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   居住者・利用者等の立場に立った建築物の安全性の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案要綱


第一 建築基準法の一部改正
 一 特定行政庁の責任の明確化等
  1 指定確認検査機関による確認
   イ 建築主は、建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかについて、指定確認検査機関の確認を申請し、当該建築物の計画について建築基準関係規定に適合するものであることが証明されたときは、当該指定確認検査機関から確認証の交付を受けることができるものとすること。
   ロ 指定確認検査機関は、確認の申請を受けた場合において、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないことを認めたとき、又は申請の内容によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、その旨及びその理由を記載した通知書を当該申請者に交付しなければならないものとすること。
   ハ イの確認証に係る建築物の計画について第六条第一項の確認の申請が行われた場合において、当該確認の申請書に併せて当該確認証が提出されたときは、第六条第一項の規定の適用については、当該建築物の計画について第六条第一項の確認を受けたものとみなすものとすること。ただし、ニによる通知が発せられたときは、この限りでないものとすること。
   ニ ハの場合において、特定行政庁は、イの確認証に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、一定の期間内に、当該建築物の建築主及び当該確認証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならないものとすること。         (第六条の二関係)
  2 中間検査の義務化
    建築主は、建築物の建築等の工事が次のいずれかに該当する工程(以下「特定工程」という。)を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、建築主事の検査を申請しなければならないものとすること。
   イ 建築物の種類ごとに、建築物の工事の工程のうち政令で定める工程
   ロ イに掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限つて指定する工程
                                        (第七条の三関係)
  3 指定確認検査機関による中間検査
   イ 建築物の建築等の工事が特定工程を含む場合において、指定確認検査機関が当該特定工程に係る工事を終えた後の工事中の建築物等について、検査前に施工された工事に係る建築物の部分及びその敷地が建築基準関係規定に適合するかどうかの検査を当該工事を終えた日から四日が経過する日までに引き受けたときについては、建築主事への検査の申請を当該工事を終えた日から四日以内に行わなくてもよいものとすること。
   ロ 指定確認検査機関は、イの検査をした場合において、特定工程に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、当該建築主に対して当該特定工程に係る中間検査証を交付しなければならないものとすること。
   ハ ロの中間検査証に係る工事中の建築物等について第七条の三第一項の検査の申請が行われた場合において当該申請に併せて当該中間検査証が提出されたときは、同条の規定の適用については、当該工事中の建築物等は、建築基準関係規定に適合しているものとみなすものとすること。ただし、ニによる通知が発せられたときは、この限りでないものとすること。
   ニ ハの場合において、特定行政庁は、ロの中間検査証に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、一定の期間内に、当該建築物等の建築主及び当該中間検査証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならないものとすること。
   ホ 指定確認検査機関は、イの検査をした工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合していないと認めるときは、その旨を特定行政庁に報告しなければならないものとすること。
   ヘ 特定行政庁は、ホによる報告を受けたときは、遅滞なく、第九条第一項又は第十項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとするものとすること。         (第七条の四関係)
  4 指定確認検査機関による完了検査
   イ 指定確認検査機関が、建築物の建築等の工事の完了の日から四日が経過する日までに、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を引き受けた場合には、建築主事への検査の申請を当該工事が完了した日から四日以内に行わなくてもよいものとすること。
   ロ 指定確認検査機関は、イの検査をした建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して検査証を交付しなければならないものとすること。
   ハ ロの検査証に係る建築物及びその敷地について第七条条第一項の検査の申請が行われた場合において当該申請に併せて当該検査証が提出されたときは、同条の規定の適用については、当該建築物及びその敷地は、建築基準関係規定に適合しているものとみなすものとすること。ただし、ニによる通知が発せられたときは、この限りでないものとすること。
