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  教育職員の資質及び能力の向上のための教育職員免許の改革に関する法律案要綱


第一 目的
  この法律は、質の高い学校教育を実現するためには、高い資質及び能力を有する教育職員(教育職員免許法第二条第一項の教育職員をいう。以下同じ。)が学校教育に携わることが不可欠であることにかんがみ、教育職員の免許状(以下単に「免許状」という。)の制度の改革について基本的な理念及び方針を定めることにより、当該改革を推進し、もって日本国教育基本法に定める教育の目的の実現に資することを目的とするものとすること。                                                (第一条関係)
第二 改革の基本理念
  免許状の制度の改革は、教育職員が高度の専門性と豊かな人間性が求められる職業であることを踏まえ、その養成の段階において、教育職員としての使命感を涵養しつつ、その職務をつかさどるために必要な資質及び能力を確実に修得させるとともに、実務に就いた後においても、研究と修養の機会を十分に与え、その資質及び能力の一層の向上を図ることができるようにし、並びに教育職員の資格の付与等に関し国が果たすべき役割と責任を明確にすること等により、教育職員の資質及び能力を向上させることを基本原則として行われるものとすること。                                                       (第二条関係)
第三 改革の実施時期 
 一 国は、第二の基本理念及び第四から第十までに定める方針に従って免許状の種類及び授与権者等に係る改革を行い、平成二十二年度末までに、当該改革後の免許状の制度による免許状の授与を開始するものとすること。
 二 国は、第二の基本理念及び第十一に定める方針に従って十年ごとの講習の実施及びこれを修了しなかった者の免許状の失効等に係る改革を行い、平成二十一年度からこれを実施するものとすること。
                                                          (第三条関係)
第四 教諭等の免許状と学校の種類
  免許状の制度を子どもの発達段階に適切に対応したものとするため、教諭の普通免許状及び特別免許状、養護教諭の普通免許状、助教諭の臨時免許状並びに養護助教諭の臨時免許状は、初等教育諸学校(幼稚園及び小学校をいう。)、中等教育諸学校(中学校、高等学校及び中等教育学校をいう。以下同じ。)及び特別支援学校に区分して設けるものとすること。                     (第四条関係)
第五 教諭の普通免許状
 一 教諭の資質及び能力の向上を図るため、次に掲げる方針に基づき、教諭の普通免許状の制度を改めるものとすること。
  1 教諭の普通免許状は、専門免許状及び一般免許状に区分すること。
  2 教諭の専門免許状は、教諭として一般的に必要とされる資質及び能力の基礎の上に、教科指導、生活・進路指導等又は学校経営の各専門分野において、更に研究と修養を積み、資質及び能力を向上させた者に対して授与する免許状とすること。
  3 教諭の専門免許状は、次のイからハまでの要件を満たした者又はその者と同等の資質及び能力を有するかどうかを判定するための教育職員検定に合格した者に授与すること。
   イ 教諭の一般免許状を有すること。
   ロ イの要件を満たした後、教諭の実務その他これに類する教育に関する実務(学校経営についての専門免許状を取得しようとする者については、企業、団体等における組織運営の実務を含む。)に八年以上携わったこと。
   ハ ロの要件を満たした後、取得しようとする専門免許状の分野における高度な資質及び能力を修得するために必要と認められる科目の単位を教職大学院(学校教育法第六十五条第二項に規定する専門職大学院であって、教育職員に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものをいう。以下同じ。)において取得したこと。
  4 教諭の一般免許状は、教諭として一般的に必要とされる資質及び能力を有する者に対して授与する免許状とすること。
  5 教諭の一般免許状は、修士の学位を有し、かつ、教諭としての職務をつかさどるために必要な資質及び能力を修得するために必要と認められる一年間の教育実習その他の教科及び教職に関する科目の単位を教職大学院その他の大学院若しくは大学において取得した者又はその者と同等の資質及び能力を有するかどうかを判定するための教育職員検定に合格した者に授与すること。
  6 中等教育諸学校の教諭の教科指導についての専門免許状及び一般免許状は、各教科ごとに授与すること。
 二 その有する相当の免許状が一般免許状である教諭であって一3ロの要件を満たすものは、専門免許状の授与を受けるように努めなければならないものとすること。
 三 二の教諭を任命し、又は雇用する者は、当該教諭に対し専門免許状の授与を受けることができる機会を与えるように努めなければならないものとすること。                                                (第五条関係)
第六 養護教諭の普通免許状
