衆議院

メインへスキップ




育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案要綱


第一 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部改正関係
一 題名の改正
  法律の題名を「労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児休業、介護休業等に関する法律」に改めるものとすること。
二 育児休業等
1 育児休業の対象となる子の範囲の拡大
  育児休業の対象となる子の範囲を、小学校就学の始期に達するまでの子(現行は一歳に満たない子)に拡大するものとすること。
2 育児休業の申出の回数、育児休業の期間等
イ 労働者は、同一の子について二回の育児休業の申出をできることとすることにより、育児休業を分割してすることができるものとすること。
ロ 労働者が育児休業をすることができる期間は、子一人につき通算して九月(次のaからcまでに掲げる場合には、それぞれaからcまでに掲げる期間)とするものとすること。ただし、当該子について当該労働者以外の者で当該子の親であるものが育児休業をしたときは、十八月から当該育児休業をした期間を控除した期間を超えることができないものとすること。
a 当該労働者の配偶者(事実上婚姻関係にある者を含む。以下同じ。)で当該育児休業申出に係る子の親であるものが労働者(職業に就いている者として厚生労働省令で定める者を含む。)である場合(cに該当する場合を除く。) 十七月
b 当該労働者以外に当該育児休業申出に係る子を養育する親がいない場合 十八月
c 当該労働者の配偶者で当該育児休業申出に係る子の親であるものが負傷、疾病、身体上又は精神上の障害等により当該育児休業申出に係る子を養育することが困難な状態にある場合 十八月
ハ 事業主は、労働者からの育児休業申出があった場合において、ロのaからcまでに掲げる場合に該当するとき又は当該育児休業申出に係る子について当該労働者若しくは当該労働者以外の者で当該子の親であるものが育児休業をした期間があるときは、当該労働者に対して、当該事実を証する書面として厚生労働省令で定めるものの提出を求めることができるものとすること。
ニ 労使協定によって育児休業を制限することができることとされている事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとし、労使協定によっても、配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者の育児休業を制限できないものとすること。
3 期間を定めて雇用される者
イ 期間を定めて雇用される者も、育児休業をすることができるものとすること。この場合において、期間を定めて雇用される者(実質上期間を定めないで雇用される者として厚生労働省令で定める者及びその締結する労働契約の更新が見込まれ、かつ、当該労働契約が更新されるとしたならば更新後の労働契約の期間として見込まれる期間が六月以上となる者を除く。)の育児休業申出に係る育児休業終了予定日は、その締結する労働契約の期間(当該労働契約について更新が見込まれる場合にあっては、当該労働契約が更新されるとしたならば更新後の労働契約の期間として見込まれる期間)の末日の六月前の日以前の日でなければならないものとすること。
ロ 期間を定めて雇用される者の労働契約の更新時における育児休業申出については、育児休業の申出回数の制限等の対象外とするものとすること。
4 育児休業をした労働者の原職復帰
  事業主は、育児休業をした労働者が業務に復帰するときは、原職又は原職に相当する職に復帰させるようにしなければならないものとすること。
5 介護休業
イ 労働者は、その事業主に申し出ることにより、九十三日から当該申出に係る対象家族についての次に掲げる日数を合算した日数を差し引いた日数の期間を限度として、対象家族一人につき要介護状態ごとに一回の介護休業をすることができるものとすること。
a 介護休業をした日数
b 勤務時間の短縮その他の措置であって厚生労働省令で定めるものが講ぜられた日数
ロ 期間を定めて雇用される労働者も、介護休業をすることができるものとすること。この場合について、3のイの後段と同様の規定を設けるものとすること。
ハ 期間を定めて雇用される者の労働契約の更新時における介護休業申出については、労使協定による介護休業の制限等の規定を適用しないものとすること。
ニ 労使協定によって介護休業を制限することができることとされている事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとすること。
ホ 4は、介護休業申出及び介護休業について準用するものとすること。
三 看護休暇
1 看護休暇
イ 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合においては、看護休暇(負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話を行うための休暇(労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)をいう。以下同じ。)を与えなければならないものとすること。
ロ イの看護休暇の日数は、一年間につき十労働日(小学校就学の始期に達するまでの子を二人以上養育する労働者にあっては、十五労働日)とする。ただし、当該労働者以外に小学校就学の始期に達するまでの子を養育する親がいない場合には、一年間につき二十労働日(当該子を二人以上養育する労働者にあっては、三十労働日)とするものとすること。
ハ 期間を定めて雇用される者(実質上期間を定めないで雇用される者として厚生労働省令で定める者を除く。)の看護休暇の日数については、ロにかかわらず、これらによる看護休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一年間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該者の雇用される期間における所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とするものとすること。
ニ 次のa及びbに掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の看護休暇の日数については、ロにかかわらず、これらによる看護休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(aにおいて「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とするものとすること。
 a 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 b 週以外の期間によって所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、aの厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