   ニ ハの場合において、特定行政庁は、ロの検査証に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、一定の期間内に、当該建築物の建築主及び当該検査証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならないものとすること。
   ホ 指定確認検査機関は、イの検査の結果、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、その旨を特定行政庁に報告しなければならないものとすること。
   ヘ 特定行政庁は、ホによる報告を受けたときは、遅滞なく、第九条第一項又は第七項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとするものとすること。
                                        (第七条の二関係)
  5 完了検査後の検査
   イ 建築主は、検査済証の交付を受けた日から起算して二年を経過したときは、建築主事の検査(以下「完了後検査」という。)を申請しなければならないものとすること。
   ロ イによる申請は、検査済証の交付を受けた日から起算して二年を経過した日(以下「完了検査後二年経過日」という。)以後十四日以内に建築主事に到達するように、しなければならないものとすること。
   ハ 建築主事がイによる申請を受理した場合においては、建築主事は、その申請を受理した日から三十日以内に、当該検査済証に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならないものとすること。
   ニ 建築主事は、ハの規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して完了後検査済証を交付しなければならないものとすること。                       (第七条関係)
  6 指定確認検査機関による完了後検査
   イ 指定確認検査機関が、建築主から検査済証の交付を受けた建築物及びその敷地について完了検査後二年経過日以後十四日を経過する日までに当該検査済証に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を引き受けた場合には、5のイの建築主事への検査の申請を完了検査後二年経過日以後十四日以内に行わなくてもよいものとすること。
   ロ 指定確認検査機関がイの検査の引受けを行つたときは、当該指定確認検査機関は、その引受けを行つた日から三十日以内に、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならないものとすること。
   ハ 指定確認検査機関は、ロによる検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して完了後検査証を交付しなければならないものとすること。
   ニ ハの完了後検査証に係る建築物及びその敷地について5のイの完了後検査の申請が行われた場合において当該申請に併せて当該完了後検査証が提出されたときは、第七条の規定の適用については、当該建築物及びその敷地は、建築基準関係規定に適合しているものとみなすものとすること。ただし、ホによる通知が発せられたときは、この限りでないものとすること。
   ホ ニの場合において、特定行政庁は、ハの完了後検査証に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、一定の期間内に、当該建築物の建築主及び当該完了後検査証を交付した指定確認検査機関にその旨を通知しなければならないものとすること。
   ヘ 指定確認検査機関は、ロによる検査の結果、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、その旨を特定行政庁に報告しなければならないものとすること。
   ト 特定行政庁は、ヘによる報告を受けたときは、遅滞なく、第九条第一項又は第七項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとするものとすること。         (第七条の二関係)
  7 建築士との適切な役割分担による建築確認等の特例
    建築設備のうち換気、暖房、冷房等であつて政令で定めるものについて建築士が設計した建築物の部分を有する建築物の建築確認等については一定の建築基準法令の規定を適用しないものとすること。
                                        (第六条の三関係)
  8 指定確認検査機関の業務適正化
   イ 指定確認検査機関は、建築主が、株式の所有関係、親族関係のある者等であるときは建築確認、中間検査、完了検査及び完了後検査を引き受けることができないものとすること。
   ロ 指定確認検査機関は、国土交通省令で定めるところにより、毎年度、確認検査の業務に関し事業報告書を作成し、国土交通大臣等に提出しなければならないものとすること。
           (第六条の二の二、第七条の二の二、第七条の四の二及び第七十七条の二十九関係)
  9 特定行政庁の業務適正化
   イ 特定行政庁は、毎年度、確認済証、中間検査合格証、検査済証及び完了後検査済証等の交付の状況を国土交通大臣に報告するとともに、これを公表しなければならないものとすること。
   ロ 特定行政庁は、この法律の規定により当該特定行政庁が処理する事務の実施に関する苦情の適切かつ迅速な処理を図るための体制の整備及びその周知に努めなければならないものとすること。
   ハ 建築基準適合判定資格者登録簿への登録要件として、一級建築士として設計、工事監理等について一定期間以上の実務経験を有する者でなければならないものとすること。
