衆議院

メインへスキップ





公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図るための年金個人情報関係調査の実施等に関する法律案要綱

第一 目的
  この法律は、社会保険庁による年金個人情報の管理の実態、すべての年金個人情報が過去又は現在の事実と合致しているかどうか等に関する調査の適切な実施等のために必要な事項を定め、もって公的年金制度に対する国民の信頼の回復を図ることを目的とするものとすること。(第一条関係)

第二 定義
 一 この法律において「年金個人情報」とは、保険料の納付に係る情報等の厚生年金保険法第二十八条に規定する原簿又は国民年金法第十四条に規定する国民年金原簿に記録する個人情報その他政府が管掌する厚生年金保険事業又は国民年金事業の運営に当たって社会保険庁が保有する個人情報をいうものとすること。(第二条第一項関係)
 二 この法律において「年金給付」とは、厚生年金保険法又は国民年金法による給付その他これらの給付に類するものとして政令で定めるものをいうものとすること。(第二条第二項関係)
 三 この法律において「基礎年金番号」とは、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営に関する事務その他当該事業に関連する事務であって厚生労働省令で定めるものを遂行するために用いる記号及び番号であって厚生労働省令で定めるものをいうものとすること。(第二条第三項関係)

第三 年金個人情報関係調査等
 一 年金個人情報関係調査の実施
   厚生労働大臣は、年金給付が適正に行われることを確保するため、次に掲げる事項に関する調査(以下「年金個人情報関係調査」という。)を行うものとすること。(第三条関係)
  1 社会保険庁による年金個人情報の管理の実態
  2 すべての年金個人情報が過去又は現在の事実と合致しているかどうか及び合致していない場合にはその内容
  3 年金個人情報のうち基礎年金番号を用いての把握がされていないものの有無
  4 社会保険庁が年金個人情報を不適切に管理していたこと又は年金個人情報のうち基礎年金番号を用いての把握がされていないものがあることに起因した年金給付に関する不適正な取扱いのすべての事例
 二 社会保険庁長官に対する報告の徴収等
   厚生労働大臣は、年金個人情報関係調査の実施に当たっては、社会保険庁長官に対し、報告若しくは資料その他の物件の提出を命じ、又はその指名する職員をして、社会保険庁の職員に対し質問をさせ、若しくは物件の提出を求めさせ、これらの者が提出した物件を留め置かせ、若しくは検証を行わせるものとすること。(第四条関係)
 三 関係行政機関の長等の協力
  1 厚生労働大臣は、年金個人情報関係調査の実施に当たって必要があると認めるときは、関係行政機関及び関係地方公共団体の長並びに年金個人情報に係る本人その他の者に対し、資料又は情報の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。(第五条第一項関係)
  2 年金個人情報に係る本人その他の者は、1により協力を求められたときは、その求めに応ずるよう努めるものとすること。(第五条第二項関係)
 四 報告書の作成等
   厚生労働大臣は、年金個人情報関係調査を終了したときは、その結果について報告書を作成し、これを国会に提出するとともに、公表しなければならないものとすること。(第六条関係)
 五 省令への委任
   一から四までに定めるもののほか、年金個人情報関係調査の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定めるものとすること。(第七条関係)
 六 年金個人情報を事実と合致させるための措置等
  1 厚生労働大臣又は社会保険庁長官は、年金個人情報関係調査の結果及び年金個人情報関係調査監視委員会の意見を踏まえ、次の措置を講ずるものとすること。(第八条第一項関係)
   イ 年金個人情報のうち過去又は現在の事実と合致しないことが明らかになった年金個人情報を当該事実と合致させるための措置その他当該事実に基づき年金給付が適正に行われることを確保するために必要な措置
   ロ 年金個人情報関係調査を実施してもなお当該本人に係る年金給付に関する過去又は現在の事実が明らかにならない者に係る適当な措置
   ハ 平成九年一月一日前に政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営に関する事務その他当該事業に関連する事務であって厚生労働省令で定めるものを遂行するために用いた記号及び番号であって厚生労働省令で定めるものに係る年金個人情報に関する記録を基礎年金番号に係る年金個人情報に関する記録に統合することその他基礎年金番号を用いて年金個人情報が把握されるようにするために必要な措置
  2 1の措置の実施に関し特別の措置を必要とするときは、別に法律で定めるものとすること。(第八条第二項関係)

