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育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案要綱


第一 題名の改正
  法律の題名を「労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律」に改めるものとすること。
第二 育児休業等
一 育児休業の対象となる子の範囲の拡大
  育児休業の対象となる子の範囲を小学校就学の始期に達するまでの子(現行は一歳に満たない子)に拡大するものとすること。
二 育児休業の申出の回数、育児休業の期間等
(一) 労働者は、同一の子について二回の育児休業の申出をできることとすることにより、育児休業を分割してすることができるものとすること。
(二) 育児休業申出は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は育児休業をすることとする一の期間(一月以上の期間に限る。以下「育児休業申出期間」という。)について、その初日(以下「育児休業開始予定日」という。)及び末日(以下「育児休業終了予定日」という。)とする日を明らかにして、しなければならないものとすること。この場合において、育児休業申出期間は、(三)の期間(当該労働者が当該育児休業申出に係る子について育児休業をしたことがあるときは、当該期間から当該育児休業をした期間を控除した期間)を超えることができないものとすること。
(三) 労働者がその子について育児休業をすることができる期間は、七月(次のイからハまでに掲げる場合には、それぞれイからハまでに掲げる期間)とするものとすること。ただし、当該子について当該労働者以外の者で当該子の親であるものが育児休業をしているときは、十四月から当該育児休業をした期間を控除した期間を超えることができないものとすること。
イ 当該労働者の配偶者(事実上婚姻関係にある者を含む。以下同じ。)で当該育児休業申出に係る子の親であるものが労働者である場合(ハに該当する場合を除く。) 十三月
ロ 当該育児休業申出に係る子を養育する親が一人である場合 十四月
ハ 当該労働者の配偶者で当該育児休業申出に係る子の親であるものが負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により当該育児休業申出に係る子を養育することが困難な状態にある場合 十四月
(四) 事業主は、育児休業申出があったときは、当該育児休業申出をした労働者に対して、当該育児休業申出に係る子について当該労働者又は当該労働者以外の者で当該子の親であるものが育児休業をした期間を証する書面として厚生労働省令で定めるものの提出を求めることができるものとすること。
(五) 労使協定によって育児休業を制限することができることとされている事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとし、労使協定によっても、配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者の育児休業を制限できないものとすること。
三 期間を定めて雇用される労働者
  期間を定めて雇用される労働者のうち実質上期間を定めないで雇用されている者として厚生労働省令で定める者に該当するものは、育児休業をすることができるものとすること。
四 育児休業を理由とした不利益取扱いの禁止
(一) 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
(二) 事業主は、育児休業をした労働者が業務に復帰したときは、原職又は原職に相当する職に復帰させるようにしなければならないものとすること。
五 介護休業
(一) 期間を定めて雇用される労働者のうち実質上期間を定めないで雇用されている者として厚生労働省令で定める者に該当するものは、介護休業をすることができるものとすること。
(二) 労使協定によって介護休業を制限することができることとされている事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとすること。
(三) 四は、介護休業申出及び介護休業について準用するものとすること。
第三 看護休暇
一 看護休暇
(一) 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合においては、看護休暇(負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話を行うための休暇(労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)をいう。以下同じ。)を与えなければならないものとすること。
(二) (一)の看護休暇の日数は、一年間につき十労働日(小学校就学の始期に達するまでの子を二人以上養育する労働者にあっては、十五労働日)とする。ただし、当該労働者以外に小学校就学の始期に達するまでの子を養育する親がいない場合には、一年間につき二十労働日(当該子を二人以上養育する労働者にあっては、三十労働日)とするものとすること。
(三) 一年未満の期間を定めて雇用される労働者の看護休暇の日数については、(二)にかかわらず、これらによる看護休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一年間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の雇用される期間における当該労働者の所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とするものとすること。
(四) 次のイ及びロに掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の看護休暇の日数については、(二)にかかわらず、これらによる看護休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(イにおいて「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とするものとすること。
 イ 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 ロ 週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、イの厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
(五) 事業主は、看護休暇の請求をした労働者に対して、看護休暇を取得する事由を明らかにする書面として厚生労働省令で定めるものの提出を求めることができるものとすること。
二 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が看護休暇の請求をし、又は看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
第四 一日の所定労働時間の短縮
一 一日の所定労働時間の短縮
(一) 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(一日の所定労働時間が六時間以下の者を除く。)であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、当該労働者の一日の所定労働時間を短縮しなければならないものとすること。
 イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 ロ イに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
(二) (一)によりその短縮を請求することができる時間は、一時間以上当該労働者の一日の所定労働時間の四分の一以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間以内とするものとすること。
(三) (一)の請求は、その期間中は一日の所定労働時間を短縮しなければならないこととなる一の期間(一月以上三月以内の期間に限る。(五)において「労働時間短縮期間」という。)について、その初日((三)及び(四)において「労働時間短縮開始予定日」という。)及び末日((五)において「労働時間短縮終了予定日」という。)とする日並びに一日において短縮すべき時間を明らかにして、労働時間短縮開始予定日の一月前までにしなければならないものとすること。
(四) (一)の請求がされた後労働時間短縮開始予定日の前日までに、子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなすものとすること。
(五) (一)の請求に係る子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合、当該子が小学校就学の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合においては、労働時間短縮終了予定日前においても労働時間短縮期間が終了するものとすること。
二 不利益取扱いの禁止
(一) 事業主は、労働者が、一日の所定労働時間の短縮の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
(二) 事業主は、一日の所定労働時間の短縮の措置の請求をした労働者に関し、賃金その他の労働条件について、当該請求前の賃金その他の労働条件との均衡を保つようにしなければならないものとすること。
第五 変形労働時間制における労働時間の制限
一 子の養育を行う労働者の変形労働時間制における労働時間の制限
(一) 事業主は、小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、労働基準法第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について四十時間、一日について八時間を超えて労働させてはならないものとすること。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでないものとすること。
  イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 ロ 当該労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
 ハ イ及びロに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