                   (第十二条第十項、第十八条の四及び第七十七条の五十八関係)
  10 書類の保存の義務付け
   イ 特定行政庁は、確認その他の建築基準法令の規定による処分等に関する書類を保存しなければならないものとすること。
   ロ 特定行政庁は、イの書類の保存を電磁的記録媒体に記録する方法で行わなければならないものとすること。                        (第十二条第七項及び第八項関係)
  11 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物に対する確認、検査等に関する手続の整備
    国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物及び建築物の敷地についての構造計算適合性判定等に関する規定を整備するものとすること。                  (第十八条関係)
  12 指定構造計算適合性判定機関による構造計算適合性判定の実施
   イ 都道府県知事は、都道府県知事が指定する者(以下「指定構造計算適合性判定機関」という。)に、構造計算適合性判定の全部又は一部を行わせることができるものとすること。
   ロ 都道府県知事は、指定構造計算適合性判定機関の指定をしたときは、当該指定を受けた者が行う構造計算適合性判定を行わないものとすること。             (第十八条の二関係)
  13 確認審査等に関する指針の策定
   イ 国土交通大臣は、確認審査、構造計算適合性判定、完了検査及び中間検査(以下「確認審査等」という。)の公正かつ適確な実施を確保するため、確認審査等に関する指針を定めるとともに、これを公表しなければならないものとすること。
   ロ 確認審査等に関する指針においては、建築基準関係規定に適合するかどうかについて確認すべき項目及び確認の方法を定めなければならないものとすること。
   ハ 確認審査等は、確認審査等に関する指針に従つて行わなければならないものとすること。
                                       (第十八条の三関係)
  14 構造耐力に関する規定の整備
    建築物が適合しなければならない構造耐力に関する基準を整備するものとすること。
                                         (第二十条関係)
  15 構造方法等の認定の対象の追加
    国土交通大臣がする構造方法等の認定の対象にプログラムを追加するものとすること。
                                    (第六十八条の二十六関係)
 二 指定確認検査機関に対する監督の強化等
  1 特定行政庁からの意見聴取
    国土交通大臣又は都道府県知事は、指定確認検査機関の指定等をしようとするときは、あらかじめ、業務区域を所轄する特定行政庁の意見を聴かなければならないものとすること。
                    (第七十七条の十八第三項及び第七十七条の二十二第三項関係)
  2 欠格条項の拡充
    指定確認検査機関の指定を取り消された者等が指定を受けることができない期間を二年から五年へ延長するとともに、指定構造計算適合性判定機関の指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者及び親会社等が欠格条項に該当する者を欠格条項に追加するものとすること。
                                     (第七十七条の十九関係)
  3 指定基準の拡充
    常勤の確認検査員が一定の数以上であること、その者の有する資本金等の額が一定額以上であること及び親会社等が確認検査の業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであることを指定基準に追加するものとすること。                             (第七十七条の二十関係)
  4 書類の閲覧の義務付け
    指定確認検査機関は、その事務所に業務の実績を記載した書類等を備え置き、確認を受けようとする者その他の関係人の求めに応じ、これを閲覧させなければならないものとすること。
                                  (第七十七条の二十九の二関係)
  5 監督命令の公示
    指定確認検査機関の指定をした国土交通大臣又は都道府県知事(以下「国土交通大臣等」という。)は、監督上必要な命令をした場合においては、その旨を公示しなければならないものとすること。
                                  (第七十七条の三十第二項関係)
  6 特定行政庁による立入検査等の実施等
   イ 特定行政庁は、その指揮監督の下にある建築主事が確認権限を有する建築物の確認検査の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、その職員に、指定確認検査機関の事務所に立ち入り、確認検査の業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができるものとすること。
   ロ 特定行政庁は、立入検査の結果、当該指定確認検査機関が、確認検査業務規程に違反する行為をし、又は確認検査の業務に関し著しく不適当な行為をした事実があると認めるときは、その旨を国土交通大臣等に報告しなければならないものとし、国土交通大臣等は、必要に応じ、確認検査の業務の全部又は一部の停止命令その他の措置を講ずるものとすること。 (第七十七条の三十一関係)
  7 指定の取消し等の事由の拡充
    確認審査等に関する指針に従わなかつたとき等を指定の取消し等の事由に追加するものとすること。
                                    (第七十七条の三十五関係)