ホ 事業主は、看護休暇の請求をした労働者に対して、看護休暇を取得する事由を明らかにする書面として厚生労働省令で定めるものの提出を求めることができるものとすること。
2 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が看護休暇の請求をし、又は看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
四 一日の所定労働時間の短縮
1 一日の所定労働時間の短縮
イ 事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(一日の所定労働時間が六時間以下の者を除く。)であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、当該労働者の一日の所定労働時間を短縮しなければならないものとすること。
 a 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 b aに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
ロ イによりその短縮を請求することができる時間は、一時間以上当該労働者の一日の所定労働時間の四分の一以下の範囲内で厚生労働省令で定める時間以内とするものとすること。
ハ イの請求は、その期間中は一日の所定労働時間を短縮しなければならないこととなる一の期間(一月以上三月以内の期間に限る。ホにおいて「労働時間短縮期間」という。)について、その初日(ハ及びニにおいて「労働時間短縮開始予定日」という。)及び末日(ホにおいて「労働時間短縮終了予定日」という。)とする日並びに一日において短縮すべき時間を明らかにして、労働時間短縮開始予定日の一月前までにしなければならないものとすること。
ニ イの請求がされた後労働時間短縮開始予定日の前日までに、子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなすものとすること。
ホ イの請求に係る子の死亡その他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合、当該子が小学校就学の始期に達した場合又は産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合においては、労働時間短縮終了予定日前においても労働時間短縮期間が終了するものとすること。
2 不利益取扱いの禁止
イ 事業主は、労働者が、一日の所定労働時間の短縮の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
ロ 事業主は、一日の所定労働時間の短縮の措置の請求をした労働者に関し、賃金その他の労働条件について、当該請求前の賃金その他の労働条件との均衡を保つようにしなければならないものとすること。
五 変形労働時間制における労働時間の制限
1 子の養育を行う労働者の変形労働時間制における労働時間の制限
イ 事業主は、小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、労働基準法第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について四十時間、一日について八時間を超えて労働させてはならないものとすること。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでないものとすること。
a 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 b 当該労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
 c a及びbに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
ロ 四の1のハからホまでと同様の規定を設けるものとすること。
2 家族の介護を行う労働者の変形労働時間制における労働時間の制限の措置
  1(イのbを除く。)は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用するものとすること。
3 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が、変形労働時間制における労働時間の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
六 時間外及び休日の労働の制限
1 子の養育を行う労働者の時間外及び休日の労働の制限
イ 事業主は、小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、労働基準法第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならないものとすること。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでないものとすること。
 a 当該事業主に引き続き雇用された期間が六月に満たない労働者
 b 当該労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する場合における当該労働者
 c a及びbに掲げるもののほか、当該請求をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
ロ 四の1のハからホまでと同様の規定を設けるものとすること。
2 家族の介護を行う労働者の時間外及び休日の労働の制限
  1(イのbを除く。)は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用するものとすること。
3 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が、時間外及び休日の労働の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
七 深夜業の制限
1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の措置の対象となる者の範囲の拡大
イ 子の養育を行うため深夜業の制限の措置を請求することができる労働者の範囲を中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者とするものとすること。
ロ 深夜業の制限を請求することができるための事業主に引き続き雇用された期間の要件を一年から六月に短縮するものとすること。
2 不利益取扱いの禁止
  事業主は、労働者が、深夜業の制限の措置の請求をし、又は当該措置を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