(二) (一)の請求は、その期間中は一週間について四十時間、一日について八時間を超えて労働させてはならないこととなる一の期間(一月以上三月以内の期間に限る。(四)において「制限期間」という。)について、その初日((二)及び(三)において「制限開始予定日」という。)及び末日((四)において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならないものとすること。
(三) (一)の請求がされた後制限開始予定日の前日までに、子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなすものとすること。
(四) (一)の請求に係る子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合、当該子が小学校第四学年の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合においては、制限終了予定日前においても制限期間が終了するものとすること。
二 家族の介護を行う労働者の変形労働時間制における労働時間の制限の措置
(一) 一((一)のロを除く。)は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用するものとすること。
(二) 家族の介護を行う労働者の変形労働時間制における労働時間の制限の請求は、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、要介護状態にある対象家族一人につき一回を限りすることができるものとすること。
三 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が、変形労働時間制における労働時間の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
第六 時間外及び休日の労働の制限
一 子の養育を行う労働者の時間外及び休日の労働の制限
(一) 事業主は、小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、労働基準法第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならないものとすること。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでないものとすること。
 イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 ロ 当該労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
 ハ イ及びロに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
(二) (一)の請求は、その期間中は時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働をさせてはならないこととなる一の期間(一月以上三月以内の期間に限る。(四)において「制限期間」という。)について、その初日((二)及び(三)において「制限開始予定日」という。)及び末日((四)において「制限終了予定日」という。)とする日を明らかにして、制限開始予定日の一月前までにしなければならないものとすること。
(三) (一)の請求がされた後制限開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなすものとすること。
(四) (一)の請求に係る子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合、当該子が小学校第四学年の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合においては、制限終了予定日前においても制限期間が終了するものとすること。
二 家族の介護を行う労働者の時間外及び休日の労働の制限
(一) 一((一)のロを除く。)は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用するものとすること。
(二) 家族の介護を行う労働者の時間外及び休日の労働の制限の請求は、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、要介護状態にある対象家族一人につき一回を限りすることができるものとすること。
三 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が、時間外及び休日の労働の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
第七 深夜業の制限
一 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の措置の対象となる者の範囲の拡大
  子の養育を行うため深夜業の制限の措置を請求することができる労働者の範囲を中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者とするものとすること。
二 不利益取扱いの禁止等
(一) 事業主は、労働者が、深夜業の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
(二) 深夜業の制限を請求することができるための事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとすること。
第八 事業主が講ずべき措置
一 育児休業等に関する定めの周知等の措置
(一) 事業主は、育児休業及び介護休業並びに一日の所定労働時間の短縮、変形労働時間制における労働時間の制限、時間外及び休日の労働の制限並びに深夜業の制限の措置(以下「一日の所定労働時間の短縮等の措置」という。)に関して、あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させる措置を講じなければならないものとすること。
イ 育児休業又は介護休業中における待遇に関する事項
ロ 一日の所定労働時間の短縮等の措置を受けている間における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
ハ 育児休業又は介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
ニ 一日の所定労働時間の短縮等の措置を受けた後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
ホ イからニまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
(二) 事業主は、労働者が育児休業申出若しくは介護休業申出又は一日の所定労働時間の短縮等の措置の請求をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対し、イからホまでに掲げる事項に関する当該労働者に係る取扱いを明示するようにしなければならないものとすること。
二 配偶者等の看護を行う労働者に関する措置
  事業主は、その雇用する労働者のうち、負傷し、又は疾病にかかった子(小学校就学の始期に達するまでの子を除く。)及び配偶者の看護を行う労働者に関して、看護休暇に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
三 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置
(一) 事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、育児休業の制度を充実したものとするため、育児休業をすることができる期間の延長、回数の増加等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
(二) 事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者で育児休業をしていないものに関して、一日の所定労働時間の短縮の措置以外の勤務時間の短縮の措置その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
四 小学校就学の始期に達してから中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置
  事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達してから中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、一日の所定労働時間の短縮の措置等に準じた措置又は三の(二)の措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
五 就業場所の配慮
  事業主は、子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者の就業場所については、当該労働者が就業しつつ子の養育又は対象家族の介護を行うことが困難とならないよう適切な配慮をしなければならないものとすること。
六 事業主が講ずべき措置に関する指針の範囲の拡大
  厚生労働大臣が定める指針の対象として、法の規定に基づき講ずべき措置以外の子の養育又は家族の介護を行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関して指針となるべき事項を加えるものとすること。
第九 その他
(一) 第三の看護休暇並びに第四の一日の所定労働時間の短縮、第五の変形労働時間制における労働時間の制限並びに第六の時間外及び休日の労働の制限の措置については、国家公務員及び地方公務員に関して特例を設けるものとすること。
(二) その他所要の整備を行うものとすること。
第十 施行期日等
一 施行期日
  この法律は、平成十四年四月一日から施行するものとすること。ただし、育児休業及び介護休業に係る不利益取扱いの禁止規定の改正は、平成十三年十月一日から施行するものとすること。
二 経過措置等
  この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、雇用保険法等関係法律の規定の整備を行うものとすること。
三 検討
  政府は、育児休業の制度、介護休業の制度等と保育等の制度、介護保険制度等との連携が十分に図られるよう、労働者の職業生活と家庭生活との両立を促進する等の観点から総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

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