 三 指定構造計算適合性判定機関に関する規定の整備
   指定構造計算適合性判定機関の欠格条項、指定基準、指定の更新及び取消し等に関し所要の規定を設けるものとすること。      (第七十七条の三十五の二から第七十七条の三十五の十五まで関係)
 四 建築基準適合判定資格者の登録の厳格化
   建築基準適合判定資格者の登録を消除された者が登録を受けることができない期間を二年から五年へ延長するなど建築基準適合判定資格者制度について所要の見直しを行うものとすること。
                         (第七十七条の五十九及び第七十七条の六十二関係)
 五 罰則の強化
  1 次に該当する者等は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するものとすること。
   イ 第九条第一項又は第十項前段の規定による特定行政庁又は建築監視員の命令に違反した者
   ロ 第二十条(第一号から第三号までに係る部分に限る。)、第二十一条、第二十六条、第二十七条、第三十五条若しくは第三十五条の二の規定又は第三十六条(防火壁及び防火区画の設置及び構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物等の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物等の工事施工者)及びその違反が建築主等の故意によるものであるときは当該建築主等
                                        (第九十八条関係)
  2 次に該当する者等は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。
   イ 第六条第一項、第七条の六第一項又は第六十八条の十九第二項の規定に違反した者、第七条第一項又は第七条の三第一項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者等
   ロ 第二十条(第四号に係る部分に限る。)、第二十二条第一項、第二十三条、第二十四条、第二十五条、第二十八条第三項、第二十八条の二、第三十二条から第三十四条まで、第三十五条の三、第三十七条、第六十一条から第六十四条まで、第六十六条、第六十七条の二第一項等の規定又は第三十六条(消火設備、避雷設備及び給水、排水その他の配管設備の設置及び構造並びに煙突及び昇降機の構造に係る部分に限る。)の規定に基づく政令の規定に違反した場合における当該建築物等の設計者(設計図書を用いないで工事を施工し、又は設計図書に従わないで工事を施工した場合においては、当該建築物等の工事施工者)及びその違反が建築主等の故意によるものであるときは当該建築主等
   ハ 構造計算適合性判定に係る職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用した者
                                        (第九十九条関係)
  3 構造計算適合性判定の業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定構造計算適合性判定機関(その者が法人である場合にあつては、その役員)又はその職員(構造計算適合性判定員を含む。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。   (第百条関係)
  4 第七条の二第九項若しくは第七条の四第七項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者又は第七十七条の二十九第三項の規定に違反して、事業報告書を作成せず、若しくは提出せず、若しくは虚偽の事業報告書を作成し、若しくは提出した者は五十万円以下の罰金に処するものとすること。                                    (第百二条関係)
  5 法人の代表者又は法人の代理人、使用人その他の従業者がその法人の業務に関して、特殊建築物等に係る1のロ、2のロ等の違反行為をした場合においては、その行為者を罰するほか、その法人に対して一億円以下の罰金刑を科するものとすること。               (第百四条関係)
  6 その他罰則に関し所要の改正を行うものとすること。
 六 その他所要の改正を行うものとすること。
第二 建築士法の一部改正(第一次改正)
 一 使命及び職責
  1 建築士は、建築物の設計及び工事監理の知識技能の豊かな専門家として、独立した立場において、工事の実施を行う建設業者との適切な役割分担を踏まえて、建築物の災害等に対する安全の確保及び質の向上を図り、もつて個人の生命財産の保護と社会公共福祉の増進に寄与することを使命とするものとすること。                              (第二条の二関係)
  2 建築士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないものとすること。  (第二条の三関係)
 二 建築士免許の絶対的欠格事由の拡充等
   禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者等を絶対的欠格事由に追加するものとすること。また、建築士の免許を取り消された者が免許を受けることができない期間を二年から五年へ延長するものとすること。     (第七条関係)
 三 建築士の免許及び試験に関する規定の見直し
  1 建築士が死亡したとき等においては、その相続人等は、その日から三十日以内に、その旨を、一級建築士にあつては国土交通大臣に、二級建築士又は木造建築士にあつては免許を受けた都道府県知事に届け出なければならないものとすること。                 (第八条の二関係)