 一 いじめ、不登校等子どもをめぐる多様な問題に対応するため養護教諭が大きな役割を果たすことが期待されている状況にかんがみ、養護教諭の資質及び能力の向上を図るため、次に掲げる方針に基づき、養護教諭の普通免許状の制度を改めるものとすること。
  1 養護教諭の普通免許状は、専門免許状及び一般免許状に区分すること。
  2 養護教諭の専門免許状は、養護教諭として一般的に必要とされる資質及び能力の基礎の上に、養護又は学校経営の各専門分野において、更に研究と修養を積み、資質及び能力を向上させた者に対して授与する免許状とすること。
  3 養護教諭の専門免許状の授与は、第五の一3の教諭の専門免許状の授与に準じて行うこと。
  4 養護教諭の一般免許状は、養護教諭として一般的に必要とされる資質及び能力を有する者に対して授与する免許状とすること。
  5 養護教諭の一般免許状は、修士の学位を有し、かつ、養護教諭としての職務をつかさどるために必要な資質及び能力を修得するために必要と認められる養護及び教職に関する科目の単位を教職大学院その他の大学院若しくは大学において取得した者又はその者と同等の資質及び能力を有するかどうかを判定するための教育職員検定に合格した者に授与すること。
 二 第五の二は養護教諭について、第五の三は養護教諭を任命し、又は雇用する者について、準用するものとすること。                                                      (第六条関係)
第七 校長及び教頭の資格
  校長及び教頭は、原則として、相当の教諭又は養護教諭の学校経営についての専門免許状を有する者から任用するものとすること。                                                       (第七条関係)
第八 免許状の授与権者
  普通教育に関し国が最終的な責任を有することにかんがみ、普通免許状は、文部科学大臣が授与するものとすること。ただし、特別免許状及び臨時免許状は、都道府県知事が授与するものとすること。 
                                                          (第八条関係)
第九 免許状の取上げ等
 一 教育職員が、法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められるときに、免許状を授与した者がその免許状を取り上げることができる制度を設けるものとすること。
 二 公立学校の教育職員が勤務実績が良くない場合又はその職に必要な適格性を欠く場合に該当するとして分限免職の処分を受けたときに、その免許状が失効する制度を設けるものとすること。
 三 国立学校又は私立学校の教育職員が二の分限免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときに、免許状を授与した者がその免許状を取り上げる制度を設けるものとすること。 
                                                          (第九条関係)
第十 移行に関する措置
  第四から第九までに定める方針に従って行われる免許状の制度の改革前の免許状の制度(以下「旧制度」という。)から当該改革後の免許状の制度(以下「新制度」という。)への移行に関し、次に掲げる方針に基づき、経過措置を設けるものとすること。
 1 旧制度の免許状の授与は、平成二十三年度末までとすること。
 2 旧制度の免許状を有する者は、当分の間、当該免許状をもって教育職員となることができるものとすること。
 3 旧制度の免許状を有する者が、教育職員検定に合格した場合に新制度の免許状の授与を受けることができる制度を設けること。
 4 教育職員でその有する相当の免許状が旧制度の免許状であるものは、新制度の免許状の授与を受けるように努めなければならないものとするとともに、その者を任命し、又は雇用する者は、その者が新制度の免許状の授与を受けることができる機会を与えるように努めなければならないものとすること。 
                                                          (第十条関係)
第十一 十年ごとの講習の実施及びこれを修了しなかった者の免許状の失効等
  普通免許状(専門免許状を除く。)及び特別免許状については、次に掲げる方針に基づき、定期的に教育職員として必要な資質及び能力の向上を図るための制度を設けるものとすること。
 1 免許状は、原則として、十年ごとに、当該免許状を有する教育職員として特に必要とされる知識及び技能に関する講習、模擬授業を中心とする演習等からなるおおむね百時間の講習を受講した上その修了の認定を受けない場合には、失効するものとすること。
 2 1の講習の修了の認定を受けないことによりその有する免許状が失効した者は、当該失効の後当該講習を受講した上その修了の認定を受けた場合には、新たな免許状の授与を受けることができるものとすること。                                                     (第十一条関係)
第十二 施行期日
  この法律は、日本国教育基本法の施行の日から施行するものとすること。                        (附則関係)

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