第四 年金個人情報関係調査監視委員会
 一 設置
   厚生労働省に、年金個人情報関係調査監視委員会(以下「委員会」という。)を置くものとすること。(第九条関係)
 二 権限
  1 委員会は、年金個人情報関係調査の実施状況を監視するものとすること。(第十条第一項関係)
  2 委員会は、1のほか、次の事項に関し、厚生労働大臣の諮問に応じて調査審議し、及び必要と認める意見を厚生労働大臣に申し出ることができるものとすること。(第十条第二項関係)
   イ 年金個人情報関係調査の方法に関する事項
   ロ 第三の四の報告書の作成等に関する事項
   ハ 年金個人情報の管理に関する事項
   ニ 第三の六の1の措置に関する事項
  3 委員会は、1及び2のほか、社会保険庁長官に対し、年金個人情報を不適切に管理していた社会保険庁の職員に対する懲戒処分を行うべきことを勧告することができるものとすること。(第十条第三項関係)
 三 組織
  1 委員会は、委員五人をもって組織するものとすること。(第十一条第一項関係)
  2 委員は、非常勤とすることができるものとすること。(第十一条第二項関係)
 四 委員の任命
  1 委員は、人格が高潔であり、過去に厚生労働省又は厚生省の職員となったことがない者であって、公的年金制度その他の社会保険制度又は情報技術に関する識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、厚生労働大臣が任命するものとすること。(第十二条第一項関係)
  2 委員に欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、厚生労働大臣は、1にかかわらず、1に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができるものとすること。(第十二条第二項関係)
  3 2の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならないものとすること。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、厚生労働大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならないものとすること。(第十二条第三項関係)
 五 委員の罷免
   厚生労働大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができるものとすること。(第十三条関係)
 六 委員の服務
  1 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないものとすること。その職務を退いた後も、同様とするものとすること。(第十四条第一項関係)
  2 委員は、在任中、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならないものとすること。(第十四条第二項関係)
  3 常勤の委員は、在任中、厚生労働大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならないものとすること。(第十四条第三項関係)
 七 委員の給与
   委員の給与は、別に法律で定めるものとすること。(第十五条関係)
 八 委員長
  1 委員会に委員長を置き、委員の互選によって委員のうちからこれを定めるものとすること。(第十六条第一項関係)
  2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表するものとすること。(第十六条第二項関係)
  3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理するものとすること。(第十六条第三項関係)
 九 会議
  1 委員会は、委員長が招集するものとすること。(第十七条第一項関係)
2 委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができないものとすること。(第十七条第二項関係)
3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによるものとすること。(第十七条第三項関係)
4 委員長に事故がある場合の2の適用については、八の3により委員長の職務を代理する委員は、委員長とみなすものとすること。(第十七条第四項関係)
5 委員会の会議は、公開するものとすること。(第十七条第五項関係)
 十 事務局
1 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くものとすること。(第十八条第一項関係)
2 事務局に、事務局長その他の職員を置くものとすること。(第十八条第二項関係)
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理するものとすること。(第十八条第三項関係)
 十一 政令への委任
   この法律に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定めるものとすること。(第十九条関係)

第五 罰則
  職務上知ることのできた秘密を漏らした委員は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。(第十九条関係)

第六 その他
 一 施行期日
   この法律は、平成十九年七月一日から施行するものとすること。ただし、第四の四の1の両議院の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 二 この法律の失効
   この法律は、歳入庁設置法の施行の日に、その効力を失うものとすること。ただし、第三の六、第四の六の1及び罰則の適用については、同日以後においても、なおその効力を有するものとすること。(附則第二条関係)
 三 関係法律の整理
   この法律の施行に伴う関係法律の整理を行うものとすること。(附則第三条から第五条まで関係)

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.