  2 国土交通大臣又は都道府県知事は、建築士が虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき等の場合においては、当該建築士の免許を取り消さなければならないものとすること。また、国土交通大臣又は都道府県知事は、免許を取り消したときは、その旨を公告しなければならないものとすること。                               (第九条関係)
  3 国土交通大臣又は都道府県知事は、建築士に対し、懲戒等の処分をしたときは、その旨を公告しなければならないものとすること。                     (第十条第五項関係)
  4 国土交通大臣又は都道府県知事は不正の手段によつて建築士試験を受け、又は受けようとした者に対して、合格の決定を取り消し、又は当該受けようとした試験を受けることを禁止することができること等とすること。                           (第十三条の二関係)
 四 建築士の業務の適正化
  1 建築士は、構造計算によつて建築物の安全性を確かめた場合においては、遅滞なく、その旨の証明書を設計の委託者に交付しなければならないものとすること。       (第二十条第二項関係)
  2 建築士は、非建築士等に自己の名義を利用させてはならないものとすること。 
                                      (第二十一条の二関係)
  3 建築士は、建築基準法の定める建築物に関する基準に適合しない建築物の建築その他の建築物の建築に関する法令に違反する行為について指示をし、相談に応じ、その他これらに類する行為をしてはならないものとすること。                       (第二十一条の三関係)
  4建築士は、建築士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないものとすること。 
                                      (第二十一条の四関係)
 五 建築士事務所の登録拒否事由の拡充
   建築士事務所について登録を取り消された者が登録を受けることができない期間を二年から五年へ延長するものとすること。また、建築士事務所の閉鎖の命令を受け、その閉鎖の期間が経過しない者等を絶対的登録拒否事由に追加するものとすること。              (第二十三条の四関係)
 六 建築士事務所の業務の適正化
  1 建築士事務所の開設者は、事業年度ごとに、業務の実績の概要等を記載した設計等の業務に関する報告書を作成し、当該建築士事務所に係る登録をした都道府県知事に提出しなければならないものとすること。                              (第二十三条の六関係)
  2 都道府県知事が一般の閲覧に供しなければならない書類に1の設計等の業務に関する報告書等を追加するものとすること。                        (第二十三条の九関係)
  3 建築士事務所の開設者は、自己の名義をもつて、他人に建築士事務所の業務を営ませてはならないものとすること。                           (第二十四条の二関係)
  4 都道府県知事は、建築士事務所の開設者に対し、当該建築士事務所の登録の取消し等の処分をしたときは、その旨を公告しなければならないものとすること。       (第二十六条第四項関係)
 七 罰則の強化
  1 構造計算によつて建築物の安全性を確かめた場合でないのに証明書を交付した建築士、非建築士等に自己の名義を利用させた建築士等は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。                                   (第三十五条関係)
  2 その他罰則に関し所要の改正を行うものとすること。
 八 その他所要の改正を行うものとすること。
第三 建築士法の一部改正(第二次改正)
 一 建築士となる資格
  1 建築士の試験に合格した者及び外国の建築士免許を受けた者で国土交通大臣等が認めたものは、建築士となる資格を有する者とすること。                   (第二条の四関係)
  2 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者、六の2により業務の禁止の処分を受け、当該処分の日から五年を経過しない者等は建築士となる資格を有しないものとすること。                (第二条の五関係)
 二 登録
  1 建築士となる資格を有する者が、建築士となるには、建築士名簿に、住所、氏名その他日本建築士連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならないものとすること。また、建築士名簿は日本建築士連合会に備え、建築士名簿の登録は日本建築士連合会が行うものとすること。 
                                       (第十七条の二関係)
  2 1による登録を受けようとする者は、建築士となる資格を有することを証する書類を添えて、日本建築士連合会に対し、建築士会を経由して、登録の申請をしなければならないものとすること。 
                                    (第十七条の三第一項関係)
  3 日本建築士連合会は、2の登録の申請を受けた場合において、当該申請者が建築士となる資格を有し、かつ、建築士の職責に照らし建築士としての適格性を欠く者等でない者であると認めたときは建築士名簿に登録し、当該申請者が建築士となる資格を有せず、又は欠格事由に該当する者であると認めたときは登録を拒否しなければならないものとすること。      (第十七条の三第二項関係)
