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東日本大震災からの復興の推進のための復興整備事業の実施に必要な
権利者による土地等の処分の迅速化に関する法律案要綱


一 目的(第1条関係)
東日本大震災復興特別区域法による復興整備計画に記載された復興整備事業の実施に当たり、権利者又は権利者の所在が明らかでない土地等及び遺産の分割がされていない土地等が多数存在し、権利者による当該土地等の処分が円滑に行われていない現状に鑑み、復興整備事業の実施主体による権利者及び権利者の所在の調査の迅速化、不在者財産管理人又は相続財産管理人(不在者財産管理人等)の活用を促進するための措置、家庭裁判所の人的体制の充実等について定めることにより、復興整備事業の実施に必要な権利者による土地等の処分の迅速化を図り、もって東日本大震災からの復興の推進に寄与することを目的とすること。

二 土地等の権利者及び権利者の所在の調査の迅速化(第3条関係)
 復興整備事業の実施主体である国又は地方公共団体は、復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等について、権利者又は権利者の所在が明らかでないときは、必要に応じ民間に調査を委託すること等により、その調査の迅速化に努めるものとすること。

三 不在者財産管理人等の活用を促進するための措置
1 不在者財産管理人等の活用(第4条関係)
 復興整備事業の実施主体である国又は地方公共団体は、復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等について、権利者に不在者があり、又は相続人があることが明らかでないため、権利者による処分が困難であるときは、自ら利害関係人として不在者財産管理人等の選任を請求するなどして不在者財産管理人等を活用することにより、当該土地等の処分の迅速化に努めるものとすること。
2 不在者財産管理人等となる人材の養成及び確保等(第5条関係)
(1)国は、復興整備事業の実施のために必要となる権利者による土地等の処分の迅速化に資するため、弁護士・司法書士等以外の者から不在者財産管理人等となる人材を養成・確保するために必要な研修その他の措置を講じなければならないものとすること。
(2)国は、弁護士・司法書士等及び(1)の人材で、復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等を管理する不在者財産管理人等となろうとする者に関する情報を収集し、必要に応じこれを復興整備事業の実施主体に提供するものとすること。
3 復興整備事業に係る不在者財産管理人に関する民法等の特例等(第6条関係)
(1)復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等について、遺産の分割がされておらず、かつ、複数の共同相続人等が不在者であるときは、弁護士・司法書士等である不在者財産管理人(弁護士等不在者財産管理人)は、民法第108条その他の法令の規定にかかわらず、当該土地等を含む遺産の分割について、当該不在者である複数の共同相続人等を代理することができるものとすること。
(2)弁護士等不在者財産管理人は、(1)により不在者である複数の共同相続人等を代理して遺産の分割の協議等を行うときは、これらの各共同相続人等のために公平にその職務を行わなければならないものとすること。
(3)家庭裁判所は、(1)により不在者である複数の共同相続人等を代理して遺産の分割の協議等を行った弁護士等不在者財産管理人から当該遺産の分割について民法第28条の規定による許可を求められた場合には、当該遺産の分割の内容がこれらの各共同相続人等の間の公平を不当に害することがないと認めるときに限り、当該許可をすることができるものとすること。
4 所在が明らかな共同相続人等が土地等を取得することについての配慮(第7条関係)
 復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等を含む遺産について不在者財産管理人が不在者である共同相続人等を代理して分割の協議等を行う場合においては、不在者財産管理人は、当該土地等の使用の状況、不在者である共同相続人等の所在が将来明らかになる可能性等を勘案して適当と認めるときは、不在者である共同相続人等の利益を確保した上、所在が明らかな共同相続人等が当該土地等を取得することについて配慮するものとすること。

四 家庭裁判所の人的体制の充実(第8条関係)
  国は、遺産の分割がされていない土地等の権利者による処分に関連して行われる家事事件の手続が東日本大震災の被災地域において迅速に行われるようにするため、当該地域を管轄する家庭裁判所の人的体制の充実に努めなければならないものとすること。

五 国の財政上の措置(第9条関係)
  国は、復興整備事業の実施主体である地方公共団体が、復興整備事業の実施のために権利者による処分が必要となる土地等について、権利者及び権利者の所在の調査を行い、又は不在者財産管理人等を活用するために負担する費用について、必要な財政上の措置を講ずるものとすること。

六 施行期日等
1 施行期日(附則第1条関係)
この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
2 復興庁設置法の一部改正(附則第2条関係)
復興庁の所掌事務に、三2(1)及び(2)に関する事務を加えること。

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