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政治資金規正法の一部を改正する法律案要綱


第一 国会議員関係政治団体の定義等
一 国会議員関係政治団体の定義
1 国会議員関係政治団体とは、次に掲げる政治団体(政党並びに政策研究団体及び政治資金団体を除く。)をいう。
(1) 国会議員・候補者(候補者となろうとする者を含む。以下同じ。)が代表者である資金管理団体その他の政治団体
(2) 租税特別措置法に規定する寄附金控除の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員・候補者を推薦し、又は支持することを本来の目的とする政治団体
2 政党の支部であって、国会議員に係る選挙区の区域を単位として設けられるもののうち、国会議員・候補者が代表者であるものは、1の(1)の国会議員関係政治団体とみなす。

二 一の1の(2)の国会議員関係政治団体に対する通知
1 国会議員・候補者は、その者に係る一の1の(2)の国会議員関係政治団体に対し、国会議員関係政治団体に該当する旨を通知するものとする。
2 1の通知をした者は、国会議員・候補者でなくなったときは、1の通知を受けた政治団体に対し、国会議員関係政治団体に該当しなくなった旨を通知するものとする。

三 国会議員関係政治団体の届出
国会議員関係政治団体(一の1の(2)の国会議員関係政治団体については、二の通知を受けた団体)は、従前の区分に応じて、その旨を総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に届け出るものとする。

第二 国会議員関係政治団体に関する特例
一 領収書等の徴収、収支報告書の記載・領収書等の写しの添付等の特例
1 国会議員関係政治団体の会計責任者は、すべての支出について領収書等を徴し、収支報告書の要旨公表日から3年間保存しなければならない。
2 国会議員関係政治団体の会計責任者は、すべての支出について、領収書等を徴し難い事情があるときは、領収書等を徴し難かった支出の明細書等(いわゆる徴難明細書等)を作成し、収支報告書の要旨公表日から3年間保存しなければならない。
3 国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書については、人件費以外の経費で1件1万円を超える支出について、その明細(支出を受けた者の氏名及び住所並びに支出の目的、金額及び年月日)を記載し、領収書等の写しと併せて、5月31日までに提出しなければならない。
二 登録政治資金監査人による政治資金監査
1 国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出するときは、あらかじめ、収支報告書、会計帳簿、領収書等について、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を修了した登録政治資金監査人による政治資金監査を受けなければならない。
2 1の政治資金監査は、国会議員関係政治団体の支出について、政治資金適正化委員会が定める具体的な指針に基づいて行うものとする。
3 登録政治資金監査人は、1の政治資金監査を行ったときは、政治資金監査報告書を作成しなければならない。
4 国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書を提出するときは、政治資金監査報告書を併せて提出しなければならない。

三 電子申請
国会議員関係政治団体の会計責任者は、収支報告書及び政治資金監査報告書を提出するときは、電子申請により提出するよう努めるものとする。

第三 登録政治資金監査人
一 登録
1 弁護士、公認会計士又は税理士は、登録政治資金監査人名簿への登録を受けて、登録政治資金監査人となることができる。
2 次のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。
(1) 第六の二又は三の罪を犯し刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることのなくなった日から3年を経過しない者
(2) 四の(1)に該当することにより登録を取り消され、その取消しの日から3年を経過しない者
(3) 懲戒処分により、弁護士、公認会計士又は税理士の業務を停止された者で、現にその処分を受けているもの
二 名簿
1 登録政治資金監査人名簿は、政治資金適正化委員会に備える。
2 登録政治資金監査人名簿の登録は、政治資金適正化委員会が行う。
三 登録の手続
1 登録政治資金監査人の登録を受けようとする者は、登録申請書を政治資金適正化委員会に提出しなければならない。
2 政治資金適正化委員会は、登録申請書の提出があった場合において、申請者が一の1のいずれかに該当する者であるときは、遅滞なく登録を行い、申請者が一の1のいずれにも該当しない者であるとき又は一の2のいずれかに該当する者であるときは、登録を拒否しなければならない。
3 登録政治資金監査人の登録を受ける者は、登録免許税を納めなければならない。
四 登録の取消し・抹消
 政治資金適正化委員会は、登録政治資金監査人が次のいずれかに該当するときは、当該登録を取り消し、又は抹消しなければならない。
(1) 一の1のいずれかに該当する者であること又は一の2のいずれかに該当しないことについて、記載すべき事項を記載せず若しくは虚偽の記載をして登録申請書を提出し、その申請に基づき当該登録を受けた者であることが判明したとき。
(2) 本人から登録の抹消の申請があったとき。
(3) 一の1のいずれにも該当しなくなったとき。
(4) 一の2の(1)又は(3)に該当するに至ったとき。
五 登録政治資金監査人の研修
1 登録政治資金監査人は、政治資金適正化委員会が行う政治資金監査に関する研修を受けるものとする。
2 政治資金適正化委員会は、研修を修了した者について登録政治資金監査人名簿に研修を修了した旨を付記するとともに、研修を修了した者に対しその旨を証する書面を交付しなければならない。
3 政治資金適正化委員会は、1の研修を受ける登録政治資金監査人から実費の範囲内において政令で定める額の手数料を徴収することができる。
六 登録政治資金監査人の秘密保持義務
1 登録政治資金監査人又は登録政治資金監査人であった者は、正当な理由がなく、政治資金監査の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 登録政治資金監査人の使用人その他の従業者又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、政治資金監査の業務を補助したことについて知り得た秘密を漏らしてはならない。

