったときは、3により登録を拒否する場合を除くほか、マンション管理業者登録簿に登録しなければならないものとすること。
3 登録の拒否
国土交通大臣は、マンション管理業者の登録を受けようとする者が次のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならないものとすること。
@ 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
A マンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
B マンション管理業者で法人であるものがマンション管理業者の登録を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内にそのマンション管理業者の役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないもの
C マンション管理業者の業務の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
D 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
E マンション管理業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が@からDまでのいずれかに該当するもの
F 法人でその役員のうちに@からDまでのいずれかに該当する者があるもの
G 事務所について二1の要件を欠く者
H マンション管理業を遂行するために必要と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産的基礎を有しない者
4 マンション管理業者登録簿等の閲覧
国土交通大臣は、マンション管理業者登録簿その他国土交通省令で定める書類を一般の閲覧に供しなければならないものとすること。
5 登録免許税及び手数料
マンション管理業者の登録を受けようとする者は登録免許税を、その更新の登録を受けようとする者は手数料を、それぞれ国に納付しなければならないものとすること。
6 無登録営業の禁止
マンション管理業者の登録を受けない者は、マンション管理業を営んではならないものとすること。
7 名義貸しの禁止
マンション管理業者は、自己の名義をもって、他人にマンション管理業を営ませてはならないものとすること。
二 管理業務主任者(第五十六条〜第六十九条関係)
1 管理業務主任者の設置
マンション管理業者は、事務所ごとに、国土交通省令で定める数の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければならないものとすること。ただし、人の居住の用に供する独立部分が国土交通省令で定める数以上であるマンションの管理事務をその業務としない事務所については、この限りでないものとすること。
2 管理業務主任者試験
吹@試験
@ 管理業務主任者試験(以下二において「試験」という。)は、管理業務主任者として必要な知識について行うものとすること。
A 国土交通省令で定める資格を有する者に対しては、試験の一部を免除することができるものとすること。
早@試験の実施
試験は、毎年一回以上、国土交通大臣が行うものとすること。
秩@指定試験機関の指定
国土交通大臣は、その指定する民法上の法人に、試験の実施に関する事務を行わせることができるものとすること。
3 登録
試験に合格した者で、国土交通省令で定める実務経験等を有し、次のいずれにも該当しないものは、国土交通大臣の登録を受けることができるものとすること。
@ 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
A 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
B この法律の規定によりマンション管理士、管理業務主任者又はマンション管理業者の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
4 管理業務主任者証の交付等
吹@3の登録を受けている者は、国土交通大臣に対し、管理業務主任者証の交付を申請することができるものとすること。
早@管理業務主任者証の更新を受けようとする者等は、国土交通大臣が指定する講習を受けなければならないものとすること。
秩@管理業務主任者証の有効期間は、五年とするものとすること。
5 手数料
3の登録、管理業務主任者証の交付等を受けようとする者は、手数料を国に納付しなければならないものとすること。
三 業務等(第七十条〜第九十条関係)
1 業務処理の原則
マンション管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならないものとすること。
2 重要事項の説明等
マンション管理業者は、管理事務の受託を内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、管理組合の管理者等及びマンションの区分所有者等に対し、重要事項を記載した書面を交付し、管理業務主任者をして、説明会等において、重要事項について説明をさせなければならないものとすること。
3 契約の成立時の書面の交付
マンション管理業者は、2の契約を締結したときは、当該管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、マンションの区分所有者等)に対し、遅滞なく、当該契約の内容を記載した書面を交付しなければならないものとすること。
4 再委託の制限
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、これを一括して他人に委託してはならないものとすること。
5 帳簿の作成等
マンション管理業者は、委託を受けたマンションの管理事務について、帳簿を作成し、これを保存しなければならないものとすること。
6 財産の分別管理
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金等については、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならないものとすること。
7 管理事務の報告
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、マンションの区分所有者等)に対し、定期に、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならないものとすること。
8 管理業務主任者としてすべき事務の特例
マンション管理業者は、二1ただし書の管理事務以外の管理事務については、管理業務主任者に代えて、事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者をして、管理業務主任者としてすべき事務を行わせることができるものとすること。
9 書類の閲覧
マンション管理業者は、業務及び財産の状況を記載した書類を事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、これを閲覧させなければならないものとすること。
@ 秘密保持義務
マンション管理業者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないものとすること。マンション管理業者でなくなった後においても、同様とするものとすること。
A マンション管理業者の監督
国土交通大臣は、マンション管理業者がこの法律の規定に違反する行為等があったときは、必要な指示、業務停止命令、登録の取消し等の措置をとることができるものとすること。
第四 マンション管理適正化推進センター(第四章関係)
国土交通大臣は、管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に寄与することを目的とする民法上の財団法人であって、次に掲げる業務に関し一定の基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、マンション管理適正化推進センターとして指定することができるものとすること。
@ 情報及び資料の収集及び整理をし、並びにこれらを管理組合の管理者等その他の関係者に対し提供すること。
A 管理組合の管理者等その他の関係者に対し技術的な支援を行うこと。
B 管理組合の管理者等その他の関係者に対し講習を行うこと。
C 苦情の処理のために必要な指導及び助言を行うこと。
D 調査及び研究を行うこと。
E 啓発活動及び広報活動を行うこと。
第五 マンション管理業者の団体(第五章関係)
一 国土交通大臣は、マンション管理業者の業務の改善向上を図ることを目的とし、かつ、マンション管理業者を社員とする民法上の社団法人であって、業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、次に掲げる業務を行う者として指定することができるものとすること。
@ 社員に対し、この法律を遵守させるための指導、勧告その他の業務を行うこと。
A 管理組合等からの苦情の解決を行うこと。
B 管理業務主任者等に対し研修を行うこと。
C マンション管理業の健全な発達を図るための調査及び研究を行うこと。
二 一の指定を受けた者は、国土交通大臣の承認を受け、マンション管理業者が管理組合等から受領した管理費、修繕積立金等の返還債務を負うこととなった場合においてその返還債務を保証する業務を行うことができるものとすること。
第六 雑則(第六章関係)
一 設計図書の交付
宅地建物取引業者は、自ら売主として新築マンションを分譲した場合においては、管理者等に対して、設計に関する図書を交付しなければならないものとすること。
二 権限の委任
この法律に規定する国土交通大臣の権限は、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができるものとすること。
第七 罰則(第七章関係)
登録を受けないでマンション管理業を営んだ者に関する罰則等について規定するものとすること。
第八 附則
一 施行期日
この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
二 経過措置
吹@この法律の施行の際マンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用している者については、第二の四4は、法律の施行後九月間は適用しないものとすること。
早@この法律の施行の際現にマンション管理業を営んでいる者は、法律の施行日から九月間は引き続きマンション管理業を営むことができるものとすること。
秩@マンションの管理に関し知識及び実務の経験を有すると認められる者で法律の施行日から九月を経過する日までに国土交通大臣が指定する講習会の課程を修了したものは、管理業務主任者となる資格を有する者とみなすものとすること。
三 関係法律の一部改正
所要の関係法律の一部改正を行うものとすること。

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