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   障害者基本法の一部を改正する法律案要綱


第一 改正の趣旨
最近の障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応し、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、基本的理念として障害者に対して障害を理由として不当な差別その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない旨を規定し、都道府県及び市町村に障害者のための施策に関する基本的な計画の策定を義務付け、中央障害者施策推進協議会を創設する等の改正を行うものとすること。
第二 目的(第一条関係)
この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって障害者の福祉を増進することを目的とするものとすること。
第三 基本的理念(第三条関係)
基本的理念の規定に、何人も、障害者に対して、障害を理由として、不当に差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない旨を追加するものとすること。
第四 国及び地方公共団体の責務(第四条関係)
国及び地方公共団体は、障害者の権利の擁護及び障害者に対する不当な差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務を有するものとすること。
第五 国民の責務(新第六条関係)
国民の責務の規定に、国民は、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が不当に差別されることがない社会の実現に寄与するよう努めなければならない旨を追加するものとすること。
第六 障害者週間(新第八条関係)
障害者の日の規定を障害者週間の規定に改め、障害者週間は、十二月三日から十二月九日までの一週間とするものとすること。
第七 施策の基本方針(新第九条関係)
施策の基本方針の規定に、障害者の福祉に関する施策を講ずるに当たっては、障害者の自主性が十分に尊重され、かつ、障害者が、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならない旨を追加するものとすること。
第八 障害者基本計画等に関する改正(新第十条関係)
一1 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならないものとすること。
2 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、地方自治法上の基本構想に即し、かつ、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならないものとすること。
二 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、中央障害者施策推進協議会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすること。
三 地方障害者施策推進協議会を設置していない市町村が市町村障害者計画を策定するに当たっては、障害者その他の関係者の意見を聴かなければならないものとすること。
四 都道府県障害者計画又は市町村障害者計画が策定されたときは、都道府県知事又は市町村長は、これを当該都道府県の議会又は当該市町村の議会に報告しなければならないものとすること。
第九 医療、介護等(新第十三条関係)
一 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な施策を講じなければならないものとすること。
二 国及び地方公共団体は、一の医療及びリハビリテーションの研究、開発及び普及を促進しなければならないものとすること。
三 国及び地方公共団体は、障害者がその年齢及び障害の状態に応じ、医療、介護、生活指導、授産その他適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならないものとすること。
四 国及び地方公共団体は、一及び三の施策を講ずるために必要な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう努めなければならないものとすること。
五 国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その他障害者が日常生活を営むのに必要な施策を講じなければならないものとすること。
六 国及び地方公共団体は、五の施策を講ずるために必要な福祉用具の研究及び開発、身体障害者補助犬の育成等を促進しなければならないものとすること。
第十 教育(新第十五条関係)
教育の規定に、国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流教育等を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない旨を追加するものとすること。
第十一 公共的施設のバリアフリー化(新第十九条関係)
一 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならないものとすること。
二 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、社会連帯の理念に基づき、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進に努めなければならないものとすること。
三 国及び地方公共団体は、一及び二により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を講じなければならないものとすること。
四 国、地方公共団体及び公共的施設を設置する事業者は、自ら設置する公共的施設を利用する障害者の補助を行う身体障害者補助犬の同伴について障害者の利用の便宜を図らなければならないものとすること。
第十二 情報の利用におけるバリアフリー化(新第二十条関係)
一 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を利用し、及びその意思を表示できるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備等が図られるよう必要な施策を講じなければならないものとすること。
二 国及び地方公共団体は、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たっては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならないものとすること。
三 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、社会連帯の理念に基づき、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たっては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならないものとすること。
第十三 相談等(新第二十一条関係)
国及び地方公共団体は、障害者に関する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならないものとすること。
第十四 障害の予防に関する基本的施策(新第二十四条関係)
障害の予防に関する基本的施策の規定に、国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることにかんがみ、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に起因する障害があるため継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない旨を追加するものとすること。
第十五 中央障害者施策推進協議会(新第二十五条及び新第二十六条関係)
一 内閣府に、障害者基本計画に関し、第八の二の事項を処理するため、中央障害者施策推進協議会(以下「中央協議会」という。)を置くものとすること。
二 中央協議会は、委員三十人以内で組織するものとすること。
三 中央協議会の委員は、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命するものとすること。
四 中央協議会の委員は、非常勤とするものとすること。
五 二から四までに定めるもののほか、中央協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。
第十六 施行期日等
一 施行期日(附則第一条関係)
この法律は、公布の日から施行するものとすること。ただし、第十五は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第八の一の2は平成十八年四月一日から施行するものとすること。
二 見直し(附則第三条関係)
政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定の実施状況、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し、障害者に関する施策の在り方について検討を加え、必要な見直しを行うものとすること。
三 その他所要の規定を整備するものとすること。

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