第四 政治資金適正化委員会
一 設置
総務省に、政治資金適正化委員会(以下第四において「委員会」という。)を置く。
二 所掌事務
1 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
(1) 収支報告書の記載方法に係る基本的な方針を定めること。
(2) 登録政治資金監査人の登録に関すること。
(3) 登録政治資金監査人に係る研修を行うこと。
(4) 政治資金監査に関する具体的な指針を定めること。
(5) 登録政治資金監査人に対し、政治資金監査の適確な実施について必要な指導及び助言を行うこと。
(6) 第五の四の権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合についての具体的な指針を定めること。
(7) その他法律又は法律に基づく命令に基づき委員会に属させられた事務
2 委員会は、必要があると認めるときは、政治資金の収支の報告及び公開に関する重要事項について、総務大臣に建議することができる。
三 組織
1 委員会は、委員5人をもって組織する。
2 委員は、非常勤とする。
3 委員は、学識経験のある者のうちから、国会の議決による指名に基づいて、総務大臣が任命する。
4 3の指名に当たっては、同一の政党その他の政治団体に属する者が3人以上とならないようにしなければならない。
5 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 5にかかわらず、委員は、国会の閉会又は衆議院の解散の場合に任期が満了したときは、新たに委員が、その後最初に召集された国会における指名に基づいて任命されるまでの間、なお在任するものとする。
7 総務大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、国会の同意を得て、これを罷免することができる。
8 委員のうち同一の政党その他の政治団体に属する者が3人以上となった場合においては、総務大臣は、くじで定める2人以外の委員を罷免するものとする。
9 委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
四 委員長
1 委員会に委員長を置き、委員の互選によって委員のうちからこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
五 会議
1 委員会は、委員長が招集する。
2 委員会は、委員長及び2人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 委員長に事故がある場合の2の適用については、四の3の委員は、委員長とみなす。
六 資料の提出その他の協力
1 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び都道府県の選挙管理委員会に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、1以外の者であって政治資金に関し識見を有する者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
七 事務局
1 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