  4 日本建築士連合会は、建築士の登録を受けた者が、偽りその他不正の手段により当該登録を受けたことが判明したときは、当該登録を取り消さなければならないものとすること。(第十七条の六関係)
  5 日本建築士連合会は、建築士の登録を受けた者が欠格事由に該当することとなつた場合には、その登録を抹消しなければならないものとすること。           (第十七条の七第一項関係)
  6 日本建築士連合会は、建築士の登録を受けた者が引き続き二年以上建築士の業務を行わない等の場合には、その登録を抹消することができるものとすること。      (第十七条の七第二項関係)
 三 建築士事務所
  1 建築士は、その業務を行うための事務所を設けなければならないものとすること。ただし、使用人である建築士等は、その業務を行うための事務所を設けてはならないものとすること。 
                                        (第二十三条関係)
  2 建築士事務所の登録制度を廃止するものとすること。 
(第二十三条の二から第二十三条の十までの規定を削る改正規定及び第二十六条を改める改正規定関係)
 四 建築士の義務
  1 建築士は、正当な事由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならないものとすること。建築士でなくなつた後も、また同様とするものとすること。(第二十六条関係)
  2 建築士は、所属建築士会及び日本建築士連合会の会則を守らなければならないものとすること。
                                        (第二十七条関係)
 五 建築士法人
  1 建築士は、設計、工事監理その他の業務を行うことを目的とする法人(以下「建築士法人」という。)を設立することができるものとすること。                (第二十七条の二関係)
  2 建築士法人は、その名称中に一級建築士法人、二級建築士法人又は木造建築士法人という文字を使用しなければならないものとすること。                 (第二十七条の三関係)
  3 建築士法人の社員は、建築士でなければならないものとすること。 
                              (第二十七条の四第一項及び第二項関係)
  4 六の2により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者等は、社員となることができないものとすること。                  (第二十七条の四第三項関係)
  5 建築士法人は、設計、工事監理その他の業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき建築士が行うことができるものとして国土交通省令で定める業務の全部又は一部を行うことができるものとすること。                         (第二十七条の五関係)
  6 建築士法人を設立するには、定款を定めなければならないものとすること。また、建築士法人は、設立の登記をすることによつて成立するものとすること。(第二十七条の七及び第二十七条の八関係)
  7 建築士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、その旨を所属建築士会及び日本建築士連合会に届け出なければならないものとすること。           (第二十七条の九関係)
  8 建築士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負うものとすること。また、建築士法人の業務を執行する社員は、各自建築士法人を代表するものとすること。                 (第二十七条の十一及び第二十七条の十二関係)
  9 建築士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずるものとすること。                  (第二十七条の十四関係)
  10 建築士法人は、他の建築士法人との合併等の理由によつて解散するものとすること。 
                                     (第二十七条の二十関係)
  11 建築士法人は、総社員の同意があるときは、他の建築士法人と合併することができるものとすること。                               (第二十七条の二十四関係)
 六 監督
  1 国土交通大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、日没から日出までの時間を除き、当該職員又は吏員に建築士又は建築士法人の事務所に立ち入り、その業務に関する帳簿及び関係書類(これらの作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)を検査させることができるものとすること。       (第二十七条の二十八関係)
  2 建築士が、この法律若しくはこれに基づく命令その他国土交通大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき又は建築士たるにふさわしくない重大な非行があつたときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、当該建築士に対し、戒告、一年以内の業務の停止、又は業務の禁止の処分をすることができるものとすること。                          (第二十七条の三十関係)
  3 建築士法人が、この法律又はこの法律に基づく命令その他都道府県知事の処分に違反したとき又は運営が著しく不当と認められるときは、都道府県知事は、当該建築士法人に対し、戒告、一年以内の業務の停止又は解散の処分をすることができるものとすること。     (第二十七条の三十関係)
 七 建築士会
