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   犯罪被害者基本法案要綱


第一 目的
 この法律は、犯罪被害者及び犯罪被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他これらの者に準ずる者並びに犯罪被害の発生の防止又は犯罪被害者の救助に当たったことにより被害を受けた者(以下「犯罪被害者等」という。)が、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することにかんがみ、国及び地方公共団体に犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰を支援する責務があることを明らかにするとともに、犯罪被害者等を支援するための施策(以下「犯罪被害者等支援対策」という。)の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等支援対策を総合的に推進し、もって犯罪被害者等の福祉の増進に寄与することを目的とすること。(第一条関係)
第二 基本理念
一 すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、被害の状況等に応じた適切な処遇を保障される権利を有するものとすること。(第二条第一項関係)
二 何人も、犯罪被害者等の名誉及び生活の平穏を害してはならないものとすること。(第二条第二項関係)
第三 国の責務
 国は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援対策を総合的に策定し、及び実施することにより、犯罪
被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰を支援する責務を有すること。(第三条関係)
第四 地方公共団体の責務
 地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援対策に関し、国の施策に準じた施策及び当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施することにより、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰を支援する責務を有すること。(第四条関係)
第五 国民の責務
 国民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰に協力す  
るよう努めなければならないこと。(第五条関係)
第六 法制上の措置等
 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。(第六条関係)
第七 年次報告
 政府は、毎年、国会に、政府が講じた犯罪被害者等支援対策の実施の状況に関する報告書を提出しなけ   
ればならないこと。(第七条関係)
第八 犯罪被害者等支援基本計画
 政府は、犯罪被害者等支援対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等支援対策審議会の
意見を聴いて、犯罪被害者等支援基本計画を定めなければならないこと。(第八条関係)
第九 基本的施策
 一 相談、指導等
   国は、犯罪被害者等が、被害の程度、心身の状況等に応じ、相談、指導、医療の提供、給付金の支給、 
  被害に係る損害賠償の請求についての援助等を受けられるよう必要な施策を講ずるものとすること。
  (第九条関係)
 二 安全及び生活の平穏の確保
   国は、犯罪被害者等の安全及び生活の平穏の確保を図るため、犯罪被害者等が、被害の状況等に応じ、一時保護、情報の提供等を受けられるよう必要な施策を講ずるものとすること。(第十条関係)
 三 刑事手続に関する適切な取扱い
   国は、犯罪被害者等がその受けた被害に係る犯罪についての刑事手続の進ちょく状況等について深い関心を有することにかんがみ、刑事手続における意見の表明の機会の付与、刑事手続の進ちょく状況等についての情報の提供等刑事手続に関し犯罪被害者等に対して適切な取扱いがされるよう必要な措置を講ずるものとすること。(第十一条関係)
 四 関係者に対する訓練及び啓発
   国は、犯罪の捜査に従事する者及び犯罪被害者等に係る相談、指導、医療等の職務に従事する者その他の犯罪被害者等の支援に関し職務上関係のある者に対し、犯罪被害者等の人権、心身の状況等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとすること。(第十二条関係)
 五 教育及び啓発
   国は、犯罪被害者等の権利に関する国民の関心と理解を深めるために必要な教育及び啓発に努めるものとすること。(第十三条関係)
 六 調査研究の推進
   国は、犯罪被害者等について専門的知識に基づく支援を適切に行うことができるよう、被害の実情そ  
  の他の犯罪被害者等支援対策の策定に必要な事項に関する調査研究の推進に努めるものとすること。
  (第十四条関係)
 七 民間の団体に対する支援
   国は、民間の団体が犯罪被害者等の受けた被害の回復及び犯罪被害者等の社会復帰に関して行う活動
  を支援するため、資金の融通、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。
  (第十五条関係)
 八 施設等の整備
   国は、犯罪被害者等支援対策を実施するために必要な施設等を整備するよう必要な措置を講ずるもの 
  とすること。(第十六条関係)
 九 地方公共団体の施策
   地方公共団体は、一から八までの国の施策に準じた施策及び当該地域の状況に応じた施策を実施する   
  ものとすること。(第十七条関係)
第十 犯罪被害者等支援対策審議会
  犯罪被害者等支援対策に関する重要事項について調査審議するため、内閣府に犯罪被害者等、犯罪被害
 者等の支援に関する業務に従事する者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する委員十
 人以内で組織する犯罪被害者等支援対策審議会を置くこと。(第十八条から第二十一条まで関係)
第十一 施行期日等
 一 この法律は公布の日から起算して三月を経過した日から施行するものとすること。
 二 その他、所要の規定を整備するものとすること。

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