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   空家等対策の推進に関する特別措置法案要綱


第一 目的
 この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十の二を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とすること。    (第一条関係)
第二 定義
一 この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいうこと。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除くこと。
二 この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいうこと。
                                        (第二条関係)
第三 空家等の所有者等の責務
 空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとすること。                  (第三条関係)
第四 市町村の責務
市町村は、第六の一の空家等対策計画の作成及びこれに基づく空家等に関する対策の実施その他の空家等に関する必要な措置を適切に講ずるよう努めるものとすること。          (第四条関係)
第五 基本指針
一 国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとすること。
二 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 空家等に関する施策の実施に関する基本的な事項
  2 第六の一の空家等対策計画に関する事項
  3 その他空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
三 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとすること。
四 国土交通大臣及び総務大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこと。
                                        (第五条関係)
第六 空家等対策計画
一 市町村は、その区域内で空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、基本指針に即して、空家等に関する対策についての計画(以下「空家等対策計画」という。)を定めることができること。
二 空家等対策計画においては、次に掲げる事項を定めるものとすること。
  1 空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する対策に関する基本的な方針
  2 計画期間
  3 空家等の調査に関する事項
  4 所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
  5 空家等及び除却した空家等に係る跡地(以下「空家等の跡地」という。)の活用の促進に関する事項
  6 特定空家等に対する措置(第十四の一の助言若しくは指導、二の勧告、三の命令又は九若しくは十の代執行をいう。以下同じ。)その他の特定空家等への対処に関する事項
  7 住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
  8 空家等に関する対策の実施体制に関する事項
  9 その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
 三 市町村は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこと。
四 市町村は、都道府県知事に対し、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関し、情報の提供、技術的な助言その他必要な援助を求めることができること。
                                         (第六条関係)
第七 協議会
一 市町村は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行うための協議会(二において「協議会」という。)を組織することができること。
二 協議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)のほか、地域住民、市町村の議会の議員、法務、不動産、建築、福祉、文化等に関する学識経験者その他の市町村長が必要と認める者をもって構成すること。
                                        (第七条関係)
第八 都道府県による援助
 都道府県知事は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施その他空家等に関しこの法律に基づき市町村が講ずる措置について、当該市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整その他必要な援助を行うよう努めなければならないこと。                (第八条関係)
第九 立入調査等
一 市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができること。
二 市町村長は、第十四の一から三までの施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができること。
三 市町村長は、二により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その五日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならないこと。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでないこと。
                                        (第九条関係)
第十 空家等の所有者等に関する情報の利用等
一 市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができること。
二 都知事は、固定資産税の課税その他の事務で市町村が処理するものとされているもののうち特別区の存する区域においては都が処理するものとされているもののために利用する目的で都が保有する情報であって、特別区の区域内にある空家等の所有者等に関するものについて、当該特別区の区長から提供を求められたときは、この法律の施行のために必要な限度において、速やかに当該情報の提供を行うものとすること。
三 二に定めるもののほか、市町村長は、この法律の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができること。
                                       (第十条関係)
第十一 空家等に関するデータベースの整備等
  市町村は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第十三までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。            (第十一条関係)
第十二 所有者等による空家等の適切な管理の促進
 市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとすること。               (第十二条関係)
第十三 空家等及び空家等の跡地の活用等
  市町村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとすること。                     (第十三条関係)
第十四 特定空家等に対する措置
一 市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。二において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができること。
二 市町村長は、一による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができること。
三 市町村長は、二による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができること。
四 市町村長は、三により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても三の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができること。
五 三により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて一の助言若しくは指導又は二の勧告が行われるべき者を確知することができないため三に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市町村長は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができること。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、市町村長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならないこと。
六 三により必要な措置を命ずる場合における必要な手続について定めること。
七 国土交通大臣及び総務大臣は、特定空家等に対する措置に関し、その適切な実施を図るために必要な指針を定めることができること。
八 一から七までに定めるもののほか、特定空家等に対する措置に関し必要な事項は、国土交通省令・総務省令で定めること。
                                       (第十四条関係)
第十五 財政上の措置及び税制上の措置等
一 国及び都道府県は、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、空家等に関する対策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充その他の必要な財政上の措置を講ずるものとすること。
二 国及び地方公共団体は、一に定めるもののほか、市町村が行う空家等対策計画に基づく空家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するため、必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとすること。
                       (第十五条関係)
第十六 過料
一 第十四の三による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処すること。
二 第九の二による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の過料に処すること。
                                        (第十六条関係)
第十七 施行期日等
一 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、第九の二及び三、第十四並びに第十六は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
二 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
                                         (附則関係)

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