  1 建築士会は、建築士及び建築士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、建築士及び建築士法人の事務の改善進歩を図るため、建築士及び建築士法人の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とするものとすること。また、建築士会は法人とするものとすること。 
                                    (第二十七条の三十三関係)
  2 建築士は、都道府県の区域ごとに、一個の建築士会を設立しなければならないものとすること。 
                                    (第二十七条の三十四関係)
  3 建築士会は、都道府県知事の認可を受けて、会則を定めなければならないものとすること。 
                                    (第二十七条の三十五関係)
  4 建築士会は、その所在地において設立の登記をすることによつて成立するものとすること。 
                                    (第二十七条の三十六関係)
  5 建築士は、二の3による登録を受けた時に、当然、その事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている建築士会の会員となるものとすること。また、建築士は、二の6により登録を抹消されたとき等には、その時に、当然、その所属建築士会を退会するものとすること。 
                                    (第二十七条の三十八関係)
  6 建築士法人は、その成立の時に、建築士会の会員となるものとすること。また、建築士法人は、その建築士事務所の移転又は廃止により、所属建築士会の地域内に建築士事務所を有しないこととなつたときは、当該建築士会を退会するものとするものとすること。    (第二十七条の三十九関係)
  7 建築士会は、毎年定期総会を開かなければならないものとすること。また、建築士会は、必要と認める場合には、臨時総会を開くことができるものとすること。      (第二十七条の四十関係)
  8 建築士会は、所属の会員が、この法律又はこの法律に基づく命令に違反すると思料するときは、その旨を、国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならないものとすること。 
                                    (第二十七条の四十七関係)
  9 建築士会は、所属の会員がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反するおそれがあると認めるときは、会則の定めるところにより、当該会員に対して、注意を促し、又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができるものとすること。              (第二十七条の四十八関係)
 八 日本建築士連合会
  1 全国の建築士会は、日本建築士連合会を設立しなければならないものとすること。 
                                 (第二十七条の四十九第一項関係)
  2 日本建築士連合会は、建築士及び建築士法人の使命及び職務にかんがみ、その品位を保持し、建築士及び建築士法人の事務の改善進歩を図るため、建築士、建築士法人及び建築士会の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とするものとすること。また、日本建築士連合会は、法人とするものとすること。                    (第二十七条の四十九第二項及び第三項関係)
  3 日本建築士連合会は、国土交通大臣の認可を受けて、会則を定めなければならないものとすること。
                                     (第二十七条の五十関係)
  4 建築士、建築士法人及び建築士会は、当然、日本建築士連合会の会員となるものとすること。 
                                    (第二十七条の五十一関係)
  5 日本建築士連合会に、資格審査会を置くものとすること。また、資格審査会は、日本建築士連合会の請求により、二の3による登録の拒否、二の4による登録の取消し又は二の6による登録の抹消について必要な審査を行うものとするものとすること。         (第二十七条の五十四関係)
  6 都道府県知事は建築士会につき、国土交通大臣は日本建築士連合会につき、必要があると認めるときは、報告を求め、又はその行う業務について勧告することができるものとすること。 
                                    (第三十四条の二の二関係)
 九 罰則
   所要の規定を設けるものとすること。
第四 建設業法の一部改正
 一 住宅を新築する建設工事に関する広告
  1 建設業者は、住宅を新築する建設工事に関する広告をするときは、請け負うこととなる住宅について、住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「住宅品質確保法」という。)第九十四条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置を講ずるかどうかの別等の事項を表示しなければならないものとすること。    (第十八条の二第一項関係)
  2 1の広告において、建設業者は、住宅品質確保法第九十四条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置を講ずるかどうかの別等の事項については、日本工業規格に適合する一定の大きさの文字等で表示しなければならないものとすること。