第五 国会議員関係政治団体に係る少額領収書等の写しの開示
一 何人も、国会議員関係政治団体について、収支報告書の要旨公表日から3年間、当該報告書を受理した総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に対し、当該報告書に係る支出(人件費を除く。)のうち、1件1万円以下の支出に係る領収書等の写し(以下「少額領収書等の写し」という。)の開示を請求することができる。
二 開示請求は、当該開示請求に係る国会議員関係政治団体を特定し、少額領収書等の写しに係る支出がされた年を単位とし、かつ、経費の項目ごとに区分してしなければならない。
三 開示請求は、次の事項を記載した書面を総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に提出してしなければならない。
1 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
2 開示請求に係る国会議員関係政治団体の名称並びに少額領収書等の写しに係る支出がされた年及び経費の項目
四 開示請求を受けた総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当するときを除き、開示請求があった日から10日以内に、当該開示請求に係る国会議員関係政治団体の会計責任者に対し、当該開示請求に係る少額領収書等の写しの提出を命じなければならない。
五 国会議員関係政治団体の会計責任者は、四の命令を受けたときは、命令があった日から20日以内に、当該命令に係る少額領収書等の写しを総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならない。ただし、当該命令に係る少額領収書等の写しに係る支出がないとき又は当該命令に係る少額領収書等の写しと同一の少額領収書等の写しを既に提出しているときは、その旨を通知すれば足りる。
六 四の命令を受けた国会議員関係政治団体の会計責任者は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に対し、五の期間を総務省令で定める相当の期間延長するよう、延長を求める期間、その理由等を記載した書面で求めることができる。
七 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、六の求めがあったときは、五の期間を相当の期間延長するものとする。この場合において、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
八 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、開示請求者に対し、五により提出された少額領収書等の写し(当該少額領収書等の写しに情報公開法に規定する不開示情報が記録されている場合にあっては、当該不開示情報が記録されている部分を除く。)を開示しなければならない。
九 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、八により少額領収書等の写しの全部又は一部を開示するときは、五により当該少額領収書等の写しの提出があった日から30日以内に、その旨を決定し、開示請求者に対し通知しなければならない。
十 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、九の期間を一定の期間延長することができる。
十一 少額領収書等の写しの開示は、閲覧又は写しの交付により行う。
十二 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、四の命令に違反して当該国会議員関係政治団体の会計責任者が少額領収書等の写しを提出しないときは、その旨を開示請求者に通知するとともに、その旨並びに国会議員関係政治団体の名称及び主たる事務所の所在地を、遅滞なく、公表するものとする。
十三 五により提出された少額領収書等の写しについては、情報公開法及び都道府県情報公開条例は適用しない。
十四 開示請求をする者又は開示を受ける者は、実費の範囲内において、総務大臣に対する開示請求に係るものについては政令で、都道府県の選挙管理委員会に対する開示請求に係るものについては条例で定める額の開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。

第六 罰則
一 政治資金監査報告書の提出をしなかった者は、5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
二 政治資金監査報告書に虚偽の記載をした者は、30万円以下の罰金に処する。
三 第三の六又は第四の三の9に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第七 その他
一 領収書等の写しの作成方法の限定
収支報告書に併せて提出すべき領収書等の写しについては、複写機により複写したものに限るものとする。
二 総務大臣及び都道府県の選挙管理委員会の領収書等の写しの保存義務
総務大臣及び都道府県の選挙管理委員会は、収支報告書に併せて提出された領収書等の写しを、収支報告書の要旨公表日から3年間保存しなければならない。
三 収支報告書の写しの交付
何人も、収支報告書の要旨公表日から3年間、収支報告書の写しの交付を請求することができる。
四 収支報告書のインターネット公開等
1 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、収支報告書をインターネットの利用その他適切な方法により公表するときは、官報又は公報による収支報告書の要旨の公表をすることを要しない。
2 総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、収支報告書の要旨の公表又はインターネットの利用その他適切な方法による収支報告書の公表を、毎年、11月30日までに行うものとする。

第八 施行期日等
一 施行・適用
この法律は、平成20年1月1日から施行する。ただし、次に掲げる規定は、それぞれ次のとおり施行・適用する。
1 政治資金適正化委員会の設置及び登録政治資金監査人に関する規定 平成20年4月1日から
2 国会議員関係政治団体の届出に関する規定 平成20年10月1日から
3 国会議員関係政治団体に関する領収書等の徴収義務に関する規定及び収支報告書の写しの交付に関する規定 平成21年1月1日から
4 国会議員関係政治団体の提出する収支報告書の記載事項、政治資金監査の義務付け及び少額領収書等の写しの開示に関する規定 平成21年分の収支報告書(平成22年1月1日以後に提出)及び少額領収書等から
二 検討
新法(改正後の政治資金規正法)の規定については、国会議員関係政治団体に係る収支報告等の特例制度の実施(平成21年1月)後3年を目途として、新法の施行状況等を勘案し、収支報告等の特例制度の対象となる政治団体の範囲の拡大等について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
三 その他
その他所要の規定の整備を行う。

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