八 事業主が講ずべき措置
1 育児休業等に関する定めの周知等の措置
イ 事業主は、育児休業及び介護休業並びに一日の所定労働時間の短縮、変形労働時間制における労働時間の制限、時間外及び休日の労働の制限並びに深夜業の制限の措置(以下「一日の所定労働時間の短縮等の措置」という。)に関して、あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させる措置を講じなければならないものとすること。
a 育児休業及び介護休業中における待遇に関する事項
b 一日の所定労働時間の短縮等の措置を受けている間における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
c 育児休業及び介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
d 一日の所定労働時間の短縮等の措置を受けた後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
e aからdまでに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
ロ 事業主は、労働者が育児休業申出若しくは介護休業申出又は一日の所定労働時間の短縮等の措置の請求をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対し、イのaからeまでに掲げる事項に関する当該労働者に係る取扱いを明示するようにしなければならないものとすること。
2 配偶者等の看護を行う労働者に関する措置
  事業主は、その雇用する労働者のうち、負傷し、又は疾病にかかった子(小学校就学の始期に達するまでの子を除く。)及び配偶者の看護を行う労働者に関して、看護休暇に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
3 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置
イ 事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、育児休業の制度を充実したものとするため、育児休業をすることができる期間の延長、回数の増加等の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
ロ 事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者で育児休業をしていないものに関して、一日の所定労働時間の短縮の措置等以外の勤務時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
4 小学校就学の始期に達してから中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置
  事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達してから中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、一日の所定労働時間の短縮の措置等に準じた措置又は3のロの措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
九 その他
1 三の看護休暇並びに四の一日の所定労働時間の短縮、五の変形労働時間制における労働時間の制限並びに六の時間外及び休日の労働の制限の措置については、国家公務員及び地方公務員に関して特例を設けるものとすること。
2 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第二 雇用保険法の一部改正関係
 一 育児休業給付の改正
  1 育児休業給付の支給期間
育児休業基本給付金は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げる期間を限度として、被保険者が小学校就学の始期に達するまでの子を養育するための休業をしたときに、支給するものとすること。
イ 当該被保険者の配偶者で当該休業に係る子の親であるものが被保険者(職業に就いている者として厚生労働省令で定める者を含む。)である場合(ハに該当する場合を除く。) 十七月
ロ 当該被保険者以外に当該休業に係る子を養育する親がいない場合 十八月
ハ 当該被保険者の配偶者で当該休業に係る子の親であるものが負傷、疾病、身体上又は精神上の障害等により当該子を養育することが困難な状態にある場合 十八月
ニ イからハまでの場合以外の場合 九月
2 休業を終了した日の属する支給単位期間における支給額の変更
イ 休業を終了した日の属する支給単位期間における育児休業基本給付金の額を、休業開始時賃金日額に当該支給単位期間における休業を開始した日又は休業開始応当日から休業を終了した日までの日数(ロにおいて「支給日数」という。)を乗じて得た額の百分の三十に相当する額とするものとすること。
ロ 休業を終了した日の属する支給単位期間における育児休業者職場復帰給付金の額を、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の百分の十に相当する額とするものとすること。
 二 介護休業給付の改正
  1 休業を終了した日の属する支給単位期間における支給額の変更
休業を終了した日の属する支給単位期間における介護休業給付金の額を、休業開始時賃金日額に休業を開始した日又は休業開始応当日から休業を終了した日までの日数を乗じて得た額の百分の四十に相当する額とするものとすること。
2 介護休業給付の支給回数の制限の緩和
被保険者が対象家族一人につき、当該対象家族を介護するための休業ごとに休業を開始した日から休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が九十三日に達するまでを限度として、要介護状態ごとに一回の休業をしたときに、介護休業給付金を支給するものとすること。
3 その他
その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第三 船員保険法の一部改正関係
育児休業給付及び介護休業給付について、雇用保険法と同様の改正を行うものとすること。
第四 施行期日等
一 施行期日
 この法律は、平成十七年四月一日から施行するものとすること。
二 経過措置等
  この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の規定の整備を行うものとすること。
三 検討
  政府は、育児休業の制度、介護休業の制度等と保育等の制度、介護保険制度等との連携が十分に図られるよう、労働者の職業生活と家庭生活との両立を促進する等の観点から総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.