                                    (第十八条の二第二項関係)
 二 建設工事の請負契約の記載事項の拡充
   建設工事の請負契約の締結に際し、当該住宅に係る住宅品質確保法第九十四条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の有無及びその措置について定めをするときは、その内容等を記載しなければならないものとすること。 (第十九条第一項関係)
 三 施工体制台帳等の発注者への交付
  1 発注者から直接工事を請け負つた特定建設業者は、建設工事が完成したときは、速やかに施工体制台帳の写しを発注者に交付しなければならないものとすること。      (第二十四条の八関係)
  2 元請負人(1の特定建設業者を除く。)は、建設工事が完成したときは、当該建設工事を行つた下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設請負工事の内容及び工期その他の事項を記載した書面を作成し、速やかに発注者に交付しなければならないものとすること。  (第二十四条の九関係)
 四 罰則
   罰則に関し所要の改正を行うものとすること。       (第四十八条から第五十三条まで関係)
第五 宅地建物取引業法の一部改正
 一 宅地建物の売買等に関する広告
  1 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関する広告をするときは、当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示等の事項を表示しなければならないものとすること。また、当該建物が新築住宅であるときは、当該新築住宅に係る住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の有無等の事項も表示しなければならないものとすること。                    (第三十一条の二第一項関係)
  2 1の広告において、宅地建物取引業者は、新築住宅に係る住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の有無等の事項については、日本工業規格に適合する一定の大きさの文字等で表示しなければならないものとすること。                              (第三十一条の二第二項関係)
 二 重要事項の説明の拡充
   宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の相手方等に対して、宅地又は建物の売買等の契約が成立するまでの間に、新築住宅に係る住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の有無及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要等を取引主任者をして説明させなければならないものとすること。  (第三十五条第一項関係)
 三 宅地建物の売買等の契約成立時の書面記載事項の拡充
   宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の相手方等に対して、宅地又は建物の売買等の契約が成立したときは、遅滞なく、新築住宅に係る住宅品質確保法第九十五条第一項に規定する瑕疵を担保すべき責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置の有無及びその措置についての定めがあるときは、その内容を記載した書面を交付しなければならないものとすること。 (第三十七条第一項関係)
 四 業務に関する禁止事項
   宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買等の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回等を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等に対し、宅地建物取引業者の相手方等の判断に影響を及ぼすことになる一定の重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならないものとすること。                (第四十七条関係)
 五 罰則
   罰則に関し所要の改正を行うものとすること。       (第七十九条から第八十四条まで関係)
第六 マンションの管理の適正化の推進に関する法律の一部改正
   宅地建物取引業者は、自ら売主として人の居住の用に供する独立部分がある建物(新たに建設された建物で人の居住の用に供したことがないものに限る。以下同じ。)を分譲した場合において、管理者等に対し、当該建物の設計を行つた建築士又は建築士事務所、当該建物の工事監理をした建築士又は建築士事務所並びに当該建物を建築した建設業者の氏名、名称及び商号その他の事項を記載した書面を交付しなければならないものとすること。                   (第百三条第一項関係)
第七 附則
 一 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。第三については、別に法律で定める日から施行するものとすること。
                                        (附則第一条関係)
 二 所要の経過措置等を定めるものとすること。          (附則第二条から第八条まで関係)
 三 関係法律について所要の改正を行うものとすること。     (附則第九条から第十二条まで関係)

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